子どもを育てるには、教育費だけでなく、毎日の食費や日用品代などの生活費も必要です。「子ども1人に総額でいくら必要なの?」「毎月どのくらい準備すればいい?」と気になる人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ファイナンシャルプランナーの原絢子さん監修のもと、0歳から大学卒業までにかかる子育て費用の目安を、年齢や進路別にわかりやすく解説します。併せて、利用できる支援制度や教育費の準備方法も紹介しますので、子どもの将来に向けた資金計画にお役立てください。

この記事の監修者

画像: 【シミュレーション】子ども1人にかかるお金はいくら?0歳〜大学卒業までの教育費+生活費を解説

原 絢子(はら あやこ)

FPサテライト株式会社 所属ファイナンシャルプランナー。大学卒業後、翻訳・編集業務に従事。金融とは無縁のキャリアを積んできたが、結婚・出産を機にお金の知識を身につけることの大切さを実感。以来、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。自分の人生を自分でコントロールするためには、お金について学ぶことが必要との思いから、執筆・監修、セミナー講師などを通して、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。

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子どもにかかるお金は2種類!「教育費」と「生活費」

画像: 画像:iStock.com/years

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子どもを育てるうえで必要なお金は、大きく「教育費」と「生活費」の2つに分けられます。そこでこの記事では、この2つを合わせて「子育て費用」と呼びます。

まずは、それぞれにどのような費用が含まれるのかを確認していきましょう。

学校や習い事にかかる「教育費」

教育費とは、子どもの学びに関する費用です。具体的には、学校の授業料や入学金、教材費、修学旅行費などが含まれます。また、塾代のほか、スポーツや音楽、英会話などの習い事にかかる費用も含まれます。

なお、この記事では、保育園の保育料については、3歳以上児は幼児教育の一環として教育費に、3歳未満児は生活費に分類しています。

日々の生活や子育てにかかる「生活費」

生活費とは、子どもが毎日の生活を送るために必要な費用です。代表的なものには、食費や衣類・日用品代、医療費があります。このほか、おもちゃ代やレジャー費、おこづかいなど、子どもの生活や成長を支えるための支出も生活費に含まれます。

子育て費用の総額は?まずは全体像を確認

画像: 画像:iStock.com/mapo

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子ども1人を0歳から大学卒業まで育てるには、どのくらいのお金が必要なのでしょうか。

まずは、子育て費用の総額と、進路による違いを見ていきましょう。

【シミュレーション】子育て費用の総額

子育て費用の総額は、子どもの進路によって大きく異なります。

下表は、子育て費用の目安を幼稚園から大学まで進路別にシミュレーションしたものです。

〈表〉進路別の子育て費用総額シミュレーション

子育て費用(総額)生活費教育費
幼稚園から大学まですべて国公立3,465万円2,370万円1,095万円
高校まで公立、大学は私立(文系)3,620万円2,316万円1,304万円
中学校まで公立、高校・大学は私立(文系)3,794万円2,316万円1,478万円
小学校まで公立、中学校・高校・大学は私立(文系)4,098万円2,316万円1,782万円
幼稚園から大学まですべて私立(文系)4,975万円2,316万円2,659万円
※0歳~高校3年生の生活費は、国立成育医療研究センター「0歳~高校3年生の子育てにかかる年間費用の調査」1)
データをもとに算出。
0~2歳は子育て費用総額から「学校教育費」「学校外教育費」「学校外活動費」を、3歳~高校3年生は子育て費用総額から
「保育費」「学校教育費」「学校外教育費」「学校外活動費」を除いた金額。
※大学生の生活費は、日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査結果」2)のデータを元に算出。「大学学部(昼間部)」の
生活費の平均値を採用
※教育費は文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」3)と日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」4)
データをもとに算出

幼稚園から大学まですべて国公立に進学した場合と、すべて私立(大学は私立文系)に進学した場合では、総額に1,500万円以上の差があります。

進路によって必要な金額は大きく変わるため、将来の進路をある程度イメージしながら、早めに資金計画を立てておくと安心です。

なお、生活費が幼稚園から大学まですべて国公立を選択した場合が高くなっている理由としては、大学が国公立か私立かによって差が出ています。

〈表〉居住形態別学生数の割合(大学学部(昼間部))2)

区分自宅学寮下宿、アパート、その他
国立34.5%6.3%59.2%
公立40.3%3.8%55.8%
私立66%6%28%

国立(34.5%)や公立(40.3%)に比べて、私立大学は自宅生の割合が66.0%と約30ポイント高くなっています 2) 。自宅生は住居費・光熱費が生活費として計上されないため、自宅生の割合が高い私立大学は、設置者別の生活費平均が押し下げられると考えられます。

幼稚園〜大学までの教育費を公立・私立で比較!

子育て費用の総額に大きな差が生じる理由は、教育費の違いです。公立(国立)と私立では、教育費にどのくらいの差があるのでしょうか。下表で確認してみましょう。

〈表〉公立・私立別の教育費

公立(国立)私立
幼稚園(3年間)53万円104万円
小学校(6年間)220万円1,046万円
中学校(3年間)163万円467万円
高校(3年間)178万円352万円
大学(文系・4年間)481万円690万円
大学(理系・4年間)481万円822万円
※文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」と日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」 の
データをもとに作成

私立学校は全体的に教育費が高くなる傾向があります。なかでも小学校は、公立と私立で800万円以上の差があり、教育費全体に与える影響が非常に大きいことがわかります。

ひと目でわかる!0歳~大学卒業までの子育て費用の変化

子育て費用は、子どもの成長とともにどのように変化するのでしょうか。下図は、年齢・学年ごとの年間子育て費用の推移をまとめたものです。

〈図〉年齢・学年別の年間子育て費用(0歳~大学)

画像: ※0歳~高校3年生の年間子育て費用は、国立成育医療研究センター「0歳~高校3年生の子育てにかかる年間費用の調査」のデータをもとに作成 ※公立大・文理、私立大・文系、私立大・理系の年間子育て費用は、日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査結果」と日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」のデータをもとに作成。 調査対象・方法が異なるため、高校までの数値と大学の数値を直接比較することはできません

※0歳~高校3年生の年間子育て費用は、国立成育医療研究センター「0歳~高校3年生の子育てにかかる年間費用の調査」のデータをもとに作成
※公立大・文理、私立大・文系、私立大・理系の年間子育て費用は、日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査結果」と日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」のデータをもとに作成。
調査対象・方法が異なるため、高校までの数値と大学の数値を直接比較することはできません

子育て費用は、全体的に年齢が上がるにつれて増加する傾向があります。また、小学1年生、中学1年生、高校1年生といった進学のタイミングでは、制服や学用品、通学用品などを揃える必要があるため、前後の学年と比べて支出が増えています。

進学時はまとまった支出が発生しやすいため、あらかじめ家計で備えておくことが大切です。

【年齢・ステージ別】子ども1人にかかる子育て費用はどう変わる?0歳〜大学卒業までの支出

画像1: 画像:iStock.com/takasuu

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子育て費用は毎年同じようにかかるわけではありません。子どもの年齢やライフステージによって、必要になる費用や金額は大きく変わります。

「いつ、どのような支出が増えるのか」をあらかじめ把握しておくことで、無理のない資金計画を立てやすくなります。

未就学児・0〜2歳:年間100万円程度

【子育て費用の目安】年間100万円程度

0~2歳は、紙おむつやミルクなどの消耗品に加え、ベビーカーやベビーチェアなどのベビー用品の購入費がかかります。

また、育児休業や時短勤務によって世帯収入が減る家庭も少なくありません。保育園に入園すると保育料も発生するため、家計への負担を感じやすい時期です。認可保育園の保育料は世帯収入や自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

未就学児・3〜6歳: 年間100万円程度

【子育て費用の目安】年間100万円程度

3歳からは幼児教育・保育の無償化により、保育料の負担は軽減されます。ただし、「無償化=すべて無料」ではなく、給食費、教材費、行事費などは引き続き発生します。

また、この時期からスイミングやピアノ、英会話などの習い事を始める家庭も多く、教育費が少しずつ増え始めます。

小学生: 年間120万円程度

【子育て費用の目安】年間120万円程度

公立小学校なら学校教育費を比較的抑えることができます。ただしこの時期は、学童保育の利用料、習い事代、長期休みのイベント費用など、家庭によって支出に差が出やすくなります。

また、中学受験を考える場合は、小学校中学年頃から塾に通い始めるケースが多く、塾代だけで年間数十万円から100万円以上かかることもあります。中学受験を視野に入れている場合は、早めに教育費を準備しておくことが大切です。

中学生: 年間170万円程度

【子育て費用の目安】年間170万円程度

中学生になると、体の成長とともに食費が目に見えて増えてきます。また、部活動費やスマートフォンの通信費、おこづかい代が新たな支出として加わる家庭も増えます。

また、高校受験を控えて塾代が増えやすい時期でもあります。公立中学校で学校教育費は抑えられても、塾代が家計を圧迫するケースは少なくありません。

高校生: 年間210万円程度

【子育て費用の目安】年間210万円程度

高校生になると、行動範囲が広がり、通学のための交通費、スマートフォンの通信費、おこづかい代などが増えます。

また、大学受験をする場合は、塾や予備校の費用、模試代、受験料も積み重なります。オープンキャンパスや受験のための交通費も思いのほか家計を圧迫します。

大学生: 年間160万~340万円程度

【子育て費用の目安】年間160万~340万円程度

大学進学は、子育て費用のなかでも最も大きな支出が発生するタイミングです。入学時には、入学金や授業料などをまとめて納める必要があります。

また、大学進学後にかかる費用は、国公立か私立かに加え、実家から通うか一人暮らしをするかによっても大きく異なります。

一人暮らしの場合は、家賃や光熱費などの生活費に加え、入学時には家具・家電の購入費用や引っ越し費用も必要です。日本政策金融公庫の調査では、一人暮らしをする子どもへの年間の仕送り額は平均95万円、一人暮らしを始めるための費用は平均38万円となっています。

もらえるお金を確認しよう(支援金・支援制度一覧)

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子育てには大きな費用がかかりますが、その負担を軽減するために、国や自治体は様々な支援制度を設けています。

下表では、子どもの年齢・ライフステージごとに利用できる主な支援金や支援制度をまとめました。自治体や勤務先によっては独自の支援を受けられる場合もあります。利用できる制度がないか、確認してみましょう。

〈表〉年齢・ステージ別の子育て支援制度

年齢・ステージ別支援金・支援制度支給額・支援の内容注意点
未就学児・0〜2歳児童手当月額1万円(3歳未満は1万5,000円、第3子以降は3万円)を高校卒業まで支給5)2024年10月より所得制限なし
子ども医療費助成医療費の自己負担分を助成
  • 自治体によって対象年齢は異なるが、高校卒業まで助成する自治体が増えている
  • 自治体によっては所得制限や一部自己負担がある場合も
育児休業給付金育休開始後180日までは給与の67%、180日以降は50%会社員など雇用保険加入者が対象
出生時育児休業給付金給与の67%産後パパ育休の取得者が対象
出生後休業支援給付金給与の13%育児休業給付金や出生時育児休業給付金に上乗せして支給
育児時短就業給付金時短勤務中の給与の10%2歳未満の子どもを育てるために時短勤務をしている場合に支給
未就学児・3〜6歳幼児教育・保育の無償化幼稚園・保育所などの利用料が無償給食費や行事費など、無償にならない費用もある。また、無償化対象外の施設も
小学生給食無償化公立小学校の給食費が無償2026年4月にスタート。自治体によっては保護者負担が生じる場合も
修学援助制度入学準備金や学用品費などを援助経済要件等に基づく審査あり
中学生修学援助制度入学準備金や学用品費などを援助経済要件等に基づく審査あり
高校生高等学校等修学支援金従業料の実質無償化。公立は年間11万8,800円、私立は年間45万7,200円を上限に支援6)2026年4月より所得制限なし。自治体によっては上乗せがある場合も
高学生等奨学給付金従業料以外の教育費を支援。年間最大15万2,000円7)所得要件あり。2026年4月より対象世帯が拡大
大学生給付奨学金国公立は年間最大80万円、私立は年間最大91万円8)世帯年収や学習意欲などの要件あり
授業料等の減免国公立の場合、授業料は最大54万円、入学金は最大28万円。私立の場合、授業料は最大70万円、入学金は最大26万円8)世帯年収や学習意欲などの要件あり

支援金や支援制度の内容は、法改正などによって今後変更される可能性があります。最新情報はお住まいの自治体や各制度の公式サイトで確認しましょう。

今から始めるなら毎月いくら貯める?教育費準備の進め方

画像: 画像:iStock.com/Khanchit Khirisutchalual

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教育費を貯めたいと思っていても、具体的に毎月いくら積み立てればよいのかわからないという人は多いでしょう。

この章では、目標額の決め方と毎月の積立額の目安を紹介します。

目標額の決め方┃高校までの教育費は家計から。準備すべきは大学費用

幼稚園から大学まで、すべて公立に通った場合でも、教育費は約1,000万円かかります。ただし、この金額をすべて事前に準備する必要はありません。

高校までの教育費は毎月の家計から捻出するのが基本です。一般的には大学に進学しない場合、大学進学費用ほど大きな資金準備は必要ありませんが、専門学校や留学など進路によってはまとまった費用が発生する場合もあります。その時々の家計でやりくりしながら、進路に応じて必要な資金を見極めていきましょう。

一方で、大学に進学する場合は、まとまった資金が必要になります。国公立大学でも4年間で約450万円、私立大学ではさらに多くの費用がかかります。子どもの進路をある程度イメージしながら目標額を設定し、計画的に貯蓄を進めましょう。

毎月の積立額の目安┃「目標額÷準備できる月数」で計算

大学への進学を検討している場合は、目標額が決まったら、つぎに「毎月いくら積み立てるか」を計算しましょう。毎月の積立額は以下の計算式で求められます。

【計算式】

毎月の積立額=目標額÷準備できる月数

準備できる月数は、貯め始める時期によって大きく変わります。0歳から始めれば大学入学(18歳)までに216カ月ありますが、小学校入学(6歳)から始めると144カ月しかありません。

同じ目標額でも、始める時期が遅くなるほど毎月の負担は重くなります

下表は、毎月の積立額を「目標額÷準備できる月数」の計算式でシミュレーションしたものです。

〈表〉大学進学を前提とした場合の目標額別・毎月の積立額シミュレーション

目標額0歳から3歳から小学校入学から
300万円約1万4,000円約1万7,000円約2万円
500万円約2万3,000円約2万8,000円約3万5,000円
800万円約3万7,000円約4万4,000円約5万6,000円

貯め方のポイント┃児童手当は分けて管理。余裕があればNISAも検討

児童手当は生活費とは分けて管理し、教育費として積み立てておくと、大学進学時の大きな助けになります。高校卒業まで使わずに積み立てた場合、総額は約230万円です。

教育費は、積立定期預金や学資保険など、自動的に積み立てられる金融商品を活用すると、計画的に準備しやすくなります。

また、大学費用のように、使うまでに10年以上ある資金については、NISAを活用した長期の積立投資も選択肢の1つです。2027年1月からは「こどもNISA」の開始も予定されています。余裕資金がある場合は活用を検討してみるとよいでしょう。ただし、投資には元本割れのリスクがあるため、預貯金と組み合わせて準備するようにしましょう。

教育費の貯め方に関して詳しく知りたい人は、下記の記事で紹介していますので、併せてご覧ください。

【関連記事】教育費の具体的な貯め方について、詳しくはコチラ

焦らなくて大丈夫。今から一歩を踏み出して子どもの未来を広げよう

画像: 画像:iStock.com/hxyume

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子ども1人にかかる子育て費用は、進路によって3,500万〜5,000万円程度と大きく異なります。しかし、そのすべてを一度に準備する必要はありません。

子どもの成長に合わせて必要な費用を把握し、児童手当や各種支援制度も活用しながら、計画的に備えていくことが大切です。将来の進路を見据え、無理のない範囲で少しずつ準備を進めていきましょう。

資金計画に不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、ご家庭に合った準備方法を考えてみるのもよいでしょう。早めの備えが、子どもの将来の選択肢を広げることにつながります。

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