結論としては、社会保険のほうが保険料の自己負担額が低く、保障が手厚いです。この記事では、社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの岡 佳伸さん監修のもと、社会保険と国民健康保険の違いを解説します。
また、それぞれの保険への切り替え方法も紹介。この記事を読めば、社会保険と国民健康保険の特徴を十分に理解できるでしょう。
※この記事は2023年2月28日に公開した内容を最新情報に更新しています。
この記事の監修者
岡 佳伸(おか よしのぶ)
社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。
大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会(東京商工会議所練馬支部、中央支部、公益社団法人東京ビルメンテナンス協会)講師および各種WEB記事執筆。日経新聞、読売新聞、女性セブンなどに取材記事掲載のほか、NHK「あさイチ」に専門家ゲストとしても出演(2020年12月21日、2021年3月10日)。
日本の健康保険制度のしくみ
そもそも健康保険とは、病気やケガの治療にかかる医療費の自己負担を減らすことができる公的な医療保険制度です。
日本の公的医療保険制度は「国民皆保険制度」といい、原則として全国民が健康保険に加入することが義務付けられています。
地域や職業、勤務先、年齢などによって加入する健康保険が異なり、主には会社員や公務員が加入する「社会保険」、個人事業主やフリーランスなどの自営業者やフリーランスが加入する「国民健康保険」、高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」などがあります。
いずれも加入者が支払う保険料を主な財源とし、必要とする人が医療を受けられることを目的とした制度です。健康保険料の金額は、年齢や収入により異なりますが、医療費の自己負担割合は、基本的に以下のとおりです。
〈表〉健康保険加入者の医療費負担割合1)2)
年齢 | 負担割合 |
---|---|
6歳未満(義務教育就学前) | 2割 |
70歳未満 | 3割 |
70〜74歳 | 2割(現役並み所得者は3割) |
75歳以上 | 1割(一定以上所得のある人は2割、現役並み所得者は3割) |
健康保険の種類
前述のとおり健康保険は大きく3種類に分けられます。各健康保険の主な種類と加入対象者を表にまとめました。
〈表〉健康保険の種類と主な加入対象者
種類 | 主な加入対象者 | |
---|---|---|
社会保険(健康保険) | 協会けんぽ | 中小企業の従業員とその扶養家族 |
組合健保 (組合管掌健康保険) | 大企業の従業員とその扶養家族 | |
共済組合 | 公務員や私立学校の教職員とその扶養家族 | |
国民健康保険 | 市町村国保 | その地域(特別区を含む)に住む社会保険加入者および、国保組合加入者以外の人 |
国保組合 (国民健康保険組合) | 個人事業所を対象に、同種の事業や業務に従事する人とその家族 | |
後期高齢者医療制度 | 75歳以上の人、または65歳以上75歳未満で一定の障害を抱える人 |
続いて、社会保険と国民健康保険についてそれぞれの特徴や違いを解説します。
社会保険(健康保険)
社会保険は、会社員、公務員、教職員とその扶養家族が加入できる公的医療保険制度です。被用者保険や健康保険と呼ぶこともあります。この場合の保険者(保険を提供する側)は、会社や団体となります。社会保険はさらに、勤め先によって以下の3種類に分類されます。
〈表〉社会保険(健康保険)の種類
種類 | 運営元 | 主な加入対象者 | 特徴 |
---|---|---|---|
協会けんぽ | 全国健康保険協会 | 中小企業の従業員とその扶養家族 | 日本最大の社会保険(健康保険)で、多くの中小企業が加入している |
組合健保 (組合管掌健康保険) | 企業の健康保険組合 | 大企業の従業員とその扶養家族 | 常に700人以上の従業員がいる大企業や各種事業者団体のみが独自に設立できる保険組合 |
共済組合 | 職種や地域ごとの共済組合 | 公務員や私立学校の教職員とその扶養家族 | 国家・地方公務員や私立学校の職員などが加入する組合。「被保険者」を「組合員」、「保険料」を「掛金」と呼ぶ |
社会保険には、扶養という考え方があります。社会保険の加入者に生計を維持されている家族は、扶養に入ることで追加の保険料なしで、加入者と同程度の保障を受けることが可能です(一部の給付を除く)。
社会保険の被扶養者になれる条件は、年間所得130万円未満(60歳以上または障害厚生年金該当なら180万円未満)です。扶養から外れる家族は、個別でほかの健康保険に加入しなければなりません3)。
なお、社会保険の扶養が外れる条件やその際の手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。該当する人は併せてご覧ください。
参考資料
国民健康保険
個人事業主やフリーランスなどの自営業者、年金生活者、非正規雇用者などと、その家族が加入する医療保険制度です。社会保険や後期高齢者医療制度に加入していないすべての人が対象となります。この場合の保険者は自治体または特定の組合となります。国民健康保険は「市町村国保」と「国保組合」に分類されます。
〈表〉国民健康保険の種類4)
種類 | 運営元 | 主な加入対象者 | 特徴 |
---|---|---|---|
市町村国保 | 市町村(特別区を含む)と都道府県 | その地域に住む社会保険加入者および、国保組合加入者以外の人 | 都道府県と市町村(特別区を含む)が運営している |
国保組合 (国民健康保険組合) | 職種や地域ごとの国保組合 | 個人事業所を対象に、同種の事業や業務に従事する人とその家族 | 市町村国保よりも保険料の負担額が少なく、保障内容が手厚い場合が多い |
このうち、国保組合はさらに以下の種類などに分かれます。
- 医師国保:開業医が加入できる
- 全国土木建築国保:土木建築業者が加入できる
- 文芸美術国保:文芸・美術・著作活動をしている人が加入できる
なお、国民健康保険には扶養という考え方がありません。そのため、収入がない配偶者や子どもであっても、家族それぞれが国民健康保険に加入する必要があり、保険料がかかります。ただし、令和4年の法改正により、低所得者世帯の子どもに対しては保険料が軽減される措置が導入されました5)。
健康保険の種類については以下の記事で詳しく解説しているため、興味がある人は併せてご覧ください。
社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い
75歳未満の人が対象となる社会保険と国民健康保険では、そもそも運営元が異なります。社会保険の運営元は、全国健康保険協会や健康保険組合、共済組合です。国民健康保険は、市町村(特別区を含む)が運営元になっています。
また、加入対象者や保険料の計算方法、扶養の有無、受けられる給付なども異なります。主な違いを以下にまとめました5)6)。
〈表〉社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い
社会保険(健康保険) | 国民健康保険 | |
---|---|---|
対象者 | 会社員や公務員とその扶養家族など | 個人事業主やフリーランスなどの自営業者、年金生活者など |
医療費の自己負担割合 | 未就学児:2割負担 | |
6歳以上(義務教育就学後)69歳以下:3割負担 | ||
70歳以上74歳以下:2割負担(現役並み所得者は3割負担) | ||
高額療養費制度 | あり | |
出産育児一時金 | あり | |
葬祭費(埋葬料) | あり | |
家族埋葬料 | あり | なし |
傷病手当金 | あり | なし |
出産手当金 | あり | なし |
扶養 | あり | なし |
保険料の支払い | 加入者と会社で半分ずつ負担 | 加入者が全額負担 |
つぎの項目では、社会保険と国民健康保険について、詳しく確認していきます。
社会保険(健康保険)と国民健康保険の加入対象者の違い
まず社会保険と国民健康保険では、加入対象者が異なります。国民健康保険の場合は、個人事業主やフリーランスなどの自営業者、年金生活者、非正規雇用者などと、その家族が加入対象者です。一方、社会保険の場合は、強制適用事業所に雇用されている正社員です。
強制適用事業所とは、事業主や労働者の意思にかかわらず、社会保険に加入する義務のある事業所のことです。たとえば、株式会社などの法人の事業所や、従業員が常時5人以上いる対象業種の個人事業主などが該当します。詳しくは、日本年金機構のウェブサイトで確認してみてください。
また、パート・アルバイトの人でも勤務先と継続的に使用関係にある場合は、社会保険の被保険者となります。そのほか、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ勤務先で同様の業務に従事している労働者(正社員など)の3/4ある人も対象です。
なお、短時間労働者も以下の条件に当てはまる場合、社会保険の加入対象者となります。
〈表〉社会保険(健康保険)の加入条件(短時間労働者)7)
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額の賃金が8万8,000円以上
- 2カ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない(夜間学生、通信制は除く)
- 従業員数101人以上の事業所(特定適用事業所)で働いている(※)
※:2024年10月から従業員数51人以上の事業所に変わります
参考資料
社会保険(健康保険)と国民健康保険の保険料の計算方法の違い
社会保険と国民健康保険では保険料の計算方法、さらに算出の基準も異なります。それぞれ確認していきましょう。
●社会保険(健康保険)の保険料の計算方法
社会保険の保険料は、以下の計算式で算出します。
標準報酬月額×保険料率=社会保険料
標準報酬月額とは、月々の給与を切りのいい金額で区分した報酬額のことです。算出された金額に応じて、9月から翌8月までの保険料が決定します。
保険料率は、各都道府県によりますが10%前後です8)。社会保険は「労使折半」なので、保険料の半分は会社が負担します。なお、40歳になった月からは、上記の保険料に介護保険料が加算されるようになります。
●国民健康保険の保険料の計算方法
国民健康保険の保険料の計算式は以下のとおりです9)。
医療分保険料+支援金分保険料+介護分保険料(※)=国民健康保険料
※:40歳以上の人が対象となります
各保険料は、それぞれ以下の計算式を組み合わせて算出します。
〈表〉国民健康保険の算出に関わる各保険料の計算式
均等割 | 世帯の加入人数×均等割額 |
---|---|
平等割 | 各市町村(特別区を含む)で定められた金額×世帯人数 |
所得割 | 所得額×料率 |
資産割 | 固定資産税額×料率 |
組み合わせ方は各市町村(特別区を含む)で異なります。たとえば、東京都新宿区では均等割と所得割で計算しますが、北海道札幌市では、均等割と平等割、所得割での計算です10)11)。
また、社会保険が会社と保険料を半額ずつ支払うのに対し、国民健康保険は保険料を全額支払わなければならないのも違いのひとつです。
社会保険(健康保険)と国民健康保険の扶養の違い
社会保険と国民健康保険では、扶養の考え方も違います。社会保険の場合は前述したように、社会保険の加入者に生計を維持されている家族は、扶養に入ることができます。扶養者の人数にかかわらず、保険料は一定です。つまり、配偶者や子どもが扶養に入っても被扶養者が支払う金額は同じです。被扶養者になれるのは、扶養者やつぎの条件に該当する人です。
〈表〉社会保険(健康保険)の被扶養者の条件
- 扶養者の配偶者、子ども、孫、兄弟姉妹、直系尊属
- 同居している3親等以内の親族
- 事実婚の配偶者の子どもや両親
- 亡くなった事実婚の配偶者の子どもや両親
ただし、被扶養者になるには収入に条件があります。たとえば、被扶養者の年間所得130万円以上(60歳以上または障害厚生年金該当者は180万円未満)になると扶養に入ることができません3)。社会保険の扶養に入る条件については、以下の記事で詳しく解説しています。該当する人は併せてご覧ください。
一方、国民健康保険の場合は、扶養という考え方がありません。各個人が加入する必要があり、保険料も各個人の所得などに応じて算出し、支払うことになります。
社会保険(健康保険)と国民健康保険の給付制度の違い
社会保険と国民健康保険では、給付制度などにも違いがあります。たとえば、社会保険には、傷病手当金や出産手当金があります。傷病手当金は病気やケガなどにより働けない期間に支給される給付で、出産手当金は出産により働けない期間に支給される給付です。
国民健康保険には傷病手当金や出産手当金がありません。
ただし、医療費の自己負担割合、高額療養費制度、出産育児一時金などに違いはありません。
高額療養費制度とは、高額な医療費に上限を設ける制度です。1カ月間(1日から末日まで)に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合、超えた分が払い戻されます。
出産育児一時金は、健康保険の加入者とその被扶養者が出産した時、一児につき一律50万円が支払われる制度です12)。
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社会保険(健康保険)と国民健康保険の切り替え
ここからは、社会保険と国民健康保険の切り替えについて、以下の2パターンに分けて解説します。
健康保険の切り替えには申請期間が定められているため、忘れずに手続きしましょう。
社会保険(健康保険)から国民健康保険への切り替え
社会保険から国民健康保険へ切り替える際の必要書類や手続きの場所は、以下のとおりです。
〈表〉社会保険(健康保険)から国民健康保険への切り替えの要件
必要書類 | ・健康保険喪失証明書 ・退職が確認できる書類(離職票・退職証明書など) ・本人確認書類 ・個人番号確認書類 |
---|---|
手続きの場所 | ・各自治体の役所、役場 ・近くの年金事務所 |
申請期限 | ・原則14日以内 |
必要書類は自治体によって変わるので、ウェブサイトなどで確認しましょう。申請期限は社会保険を脱退した翌日から原則14日以内ですが、14日を過ぎても申請は可能です。その場合、遡って国民健康保険料を支払わなければなりません。
社会保険から国民健康保険への切り替えや、切り替え時に発生する健康保険の空白期間の取り扱いは、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】国保の切り替え時の注意点について詳しくはコチラ
【関連記事】健康保険切り替え時の空白期間について詳しくはコチラ
なお、社会保険は会社を退職したあとも任意継続が可能です。任意継続は最大2年間で、扶養も引き継がれます。ただし、会社と折半していた保険料は全額自分で支払わなければなりません。
任意保険の継続については以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい人は併せてご覧ください。
【関連記事】社会保険の任意継続のメリットについて、詳しくはコチラ
国民健康保険から社会保険(健康保険)への切り替え
国民健康保険から社会保険へ切り替える際の社会保険への加入手続きは、勤務先の会社が行います。被保険者が行うのは「国保脱退の手続き」です。脱退手続きは社会保険へ加入した翌日から14日以内に行います。必要書類や手続きの場所は、以下のとおりです。
〈表〉国民健康保険から社会保険(健康保険)への切り替えの要件
必要書類 | ・印鑑 ・国民健康保険の保険証 ・加入した職場の健康保険証(ない場合は資格取得日がわかるもの) ・個人番号確認書類 |
---|---|
手続きの場所 | ・各自治体の役所、役場 |
申請期限 | ・原則14日以内 |
ただし、必要書類は自治体によって変わるので、ウェブサイトなどで確認するようにしましょう。
社会保険(健康保険)と国民健康保険の違いに関するよくある質問
最後に社会保険と国民健康保険に関するよくある質問について解説します。
Q.社会保険(健康保険)と国民健康保険は保険証が違う?
保険証は同じですが、社会保険と国民健康保険で記載されている情報が違います。社会保険であれば保険者の欄、国民健康保険であれば左上の種別の欄を確認すれば、加入している健康保険の種類が記載されています。そのほかの違いについては、以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい人は併せてご覧ください。
【関連記事】【画像で解説】保険証の見方について、詳しくはコチラ
Q.社会保険(健康保険)と国民健康保険ではどちらがお得?安い?
会社を退職し、社会保険を任意継続したほうがいいか、国民健康保険に切り替えたほうがいいか、迷われる人もいるでしょう。結論からいうと、社会保険のほうがお得になりやすい傾向にあります。理由は、社会保険の保険料は労使折半の上に被扶養者分も含まれているからです。社会保険の保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けることで決まり、その金額を折半した金額が自己負担額となります。一方、国民健康保険は、前年の所得をもとに保険料が算出されます。
たとえば、40歳未満で額面給与が40万円だった人の場合、任意継続の保険料は以下のとおりです。今回は東京都江戸川区在住で月収が40万円の場合を想定し、毎月の保険料の支払いモデルケースを以下にまとめました。なお、扶養家族の有無や住んでいる地域などによって保険料は異なるため、あくまで目安としてご覧ください。
〈表〉月収40万円の30歳男性の場合13)14)15)
項目 | 内容 |
---|---|
社会保険(健康保険) ※任意継続の場合 | 30万円(標準報酬月額上限)(※1)×10%(協会けんぽ令和5年度保険料率)=3万円(保険料) |
国民健康保険 | ①給与所得を算出する 480万円(年間給与収入)−140万円(給与所得控除)=340万円(給与所得) ②所得割額を算出する 297万円(総所得金額)(※2)×8%=23万7,600円(医療分所得割額) 297万円(総所得金額)(※2)×2.76%=8万1,972円(後期高齢者支援金分所得割額) 23万7,600円+8万1,972円=31万9,572円(所得割額) ③均等割額を算出する 4万7,100円×1(加入者数)=4万7,100円(医療分均等割額) 1万6,200円×1(加入者数)=1万6,200円(後期高齢者支援金分均等割額) 4万7,100円+1万6,200円=6万3,300円(均等割額) ④年間保険料を算出する 31万9,572円(所得割額)+6万3,300円(均等割額)=38万2,872円(年間保険料) ⑤年間保険料を12カ月で割り、月額を算出する 38万2,872円(年間保険料)÷12=3万1,906円(保険料) |
上記のモデルケースを見ると、健康保険の任意継続保険料は国民健康保険よりも安くなります。
また、扶養家族がいる場合には社会保険のほうがメリットを感じられます。社会保険では、被保険者のみが保険料を支払い、扶養家族分の保険料は発生しません。この意味でも、家族全員に保険料がかかる国民健康保険と比較すると保険料を抑えられるでしょう。
家族全員分を含めてシミュレーションし、メリットのあるほうを選びましょう。
Q.パート・アルバイトの場合は社会保険(健康保険)と国民健康保険、どちらがお得?
パート・アルバイトの場合、社会保険に加入する条件は年収が130万円以上(条件によっては106万円以上)になります。この条件をもとに、東京都江戸川区在住で月収が9万円の場合を想定し、毎月の保険料の支払いモデルケースを以下にまとめました。なお、住んでいる地域などによって保険料は異なるため、あくまで目安としてご覧ください。
〈表〉月収9万円のパート30歳女性の場合13)14)15)
項目 | 内容 |
---|---|
社会保険(健康保険) | 8万8,000円(標準報酬月額)×10%(協会けんぽ令和5年度保険料率)÷2(労使折半)=4,400円(保険料) |
国民健康保険 | ①給与所得を算出する 108万(年間給与収入)−55万円(給与所得控除)=53万円(給与所得) ②所得割額を算出する 10万円(総所得金額)(※)×8%=8,000円(医療分所得割額) 10万円(総所得金額)(※)×2.76%=2,760円(後期高齢者支援金分所得割額) 8,000円+2,760円=1万760円(所得割額) ③均等割額を算出する 4万7,100円×1(加入者数)=4万7,100円(医療分均等割額) 1万6,200円×1(加入者数)=1万6,200円(後期高齢者支援金分均等割額) 4万7,100円+1万6,200円=6万3,300円(均等割額) ④年間保険料を算出する 1万760円(所得割額)+6万3,300円(均等割額)=7万4,060円(年間保険料) ⑤年間保険料を12カ月で割り、月額を算出する 7万4,060円(年間保険料)÷12=(保険料)=6,171円 |
上記のモデルケースでは、社会保険の保険料は国民健康保険よりも低くなりました。つまり、社会保険のほうがメリットを感じやすい傾向にあるといえるでしょう。
Q.社会保険(健康保険)と国民健康保険を重複して支払ってしまった場合、返金される?
社会保険と国民健康保険を重複して支払ってしまっても、きちんと手続きを行えば返金されます。
たとえば、就職して国民健康保険から社会保険に切り替わる人が国民健康保険の前納をしていた場合は、加入していた市町村(特別区を含む)で国民健康保険から社会保険の切り替え手続きを行えば各市町村(特別区を含む)から還付通知書が届きます。案内に沿って手続きを行えば、重複した国民健康保険の保険料が還付されます。
社会保険(健康保険)と国民健康保険の違いを把握しておこう
社会保険と国民健康保険では、加入対象者や保険料の算出方法、受けられる給付などが異なります。
転職や退職などでそれぞれの切り替えが必要になった際には、違いを把握した上で手続きをするようにしましょう。