この記事では、ファイナンシャル・プランナーの藤井亜也さんの監修のもと、パート・アルバイトがもらえる年金額と保険料を、加入期間と年収別に紹介します。また、国民年金から切り替えた場合のメリット・デメリットについても解説します。
【関連記事】専業主婦は年金をいくらもらえる? 詳しくはコチラ
パート・アルバイトが加入できる年金の種類は?
これまでパート・アルバイトが加入できるのは国民年金でした。しかし、2016年の年金法改正により、パート・アルバイトでも一定の要件を満たす場合(後述)、勤務先によっては厚生年金に加入することができるようになりました1)。この法改正は段階的に導入されており、2024年10月からは従業員数51人以上の企業で働くパート・アルバイトが社会保険適用になります2)。
年金の種類 | これまで | 2024年10月以降 |
---|---|---|
国民年金 | 自営業者、学生、パート・アルバイト | 自営業者、学生、パート・アルバイト |
厚生年金 | 会社員、公務員 | 会社員、公務員、パート・アルバイト |
週労働時間がフルタイムの3/4以上であれば、雇用形態は問わず、厚生年金に加入することができます。ただし、学生の場合は国民年金にしか入ることができません。
公的年金は国民年金・厚生年金の2種類
日本の年金制度を大きく分けると、法律によって加入が義務付けられている「公的年金」と、企業や個人が任意で加入できる「私的年金」があります。
公的年金には、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2種類があり、すべての人が対象になる「国民年金」に、会社員や公務員が対象になる「厚生年金」が上乗せされる2階建ての構造になっています3)。
パート・アルバイトの場合、これまでは国民年金の第1号被保険者か、配偶者の扶養に入っている第3号被保険者でした。しかし、2022年の法改正によって勤務先や労働時間によっては第2号被保険者にもなることが可能になりました。
厚生年金と国民年金の違いについてもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。
【関連記事】厚生年金と国民年金の違いとは? 金額や加入条件をわかりやすく解説
参考資料
パート・アルバイトの場合、年金はいくらもらえる?
国民年金の場合、40年間の加入で満額受給でき、金額は一律です。一方、厚生年金の場合は、年収や加入期間によってもらえる年金額が異なり、以下の式で算出します。
【老齢厚生年金の受給額】
報酬比例部分+経過的加算(+加給年金額)
報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481÷1,000×加入期間の月数(※)
※:平成15年4月以降に加入した場合の計算式。
ここでは、第3号被保険者で夫(妻)の扶養を抜けるのか抜けないのか迷っている人向けに、これまでどおり国民年金のみに加入している場合と厚生年金に加入した場合にもらえる年金額を年収別に解説します。
ずっと夫(妻)の扶養で国民年金に加入している場合の年金額と保険料
厚生年金に加入せず、夫(妻)の扶養で国民年金のままの場合にもらえる年金額は老齢基礎年金のみになります。つまり、夫(妻)が自営業者で20歳から60歳まで自営業者などで第1号被保険者である人、会社員などの夫(妻)の扶養に入っている第3号被保険者である人がもらえる年金額と保険料は以下です。
〈表〉国民年金のみの場合(令和6年度)4)
年金額(※) | 月額約6万8,000円 年額約81万6,000円 | |
---|---|---|
年金保険料 | 第1号被保険者 | 月額1万6,980円 |
第3号被保険者 | 月額0円 |
65〜85歳の20年間、受給した場合、年金額の総額は約1,632万円になります。
なお、第3号被保険者の場合、保険料を負担することはありません。第3号被保険者の保険料は、配偶者が加入している厚生年金制度の財源から一括して国民年金に支払われています。つまり、第2号被保険者である配偶者が厚生年金に加入しているので、保険料を直接支払わなくてもいいのです。
〈表〉保険料の負担
これまでは配偶者に扶養されている人の年収が130万円を超えると、その人自身に国民年金と国民健康保険の保険料負担が発生していました。しかし、2016年の年金法改正によって、パート・アルバイトでも各種要件を満たす場合、厚生年金・健康保険の加入が可能になり、保険料は企業と加入者との労使折半となります。
とはいえ、年収や加入期間によっては、厚生年金に入ると、経済的損失が生じる可能性もあります。以降では年収別に厚生年金に加入した場合の保険料ともらえる年金額を紹介します。
扶養や扶養に入っている場合の年金について知りたい人は、以下の記事を併せてご覧ください。
【関連記事】配偶者の扶養に入ると「年金」はどうなる? 保険料支払いや受給額の違い、手続きをまとめて解説
【年収120万円】厚生年金保険に加入した場合の年金額と保険料
前述のように、老齢厚生年金でもらえる年金額は、年収や加入期間によって異なります。年収120万円の場合、年金保険料の目安は月額9,000円です5)。国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安は以下になります。
〈表〉【年収120万円】国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安
加入期間 | 支払った保険料の合計額 | 65~85歳の受給年金(20年) |
---|---|---|
1年 | 10万8,000円 | 約1,644万円 (月額約6万8,500円、年額約82万2,000円) |
5年 | 54万円 | 約1,689万6,000円 (月額約7万400円、年額約84万4,800円) |
10年 | 108万円 | 約1,749万6,000円 (月額約7万2,900円、年額約87万4,800円) |
15年 | 162万円 | 約1,809万6,000円 (月額約7万5,400円、年額約90万4,800円) |
20年 | 216万円 | 約1,869万6,000円 (月額約7万7,900円、年額約93万4,800円) |
25年 | 270万円 | 約1,929万6,000円 (月額約8万400円、年額約96万4,800円) |
30年 | 324万円 | 約1,989万6,000円 (月額約8万2,900円、年額約99万4,800円) |
38年(定年) | 410万4,000円 | 約2,080万円 (月額約8万6,667円、年額約104万円) |
ずっと扶養に入っており第3号被保険者だった場合の年金額は、20年で約1,632万円(月額約6万8,000円、年額約81万6,000円)です。厚生年金に入った場合と比較すると、加入期間1年でも総額に約12万円の差が出ています。
また、22歳から60歳まで国民年金のみの保険料を支払うと、その合計額は774万2,880円で、もらえる年金額は第3号被保険者と同じ約1,632万円です。厚生年金の保険料を38年間支払った場合は、国民年金のみと比べて、支払う保険料は約364万円少ないのに対し、受け取れる年金額は約448万円多くなっています。
参考資料
【年収150万円】厚生年金保険に加入した場合の年金額と保険料
年収150万円の場合、年金保険料の目安は月額1万1,600円です5)。国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安は以下になります。
〈表〉【年収150万円】国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安
加入期間 | 支払った保険料の合計額 | 65~85歳の受給年金(20年) |
---|---|---|
1年 | 13万9,200円 | 約1,646万4,000円 (月額約6万8,600円、年額約82万3,200円) |
5年 | 69万6,000円 | 約1,708万8,000円 (月額約7万1,200円、年額約85万4,400円) |
10年 | 139万2,000円 | 約1,785万6,000円 (月額約7万4,400円、年額約89万2,800円) |
15年 | 208万8,000円 | 約1,862万4,000円 (月額約7万7,600円、年額約93万1,200円) |
20年 | 278万4,000円 | 約1,932万円2,000円 (月額約8万800円、年額約96万9,600円) |
25年 | 348万円 | 約2,016万円 (月額約8万4,000円、年額約100万8,000円) |
30年 | 417万6,000円 | 約2,092万8,000円 (月額約8万7,200円、年額約104万6,400円) |
38年(定年) | 528万9,600円 | 約2,180万円 (月額約9万833円、年額約109万円) |
年収150万円の場合、「130万円の壁」を超えるため、夫(妻)の扶養から外れて、国民年金の第1号被保険者となっています。国民年金のみに加入している場合の年金額は、20年で約1,632万円(月額約6万8,000円、年額約81万6,000円)です。厚生年金に入った場合と比較すると、加入期間1年でも20年分で比較すると受け取れる年金額に約14万4,000円の差が出ています。
また、22歳から60歳まで国民年金のみの保険料を支払うと、その合計額は774万2,880円です。厚生年金の保険料を38年間支払った場合は、国民年金のみと比べて、支払う保険料は245万円少ないのに対し、受け取れる年金額は約548万円多くなっています。
【年収200万円】厚生年金保険に加入した場合の年金額と保険料
年収200万円の場合、年金保険料の目安は月額1万5,600円です5)。国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安は以下になります。
〈表〉【年収200万円】国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安
加入期間 | 支払った保険料の合計額 | 65~85歳の受給年金(20年) |
---|---|---|
1年 | 18万7,200円 | 約1,651万2,000円 (月額約6万8,800円、年額約82万5,600円) |
5年 | 93万6,000円 | 約1,735万2,000円 (月額約7万2,300円、年額約86万7,600円) |
10年 | 187万2,000円 | 約1,838万4,000円 (月額約7万6,600円、年額約91万9,200円) |
15年 | 280万8,000円 | 約1,941万6,000円 (月額約8万900円、年額約97万800円) |
20年 | 374万4,000円 | 約2,047万2,000円 (月額約8万5,300円、年額約102万3,600円) |
25年 | 468万円 | 約2,150万4,000円 (月額約8万9,600円、年額約107万5,200円) |
30年 | 561万6,000円 | 約2,253万6,000円 (月額約9万3,900円、年額約112万6,800円) |
38年(定年) | 711万3,600円 | 約2,380万円 (月額約9万9,167円、年額約119万円) |
年収200万円の場合も国民年金は第1号被保険者となっています。国民年金のみに加入している場合の年金額は、20年で約1,632万円(月額約6万8,000円、年額約81万6,000円)です。厚生年金に入った場合と比較すると、加入期間1年でも総額に約19万2,000円の差が出ています。
また、22歳から60歳まで国民年金のみの保険料を支払うと、その合計額は774万2,880円です。厚生年金の保険料を38年間支払った場合は、国民年金のみと比べて、支払う保険料は約63万円少ないのに対し、受け取れる年金額は約748万円多くなっています。
【年収250万円】厚生年金保険に加入した場合の年金額と保険料
年収250万円の場合、年金保険料の目安は月額1万8,300円です5)。国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安は以下になります。
〈表〉【年収250万円】国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安
加入期間 | 支払った保険料の合計額 | 65~85歳の受給年金(20年) |
---|---|---|
1年 | 21万9,600円 | 約1,656万円 (月額約6万9,000円、年額約82万8,000円) |
5年 | 109万8,000円 | 約1,752万8,000円 (月額約7万3,000円、年額約87万6,000円) |
10年 | 219万6,000円 | 約1,874万4,000円 (月額約7万8,100円、年額約93万7,200円) |
15年 | 329万4,000円 | 約1,996万8,000円 (月額約8万3,200円、年額約99万8,400円) |
20年 | 439万2,000円 | 約2,119万2,000円 (月額約8万8,300円、年額約105万9,600円) |
25年 | 549万円 | 約2,241万6,000円 (月額約9万3,400円、年額約112万800円) |
30年 | 658万8,000円 | 約2,364万円 (月額約9万8,500円、年額約118万2,000円) |
38年(定年) | 834万4,800円 | 約2,600万円 (月額約10万8,333円、年額約130万円) |
年収250万円の場合も国民年金は第1号被保険者となっています。国民年金のみに加入している場合の年金額は、20年で約1,632万円(月額約6万8,000円、年額約81万6,000円)です。厚生年金に入った場合と比較すると、加入期間1年でも総額に約24万円の差が出ています。
また、22歳から60歳まで国民年金のみの保険料を支払うと、その合計額は774万2,880円です。厚生年金の保険料を38年間支払った場合は、国民年金のみと比べて、保険料を約60万円多く支払うことになりますが、受け取れる年金額は約968万円多くなっています。
【年収300万円】厚生年金保険に加入した場合の年金額と保険料
年収300万円の場合、年金保険料の目安は月額2万3,800円です5)。国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安は以下になります。
〈表〉【年収300万円】国民年金の保険料を満期支払い、厚生年金に加入した場合の保険料と年金額の目安
加入期間 | 支払った保険料の合計額 | 65~85歳の受給年金(20年) |
---|---|---|
1年 | 28万5,600円 | 約1,663万2,000円 (月額約6万9,300円、年額約83万1,600円) |
5年 | 142万8,000円 | 約1,790万4,000円 (月額約7万4,600円、年額約89万5,200円) |
10年 | 285万6,000円 | 約1,948万8,000円 (月額約8万1,200円、年額約97万4,400円) |
15年 | 428万4,000円 | 約2,107万2,000円 (月額約8万7,800円、年額約105万3,600円) |
20年 | 571万2,000円 | 約2,268万円 (月額約9万4,500円、年額約113万4,000円) |
25年 | 714万円 | 約2,426万4,000円 (月額約10万1,100円、年額約121万3,200円) |
30年 | 856万8,000円 | 約2,584万8,000円 (月額約10万7,700円、年額約129万2,400円) |
38年(定年) | 1,085万2,800円 | 約2,820万円 (月額約11万7,500円、年額約141万円) |
年収300万円の場合も国民年金は第1号被保険者となっています。国民年金のみに加入している場合の年金額は、20年で約1,632万円(月額約6万8,000円、年額約81万6,000円)です。厚生年金に入った場合と比較すると、加入期間1年でも総額に約31万2,000円の差が出ています。
また、22歳から60歳まで国民年金のみの保険料を支払うと、その合計額は774万2,880円です。厚生年金の保険料を38年間支払った場合は、国民年金のみと比べて、保険料を約311万円多く支払うことになりますが、受け取れる年金額は約1,188万円多くなっています。
パート・アルバイトが厚生年金に加入できる条件
2016年の年金法改正は、企業にすべてのパート・アルバイトの厚生年金保険加入を義務づけるものではありません。パート・アルバイトが厚生年金に加入するには、前述の従業員数のほか、以下の条件を満たしている必要があります1)。
【パート・アルバイトが厚生年金保険に加入する条件】
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 残業代・賞与などを含まない所定内賃金が月額8万8,000円以上
- 2カ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない(休学中の学生や夜間学生は加入対象)
所定労働時間は「契約上の労働時間」を指し、臨時に生じた残業時間は含みません。ただし、契約上の労働時間が20時間未満でも、2カ月連続で実働労働時間が週20時間以上になり、さらに引き続くと見込まれる場合には、3カ月目から保険加入ができます。所定内賃金も同様に、時間外労働や最低賃金に参入しないことが定められた賃金(通勤手当、家族手当など)を含みません。
2024年10月から51人以上の企業では、上記の条件を満たすパート・アルバイトの厚生年金保険加入が義務化されます。ただし、50人以下の企業では義務化されないので、その点には注意しましょう。
パート・アルバイトが厚生年金に加入するメリット
続いて、パート・アルバイトが厚生年金に加入する主なメリットは以下の3つです。
それぞれについて、詳しく解説します。
メリット①将来もらえる年金額が増える
厚生年金に加入する最大のメリットは、老後にもらえる年金額が増えることです。国民年金の加入者が老後にもらえる年金額を増やす方法には、付加年金がありますが、厚生年金に加入する場合、前述のように保険料を企業と折半する点が付加年金への加入にはないメリットともいえます。
メリット②病気や出産時に手当金を受け取ることができる
厚生年金に加入すると、その期間中に障がいを負う傷病の診断を受けた場合、障害基礎年金に障害厚生年金の上乗せがあります。また、国民年金加入では障害年金をもらえないような軽度の障がいでも、厚生年金では障害年金や一時金をもらえる可能性があります。さらに、遺族年金も同様に遺族基礎年金だけではなく、遺族厚生年金が上乗せされます。
また、厚生年金に加入すると、同時に健康保険や雇用保険などの社会保険にも加入することになります。これにより国民保険では支給していない傷病手当金や出産手当金、育児休業給付金、失業手当などをもらうことができるようになります。
メリット③加入期間が短くても合算される
前述のように、厚生年金は加入月数で計算します。途中でパート・アルバイト先を退職し、国民年金に切り替えた場合もそれまでに納めた期間の分、老齢厚生年金をもらうことができます。また、その後、パート・アルバイトとして再就職し、厚生年金に加入した場合、それまでの加入月数と合算されます。つまり長期にわたって同じ勤務先で働けることが不確定の状況でも経済的なメリットを得ることができるといえます。
パート・アルバイトが厚生年金に加入するデメリット
パート・アルバイトが厚生年金に加入することによって生じる主なデメリットは以下の2点です。
デメリット①保険料の分だけ手取りが減る場合がある
国民年金・国民健康保険の場合、口座振替などで支払いますが、厚生年金・社会保険に切り替わると、毎月の給与から天引きされることになります。特に扶養に入っていた人の場合、これまでは保険料の負担が0円だったので、その分、手取りが少なくなったと感じられるかもしれません。
政府ではその対策として、「年収の壁・支援パッケージ」を行なっています。厚生年金加入による手取り減が気になる人は、パート・アルバイト先を決める前にこの支援パッケージを利用しているか、企業に尋ねてみましょう。
デメリット②結婚している場合、配偶者の控除が減る・もしくは受けられなくなる
配偶者の扶養に入っている人の場合、厚生年金・健康保険に加入すると、配偶者の扶養から外れます。また、自分と配偶者の年収によっては、配偶者が勤務先からの扶養手当をもらえなくなったり、配偶者特別控除の金額が下がったりする可能性があります6)。
控除に関しては、ふるさと納税やiDeCoなどを活用して調整することを検討しましょう。
参考資料
パート・アルバイトの年金にまつわる「よくある質問」
最後にパート・アルバイトの年金に関する「よくある質問」にお答えします。
Q1.配偶者が自営業者の場合、厚生年金に加入したほうがいい?
国民年金には「扶養」という概念がないため、配偶者が自営業者の場合、その扶養から外れるという概念もありません。ただし、国民年金の保険料は世帯主がその世帯の被保険者の保険料を連帯して納付する義務があります7)。世帯主がその分の控除を受けているため、配偶者が厚生年金に加入すると控除の金額が減る可能性があります。
一方で、もらえる年金の額は厚生年金に加入したほうがもちろん増えます。前述のように年収と保険料を確認した上で損がないようであれば加入するのがおすすめです。
参考資料
Q2.パートの「106万円の壁」と「130万円の壁」とは?
「106万円の壁」とは、パート・アルバイトの収入が106万円を超えた際に、会社の従業員数や勤務日数・勤務時間などによっては、配偶者の税制度上の扶養から外れることを指します。一方、「130万円の壁」とは、健康保険や年金に関わる社会保険制度上の扶養を指します。自身の収入が130万円未満(障がい者は180万円未満)かつ扶養する配偶者の年収の1/2未満の場合、配偶者の扶養に入ることで自身の健康保険料が免除されます。
配偶者の扶養に入るメリット・デメリットなどについて知りたい人は、以下の記事で紹介しているので、併せてご覧ください。
【関連記事】妻が夫の扶養に入るには? 条件やメリット・デメリットを解説
Q3.65歳以上で年金をもらいながらパートをした場合、税金はどうなるの?
年金収入とパート収入にかかる税金の控除は、別々に計算を行います。年金収入は公的年金等控除の対象で、65歳以上の場合、年金額が110万円以下までは所得税がかかりません8)。一方、パート収入は給与所得で、基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の対象です。そのため、これらを足した103万円以下であれば、税金はかかりません。
どちらかの収入がこの金額を超えている場合、合算した上で、それぞれに適用される所得控除を引いてから、税率をかけて所得税を計算することになります。
年金にかかる税金についてもっと知りたい人は、以下の記事で紹介しているので併せてご覧ください。
【関連記事】年金にも税金がかかる? 税金の種類や金額の計算方法を解説
参考資料
Q4.60歳以上がパートで働く場合、厚生年金に加入できる?
70歳未満で厚生年金保険に加入している会社で働く場合、前述の条件を満たせば、厚生年金に加入することができます9)。
ただし、60歳以上で厚生年金保険に加入しながら働く場合は、在職老齢年金制度に注意が必要です。詳しい内容は以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
【関連記事】在職老齢年金とは?満額の年金をもらいながら働く方法2つ
参考資料
Q5.業務委託だと厚生年金には加入できない?
厚生年金は、厚生年金保険の適用を受ける事業所で勤務する人が加入できる保険です。業務委託は個人事業主で、会社に所属する労働者にはならないため、厚生年金には加入することができません。
扶養に入っている場合、厚生年金に加入するかは世帯の全体で考えよう
単純に年金の受給額だけ考えれば、国民年金から厚生年金に切り替えるほうが経済的にプラスでしょう。しかし、前述のように、年収や加入期間によっては、厚生年金に切り替えず、国民年金のままのほうが経済的損失は少ない場合もあります。
特に配偶者の扶養に入っている場合には、扶養する配偶者の控除が減ったり、手当がもらえなくなったりする可能性もあります。世帯の収入や税金の控除などを総合的に見た上で、厚生年金に加入するかを考えましょう。