実家暮らしは貯金をしやすい環境ですが、それでも貯金ができないという人も意外と多いものです。そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さん監修のもと、実家暮らしならではの貯金術を解説します。実家暮らしの人はどれくらいのペースで貯金ができそうか、どのような手段だと貯めやすいかについて紹介していきましょう。

実家暮らしが貯金をしやすい理由

画像: 画像:iStock.com/kazoka30

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そもそも、なぜ実家暮らしの人は貯金がしやすいと言われているのでしょうか。その理由は、いたってシンプルです。実家暮らしであれば一人暮らしよりも生活費がかからない傾向にあり、手元にお金が残りやすいからです。

具体的にそれぞれの生活費についてデータを見ていきましょう。

まずは一人暮らしの生活費です。人事院のデータ1)によると、単身世帯(一人暮らし)の「標準生計費」(ひと月生活するのにかかる支出)の内訳は下記の通りです。

〈表〉一人暮らしの月の標準生計費(2019年)

食料費26,020円
住居関係費(住居費、光熱・水道、家具・家事用品)48,300円
被服・履物費2,430円
雑費Ⅰ(保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽)35,120円
雑費Ⅱ(交際費など)8,320円
合計120,190円

あくまで全年齢・全地域を対象としたデータなので、個人や地域によって違いはありますが、やはり、住居費が含まれる住居関係費が高いことがわかります。これは都市部になるほど顕著な特徴と言えるでしょう。

一方、実家暮らしの支出に関する公的調査データは見当たりません。しかし、住居関係費や食料費は一人暮らしの場合の一般的な生計費と比べると少なくて済んでいるであろうことは想像に難くありません。

もちろん、実家暮らしの場合、住居関係費や食料費の一部として実家にお金を入れているケースもあります。「マイナビ」2)の調査によれば、実家にお金を入れているという人は75.2%で、金額は「30,000円」と回答した人が最も多い、という結果が出ました。

個々人で事情が違うことを考慮しても、実家暮らしの人が生活に必要な生活費は、一人暮らしの人に比べると少ないのです。つまり、先ほども述べた通り、手元に残るお金も実家暮らしの方が多い傾向にあるといえるでしょう。

実家暮らしであれば、やる気次第で一人暮らしの人に比べて早いスピードで貯金していくことができる、というわけです。

実家暮らしの平均貯金額

画像: 画像:iStock.com/kazuma seki

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では、実家暮らしの平均貯金額はどれほどなのでしょうか? 実家暮らしと一人暮らしの月々の平均貯金額を比べることで、貯金の実情を探っていきましょう。

(1)実家暮らしと一人暮らしの平均貯金額

公的調査データは見当たらないので、「マイナビウーマン」で22歳~39歳までの社会人女性を対象にして行われた月々の貯金額に関するアンケート調査3)を参照してみます。

すると、実家暮らし女性の平均貯金額は33,691円一人暮らし女性の平均貯金額は30,110円という結果でした。実家暮らしと一人暮らしの20〜30代女性の月々の平均貯金額には、約3,000円の差があるようです。

そして、実家暮らしと一人暮らしのいずれも、お給料が手取り15万円(額面19万円ほど)であれば2割、手取り20万円(額面25万円ほど)であれば1.5割と、お給料に対する貯金割合もほぼ変わらないという計算になります。

(2)実家暮らしと一人暮らしを比較した結果

両者の貯金額を比べると、たった3,000円程度しか差がないということがわかりました。しかし、先ほども述べた通り、実家暮らしの人は、住居関係費(48,300円)や食料費(26,020円)の一部にあたる金額分、手元に残るお金に余裕のある人が多いと想定できます。実家暮らしの人はもっと貯金ができても良さそうな気がしますね。

自分の将来のためにも、実家暮らしの人はこの貯金をしやすい環境をもっと生かすべきでしょう。

実家暮らしなのに貯金ができない原因

画像: 画像:iStock.com/tdub303

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ここまで実家暮らしの貯金の実態について見てきました。実家暮らしは貯金をしやすい環境であり、実際に多くの貯金をしているようです。

ただ、もっと貯金額を増やすことはできそうですし、中には「なぜか全くお金が貯まらない…」と首をひねっている人もいることでしょう。

そこで、実家暮らしの人が貯金できない原因について、家計の専門家である豊田さんの相談業務等の経験を踏まえて紹介します。

原因1:お金に対する感度が低い

画像: 画像:iStock.com/tetsuomorita

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実家暮らしの場合、実家にお金を入れている人も多く、それが住居費や水道光熱費、日用雑貨、食費に該当します。一人暮らしの家賃やそれ以下しか家に入れていないことも多く、ゆとりがあります。

おそらく、実家の家賃や光熱費などの支出を把握していない人がほとんどでしょうし、毎月の食費等はどのくらいで抑えるべきかなど、一人暮らしの人に比べるとお金に対する感度が低い傾向にあります。

貯金と何の関係があるの? と思うかもしれませんが、支出額の把握・管理は非常に重要なポイントです。

実家暮らしで食事も親に頼っている場合、外食費・スマホ代・交際費・趣味費、自己投資の費用しか管理する機会がありません。

家に入れるお金を引いてもゆとりがあり、自由になるお金が多いことから、一人暮らしをしていたらできない金額を趣味につぎ込むなど、過剰消費になりがちです。長年その生活になじんでしまうと、一人暮らしや結婚で家計を運営していく際に収支のバランスを取りにくく、苦労をすることになります。

もちろん、実家暮らしの人が皆そうだとは言いませんが、この感覚のままでいると貯金を計画的に行うことができません。

原因2:趣味優先のお金の使い方をしてしまう

画像: 画像:iStock.com/twinsterphoto

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前述通り、実家暮らしで基本の生活費がほとんどかからないということは、余剰分は好きなことに使える、ということです。自分を満足させることの筆頭といえば、趣味や贅沢品に関する消費でしょう。

余剰資金があるがゆえ、趣味などに大きなお金を消費しがちなのです。たとえば、ブランド物のバッグや、好きなアーティストの遠方のコンサートチケットはもちろん、車も気軽にローンなどで購入しがちです。

もちろん、趣味は生活を豊かにしますし、否定はしません。しかし、趣味への投資を最優先にして、「余ったお金を貯金すればいい」という考えになりがちなのが問題です。

好きなことに費やすお金は際限がありません。このようなお金の使い方をしていたら、いつまで経ってもお金が貯まらないのは明らかです。

FPが教える、実家暮らしならではの貯金術

画像: 画像:iStock.com/Milatas

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では、一体どのようにすればきちんと貯金ができるようになるのでしょうか。ここからは、実家暮らしの人の貯金設定額の目安や貯金方法などについて紹介します。

(1)月の貯金額の目安

画像: 画像:iStock.com/I going to make a greatest artwork as I can, by my head, my hand and by my mind.

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まずは月の貯金額の目安をきちんと決めることが大切です。実家暮らしの人は生活費の負担が少ない分、収入の4割を貯金することを目標にしてみませんか?

4割というと、手取り月収15万円の場合は6万円、月収20万円なら8万円ですから多く感じる人もいるかもしれません。

しかし、先ほど示した人事院のデータ1)のように、一人暮らしの人の月の平均生計費を改めて見てみると、食糧費と住居関係費だけで74,320円あります。

一人暮らしの人は、これに加えて30,000円ほどの貯金を捻出していると考えると、実家にお金を入れたとしても、実家暮らしの人が月に手取り月収の4割を貯金するというのは、無理な金額ではないといえるでしょう。

ただ、4割というのはあくまでも目安の話です。自分の支出を整理して、目標金額を設定することをおすすめします。

(2)実家暮らしが実践するべき4つの貯金方法

画像: 画像:iStock.com/petekarici

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では実際に実家暮らしの人が貯金をしようと思った時に、どういった方法で貯金をすればいいのでしょうか。次の方法を試してみてください。

① まずは支出計画を立てる

「実家暮らしなのに貯金ができない原因」で述べたとおり、実家暮らしの人は、そもそも自分の収支を把握していない人が多いです。

そこで、まずは必要な支出を整理してみましょう。

手取りの4割を貯金することを目標として、家に入れるお金、昼食費、交際費、スマホ代などの支出を6割以下に抑えるように計画を立てましょう。

この時ポイントになるのが、今現在、月々どの程度の支出があるかを把握することです。まずは自分が何にどれだけ使っているか、1カ月程度、記録することをおすすめします。

実家暮らしの人にとって「生活するために絶対に必要」となる費目はそう多くはありません。しかし、自分が快適に過ごすための友人との飲み会代や交際費などは「必要」と言えるでしょう。逆に、ストレス発散のための余分な買い物などは「必要」とは言えません。自分の支出状況を見直すことで、「無駄」が浮き彫りになってきます。

支出を6割以下に抑えられれば、残りの4割は貯金に充てられます。なお、趣味には、あくまでも「必要な支出」と「貯金」を除いた金額を充てる、と心がけることが大切です。

無理をすると長続きしませんが、毎月手取り収入の4割を貯めるようにすれば、大きな金額が短期で貯まります。せめて、もしもの時に備える「生活予備費」(生活費3カ月分程度)が貯まるまでは、少し頑張ってみてはいかがでしょう。

② 貯金用口座を分ける

もしもの時に備える「生活予備費」はすぐに引き出せる口座に貯金するのが基本ですが、貯金を引き出しにくい状況をつくるため、貯金用の口座を開設するのも1つの方法です。

普段引き落としなどに使っている口座とは別に、貯金用の口座を開設し、そちらに貯金をしていくようにするのです。

この時、口座のキャッシュカードや預金通帳は自宅の引き出しなどに入れてしまいましょう。普段は持ち歩かないようにすれば、ついつい引き出してしまうなんてこともなく済みます。

また、金融機関を選ぶ際はネット銀行を選ぶのもおすすめです。ネット銀行は大手の都市銀行よりも年利が良い場合も多いので、貯めた以上の金額を増やせて一石二鳥です。

③ 財形貯金・定期預金を利用する

より手堅く貯金をしていくのであれば、給与からの天引きで財形貯金をしたり、給料日の翌日に自動振替えで自動積立定期を設定するなどの方法もあります。

財形貯金とは、企業の福利厚生のひとつです。給与が振り込まれる時、あらかじめ設定した金額が自動で天引きされ、貯金に回ります。そもそも、給与口座に振り込まれないので、使い過ぎてしまう人にはおすすめです。

なお、財形貯金には貯金の目的に応じて主に3つの種類があります。

〈表〉財形貯金の種類

一般財形貯金使用する用途が限定されていない貯金
財形住宅貯金住居の購入や建設、リフォームなどの資金を貯めることが目的の貯金
財形年金貯金老後の生活のための資金を貯めることが目的の貯金

一般財形貯金以外は、原則として目的以外の用途では利用できません。しかし、節税効果のメリットがあるので、まずは自分の会社に財形貯金の制度があるのかをチェックしてみましょう。

一方、定期預金口座もメリットがある選択肢です。定期預金では、一般的に普通預金よりも金利が高く設定されています。財形貯金の制度が勤務先にないという人は、ぜひ検討してみてください。

いつでも引き出せる普通口座に貯金するのではなく、一定期間引き出すことのできない金融商品で貯金できるのは、生活資金に余裕のある実家暮らしの特権です。

④ その他の積立サービスを活用する

備えとしての貯金はもちろん必要ですが、やはり人生に楽しみは必要です。旅行やショッピングなどにもお金をかけたいという人は、旅行会社等が扱う旅行積立や、百貨店の積立制度を活用すると効率的に貯金ができます。

例えば、ある旅行会社の旅行積立では、定期積立プランの場合、積立期間・金額に応じて年利換算1.75%のサービス額が付きます。毎月20,000円、2年間で480,000円を貯金すると、488,750円になります。貯金銀行預金では考えられないお得さです。万が一、会社が破綻した時には預金と違って積立額が保証されないリスクは把握しつつ、貯金を上手に活用していきましょう。

(3)お金が貯まったら資産運用をはじめてみよう

画像: 画像:iStock.com/SB

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ここからは番外編です。ある程度貯金が貯まった人に実践してもらいたい、資産運用についてお話ししていきます。

実家暮らしであれば生活の心配は少ないうえ、月収の4割を貯めていくことでかなり貯金額に余裕が出てくるはずです。そんな人は、貯金の一部で資産運用に挑戦してみましょう。

生涯役立つ金融リテラシーの向上につながりますし、運用がうまくいけば増やすこともできます。ただし、投資にはリスクがつきもの。お金が増えることもあれば、減ることもあります。そのため、5年以内に使う予定がない資金の3割以下の範囲で投資に挑戦してみてはいかがでしょうか。

以下、投資ビギナーにおすすめの投資の始め方を簡単にご紹介します。興味をもった方はより詳しく調べてみてください。

① つみたてNISA

NISAとは、少額投資非課税投資制度のこと。投資をする人のための税制優遇制度です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAで得られた利益には税金がかかりません。つまり、利益の100%が自分のものになるお得な制度なのです。

初心者には、つみたてNISAをおすすめします。長期、資産の分散、時間の分散(=積立)と、リスク軽減法が三拍子そろったビギナー向けの投資です。

② iDeCo

老後の資金を貯めるなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)もおすすめです。iDeCoのメリットは、掛け金が全額所得控除の対象となることです。例えば、毎月の掛け金が1万円の場合、所得税が10%の人の例ですと、住民税(一律10%)と合わせて年間掛け金の合計20%にあたる、年間24,000円の税金が軽減されます。また、運用により増えた利益に課税されずに再投資されるので、そういった意味でも節税効果が高いです。

ただし、iDeCoはあくまでも年金です。60歳になるまで受け取ることはできませんので注意しましょう。

なお、iDeCoは老後の受け取り方法を年金方式で受け取るか一時金で受け取るか、あるいは年金と一時金を併用するかを選択できます。どちらの場合も公的年金等控除や、退職所得控除の対象となるので、受け取り時の税金も心配する必要がありません。

最後に

生活に必要な支出を見ると、実家暮らしの人は一人暮らしの人よりも貯金がしやすい傾向にあることがわかります。実家暮らしだからと好きなだけお金を使うのではなく、手元にあるお金を上手に使う術を知れば、未来の自分への仕送りができて、趣味や自分への投資もしやすくなるはずです。

貯金の方法は多彩にあるので、自分のライフスタイルや目的に合わせて、かしこく貯金を始めてみてはいかがですか?

この記事の監修者

画像: 実家暮らしは月収の4割を貯金しよう! FPが教える、実家暮らしならではの貯金術

豊田 真弓

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。短大非常勤講師も務める。「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院介護が必要になったときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。
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