夫婦関係が良好になるなど、男性が育休を取得するメリットはじつに豊富です。しかし、実際に男性が育休を取得するケースは、いまだに約4割となっており、実際に育休を何日まで取れるのか知らない人も多いといいます。ㅤㅤ

そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナーの藤井亜也さん監修のもと、男性の育休制度について、期間をはじめ、取得率や育休中の給与、取得した場合のメリット、2025年にスタートした法改正の内容などを交えて解説します。

※この記事は、2025年4月22日に公開した内容を最新情報に更新しています。

この記事の監修者

藤井 亜也(ふじい あや)

ファイナンシャルプランナー(CFP、FP1級)。独立系FPとして幅広い年代のお客様の相談に対応。1人1人に心を込めて、最適なプランを提案しライフプランを実現。個別相談、セミナー、執筆・監修など幅広く活動中。著書『理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方』(三恵社)、ラジオ番組『未来のためのお金のハナシ』(FM川口)。

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男性の育休とは?

画像: 画像:iStock.com/monzenmachi

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男性の育休とは、夫が妻の出産後に育児や家事を行うために取得する休業制度です。育休を取得するには、育児休業開始予定日の1カ月前までに、勤務先に対して育児休業の取得を書面で申し出る必要があります。

近年、共働き世帯が増えたことで、育児や家事は夫婦で協力して行うものという考え方が定着してきました。こうした時代の変化にともない、2022年、2025年と育児・介護休業法が改正され、男性も育休を取得しやすくなってきました1)

また、制度の拡充により、少子化問題はもちろん、働き方改革の適切な施行や女性の社会進出など、多くの社会的課題の解決も期待されています。

男性の育休の現状とその背景

厚生労働省の調査によれば、男性の育休平均取得日数は46.5日でした2)。期間は1カ月を超えていますが、取得率が高い企業ほど平均取得日数が短くなる傾向も見られ、取得日数をどう伸ばすかが課題です。

また、2024年度の男性の育休取得率は40.5%でした3)。女性の取得率86.6%に比べると低いですが、2023年度の30.1%から大幅に増加しています。会社が、男性従業員の「収入を減らしたくない」「キャリアを停滞させたくない」といった不安を取り除けることが、今後の取得率上昇のためには重要になるでしょう。

育休の取得期間については、「最低1カ月以上」の取得がおすすめとされます。理由は、女性の産後うつの防止のためです。産後2週間〜3カ月はホルモンバランスの崩れや慣れない育児により、産後うつのリスクが高まる時期です4)

産後すぐの時期に夫が育休を取得し、夫婦で助け合いながら育児に取り組むことで、妻も心身の回復ができ、産後うつを予防できるのです。

男性が利用できる2つの育休制度

画像: 画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

男性の育休期間は、子どもが1歳になるまでの期間であれば、基本的に自分で育休の日数を決めることができます。しかし、育休を連続して取得するのが難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。そこで、2つの育休制度を理解しておくことが非常に大事です。

男性が利用できる育休制度は、主に以下の2つです。

育児休業は休業期間を2回に分けて取得できます。さらに、産後パパ育休を利用する場合、産後パパ育休も2回に分けて取得でき、育児休業と合わせることで、最大で4回分割して育休を取得できます。

〈図〉産後パパ育休と育児休業を組み合わせて取得する場合の例

画像: 男性が利用できる2つの育休制度

連続して育休を取得するのが難しいという人も、制度を活用することで、育児と仕事の両立がしやすくなります。

以下では、それぞれの制度について、詳しく見ていきましょう。

育児休業

育児休業とは、育児・介護休業法にもとづいて定められたもので、男女問わず取得できる休業です。原則子どもが1歳を迎えるまでの間に取得可能で、保育所に入れないなど特段の事情がある場合は2歳までの期間に延長できます。

2022年の法改正により、休業を2回に分割して取得できるようになりました。個々の事情に合わせて、柔軟に育休取得が可能になっています。

産後パパ育休制度

「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子どもの出生後8週間以内に、最長で4週間(28日)まで育休が取得できる制度です。通常の育休とは別に取得できるのが特徴で、育休と同様に2回に分割して取得することもできます。

また、労使協定を締結している場合は、育休中の就業が認められます。仕事と育児を両立できる、男性従業員にとっては有用な制度といえるでしょう。

【コラム】育児休業と育児休暇の違いは?

育休の正式名称は育児休業であり、休暇制度である育児休暇とは制度内容が異なります

育児休業と育児休暇の違いは以下のとおりです。

〈表〉育児休業と育児休暇の違い

育児休業(育休)育児休暇
対象者1歳未満の子どもを養育する従業員休暇制度を定める企業の従業員
取得可能期間子どもが1歳になるまで(※1)企業によって異なる
申出期限育児休業開始予定日の1カ月前まで企業によって異なる
分割取得2回まで可能企業によって異なる
休業中の就業特定の条件下であれば可能(※2)副業は可能(※3)
※1:延長すれば2歳になるまで取得可能。
※2:労使の話し合いにより、子どもの養育をする必要がない期間に、一時的・臨時的に事業主のもとで就労することは可能。
※3:但し、企業が副業を認めている場合。

育児休業と育児休暇の違いは「公的制度かどうか」という点です。育児休業は法律に基づきますが、育児休暇は会社の規定に基づく制度です。

前述のとおり、育休は育児・介護休業法に基づく休業制度のことです。1歳に満たない子どもを養育する従業員が勤務先に申し出ることで利用することができます。法律で定められている制度で、雇用期間などの要件を満たせば妻、夫のどちらも取得可能です。仕事を続けながら子育てをする権利が保障されています。

一方、育児休暇は企業が独自に定める休暇制度です。育休と違って取得期間や申出期限などが企業ごとに異なります。企業によっては育児休暇を設けていない場合もあるため、育児休暇を取得したい時には事前に担当部署に相談しておくといいでしょう。

男性が育休を取得できる期間はいつからいつまで?

画像: 画像:iStock/Kwangmoozaa

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男性が育休を取得できる期間は、女性と異なります。両親ともに育休を取得した場合、以下の制度の活用により、取得開始日や期間の制限が変わるためです。

  • パパ・ママ育休プラス:育休の適用期間が「子どもが1歳になるまで」から「子どもが1歳2カ月になるまで」に延長される
  • 産後パパ育休(出生時育児休業): 子どもの出生日から8週間以内の期間で、合計4週間の育休が取れる

ここでは、制度ごとの取得期間を見ていきます。

育休期間は原則1年間

育休期間は、原則1年間とされています。育児・介護休業法では、育休は「1歳に満たない子の養育」のために取得できるものと定めています5)。男女によって、取得できる期間に差はありません。

ただし、子どもが1歳になる時点で保育所に入所できないなど、一定の要件を満たす場合は、育休期間を1歳6カ月になるまで延長できます。

さらに、1歳6カ月の時点でも保育所に入れない場合などは、2歳になるまで再度延長することが可能です。なお、延長期間中であっても、育児休業給付金の支給や社会保険料の免除は継続して適用されます。

【関連記事】育児休業の延長などについて、詳しくはコチラ
【関連記事】男性の育休取得期間について、詳しくはコチラ

【パパ・ママ育休プラスの取得期間】子どもが1歳2カ月に達するまで

パパ・ママ育休プラスを利用すると、夫婦で育休の取得時期を調整することで、子どもが1歳2カ月になるまでの間、夫と妻いずれかが育休を取得できます

通常、育休は子どもが1歳になるまでが原則ですが、パパ・ママ育休プラスを活用すれば、夫婦それぞれの取得可能期間(最大1年)は変えずに、育休の取得時期をずらすことが可能です。

たとえば、妻が先に育休を取得し、仕事復帰のタイミングで夫が育休を取得するといった使い方もできます。こうした調整により、最長で子どもが1歳2カ月になるまで、家庭内で育児に専念できる期間を確保できます。

以下は、パパ・ママ育休プラスを利用して育休期間を調整した場合の一例です。

〈図〉パパ・ママ育休プラスの取得例

画像: 【パパ・ママ育休プラスの取得期間】子どもが1歳2カ月に達するまで

【産後パパ育休(出生時育児休業)の取得期間】出生後8週間以内で最長4週間まで

前述のとおり、産後パパ育休は出生後8週間以内に、最大4週間取得できます。産後パパ育休のメリットは、通常の育児休業と組み合わせて、柔軟に育休スケジュールを組めることです。

たとえば、出生後8週以降は、妻と夫で交代しながら育休を取得することで、互いに育児と仕事の両立を目指せます。妻も特定の期間は育休から復帰するため、業務のブランクが長引く心配がなく、キャリアの停滞も防げます。

また、夫が妻の育休開始後と終了直前に育休に入れば、妻の生活や復職へのサポートにまわることも可能です。

〈図〉産後パパ育休の取得例1)

画像: 【産後パパ育休(出生時育児休業)の取得期間】出生後8週間以内で最長4週間まで

パパ・ママ育休プラスも組み合わせながら、どのようなスケジュールで育休を取得するか、夫婦で相談してみてください。

男性の育休中の給与は?給付金や社会保険料免除を活用しよう

画像: 画像:iStock.com/Yusuke Ide

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育休の期間中の給与はどうなるのか、お金の不安を抱く人もいるでしょう。

育休期間中には、夫婦で様々な手当や給付金を受け取れます。主な手当や給付金は、以下のとおりです6)7)8)9)10)

〈表〉育休期間中に利用できる主な手当・給付金

給付金名内容支給対象支給額
出産育児一時金出産にかかる費用を補助するための給付金妊娠4カ月(85日)以上で出産した被保険者または家族(被扶養者)1児につき50万円(産科医療補償制度未加入の場合や妊娠週数22週未満で出産した場合は48万8,000円)
出産手当金出産前後の休業中の生活費を支援する給付金健康保険加入者で出産のために会社を休んだ人直近1年の標準報酬月額の平均の2/3
育児休業給付金育休中の生活費を補助するための給付金雇用保険加入者で育児休業を取得した人休業開始から6カ月は賃金の67%、それ以降は50%
出生時育児休業給付金出産後8週間以内に、4週間までの産後パパ育休を取得した場合に給付金を支給する雇用保険加入者で産後パパ育休を取得した人賃金の67%
出生後休業支援給付金出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受ける人が、一定 の要件を満たした場合に上乗せで支給される給付金夫婦ともに14日以上の育休を取得した家庭休業開始前の賃金の13%
育児時短就業給付金2歳に満たない子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合 に、賃金が低下するなど一定の要件を満たした時に支給される給付金2歳未満の子どもを養育している時短勤務者時短勤務中の賃金の10%

特に注目したいのは「育児休業給付金」と「出生後休業支援給付金」です。併給することで、手取りの10割相当を受け取れます。2つの給付金について、解説します。

なお、産休・育休中の手当については以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

【関連記事】産休・育休中の手当について、詳しくはコチラ

男性の育休では「育児休業給付金」がもらえる

男性の育休では、「育児休業給付金」「出生時育児休業給付金」が受け取れます。

育児休業中は就業規則上、無給となるのが一般的です。しかし、休業中も収入がなければ、生活が苦しくなります。雇用保険に加入しており一定の要件を満たしている人には、育児休業給付金が雇用保険から支給されます

給付金の給付率は、育休開始後最初の6カ月が「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」、それ以降は50%です8)

〈図〉育児休業給付金の給付率

画像: 男性の育休では「育児休業給付金」がもらえる

加えて、育児休業給付金は非課税なので、育休中に無給となった分に応じて所得税と住民税(次年度分)の負担が軽くなります。税負担を気にせずに受け取れるのも、メリットといえるでしょう。

ただし、賃金月額には上限があります。賃金月額は毎年8月1日に見直されるため、支給額は勤務先の労務担当者かハローワークに相談して確認しましょう(2025年8月1日からの支給上限額:給付率67%の場合は32万3,811円、給付率50%の場合は24万1,650円)11)

なお、育児休業給付金の申請方法や金額などについては、以下の記事で解説しています。興味のある人は確認してみてください。

【関連記事】育児休業給付金について、詳しくはコチラ
【関連記事】育休・産休中に支給されるお金について、詳しくはコチラ

2025年4月からは「出生後休業支援給付金」で手取りの10割相当が給付される

2025年4月から、出生後休業支援給付金が新たに始まりました。この制度は、産後の一定期間に育休を取得した場合、育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせて受給できるもので、最大28日間は賃金額面の80%をカバーしてくれ、実質的に手取りの10割相当にする給付額を受け取ることができます9)

受給条件としては、夫婦ともに14日以上の育休を取得することです。(妻が専業主婦の場合は夫のみ受給可能)

では、実際いくらぐらい受け取れるのかシミュレーションしてみましょう8)

出生後休業支援給付金の計算方法は以下になります。

支給額=休業開始時賃金日額×休業期間の日数(上限28日)×13%

たとえば、休業前の賃金日額が1万5,000円、休業期間の日数が20日の場合、育児休業給付金と出生後休業支援給付金の支給額は以下のようになります。

育児休業給付金1万5,000円×20日×67
=20万1,000円
出生後休業支援給付金1万5,000円×20日×13
=3万9,000円

給与の8割相当、手取りの10割相当である24万円が受け取れます。

ただし、出生後休業支援給付金にも支給上限が設けられています。令和7年8月1日からの上限額は5万8,640円です11)。そのため、もともとの給与が高い方は、育休中の受取額が手取りの80%に満たないことがあります。

社会保険料も免除される

育休中は、厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料が免除されます。これらの保険料の負担額は所属している健康保険組合によって異なりますが、月収の15〜20%ほどです。

社会保険料の免除を受けても、健康保険の各種給付は通常どおり受けられます。傷病手当金や高額療養費制度など、医療にかかわる給付が引き続き受けられるため、育休中も安心して医療機関を受診できます。

免除の手続きは事業主が行うため、育休に入る従業員は申請の必要はありません。

【関連記事】社会保険料が免除される条件について、詳しくはコチラ

【2025年施行】育児・介護休業法改正のポイント

画像: 画像:iStock.com/takasuu

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2025年から、育児・介護休業法が改正され、より育休が取得しやすくなりました。主な改正ポイントは、以下のとおりです。

基本的には、従業員が柔軟な働き方ができるような措置をしたり、育休取得の意向を聴取したり、事業主に対して課される義務が増える形です。労働者は、子どもの養育状況に合わせて柔軟に働き方を選べたり休暇を取得しやすくなったりするため、メリットが増えます。つぎから詳しく解説します。

3歳まで:テレワークがしやすくなる

育児・介護休業法の改正により、3歳未満の子どもがいる方がテレワークを活用しやすくなりました。

事業主は、3歳未満の子どもを持つ従業員について、テレワークを選択できるよう措置を講じることが努力義務となります。これにより、テレワークで子どもの面倒を見ながら働けるようになりました12)

3歳から小学校就学前まで:残業免除など柔軟な働き方が選べる

3歳〜小学校就学前までの子どもがいる人については、事業主が従業員に対して柔軟な働き方を実現するための措置を取る必要があります。事業主は、以下の5つの勤務形態のうち2つを選択して、従業員に提示しなければなりません。

【事業主が従業員に提示すべき勤務形態】

  • 始業時刻等の変更
  • テレワーク等(10日/月)
  • 保育施設の設置運営等
  • 新たな休暇の付与(10日/年)
  • 短時間勤務制度

従業員は、提示された2つの選択肢のうち、どちらかひとつを選択して利用できます。そのため、テレワークだけでなく時短勤務、フレックス制など様々な働き方を視野に入れられます。

なお、事業主が措置を選択する際は、労働組合などから意見の聴取が必要です。事業主や役員だけでは勝手に決められないため、従業員の働き方の選択肢が狭まることはありません12)

また、所定外労働の制限(残業免除)を請求できる期間も延長されます。これまでは3歳に満たない子どもを養育する従業員が対象でしたが、2025年4月1日からは、小学校就学前の子どもを養育する従業員まで対象が拡大しました12)

残業免除申請期間が延長されることで、保育園や幼稚園の送り迎えに行きやすくなったり、子どもと過ごす時間を増やせたりといったメリットが考えられます。また、働きながら育児ができる環境が整うことで柔軟な働き方を実現しやすくなる共働きを続けやすくなるでしょう。

小学校3年生まで:子どもの看護休暇が取りやすくなる

育児・介護休業法の改正では、子どもの看護休暇に関しても見直されました12)

〈表〉子どもの看護休暇に関する改正内容

改正前改正後
名称子の看護休暇子の看護等休暇
対象となる子どもの範囲小学校就学前まで小学校3年生修了まで
取得事由・病気、けが
・予防接種、健康診断
左記に加えて以下を追加
・感染症に伴う学級閉鎖等
・入園(入学)式、卒園式
労使協定の締結により除外できる労働者・引き続き雇用された期間が6カ月未満
・週の所定労働日数が2日以下
・週の所定労働日数が2日以下(※)
※:雇用期間 6カ月未満の人も休暇を取得可能。

これまでは、小学校に入学するまでの子どもが病気やケガをした際に「子の看護休暇」を取得できました。しかし、2025年からは「子の看護等休暇」に名称が変わり、小学校3年生終了までの子どもが病気やケガをした時に加えて、学級閉鎖時、子どもの卒園式や入学式への参加時に休暇を取得できるようになりました。

また、雇用期間6カ月に満たない人でも、子の看護等休暇を取得できるようになりました。勤続期間が短い人も休暇を取れるため、より働きやすい環境になるでしょう。

2025年の法改正では、そのほかに、企業側に課せられる男性の育休取得率などの公表義務の拡大、育児休業給付金の改正などもあります。今後数年でより育休制度の拡充が進められ、育休を利用しやすくなる環境が整っていくことが期待されています。

男性従業員が育休を取得するメリット

画像: 画像:iStock.com/miya227

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男性の育休取得や育児参加は、夫婦の関係や互いのキャリアに好影響を与えます。男性従業員が育休を取得するメリットを1つずつ解説します。

①妻が産後うつになる可能性を軽減できる

夫が育休を取得すると、妻の産後うつ発症の可能性を軽減できます。夫と妻が互いに育児へ参加することで、妻へかかる負担を減らして良好な関係を保てるからです。

国立成育医療研究センターの調査によれば、産後1年未満に亡くなった女性の死亡原因357例のうち、約3割の102例が自殺との結果が出ました13)。また、「妊産婦のメンタルヘルスの実態把握及び介入方法に関する研究」によれば、産後2週間程度の時期が産後うつのピークとなり、その後産後3カ月付近にかけて発症率が下がっていくとされています14)

産後うつは10人に1人が発症するといわれており、決して他人事ではありません。夫が育児に協力することで必ず発症を防げるわけではありませんが、産後すぐに育休を取得して妻の負担を和らげられれば、夫婦ともに安定したメンタルで育児ができるでしょう。

②妻のキャリアロス期間を短縮できる

夫が育児に参加することによって、妻の負担が減ります。その分、妻は復職を早めることができるなど、育児によるキャリアロス期間を短縮できるでしょう。共働きを継続したい夫婦にとって、夫の育休は妻のキャリア形成に効果的です。また、男性が育休を長く取る組織ほど帰属意識や仕事の意欲が高まるというデータも示されています15)

キャリア形成や仕事のモチベーション維持の面でも、男性の育休取得は夫婦双方にメリットをもたらすのです。

企業が男性に育休取得させるメリット・取得促進のポイント

画像: 画像:iStock.com/bee32

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育休取得に悩むのは、男性従業員だけではありません。企業経営者や人事担当者のなかには「育休で仕事が進まなくなったらどうしよう」「制度を正式につくろうか悩んでいる」と考える人もいるでしょう。

男性の育休取得は、企業にもメリットがあります。企業側のメリットについて解説します。

企業が男性に育休を取得させるメリット

企業が男性に育休を取得させるメリットは、以下の2つです。

①助成金による金銭的な援助を受けられる
②認定制度によるイメージアップが期待できる

従業員が育休を取得することで、企業が助成金を受けられるケースがあります。男性の育休取得促進を目的とした「2024年度両立支援等助成金」の「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」です。

「出生時両立支援コース」は、男性従業員が育休や育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりに取り組み、育休や育児目的休暇を取得した男性従業員が生じた事業主に支給されます。

〈表〉出生時両立支援コースの受給額16)

受給条件
(男性の育休取得者に関する達成条件)
受給額補足
第1種1人目(※)20万円1回限り
2人目・3人目10万円
第2種育児休業取得率の30%以上
アップや50%達成など
60万円1回限り
※:雇用環境整備措置を4つ以上実施の場合30万円。

育休取得実績を公表すれば福利厚生や人事の面で好影響をもたらします。安心して働けることから、採用力の強化につながる可能性も期待できるでしょう。

また、男性の育休取得を推進することで、企業のイメージアップが期待できます。

子育てサポート企業の証である「くるみん」のほか、「イクメン企業アワード」など、国や地方公共団体の認定制度の取得や表彰へ応募することで、自身の勤める企業の評価が高まります。

企業にとっても労働環境の整備は必須です。実際、男子学生の61.3%が「育児休業を取って積極的に子育てしたい」と考えているようです17)。ワークライフバランスの維持を考慮している男子学生は多く、女子学生も自分が働き続けることを前提に将来を考えています。

助成金の活用実績があれば新卒だけでなく第二新卒や優秀な人材に対しても採用時にアピールできます。採用や育成、離職防止の面でもメリットが大きいのです。

企業が男性の育休取得を促進する際のポイント

最後に育休を取りやすい職場環境づくりや復職支援、人員補充の検討などについて説明します。

企業が男性の育休取得を推進する際は、雰囲気づくりがポイントになります。たとえば、管理職への研修を実施して、現代の子育ての現状を理解してもらったり、育休取得のプランづくりを支援したりすることです。「この職場は育休が取得しやすい」と従業員が感じれば、育休の取得率も上昇していくでしょう。

また、復職に向けた支援体制の構築として、復帰直後の時短勤務を許可したり、復職まで時間がかかる場合は代替人員を補充したりと、どの従業員も働きやすくなるようなしくみづくりも重要です。

男性の育休に関するよくある質問

画像: 画像:iStock.com/spawns

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ここでは、男性の育休でよくある質問に回答していきます。

Q1.男性の育休は何カ月間取得できますか?

男性の育休は、子どもが1歳になるまで(延長した場合は1歳6カ月まで、再延長で2歳まで)です。男性の育休は、配偶者の出産予定日から子どもの1歳の誕生日の前日まで取得できます5)

ただし、子どもが2歳になるまでは、場合によって育休の延長が可能です。しかしながら、実際の取得平均日数は46.5日となっています5)

Q2.男性の育休取得率が100%になるのはいつから?

政府は男性の育休取得率について、2025年までに50%、2030年までに85%を目指すとしています18)

2023年度の男性育休取得率は、40.5%でした3)。前年から大幅に増えているため、2026年には育休取得率が50%を記録する可能性もあるでしょう。

Q3.育休に関する給付金はいつ支給されますか?

育児休業に関する給付金である「育児休業給付金」「出生後休業支援給付金」は、それぞれ育休開始から数カ月後に支給されるとおさえておきましょう。申請から審査までの間で、多少時間がかかります。それまでは、手元にある資産で家計をやりくりする必要があります。

なお、手取り10割相当の給付金を受け取るには「子どもの出生後8週間以内もしくは産後休業後8週間以内に、夫婦ともに14日以上の育児休業を取得する」といった要件があります。早めに育休の計画を立てるようにしましょう。

Q4.男性の育休中の給与はどうなる?ボーナスは?

男性が育休を取得している間、一般的に給与は支給停止となり、ボーナスについてはこれまでと変わらず受け取れる場合が多いです。育休は休業であり休暇ではないため、期間中は給与支払いを受けられないためです。

また、ボーナスについても就業規則で支給対象外としていたり企業の業績が悪化したりした場合は、支給されない可能性があります。

Q5.男性の育休期間はいつがおすすめ?

男性の育休取得期間は、妻の退院直後か出産予定日から1カ月以上がおすすめです。どちらも妻を精神的に支えられるため、産後うつの防止につながります。また、子どもの出生後8週間以内に取得すれば、育児休業給付金の支給率が80%に上がる可能性もあります。

Q6.育休中は働いていいの?

育児休業中は、原則就労することはできないとされています。ただし、勤務先の企業が副業を認めている場合、副業自体はできる可能性があります。月10日以下(80時間以下)の非恒常的な就労であれば、育児休業給付金の給付対象です19)

また、産後パパ育休を利用する場合は、休業中も限られた範囲で就業することが認められています。また、子どもの養育のために働き方を柔軟にしたいと考えるのであれば、3歳未満の子どもを持つ従業員が対象となる短時間勤務制度を利用するのも1つの手です。

男性の育休取得が家庭づくりのカギとなる

画像: 画像:iStock.com/Yagi-Studio

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長い人生、夫が育児参加するかどうかで家族の在り方は変わってきます。夫婦は世界で最小単位の組織と言っても過言ではありません。家族という組織をどうよりよくしていくかが、現代の核家族には求められているのです。

育児のメリットには、仕事以外の人間関係ができることも挙げられます。それが結果的に人間としての幅を広げ、仕事にも生かされます。よりよい家族関係や人間関係を築き、仕事と育児の両立を目指しましょう。

【関連記事】出産・育児をきっかけに夫婦で話し合いたいことについて、詳しくはコチラ

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