また、「収入が厳しくギリギリで貯金できない…」「子育ての費用がかさんで貯金できない…」といった個別のシチュエーションに応じたコツも併せて紹介します。
できる人と何が違う? 貯金ができない人に見られる4つの共通点
そもそも貯金ができない人はなぜ貯金を実現・継続することができないのでしょうか。じつは、つぎの4つの共通点が見られます。
- 貯金をする意識が低い
- 貯金の成功体験がない
- 経済的に困ったことがない
- 将来へのリスク管理が甘い
貯金ができる人は、貯金して欲しいものを買うなどの経験があり、貯金する上での目標や目的がある場合がほとんどです。
一方、貯金ができない人は、お金の経験値が低い傾向にあります。お金の経験値とは、家計管理や貯金、資産運用の成功体験だけではなく、失敗体験や経済的に困った経験も積み重ねていることを示します。お金の経験値の中でも特に、これまでに経済的に困った経験や貯金があって助かった経験がないと、貯金の重要性を実感できず、貯金がないと将来困る可能性をリアルに想像することが難しいでしょう。そうした場合、貯金をする目標や目的を考えること自体の必要性も感じにくいかもしれません。
もちろん、収入の問題で貯金ができないという人もいるでしょうが、貯金の必要性を強く意識していると、少しずつでも貯めていく習慣は身につくようになるものです。
貯金ができない人によくある6つの特徴
では、貯金ができない人はどんな行動や思考をしている人が多いのでしょうか。よくある特徴は以下です。
こうした特徴があるからといって、必ずしも貯金ができないというわけではありません。ただし、目標の貯金額を達成する妨げとなっている可能性はあります。普段の自分の行動に当てはまることがないか確認してみてください。
計画せずにお金を使っている
銀行口座にあるだけのお金を使ってしまったり、ボーナス払いを多用したりしていている場合は注意が必要です。「余ったら貯金にまわす」という考え方では、月々の貯金額が安定しない上、生活費が残らない限り貯金が増えていきません。
長期的なライフプランをあまり考えていない
結婚や住宅購入などが現段階で現実的ではない場合や、老後に必要な資金がイメージできない場合も、貯金のモチベーションが湧きにくく行動できないことが多いかもしれません。大きなライフイベントが起こる時点で長期的なライフプランを考えよう、となりゆきに任せている人も少なくないでしょう。
収入が多く、浪費癖がある
収入が多い場合、使えるお金も多くなります。その分、浪費している人もいるのではないでしょうか。
数字や計算に苦手意識がある
基本的に数字や計算が苦手と感じている場合、家計の管理をしていないのはもちろん、積立貯金や資産運用も面倒と感じてしまう可能性があります。
キャッシュレスの支払い額を把握せず使っている
キャッシュレス決済は手元の現金が減らないまま気軽に買い物ができるため、お金を使っている感覚がないという人も少なくないでしょう。たとえば、現金1万円の支払いにためらう人でも、電子マネーやクレジットなら深く考えずに決済している場合があります。また、手軽に使えることから使った金額を把握していないこともあるでしょう。
クレジットカードのリボ払いを多用している
支払い総額が増えることよりも、大きな金額の買い物に抵抗感があるという理由でリボ払いにしてしまう人も少なくないかもしれません。しかし、リボ払いは分割払いと比べても手数料が高い上、支払い残高を気にせずに買い物を重ねて、結果的に借金総額が高くなるというパターンに陥っている人もいるのではないでしょうか。
ズボラでも確実に貯められる3つのコツ
貯金ができない人の特徴に心当たりがありすぎて、悲観的な気持ちになっている人もいるかもしれません。
しかし、貯金が苦手な人でも確実に貯められる方法はあります。「貯金のコツ」は次の3ステップを確実にこなしていくことです。
① 収支を確認し、家計管理をする
まずは「どこで無駄遣いをしているか」「どこを節約できるか」を把握するために、1カ月でもいいので家計管理をしてみましょう。たとえば、外食の回数や金額が多いようであれば、ストレスにならない範囲で回数を減らすか、金額を制限するのがおすすめです。
【関連記事】人数別:世間の生活費の平均はいくら? 理想の内訳も解説
② 貯金の目的と目標額を決める
つぎに貯金の目的と目標額を決めます。目的も目標額も手に届く範囲でかまいません。たとえば、無理なく貯められる金額を起点に「月1万円貯めて、年末に旅行に行く」などであれば、実現性が高いのではないでしょうか。貯金ができない人はまず、少額でも目標貯金額を達成し、成功体験を得ることが重要です。
③ 強制的に貯金する
また、余ったお金を貯金にまわすのではなく、強制的に貯金するしくみを利用したほうが確実です。自動積立定期預金やNISAなど、自発的に行動しなくてもお金を貯めるしくみを使って「先取り貯金」をしましょう。
年収別:貯金できない理由と効率よく貯める方法
年収によって貯金の目安や効率的な方法は異なるのか、貯金が苦手な人は思い悩むでしょう。以下で詳しく解説します。
収入によって平均貯金額は変わる?
貯金ができないと悩む人の場合、どのくらい貯金したらいいか悩む場合もあるでしょう。もちろん、無理なく貯金できる金額は収入にもよるはずです。しかし、金融広報中央委員会の調査1)2)によると、年収が増えれば単純に貯金額も増えるわけではないということがわかります。
〈表〉年収別預貯金残高の合計額
年収 | 預貯金残高の合計額(平均値) | |
---|---|---|
単身世帯 | 2人以上世帯 | |
300万円未満 | 241万円 | 409万円 |
300万~500万円未満 | 212万円 | 596万円 |
500万~750万円未満 | 458万円 | 465万円 |
750万~1,000万円未満 | 486万円 | 371万円 |
同調査では、2人世帯の場合では年収750万~1000万円未満の人のほうが、その半額以下の年収である年収300万~500万円未満の人よりも貯金額が少ないと結果になっています。
また、単身世帯の場合、年収500万円以上になると、預貯金額がそれ以下よりも2倍以上に増えている一方で、年収が500万円未満の場合、2人以上世帯のほうが単身世帯に比べ、大幅に預貯金額が大きくなっています。収入が多いほど貯金額が大きくなるわけではありませんが、収入が一定額以上のほうが貯金しやすくなり、収入が一定額未満の場合には2人世帯のほうが単身世帯よりもお金が貯まる傾向があるようです。
年収別の「貯金ができない理由」とは?
既婚者であれば、子どもの養育費や住宅ローン、老後資金などの大きな支出が貯金を困難にしているかもしれません。しかし、そのような支出が少ない独身の場合は、意欲や知識の有無によって貯金額に差が出ると考えられます。
そのほか、転職による減収や学資ローンなども貯金ができない理由に挙げられます。ただし、特に年収500万円以上の場合は、浪費が貯金の妨げとなっている可能性も大いにあります。
貯金額の目安と効率よく貯める方法
貯金額の目安は「こうするべき」という基準はなく、人によって異なるものですが、これから貯金を本格的に始めようという人には、額面年収の10%、難しければ5%をおすすめします。
〈表〉年収別年間貯金額の目安(額面年収の10%の場合)
年収 | 貯金額の目安 |
---|---|
300万円 | 年間30万円 |
400万円 | 年間40万円 |
500万円 | 年間50万円 |
600万円 | 年間60万円 |
実家暮らしの人は生活費の負担がほかの人に比べて少ないので、可能であれば20%を目指すのがおすすめです。
貯金の方法は、自動積立貯金やNISA、iDeCoや財形貯蓄制度などで一定額を「先取り貯金」すれば、収入がある限り、効率よく貯金をすることができます。貯金が苦手な人はまずはどれか1つを無理のない金額で始め、成功体験を積み重ねましょう。貯金の自信がついたり、収入が増加したりしたら、病気やケガなどで働けなくなった時に使うための“もしもの貯金”は自動積立貯金、老後資金はiDeCoというように、並行して複数の貯蓄をするのがおすすめです。
なお、実家暮らしや1人暮らし、新婚夫婦など、世帯のかたちによって貯金の注意点は異なります。以下の記事で詳しく説明しているので、併せてご覧ください。
生活ギリギリの人が貯金できない原因と改善策
特に生活ギリギリと感じている場合、収入に貯金の余地がないかもしれません。その場合、すぐに実行することは難しいかもしれませんが、第一の改善策は副業や転職で収入を増やすことでしょう。たとえば、副業で得た金額を貯蓄や投資にまわすようにすれば、家計に負荷をかけずに貯金をすることが可能です。
その一方で、生活ギリギリと感じている原因は、収入と収支が見合っていないだけの可能性もあります。支出を見直すと、無駄遣いをしている項目や節約できる項目を見つけられるかもしれません。前述のように貯金の成功体験を重ねることが大切です。まずは月500円ずつなど、わずかな金額で貯金にチャレンジをしてみましょう。
生活ギリギリの人でも貯金できる改善策を具体的に知りたい人は、以下の記事で月収別の貯金方法を詳しく説明しているので、ぜひ併せてご覧ください。
世帯人数・暮らし方別の貯金できない原因と改善策
世帯の人数や暮らし方によっても、「貯金ができない原因=無駄が生じる項目」が何かは異なります。世帯別の注意点と改善策を説明します。
1人暮らしの場合
そもそも1人暮らしは、実家暮らしと比べると圧倒的にお金がかかります。当然のことながら、家賃や水道光熱費を自分1人で支払わなければいけない上、特に都市部に住んでいる場合、家賃が高いことも多いでしょう。また、外食をする人は食費が高くなりがちです。貯金をしたいと考えるならば、意識して生活費を節約する必要があります。特に着目したいのが、以下のような固定費です。
- 家賃
- 水道光熱費
- スマホ、インターネットなどの通信費
- 駐車場代、ガソリン代
- 各種保険料
- サブスク代
上記のうち、比較的すぐに削減できる支出は、水道光熱費や通信費、サブスク代です。水道光熱費や通信費は、契約している会社の乗り換えやプランの見直しなどを行うと、今よりも料金を抑えられる場合があるでしょう。特にスマホ代は、格安SIMへ乗り換えると、料金が半額以下になるケースもあります。サブスク代についても、利用頻度が低いもの、自分にとって重要度が低いものは思い切って解約するのも1つの手です。
具体的な改善策をもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
【関連記事】1人暮らしで貯金できないのはなぜ? 詳細はコチラ
実家暮らしの場合
実家暮らしの場合、実家にお金を入れていても、実際の家賃や光熱費などの支出を把握していない人がほとんどでしょう。実家暮らしで食事も親に頼っている場合、外食費・スマホ代・交際費・趣味費、自己投資の費用しか管理する機会がありません。自由になるお金が多いことから、1人暮らしをしていたら不可能な金額を趣味につぎ込むなど、過剰消費になりがちです。その結果、1人暮らしの人よりもお金に対する感度が低くなる傾向にあります。
実家暮らしの人は、そもそも自分の収支を把握していない人が多いです。貯金を達成するためには、まずは必要な支出を整理してみましょう。家に入れるお金、昼食費、交際費、スマホ代などの支出を6割以下に抑えるように計画を立てるのがおすすめです。
具体的な改善策をもっと詳しく知りたい人は、以下の記事で紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
共働き夫婦2人暮らしの場合
共働き夫婦2人暮らしで貯金ができていない場合、つぎの原因が考えられます。
- 貯金の計画ができていない
- 月々の収支を共有できていない
- 収入が多い反面、支出も多い
2人分での家計の管理ができておらず、生活費の折半などをしていても、それぞれは独身時代と変わらないお金の使い方をしている可能性があります。特に収入が多い夫婦の場合、支出額も多く、収支を把握していないケースが数多く見られます。また、貯金の目的や目標額を話し合っていないため、余ったお金があっても意識的な貯金につながっていない場合もあるでしょう。
改善策としては、まずは長い目で貯金の目的と目標額を決めるのが先決です。その上でそれぞれの収支を把握しましょう。通信費やサブスク代など、結婚したことで契約を変更できる固定費もあるかもしれません。お金の価値観にズレがある場合もあるので、すり合わせるのが難しくとも、ズレを認識することも大切です。
さらに、収支を長期的なライフプランと照らし合わせた上で、毎月の生活費と貯金の年間目標額、さらに誰が何をどのように支払うかなど、家計のルールをきちんと決めましょう。夫婦で収入差がある場合には、「収入の10%」など、双方が無理なく貯金できるラインを見極めるのが重要です。
夫婦で貯金をするコツをもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
子育て世代で4人家族の場合
子育て世代は、子どもの教育資金や住宅ローンなど、大きな支出が重なっている状態です。特に子どもの養育費を優先して、なかなか老後資金の貯蓄をスタートできない夫婦も少なくありません。子どもが独立してからと後回しにすると、老後資金を貯めるのが遅い年齢でのスタートとなり、家計に大きな負担となる可能性があるので要注意です。
教育資金はいつでも解約や一時売却ができるNISA、老後資金は60歳以上に年金として受け取る財形年金貯蓄やiDeCoを利用するなど、貯めるだけではなく元本を増やすことができる制度を上手に使い分けるのがおすすめです。
貯金に対する苦手意識の改善から始めよう
これまでに説明してきたように、貯金ができない人にとって最大の敵は「貯金ができない」という苦手意識であり、お金の経験値の低さです。改善するには、まずは目的のために定期的にお金を貯め、目標額を達成するという成功体験を得ることが重要です。毎月500円玉1個を5年間貯めて旅行する、ボーナスの50%を3年間貯めるなど、心理的なハードルと家計への負担が小さな方法で貯金の成功体験を積み重ねてみましょう。