「離職して、つぎの仕事を始めるまでに期間が空くけど、その間のお金はどうすればいいんだろう…」
「転職をしたいけど、仕事を続けながら転職活動をする時間がないから、退職して転職活動に専念したい…」

そんな人に知ってほしいのが、つぎの仕事が見つかるまでの間、生活費として受け取れる失業保険です。この記事では、ファイナンシャルプランナーの中村賢司さん監修のもと失業保険の受給条件や受給期間、金額について解説していきます。正しく知って、失業時に上手に活用しましょう。

※この記事は、2022年10月7日に更新しています。

この記事の監修者

中村 賢司(なかむら けんじ)

ライフプランニングゆめたまご代表。住友生命保険相互会社勤務を経て独立。2008年7月に独立系FP事務所を設立し、ファイナンシャルプランナーとして、個人のコンサルティングを行いながら、テレビ・ラジオ番組への出演、雑誌の執筆などを行う。様々なメディアを通じて、家計管理やライフプランの重要性、投資の啓蒙を説いている。

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失業保険(失業手当)とは

画像: 画像:iStock.com/west

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そもそも失業保険(失業手当)とは、どのようなものなのでしょうか。基本的な情報を確認していきましょう。

失業保険は正式には雇用保険といい、この雇用保険に加入している人が失業や自己都合退職などの“特定の条件下”で受給できるお金のことを、失業手当(正確には基本手当)といいます。

失業した場合、つぎの仕事が見つかるまでの間は収入が途絶えてしまうことがあり、生活が安定しなくなる場合もあるでしょう。失業手当は、そんな時に生活費の心配をせず、つぎの仕事を安心して探すための手当なのです。

ただし、この失業手当は全員が受給できるものではありません。手当を受給するには、いくつかの条件があります。

失業保険の受給条件とは

画像: 画像:iStock.com/kokouu

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では、失業手当を受給するには一体どのような条件があるのでしょうか。

ここでは、失業期間中に継続して受給可能な、いわゆる失業手当である基本手当について解説します(以下、失業手当=基本手当とします)。

ハローワークが定める基本的な受給条件1)は以下のとおりです。

  1. ハローワークに来所し、求職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
  2. 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12カ月以上あること。

特に1の条件については、なかなか詳しい条件がイメージできない人も多いでしょう。

そこで、以下では失業手当を受給できる場合、受給できない場合を判別するために、確認すべきポイントをチャート形式で解説していきます。

(1)【チャート診断】失業保険の受給資格をチェック

まずは失業手当を受給する資格があるのか、受給期間はどれくらいになるのかを、チャートでチェックしてみましょう。

〈図〉失業手当の受給確認チャート

画像: (1)【チャート診断】失業保険の受給資格をチェック

ここで重要なのは、以下の4つのポイントです。

〈表〉失業手当受給の4つのポイント

①働く意思・能力
②求職の意思
③雇用保険の加入期間
④離職理由(自己都合退職か、会社都合退職か)

これらを軸として、受給資格があるのかないのか、受給期間はどのくらいになるのかということが決まります。このチャートの内容について、ポイントごとに解説していきましょう。

なお、以下の記事では失業手当を受給できない場合について詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。

【関連記事】失業保険をもらえないケースとは? 詳しくはコチラ

(2)受給資格の4つのポイントを解説

①働く意思・能力

そもそも失業手当を受給するためには、失業状態である上で「働く意思や能力」がなければいけません。つまり、つぎのような場合は、失業手当を受給できません。

〈表〉「働く意思や能力がない」と見なされる例

• ケガや病気ですぐに働くのが難しい人
• 妊娠・出産などですぐに就職するのが困難な人

【関連記事】妊娠中の失業保険の利用について、詳しくはコチラ

②求職の意思

失業手当は、“つぎの仕事が見つかるまでの生活”を保障するためのものです。そのため、すぐにつぎの仕事先を見つけるつもりがない人は、失業手当を受給することができません

求職の意思を示すためには、まずハローワークへ行きましょう。

そこで簡単な手続きをし、「就職したいという積極的な意思」と「いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)」を示した上で、「積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態にある」と認められた場合に給付の対象となります。

そのため、つぎのような人は原則として失業手当を受給できません。

〈表〉「求職の意思がない」と見なされる例

• 家事に専念するつもりの人
• 自営を開始、または開始するための準備に専念する人
• 雇用保険の被保険者とならない短時間就労のみを希望する人
※求職活動中に創業の準備・検討を行う場合は失業手当を受給できる可能性があります。

③雇用保険の加入期間

雇用保険加入の期間も、受給できるか否かを左右します。具体的には、つぎの表のとおりです。

〈表〉雇用保険の加入期間ごとによる失業手当の受給資格

雇用保険の加入期間受給資格
A過去2年間で12カ月以上失業手当の受給資格あり
B(Aの条件を満たしていない場合)過去1年間に通算6カ月以上
CA・Bの条件を満たしていない失業手当の受給資格なし
※特定受給資格者または特定理由離職者のみ該当。特定受給資格者や特定理由離職者は、ケガや倒産などの理由で退職した場合に当てはまります。

なお、失業手当は一度受給すると、雇用保険の加入期間がリセットされます。加入期間がリセットされるとどうなるのか、詳しくは以下の記事で解説しています。

【関連記事】失業保険を一度もらうとどうなる? 利用時の注意点など詳しくはコチラ

④離職理由(自己都合退職か、会社都合退職か)

上記①〜③は受給できるか否かの判断材料でしたが、④離職理由(自己都合退職か、会社都合退職か)は、受給期間や支給開始日を左右します。

離職理由は「自己都合」か「会社都合」の2つに分けられ、具体的には以下のような違いがあります。

●自己都合退職

自己都合退職とは、その名のとおり「自分の都合で退職するケース」のことです。たとえば、結婚や出産、職場が原因ではない病気を理由とした療養、両親の介護のためなどの理由が、これにあたります。

●会社都合退職

会社都合退職とは、倒産による離職や、解雇による離職など「退職を余儀なくされた場合」を指します。

また、ハラスメント被害を受けた場合や、外的要因による精神的苦痛で働くことが困難となってしまった場合など、自分の意思に反して退職を余儀なくされたケースも「会社都合」となります。

なお、上記チャートとこれらのポイントについては、あくまでも目安です。受給資格の要件については、アルバイトを週20時間以上していないか、同一の事業所で離職と就職を繰り返していないかなど、より詳細に決まっているので、ハローワークでの審査結果が異なる場合もあります。

失業保険の受給期間

画像: 画像:iStock.com/JohnnyGreig

画像:iStock.com/JohnnyGreig

失業手当の受給期間は、雇用保険の被保険者期間と離職理由によって給付日数が変わってきます。

所定給付日数は以下のとおりです。

(1)自己都合退職の場合

自己都合退職の場合は、離職時の年齢が65歳未満であれば何歳であっても、被保険者期間でのみ、給付日数が変わります。

〈表〉自己都合退職の場合の所定給付日数2)

離職時の年齢被保険者期間
1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
65歳未満の場合90日120日150日
※特定理由離職者の場合は1年未満でも90日。特定理由離職者は、ケガや倒産などの理由で退職した場合に当てはまります。

(2)会社都合退職の場合

会社都合退職の場合は、細かな年齢の区分けがあるほか、自己都合退職よりも給付日数が基本的に長く設定されています。

〈表〉会社都合退職の場合の所定給付日数2)

離職時の年齢被保険者期間
1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上
35歳未満
90日120日180日210日240日
35歳以上
45歳未満
90日150日180日240日270日
45歳以上
60歳未満
90日180日240日270日330日
60歳以上
65歳未満
90日150日180日210日240日

また、失業手当を受給できる期間は、基本的に離職日の翌日から1年間のみです。手続きが遅れてしまうと、受給できる上限日数分を受給できない可能性も出てくるので、離職後すぐに手続きすることをおすすめします。

失業保険の受給額と計算方法

続いて、受給できる金額についてです。

受給額は、基本手当日額給付日数により決定され、以下のような流れで算出できます。

①賃金日額を計算する

失業手当の金額を計算するには、まず基準となる賃金日額を計算しましょう。賃金日額は「退職する前の6カ月分の賃金額合計(賞与は除く)÷180日」で計算できます。

離職する半年前の給与が反映されるため、その間に欠勤や早退があった場合、もらえる金額が少なくなることには注意しましょう。

②基本手当日額を計算する

賃金日額を求めたら、基本手当日額を計算します。基本手当日額は、「賃金日額×給付率」で求められます。

なお、この給付率は、賃金日額が低い人のほうが高くなります。これは生活できる水準を考えて設定されているため、低所得の人ほど手厚いサポートが受けられるようにするしくみのためです。賃金日額と給付率の関係は以下のとおりです。

〈表〉賃金日額と給付率の関係表3)

賃金日額
30歳未満13,670円超12,380円超13,670円以下5,030円以上12,380円以下2,657円以上5,030円未満
30歳以上
45歳未満
15,190円超12,380円超15,190円以下
45歳以上
60歳未満
16,710円超12,380円超16,710円以下
60歳以上
65歳未満
15,950円超11,120円超15,950円以下5,030円以上11,120円未満
給付率上限額50%
※60~65歳は45%
50~80%
※60~65歳は45~80%
80%

また、基本手当日額は年齢区分ごとの上限額が定められており、現在は以下のとおりです。

〈表〉年齢別基本手当日額の上限4)

年齢上限額
30歳未満6,835円
30歳以上45歳未満7,595円
45歳以上60歳未満8,355円
60歳以上65歳未満7,177円
※2022年8月時点

③給付日数から支給総額を計算する

支給総額は「基本手当日額×所定給付日数」で算出できます。所定給付日数は退職理由によって異なります。前述の表を参考にして確認してみてください。

失業手当を受給した場合、その金額が年収に含まれるのか気になる人もいるでしょう。以下の記事で詳しく説明しているので、併せて参考にしてみてください。

【関連記事】失業保険は年収に入る? 確定申告の要否や扶養に入る基準について、詳しくはコチラ

受給期間や受給額をケース別にシミュレーション

ここまで受給条件や給付日数、受給額について説明してきましたが、結局いくらもらえるのかが知りたいという人もいるでしょう。

そんな人のために、この章では具体的なケースを挙げて、失業手当の受給可否と金額について解説します。

(1)自己都合で退職した20代・元フリーターAさんの場合

〈表〉Aさんの失業時の状況

年齢25歳
退職時の雇用形態アルバイト
離職理由自己都合
退職時の給料20万円/月
雇用保険加入
被保険者期間2年間

まずは、失業手当を受給するための条件を見てみましょう。雇用保険に2年間加入しているので、十分条件を満たしていることがわかります。

失業手当を受給するには、雇用形態は関係ありません。正社員ではなく、アルバイトや契約社員であったとしても雇用保険に加入していれば、失業手当は受給できます。

では、ここで先ほど紹介した失業手当の受給額の計算式に自己都合で退職したAさんの例を当てはめてみましょう。なお、今回の給付率は60%、所定給付日数は28日と仮定します。

〈図〉Aさんの受給額の算出

画像: (1)自己都合で退職した20代・元フリーターAさんの場合

以上により、失業手当の受給額は11万1,972円。Aさんは自己都合退職なので、受給が開始されるのは7日間+2カ月後からとなります。

(2)会社都合で退職した30代の元会社員・Bさんの場合

〈表〉Bさんの失業時の状況

年齢35歳
退職時の雇用形態正社員
離職理由会社都合
退職時の給料50万円/月
雇用保険加入
被保険者期間15年間

〈図〉Bさんの受給額の算出

画像: (2)会社都合で退職した30代の元会社員・Bさんの場合

30〜44歳の賃金日額の上限は1万5,190円のところ、Bさんの場合は上限を超えた16,666円となっています。そのため、基本手当日額は上限額の7,595円が適用となります。

受給は、会社都合による退職のため7日間の待機期間後にスタートします。

(3)自己都合で退職した30代元パート・Cさんの場合

〈表〉Cさんの失業時の状況

年齢35歳
退職時の雇用形態パート勤務
離職理由自己都合
退職時の給料15万円/月
雇用保険未加入
被保険者期間-

このケースに関しては、雇用保険に未加入のため、残念ながら失業手当を受給することはできません

なお、従業員人数が5人未満の会社に勤めている人や、週20時間未満のパートタイマーの場合は、雇用保険に加入していない可能性があります。

雇用保険に加入しているか否か心配な人は、今一度、雇用契約書に記載があるか、給与明細で雇用保険が引かれているかを確認してみましょう。

失業保険の手続きに必要なものと受給までの流れ

画像: 画像:iStock.com/maroke

画像:iStock.com/maroke

前述のとおり、失業手当を受給するためにはいくつかの条件を満たしている必要があります。

では、具体的に失業手当を受給したい時には、どのような手続きが必要なのでしょうか。手続きに必要なものと併せて解説します。

(1)失業保険の受給手続きに必要なもの

失業手当を受給するためには、まずはハローワークに行って手続きをする必要があります。その際、持っていくものは以下のとおりです。

〈表〉失業手当の受給手続きに必要なものリスト5)

・雇用保険被保険者離職票
・個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、住民票)
・身元確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
・証明写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm)
・印鑑(シャチハタNG)
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

(2)申請から受給までの流れ

必要な書類を準備できたら、失業手当を受給するための手続きをしましょう。手続きはつぎの流れのとおりです。

〈図〉申請から受給までの流れ

画像1: (2)申請から受給までの流れ

①離職票を受け取る
まずは、退職した会社から離職票を受け取りましょう。大抵の場合は、事前に離職票が欲しい旨を伝えておけば、退職から2週間程度で郵送されます。しかし、会社によっては発行に時間がかかるので、なるべく早めに手続きをお願いするほうが得策です。

②ハローワークへ行く
離職票を受け取ることができたら、前述の失業手当の受給手続きに必要なものリストで紹介したものを持ってハローワークに行きましょう。雇用保険被保険者証、離職票をもとにハローワークで条件を満たしていることが判断され、受給資格が決定されます。また、この時に初回の説明会の日程と会場も決まります(説明会については④で説明します)。

③待機する(7日 or 7日+2カ月間)
受給資格の決定から初回説明会までの間には、待機期間が7日間1)あります。この期間は、失業状態の確認を行うことが趣旨となります。

つまり待機期間は、アルバイトであっても就業活動を行うことができません。もしアルバイトをした場合は、その日数分が待機期間として延長されます。

なお、待機期間中に求職活動をすることは可能ですが、この期間中は求職活動の実績としてカウントされないので注意してください。

会社都合で退職した場合は待機期間7日、自己都合で退職した場合は、待機期間7日+給付制限期間2カ月が設定されています。給付制限期間中は、失業手当が受給できないため覚えておきましょう。

ただし、給付制限期間中のアルバイトは可能です6)。注意点としては、雇用保険の加入条件を満たす「1週間の所定労働時間が20時間以上」「同一の事業主に31日以上雇用されることが見込まれる」アルバイトの場合は就職と判断され、失業手当が受給できなくなります。

また、1回目の離職日から5年間のうちに3回以上自己都合による退職をしている場合には、給付制限期間が3カ月になる点も注意が必要です7)

④受給説明会に参加する
②で示した初回の説明会に参加します。初回の説明会では、失業手当の受給やハローワークの使い方などについて詳しい説明が行われます。雇用保険受給資格者のしおりなど、最初にハローワークへ行った際に説明された必要な持ちものを持参しましょう。説明会に参加すると、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」の2種類の書類が配布されます。

⑤求職活動をする
ハローワークの窓口で職業相談や職業紹介を受けるなど、求職活動をスタートさせます。失業手当はつぎの職を探す人に給付されるものであるため、28日間ごとに失業状態であることを認めるための認定日が設定されています。基本的には、この28日間で最低でも2回以上は求職活動をする必要があります8)。なお、求職活動として認められる活動は以下のようなものです。

  • 求人への応募
  • 職業相談やセミナーへの参加
  • 国家試験や資格試験の受験

認定日は、②の受給資格の決定から28日後に初回認定日が設定され、その後28日間ごとにつぎの認定日が設定されます。ただし、自己都合退職で給付制限期間がある場合には、給付制限期間明けの認定日が2回目の認定日となります。

会社都合退職の場合、初回の認定日までの期間に1回以上求職活動をする必要がありますが、初回の受給説明会が求職活動1回としてカウントされるため、加えて求職活動を行う必要はありません。2回目以降から28日間ごとに2回以上求職活動をしましょう。

〈図〉会社都合退職の場合の求職活動スケジュール例

画像2: (2)申請から受給までの流れ

自己都合退職の場合は、2回目の認定日までに合計で3回以上求職活動を行う必要があります。ただし、会社都合退職と同じく初回の受給説明会が求職活動1回としてカウントされるため、実際に必要な求職活動は2回となります。

〈図〉自己都合退職の場合の求職活動スケジュール例

画像3: (2)申請から受給までの流れ

⑥失業の認定を受ける
失業手当の給付を受けるためには、前述のように原則として28日間に1度、失業の認定を受ける必要があります。「失業認定申告書」に求職活動の状況などを記入し、「雇用保険受給資格者証」とともに、指定された認定日にハローワークに行って提出しましょう。

認定日にハローワークに行かないと、対象期間中の失業手当を受給できなくなってしまいます。もし急用などで行けなくなった場合には、あらかじめその旨を担当の窓口に連絡して、指示を仰ぎましょう。

⑦失業手当が口座に振り込まれる
失業が認定されたら、約1週間後に28日分の失業手当が振り込まれます。なお、退職理由によって初回の受給日が異なります。自己都合による退職の場合は7日間の待機期間に加え、2カ月間の給付制限が設けられるので、初回の失業手当は約2カ月半後です。一方で、会社都合による退職の場合は、待機期間が終了した直後から受給を開始できます9)

失業手当の所定給付日数をすべて消化するまで、求職活動と失業認定、失業手当の受給を繰り返します。

注意点として、以下のような不正受給をすると、ペナルティーが課せられます。

  • 求職活動の実績について虚偽の申請をする
  • アルバイトなどをしていたことを隠す
  • 就職や自営を開始したことを申告しない

給付が停止されるだけでなく、失業手当の返還や不正に受給した金額の2倍の納付が命じられます10)

手当を受給できる期間は、原則離職日の翌日から最長1年間です。失業の認定と受給を繰り返しながら、自身に合ったつぎの職業を見つけましょう。

失業保険に関する「よくある疑問」

画像: 画像:iStock.com/itakayuki

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ここからは、失業手当の受給に関する疑問を紹介しながら解説していきます。

(1)就職促進給付とは?

失業手当について調べていくうちに、就職促進給付という言葉を見つけた人もいるでしょう。

この給付は、失業手当とは違い、想定よりも早くに就職先が決まった場合にもらえる給付金のことです。具体的には、再就職手当、就業促進定着手当、就業手当などがあります。

再就職手当は、基本手当の受給資格がある人が安定した職業に就いた場合に、失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されるものです。

ここでいう安定した職業に就くとは、雇用保険の被保険者となる場合や、事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合などを指します。

再就職手当の支給額の計算方法は以下のとおりです。

〈表〉再就職手当の支給額の計算式

再就職手当の受給額
=基本手当の給付日数の残日数×給付率×基本手当日額

また、上記の計算式に出てくる給付率は以下を参考にしてください。

基本手当の支給残日数給付率
3分の2以上70%
3分の1以上60%

失業手当だけでなく、このように早期に再就職が決まった際の手当もあるので、ぜひ活用してください。

(2)事業主と離職者で離職理由の主張が食い違った場合は?

会社を自分の意思で退職した場合は、自己都合退職として届出が作成されます。

しかし、たとえば上司との人間関係や、ハラスメントが原因で精神的苦痛を負い、退職を決断した場合には会社都合退職との判定に覆る場合もあります。この場合、事業主と離職者の意見をどちらも聞いた上で、最終的に判定するのは、管轄するハローワークです。

もし離職理由に食い違いが起こった場合、判定には客観的資料が必要となるため、医療機関の発行した診断書などを用意しましょう。

(3)うつ病などで休職中の場合、そのまま辞めたらどうなる?

うつ病などによる休職を経て退職する場合には、休職中は傷病手当金、退職後は失業手当が受給できます。

傷病手当金とは、休職中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度のことです。被保険者が会社を休んでいる間、事業主から休職手当などの十分な報酬が受けられない場合に支給される制度です。

傷病手当金を受け取るには、①勤務できなかった期間を含む賃金計算期間(賃金計算の締日の翌日から締日の期間)の勤務状況を勤め先に証明してもらうこと、②療養担当者(医師など)に病名などを証明してもらうことの2つが必要です。

この傷病手当金は、基本的には在籍期間中に欠勤した分の生活を保障するための制度です。そのため、勤務先を退職したあとは、いくつかの条件に当てはまっている場合のみ、継続して傷病手当金を受け取ることが可能です11)

退職後は、先に説明している失業手当を受け取るための受給手続きを行いましょう。ただし、失業手当は「病気で働けない」という状態では受給することができません。「受給期間の延長手続き」を活用することも可能なので、近くのハローワークで相談してみるといいでしょう。

【関連記事】うつ病で退職する際に失業保険は利用できる? 傷病手当との違いなど詳しくはコチラ

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失業保険を上手く活用して、理想のキャリアを目指そう

新型コロナウィルスの流行により、雇用や就業環境に大きな変化がありました。この影響を受けて、今後の転職活動に対して「つぎの仕事が決まるまでの金銭面が心配…」「新しい仕事を探したいけど、現職を続けながら仕事を探すのは難しい…」と大きな不安や悩みを抱いている人も多いでしょう。

しかし、悲観的になる必要はありません。雇用保険に加入している場合には、失業時の生活を支えてくれる様々な手当が用意されています。制度を上手く活用して、理想のキャリアを歩みましょう。

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