夫婦関係が良好になるなど、男性が育休を取得するメリットはじつに豊富です。さらに、2022年4月からは法改正が行われ、そのメリットはより大きくなるといえます。

しかし、実際に男性が育休を取得するケースは、いまだに約1割程度となっています。これは男性の育休について、しくみやメリットを理解していない人が多いからでしょう。

そこで今回は、男性が育休を取得するメリットや、取得期間、申請方法、給付金といった基本情報のほか、法改正により男性の育休がどう変わるのかを解説します。

また、現在の育休取得率や、育休取得が進んでいる企業の取り組みなどを参照するとともに、企業側のメリットとなる助成金制度についても紹介していきます。

企業に向けて仕事と育児の両立支援を行っている小倉環さん監修のもと取得者側、そして企業側の双方から見た男性の育休のメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

※この記事は、2022年3月9日に更新しています。

育休の最新ニュース!

2022年4月からスタートする、育児・介護休業法の改正。

原則分割ができなかった育休を、2回に分けて取得することができるほか、男性の育休については「産後パパ育休」という制度が新設され、今よりも自由な取得期間に変わります。

また、企業側には育休を取得しやすいような環境の整備や、育休取得率の公表が義務付けられ、今後はもっと育休が取得しやすいようになっていくことが予想されます。

法改正で変わるポイントについて、詳しくはコチラをチェック!

この記事の監修者

小倉 環(おぐら たまき)

株式会社ハーモニーワークス代表取締役/「仕事と子育て両立ラボ」主宰。人材コンサルタント。大手企業の人事・採用メディアのコンサルティング、転職支援に従事した後に2015年に株式会社ハーモニーワークスを設立。以来、民間企業、官公庁、各種団体にて女性活躍推進や働き方改革、仕事と育児の両立支援に関する研修、コンサルティングを提供。プライベートでは二児の子育てに奮闘中。

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男性の育休の基本知識

画像: 画像:iStock.com/monzenmachi

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育休と産休の違い

「育休」とは育児・介護休業法に基づく休業制度のことで正確には育児休業といいます。原則として1歳に満たない子どもを養育する従業員が勤務先に申し出ることで利用することができます。法律で定められている制度であり、仕事を続けながら子育てをする権利が保護されています。

取得には雇用期間などいくつかの要件があるものの、性別に関わらず取得でき、男性の場合は配偶者の出産予定日から子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで取得できます。

また、意外と知られていませんが、配偶者が専業主婦(夫)であっても取得が可能です。

なお、よく混同されがちな育児休暇との違いとしては、「育児休業」は国が定めている法律であるのに対し、「育児休暇」は企業がそれぞれ定める、育児のために取得できる休暇であるという点があります。

一方、産休とは労働基準法で定められた産前産後休業(産前6週・産後8週)のことです。女性が妊娠し、出産前後の母体保護の観点から定められています。

〈図〉産休と育休の取得可能期間

画像: 育休と産休の違い

育児休業の申請方法や必要書類

育児休業の申請方法は企業によって異なりますが、一般的な流れを簡単に確認しておきましょう。

まずは、育児休業開始予定日の1カ月前までに、勤務先に対して育児休業の取得を書面で申し出ます。その後の育児休業給付金の申請に必要な書類の作成や提出などは、原則会社が本人の代わりに進めてくれます。勤務先から受け取った各種書類への記入のほか、母子手帳や給付金の振込先の通帳のコピーなども必要になるため、提出できるように準備しておきましょう。

男性の育休取得率の現状

画像: 画像:iStock.com/imtmphoto

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男性の育児休業取得率は12.65%

日本の育休は、他国と比べても充実した制度です。では、男性の取得率の現状はどうなっているのでしょうか。

厚生労働省が発表している「令和2年度雇用均等基本調査」1)によると、2020年度の男性の育児休業取得率は12.65%でした。2019年度が7.48%だったため、増加はしていますが、それでも低い数字ですよね。その理由を考えていきましょう。

根本的な理由は、男は仕事、女は家庭という旧来の伝統的な性別役割分担の価値観がいまだに残っていることにあります。2019年度の内閣府の世論調査2)によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に「賛成」(「賛成」「どちらかといえば賛成」を含む)とした人は、35%でした。近年、女性の職場での活躍が多く報道されていますが、35%という数字からはいまだに性別役割分担意識が残っていることが読み取れるでしょう。

実際、日本の「6歳未満の子どもを持つ夫婦の夫の家事・育児関連時間」は1日1.5時間ほどで、アメリカやスウェーデンなどの3時間以上と比べて低い水準となっており3)世界的に見ても日本における夫の家事・育児の負担は少なく、妻にかかる比重が多くなっています。

また、男性でも育児休業を取得できることを知らないというケースもよくあります。さらに、給付金をもらえることを知らずに「育休をとったら生活費に困る」と勘違いしている人4)や、自分が休むと仕事が滞ると思い込んでしまう人、将来のキャリアにマイナスの影響が出ると考えてしまう人もいるようです。

企業の中でも男性が育児休業を取得することへの理解が追いついていない側面があります。男性の育休取得の前例がなく、男性が育休を取得することを前提とした人事配置がなされていない企業も多いでしょう。

しかしここ1~2年、政府内で男性の育児休業取得について議論されていることもあり、男性社員に積極的に育児休業を取得するよう働きかける企業が増えています。また、2022年10月からは、この働きかけが義務化されることになっているため、今後の男性の育休取得率の改善が期待できるでしょう。この法改正については、後ほど詳しく説明します。

取得しづらいのではないかと思っていても、「上司に申し出てみたらあっさり許可してくれた」というケースもあります。これは、企業が仕事と育児の両立について従業員が理解を持つよう制度や社会的背景を周知している努力の表れでもあります。「どうせ言ってもダメだ」と思い込んで取得をあきらめるのではなく、まずは相談してみてはいかがでしょうか。

男性の育休の期間はいつからいつまで?

画像: 画像:iStock/Kwangmoozaa

画像:iStock/Kwangmoozaa

男性が育休を取得できる期間は、女性と少し異なります。なぜかというと、「パパ・ママ育休プラス」や「パパ休暇」、そして新設される「産後パパ育休」などの制度があり、取得開始日や期間の制限が変わるためです。それぞれの制度について、詳しく見ていきましょう。

【関連記事】男性の育休の具体的な期間について、詳しくはコチラ

男性が取れる育児休業期間

育児休業は、前述のように性別に関わらず取得でき、取得できる期間は原則として、子どもが1歳になるまでです。

両親が“ともに”育児休業を取得する場合は、休業開始日のタイミングなどの要件はありますが「パパ・ママ育休プラス」が適用されます。

パパ・ママ育休プラス

「パパ・ママ育休プラス」は、原則として子どもが1歳までである休業可能期間を、子どもが1歳2カ月に達するまでに延長できる特例です(ただし、夫婦それぞれの取得可能な期間は1年間ずつです)。

〈図〉パパ・ママ育休プラスの取得例

画像: パパ・ママ育休プラス

「パパ・ママ育休プラス」では、夫婦で一緒に育休を取得するだけでなく、妻の仕事復帰のタイミングで夫が取得するなど、タイミングをずらすこともできます。

パパ休暇

また、育児休業は原則1度しか取得できませんが、男性には「パパ休暇」という特例があります。パパ休暇は、女性の産後8週間以内に育児休業を取得すると、期間内にもう一度育児休業を取得することができる制度です。

〈図〉パパ休暇の取得例

画像: パパ休暇

しかしながら、このパパ休暇については2022年10月に施行される育児・介護休業法により、廃止される予定となっています。

その代わりに、「産後パパ育休(出生時育児休業)」という新しい制度が創設されます。

産後パパ育休(出生時育児休業)

産後パパ育休は、女性の産後8週間、これまで「パパ休暇」として育休の一部で取得していた休業を、育休と別枠で取得できる制度です。期間内であれば最長4週間、2回に分割して取得することができ、これに併せて産後8週間後の育休についても最長1年間を、2回に分割して取得できるようになります。

〈図〉産後パパ育休の取得例6)

画像: 産後パパ育休(出生時育児休業)

【関連記事】パパ・ママ育休プラスの具体例や産後パパ育休など、男性の育休取得期間について詳しくはコチラ

男性の育休の延長

なお、「子どもが1歳となる育児休業終了予定日に保育所に入所できない場合」など、一定の要件を満たす場合は、子どもが1歳6カ月になるまで育児休業を延長することができます。

また、1歳6カ月の時点で保育所等に入れないなど一定の要件を満たす場合は、さらに2歳になるまで再度延長が可能です。延長期間中であっても、育児休業給付金や社会保険料の免除は適用されます。

【関連記事】「育児休業の延長」の条件や手続きは? 詳しい解説はコチラ

男性の育休の開始時期

男性が育休を取得できるのは、女性の出産予定日以降です。帝王切開で日取りが決まっているなどの場合を除き、子どもはいつ生まれるかはわかりませんが、勤務先には事前に申告が必要となります。

また、予定日と実際の出産日はずれることも多いですが、育児休業の開始日は会社と相談して変更できるので、繰り上げ・繰り下げ申請で対応可能です。

なお、子どもが出産予定日より早く生まれた場合の繰り上げと、出産予定日より遅く生まれた場合の繰り下げは変更の手続きが異なります。

【関連記事】男性の育休開始時期は変更できる? 繰り上げ・繰り下げの手続きについて詳しくはコチラ

いつから育児休業を取得すればいいかを悩む男性におすすめのタイミングは、退院直後からです。期間としては、少なくとも1カ月以上取るといいでしょう。

理由としては、女性の産後うつの防止のためです。女性は産後、ホルモンバランスが崩れます。さらには3時間ごとの授乳など24時間慣れない育児に対応しなければならない責任が重なり、うつになりやすいと言われています。発症時期は個人差がありますが、出産から2週間後をピークにしたおよそ1カ月の期間がリスクが高いと言われています。

出産後に夫婦で助け合いながら育児に取り組むことは、女性の産後うつを予防することにもつながるのです。

Column「育休中は働けるの?」

厚生労働省では、「育児休業」は労務提供義務を消滅させる制度であるため、原則就労することはできないとしています。テレワークなどを利用して、育児休業を取得しながら、少ない時間で働きたい…と考える人もいるかもしれませんが、定期的に働くことは原則認められていません。

しかしながら、前述の「産後パパ育休」については、休業中も限られた範囲で就業することが認められています。男性が育休を取得する上ではとてもありがたい制度なので、引き継ぎなどで完全な休業が難しい場合には、ぜひこの制度の利用を検討してみてください。

また、子どもの養育のために働き方を柔軟にしたいと考えるのであれば、3歳未満の子を持つ労働者が対象となる「短時間勤務制度」を利用しながら在宅勤務制度が利用できないか、勤務先に相談してみてはいかがでしょうか。

育休中の給付金は? 社会保険料は? 給与の何%がもらえる?

画像: 画像:iStock.com/bankrx

画像:iStock.com/bankrx

育休の期間中の給与はどうなるのか、お金の不安を抱く人も少なくないでしょう。そこで、給付金や社会保険料など、お金まわりの制度を詳しく見ていきましょう。

【関連記事】男性の育休中の給与はどうなるのか、詳しくはコチラ

育児休業給付金は2段階の金額設定

育児休業中は就業規則上、無給としている企業が多いです。しかし、雇用保険に加入しており一定の要件を満たしていれば、「育児休業給付金」が雇用保険から支給されます

額面は、最初の6カ月は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」、それ以降は50%となっています。

〈図〉育児休業給付金の給付率

画像: 育児休業給付金は2段階の金額設定

ただし、賃金月額には上限があります。毎年8月1日に見直され、2021年も変更されましたので、支給金額の確認は勤務先の労務担当者かハローワークに相談しましょう。(2021年8月1日変更の支給額の上限額:支給率67%の場合は301,902円、支給率50%の場合は225,300円)

【関連記事】育児休業給付金の申請方法や申請のタイミングなど、詳しくはコチラ

【関連記事】育児休業給付金など「育休・産休中に支給されるお金」とは? 詳しい解説はコチラ

社会保険料の免除も合わせれば、給与の約8割がカバーされる

育休中は、厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料が免除される制度があります。これらの保険料の負担額は所属している健康保険組合によって異なりますが、月収の14%ほどです。

また、育児休業給付金は非課税なので、育休中に無給となった分に応じて所得税と住民税(次年度分)の負担が軽くなります

前述で、育児休業給付金は、最初の6カ月は休業開始前の給与の67%が支給されると述べましたが、負担減額分と合わせると、育休中は休業前の手取り月収の実質8割ほどがカバーされることになるのです。

【関連記事】パパ育休の抜け道とは? 社会保険料が免除される条件について詳しくはコチラ

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男性の育休取得義務化へ向け、2022年4月から法律が改正される

男性の育児休業取得を促すため、2022年4月には育児・介護休業法が改正されます。大きなポイントとしては、以下の3つが挙げられます。

① 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設、育休の分割取得

1つめは、前述した「産後パパ育休」の創設と、育休分割取得です。こちらは2022年10月1日から施行されます。

繰り返しにはなりますが、女性の出産後8週間以内に最長で4週間の休業を2回に分割して取得することができ、育休についてもこれまで原則分割不可だったものが2回に分割することが可能になります。各項目の変更点は以下の表のとおりです。

〈表〉産後パパ育休と育休制度について

産後パパ育休
(育休とは別に取得可能)
育休制度(変更後)育休制度(現行)
対象期間
取得可能日数
子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能原則子が1歳(最長2歳)まで原則子が1歳(最長2歳)まで
申出期限原則休業の2週間前まで※1原則1カ月前まで原則1カ月前まで
分割取得分割して2回取得可能(初めにまとめて申し出ることが必要)分割して2回取得可能(取得の際にそれぞれ申出)原則分割不可
休業中の就業労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲※2で休業中に就業することが可能原則就業不可原則就業不可
1歳以降の延長-育休開始日を柔軟化育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定
1歳以降の再取得-特別な事情がある場合に限り再取得可能※3再取得不可
※1 雇用環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合は、
1カ月前までとすることができます。
※2 具体的な手続きの流れは以下①~④のとおりです。
①労働者が就業してもいい場合は、事業主にその条件を申し出
②事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
③労働者が同意
④事業主が通知 なお、就業可能日等には上限があります。
●休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分 ●休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
※3 1歳以降の育児休業が、ほかの子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児休業の開始により
育児休業が終了した場合で、産休等の対象だった子等が死亡等した時は、再度育児休業を取得できます。

②育休を取得しやすい雇用環境の整備、意向確認の義務化

2つめは、企業側に求められる育休関係の環境の整備です。具体的には、育休や産後パパ育休に関する研修の実施や、相談窓口の設置などが挙げられます。

また、本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して、育休制度に関する詳しい説明と、育休取得意向の確認を個別に行わなければいけません。

こちらは企業の規模に関わらず義務対象となるため、中小企業であっても必ず行わなければならないものとなっており、もし怠ってしまうと最悪の場合、行政労働局による指導勧告がされる可能性もあります。

③従業員1,000人超の企業における育休取得状況の公表の義務化

3つめも、企業側に求められる内容となっており、こちらは従業員が1,000人以上いる企業に対して、育休取得状況を年1回公表することを義務化します。公表内容は「男性の育休等取得率」または「男性の育休等と育児目的休暇の取得率」です。

インターネットなど、誰でも閲覧できる方法で公表する必要があるため、たとえば転職や就職の際に参考にすることも可能になると考えられます。

そのほかの育休関連政策

今回の法改正以外にも、育休関連の政策は様々なかたちで動いています。2020年7月には「育児休業給付金」を、賃金の67%から最大80%へ引き上げようとする案が政府で検討されていた9)ほか、2021年には改正育児・介護休業法で、子どもの看護休暇が時間単位で取得できるようになりました。

もしこの先給付が80%に引き上げられれば、社会保険料の免除などと組み合わせることで、月収のほぼ100%近くをまかなえるようになります。制度的には育児をしながらの仕事がしやすくなってきていて、徐々に社会全体の理解も深まっていくでしょう。

世界に目を向けると、福祉が充実しているとたびたび話題に挙がるのが北欧です。これらの国では男性の育休取得率は日本よりはるかに高いのですが、制度面の影響が大きいでしょう。

たとえばノルウェーは世界で初めて男性の育児休業促進のために、休業期間に「パパ・ママ・クオータ制」を取り入れました。パパ・クオータとは男性だけに割り当てられた育児休業期間のことで、男性が育休を取得しなければ、期間も短くなり、受給できるはずの給付金の権利が消滅するしくみになっています。

一方で、日本は確かに男性の育児休業取得率は低いものの、2019年にユニセフが発表した「先進国における家族にやさしい政策ランキング」では、父親の育児休業制度の充実は世界1位とされました10)

さらに加えれば、男女ともに1年間同時に育休を取れる国はほかにありません。

世界でも類を見ないスピードで少子高齢化が進む日本ですが、今後は育児休業取得が義務化されるなど、より思い切った制度が創設されるかもしれません。内閣府がまとめた報告書「選択する未来2.0」では、「男性が全員取得する環境を目指す」ことが提案されています11)

【取得者側、企業側別】男性の育休のメリットとは

(取得者側)男性の育児休業取得のメリット

今後の男性の育休取得に向けた動きがわかったところで、改めて取得者側、企業側のメリットを確認していきましょう。

調査によると、男性が積極的に育児参加することは、夫婦のみならず妻と夫両方が勤める会社にも、また社会全体にも好影響があることがわかっています。

夫婦関係へのメリット

まずは夫婦関係についてです。妻は出産を機に、夫に対する愛情が低下していくようですが、夫婦が協力し合って子育てをした場合、夫に対する愛情はV字回復していく、という調査結果があります12)。これは将来、仮面夫婦になることや熟年離婚を避けることにも関係しているとも考えられます。

また、アメリカの学者は、夫婦の仲のよさが子どもの自己肯定感の高さにつながり、学力も高くなると述べています13)

育児休業は「育児に参加する」という一種の表明です。夫婦関係、ひいては子どもの教育のためにもメリットがあると言えるでしょう。

キャリア形成へのメリット

夫が育児に参加することによって、妻の負担が減ります。その分、妻は復職を早めることができるなど、育児によるキャリアロス期間を短縮できるでしょう。これは妻のキャリアを考える上で非常に重要です。

また一方、じつは男性社員にとっても育児休業を長く取れる組織ほど帰属意識や仕事の意欲が高まるというデータ14)も示されています。

キャリア形成やモチベーションの持ち方という視点で考えても、男性が育児休業を取得することのメリットは十分あるのです。

(企業側)男性の育児休業取得のメリット

画像: 画像:iStock.com/bee32

画像:iStock.com/bee32

助成金による金銭的な援助

育児休業に関する助成金には事業主に対する制度があります。男性の育休取得促進を目的とした「2021年度両立支援等助成金」の「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」です。

支給額は、会社の規模や取得した育児休業取得期間によって異なります。

〈図〉出生時両立支援コースの受給額

画像: 厚生労働省「2021年度両立支援等助成金のご案内」15)より引用

厚生労働省「2021年度両立支援等助成金のご案内」15)より引用

「出生時両立支援コース」は、男性従業員が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、育児休業や育児目的休暇を取得した男性従業員が生じた事業主に支給されます。

従業員が育児休業を取得しやすい職場づくりのための研修などの取り組みを行い、出生後8週間以内に連続して14日間(中小企業の場合は連続5日)以上の育児休業を取得させている、などの要件があります。

また、男性社員が育児休業を取得する前に個別面談を行うなど、育児休業の取得を後押しするような取り組みをしている場合、さらに「個別支援加算」が適用され、支給される金額が増えます。

Column「育児休業制度以外に『育児目的休暇制度』もある」

男性の中には、育児休業ではなく、勤め先で制度化している「育児目的休暇」を配偶者の出産に合わせて利用する人もいます。

この「育児目的休暇」というのは、小学校入学前までの子どもを養育する従業員が、配偶者の出産や行事に参加するために取得できる休暇です。制度導入は企業の努力義務であるため、制度化していない企業もあります。そのため、厚生労働省では、育児目的休暇を制度導入するよう事業主向けに「両立支援等助成金」で事業主を支援しています。

認定制度によるイメージアップ

また、企業側のメリットとして、男性の育休取得を推進することで、社外からのイメージアップを図れるという側面があります。

子育てサポート企業の証である「くるみん」のほか、「イクメン企業アワード」など、国や地方公共団体の認定制度の取得や表彰へ応募することで、社外からの評価が高まります。

これらの公的な認定制度のマークを採用のPRに使うことで、優秀な人材の採用・確保・定着へとつながるなど、企業側のメリットは多々あります。

じつは、いまや男子学生の5割以上が「育児休業を取って積極的に子育てしたい」と考えているようです16)。これは、大学で少子高齢化における日本の社会保障の問題やワークライフバランスについて学ぶことも影響しているでしょう。結婚へのリスクを感じている男子学生は多く、女子学生も自分が働き続けることを前提に将来を考えています。

そのような背景もあり、労働力人口が不足する日本では、企業側にとって労働環境をよくしておくことは優秀な人材を確保するための生命線でもあるのです。

国から企業に支払われる「両立支援等助成金」もメリットのひとつでしょう。ただそれ以上に、企業にとっては優秀な人材に対して採用時にアピールできることや、離職防止のメリットのほうが大きいのです。

こうした企業側のメリットを知っておけば、育休取得を企業に申請する際にも相談・説得しやすくなるのではないでしょうか。

Column「企業の取り組みと育休取得事例」

実際に男性が育休を取得した企業の取り組みと成果の一例を見ていきましょう。とある建設系企業の男性社員が初の育休を取ったケースをご紹介します。

彼は家庭の事情があり、物理的に育児休業を取らざるを得ない状態でした。第一子の誕生後から、子育てのために看護休暇は取っていましたが、第二子が生まれることとなり、本格的に育児をサポートする必要が出てきたのです。

同社は8割が男性という企業で、なかなか男性が育休取得を申請しにくい社風でした。

ところが経営者としては、官公庁が公募する「入札案件」に参加したいという背景があり、その一環として、「くるみん」の認定を受けたいと考えていました。そんな会社側からの働きかけで、この男性は4週間の育休を取ることができたのです。

その後、彼が育児休業に入るために、彼が受け持つ現場だけでなく、関係各所との連携が進むことに。結果、これまで意識していなかった別の現場との連携が生まれ、作業工程が結果として可視化され、改善がされるなど、会社にとっても生産性が上がる取り組みが生まれたのです。

まとめ

画像: 画像:iStock.com/Yagi-Studio

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長い人生、夫が育児参加するかどうかで家族の在り方は変わってきます。夫婦は世界で最小単位の組織と言っても過言ではありません。上手にチームビルディングして、家族という組織をよりよくしていくことが、現代の核家族には求められているのです。

育児のメリットには、仕事以外の人間関係ができることも挙げられます。それが結果的に人間としての幅を広げ、仕事にも生かされます。ぜひ本稿を参考にして制度を上手に活用し、よりよい家族関係を築いてください。

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