自分自身にお金と時間を投資する「自己投資」。漠然と必要性を感じていても、何から始めたらいいのかわからない人は多いのではないでしょうか。この記事では、ファイナンシャルプランナー兼キャリアコンサルタントの氏家祥美さん監修のもと、20代におすすめの自己投資の方法や、何をすればどのように将来へと活かせるのかを解説します。

20代こそ自己投資が必要な理由

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そもそもなぜ、20代に自己投資が必要なのでしょうか。

最近は「あまりお金を使わずに貯金をしたい」という若者が増えているようです。もちろん、先行き不透明な未来に向けて手を打っておくことは大事ですが、20代から必要以上にお金を貯め込むのはおすすめできません。貯金は20代以降でもできますが、「お金を稼ぐ力」を作るのは20代が適齢期だからです。

「人生100年時代」という言葉の通り、健康寿命が長くなったぶん、これからの時代は生涯にわたって何らかの仕事をしていくことが予想されます。

人生の充実度を高めるためにも、選択肢の多い20代のうちに自己投資をして好きな仕事を見つけたり、仕事のスキルを身につけて生産性を高めたりすることが大切なのです。

たとえばパソコンスキルを身につければ、これから幾度となく行う書類作成の時間が短くなり、生涯にわたる生産性の向上が見込めます。さらに、部下を指導する立場になると、そのスキルを部下に教えることで、チーム全体の業務の効率を上げることができます。

このように、20代でしっかりと自己投資をしておくことで、仕事人として脂の乗る30代以降の仕事環境が変わるのです。また、こうして自己投資の成果を発揮していけば、投資したお金もしっかりと回収できるでしょう。

「正しい自己投資」とは?

画像: 画像:iStock.com/tadamichi

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一口に「自己投資」と言っても方法は様々で、中には身にならないものもあるかもしれません。果たして正しい自己投資とは、どのようなものなのでしょうか。

20代で「自己投資」に励む上で大切なのは、自分のなりたい姿をイメージすることです。

たとえば、あんな上司になりたい、海外で活躍したい、一流の営業力を身につけたい、起業して独立したい…。手探りでも構わないので、長く付き合っていけるような好きな仕事や、なりたい理想像を見つけましょう。これによりその後のキャリアでやるべきことも明確化されます。

20代の自己投資では、多少の失敗はつきものです。トライ&エラーを繰り返して、最終的に「これだ!」というものを見つければいいのです。失敗を恐れて何もしない方が、大きな機会損失になります。業界を思い切って変えるような転職も、20代ならまだ可能です。リスクを恐れず、様々な分野に挑戦してみてください。

なりたい理想像を見つけるコツもあります。会社の先輩や尊敬する有名人など、自分の心に響く人を思い浮かべてみてください。そして、「この人に惹かれるのはなぜだろう?」と、その人のどういった部分が自分の心の琴線に触れているのか掘り下げていきます。すると、徐々に自分が魅力に感じるものが具体化され、理想像も見えてきます。その上で、30代までに「この道に進みたい」という方向性を決められるようにしましょう。

「自己投資」の種類

画像: 画像:iStock.com/Farknot_Architect

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「自己投資」の方法は多岐にわたります。ここではそれらを整理し、どのような自己投資の種類があるのかを紹介します。

(1)幅広く役立つスキルの習得

自己投資として有益な行為のひとつは、「幅広く役立つスキルを身につけること」です。たとえば、英会話やパソコンスキル、会計の知識などは、業種を問わずに役立ちますよね。時代に左右されないことから一生もののスキルになりやすく、投資した時間が無駄にならないのがメリットです。

なんとなく自己投資をしたいけれど、目指したい分野や身につけたい技能が定まっていない人は、ここからスタートしてはいかがでしょうか。

(2)専門的なスキルや資格の習得

(1)とは逆で、仕事に直結する専門的なスキルや資格を身につけるのもひとつの手です。例えば、医師や看護師のように、専門資格を持たなければその仕事につけない資格を「業務独占資格」といいます。ほかにも、弁護士や税理士、美容師、社労士、行政書士などの資格が当てはまります。

就職後だと、これらの資格取得はハードルが高く感じるかもしれませんが、意外と社会人を経験してから学び直しをする人は多いものです。

これだ!という分野が見つかったら、思い切って難関資格にチャレンジし、ワンランク上の人材を目指すのもおすすめです。

(3)差異化に役立つ「プラスアルファとなる資格」の取得

業務独占資格ほど難易度が高くなくても、自分のキャリアにおいて、他者との差異化に繋がるような資格を取るのは有効です。たとえば、ファイナンシャルプランナーの場合、FP資格だけでなく、相続に関する資格も持っていれば、年配の方からの相談が多くなり、仕事の幅が広がります。

このように、本業とのシナジー効果のある資格を取得することで、仕事の幅が広がったり、相手の印象に強く残るアピールポイントになったりします。

(4)趣味やプライベートへの投資

スポーツや料理、食、音楽、アートなど、好きな趣味に投資するのも選択肢のひとつです。一見すると仕事に繋がることはなさそうですが、取引先と趣味の話で意気投合して商談が成功するなど、意外なところで役立つケースも少なくありません。

また、現代は仕事とプライベートの境界線がなくなりつつあります。趣味で築いた人脈を通じて、ビジネスが生まれることもあるでしょう。

20代におすすめの自己投資8選

では、具体的にどのような自己投資に取り組んだら良いのでしょうか。ここではおすすめの自己投資の方法を8つ紹介します。

(1)英会話を学ぶ

画像: 画像:iStock.com/metamorworks

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グローバル化が進んだ現在、どの業界でも役立つスキルの代表格が英会話です。

特におすすめなのは、ビデオ通話などを活用して定期的にレッスンを受講できるオンライン英会話です。サービスによっては毎日レッスンを受けることも可能なので、英語に触れる回数を増やして苦手意識を克服したり、英語でのコミュケーション力を高めたりするのに役立つでしょう。月額4,500円ほどの手頃な価格から始められるものもあります。

一方で、英語を使って上場企業の海外部門などで活躍したい人は、単に「会話力を向上させること」だけではなく、スコアを示すことが重要になります。就職や転職を有利にしたいなら、TOEICで700点以上は欲しいところです。

TOEIC600点まではオンライン英会話で伸ばし、そこからは短期集中でTOEIC対策講座に通いながら過去問で得点を伸ばすなど、段階的に英語力を高めてみてはいかがでしょうか。

(2)パソコンスキルを学ぶ

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どんな人にも役立つという意味では、パソコンスキルの習得も間違いのない自己投資です。

WordやExcelといったOfficeソフトの操作などを20代のうちにマスターしておくと、その後の長いキャリアでの生産性に大きく差がつきます。パソコンでの業務が多い人は、すぐさま作業効率がアップするでしょう。

代表的な資格としては、Officeソフトの国際資格である「Microsoft Office Specialist」がありますが、必ずしも資格取得を目指す必要はありません。

基本的にはスキマ時間などを活用し、独学で十分に勉強できます。パソコンスキルに関する良質な教材は豊富ですし、わからないことはインターネットで検索すれば、ほとんどの場合は答えが見つかるからです。

扱えるようになりたいソフトをダウンロードし、作業を重ねて感覚的に操作を身につけてから、テキストに目を通して体系的に理解を深めるのもひとつの手です。苦手意識が強い場合は、パソコン教室に3カ月くらい通ってパソコンに慣れることからスタートしましょう。

(3)会計の知識を学ぶ

画像: 画像:iStock.com/atiatiati

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ビジネスパーソンとしてキャリアアップを目指すなら、会計の知識や決算書の読み方は、ぜひ身につけてほしいスキルです。

たとえば、これから役職が上がって大きな意思決定を任された時に、取引先の決算書からお金の流れを読み取ったり、負債を抱えていないか把握できたりすることは、正しい判断をする上で強みになります。営業職の人なら、目の前の事象だけでなく、俯瞰的な視点から顧客に鋭い提案をできるようになるでしょう。

経理の仕事を目指すのでなければ、簿記などの帳簿スキルまでは必要ありません。細かいお金の出入りではなく、大きなお金の流れを掴めるようになることを目標にしましょう。このスキルを身につければ、言われたことをこなすだけの作業人ではなく、能動的にビジネスを動かしていく人材に近づけるはずです。

(4)美容やファッションの感性・スキルを磨く

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美容やファッションも有効な自己投資のひとつです。身だしなみは生涯にわたって印象を左右するものなので、自分に似合うものを早めに知っておくと、その後の人生で有利に働きます。

おすすめなのは、プロのファッションコーディネーターなどに依頼し、自分に似合う服装やカラー、メイクなどを教えてもらうことです。実際に洋服を選んでもらうと予算も高額になりますが、診断だけなら1回1万円前後で可能なことも多いので、一生役立つことを考えればコストパフォーマンスは高いです。

(5)プログラミングの知識・スキルを学ぶ

画像: 画像:iStock.com/wutwhanfoto

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あらゆる業界でIT利用が進んでいる現在、プログラミング学習は自己投資のトレンドになっています。

社会的な需要の高いスキルなので、本格的に勉強してエンジニアを目指すのも良いでしょう。ただし、決してプロになるのは簡単ではありません。月額10万円ほどのスクールに通って数カ月間みっちり勉強し、ようやく基礎を身につけられるのが実情です。

そこでおすすめなのが、エンジニアへの転職を見据えるのではなく、テクノロジーの構造を理解するためにプログラミングを勉強することです。特にウェブ系の仕事をしている人は、自分の業務への理解度が深まり、よりマクロな視点で自社のビジネスを考えられるようになります。

また、現在のテクノロジー的に可能なこと・不可能なことを具体的にイメージできれば、新しいビジネスチャンスを発見することにも役立ちます。起業家を目指す人にも有用なスキルと言えるでしょう。

(6)業務独占資格の取得を目指す

画像: 画像:iStock.com/taka4332

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明確に進みたい道が決まっている人は、思い切って看護師や介護福祉士、助産師や美容師といった業務独占資格、名称独占資格に挑戦してみるのも手です。

長期にわたる実習や訓練が必要なこれらの資格は、ペーパーテストだけでは取得できません。それ相応のお金と時間も費やして本気で取り組まないといけないので、あらかじめ「自分はその仕事に就いて何をしたいのか」を突き詰めることが大切です。

資格の取得には、雇用保険の「専門実践教育訓練給付金」1)が利用できる可能性があります。本気で目指したい人は、最大で受講料の7割が戻ってくるお得な制度を活用して、取り組んでみてはいかがでしょう。

(7)「プラスアルファとなる資格」の取得を目指す

画像: 画像:iStock.com/turk_stock_photographer

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同業者の中での差別化に繋がる「プラスアルファとなる資格」を取るなら、自分の仕事と近い分野の資格取得が目指しやすいでしょう。

たとえば、美容師なら同じ美容系であるメイクの資格も持っていると、ヘアカット以外にも仕事の幅が広がりますよね。総務の仕事をしている人で、社会保険労務士資格を目指す人もいます。

日々の仕事を理解するためにとった資格が会社の仕事に役に立ち、自信をつけていずれは独立を目指すというケースもあるのです。

(8)趣味のネットワークを広げる

画像: 画像:iStock.com/RossHelen

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趣味に自己投資する場合、その人の好きなものならジャンルは一切問いません。ただし、おすすめしたい趣味の深め方があります。それは、趣味のコミュニティに参加したり、FacebookやInstagramなどを使って趣味について発信したりすることです。

趣味を通じて得られるのは、損得を越えて付き合える“良質な人とのつながり”です。仕事や家庭とは異なる第3のフィールドを持つことは、自分の視野を広げてくれるのはもちろんのこと、巡り巡って仕事に繋がるケースもあります。

SNSで発信をしていると、リアルな趣味の場で知り合った人と、その後も交流が続けやすくなります。オープンにシェアしていくことが、これからの時代を乗りこなすカギになるのではないでしょうか。

(番外)通信制大学に通い、大卒資格を取得する

画像: 画像:iStock.com/west

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大学に進学せずに就職した人の中には、年齢を重ねてから大学に行きたくなったり、転職や昇給、資格試験の際に大卒資格が必要になったりするケースも多いものです。そんな人は、働きながら学べる通信制大学を検討してみてはいかがでしょうか。

ほとんどの場合は難しい学力試験もなく、学費も全日制大学の4分の1程度に収まり、しっかりと大卒資格を取得できます。

自己投資が無駄になる3つのパターン

画像: 画像:iStock.com/Serdarbayraktar

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自己投資をしようと行動した人の中には、「無駄になった」と後悔してしまう人がいます。このような後悔を感じることが少なくなるように、自己投資が無駄になる3つのパターンを紹介しましょう。

(1)異業種交流会に参加する

人脈構築を目的として、異業種交流会に参加するのはあまりおすすめできません。ビジネスのターゲットを探して参加する人など、いろいろな欲望を持った人が集まっていることが多く、良質な人脈を作るのは難しいからです。

人脈は“量より質”です。異業種交流会に参加するのが一概に悪いとは言えませんが、実直な日々の仕事ぶりを見てもらった方が、ほんとうの信頼が築けるのではないでしょうか。また、仕事と距離を置いた趣味のコミュニティなどの方が、利害関係のない本当の人脈ができるということもあります。

(2)難易度の低い資格を手当たり次第に取得する

難易度の低い資格を手当たり次第に取得する人もいますが、これも無駄になりやすいパターンのひとつです。取得した資格の数は多くても知識や技能が中途半端になることが多く、強みがわからない人材になってしまいます。

資格取得を目指す際には、その資格を取る理由をしっかりと考えましょう。そこがクリアになっていれば、仮に試験で落ちてしまっても経験は無駄にならないものです。

(3)難関資格をネームバリューだけで受験する

せっかく難関資格を取得しても、それを無駄にする人もいます。たとえば、2年くらい勉強して宅地建物取引士(宅建)の資格を取ったのに、いざ仕事を探す段階になって「土日は絶対に休みたいから、適した求人が見つからない」と、希望するプライベートと実際の業界の実態が折り合わないケースです。

いわば、資格のネームバリューに飛びついて努力したものの、その先の働く姿をイメージできていなかったパターンですね。

膨大な勉強時間や、何十万円もの学習費用を注ぎ込む前に、可能ならその業界で働いている人に会って話を聞いてみてください。会うことが難しければ、業界の人の書籍やブログを読み込みましょう。仕事のやりがいや大変さを理解し、「それでも目指したい仕事だ」と確信してから勉強に臨むことが大切です。

自己投資は「人生の新しい扉」を開くパスポート

画像: 画像:iStock.com/Alongkorn Paingam

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ここまで自己投資について解説してきましたが、20代の皆さんには小さくまとまらず、まずは様々な分野に挑戦してほしいと思います。自己投資は「人生の新しい扉」を開いてくれるパスポートになるからです。

たとえば、私も金融とは無関係の仕事をしていましたが、ファイナンシャルプランナーの資格を取ったことで、金融機関に勤めている人たちが仲間になりました。キャリアコンサルタントの資格を取ったことで、企業の人事部やハローワークに勤めている人たちが仲間になりました。そのたびに知らなかった世界が広がり、そこで受けた刺激や学びは財産になっています。

世間は広く、自分の職場や学生時代の付き合いの中では出会ったことのないような人が大勢います。自己投資を通じてたくさんの人と出会い、なりたい理想像をぜひ見つけてください。

この記事の監修者

氏家祥美

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。
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