「子どもは何人目まで育児休業給付金をもらえる?」「2人続けて育休を取ったら、育児休業給付金はもらえない?」など、育児休業給付金をもらえないケースについて心配する人もいるのではないでしょうか。この記事では、ファイナンシャルプランナー・藤井亜也さん監修のもと、2人目の育休と育児休業給付金の関係について知りたい人に向けて、もらえるケースともらえないケースについて解説します。育児休業(育休)を延長する場合の注意点についても説明するので、参考にしてみてください。

※この記事は、2025年2月5日に公開した内容を最新情報に更新しています。

この記事の監修者

藤井 亜也(ふじい あや)

ファイナンシャルプランナー(CFP、FP1級)ファイナンシャルプランナー(CFP、FP1級)。独立系FPとして幅広い年代のお客様の相談に対応。ひとりひとりに心を込めて、最適なプランを提案しライフプランを実現。個別相談、セミナー、執筆・監修など幅広く活動中。著書『理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方』(三恵社)、ラジオ番組『未来のためのお金のハナシ』(FM川口)。

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2人目でももらえる?「連続育休」と「4年遡り」の注意点

画像: 画像:iStock.com/NicoElNino

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育児休業給付金は2人目の子どもでも、もちろんもらうことができます。ただし、1人目の子どもの育児休業(育休)中に2人目の子どもを妊娠し、そのまま2人目の子どもの産休・育休に入る場合にはもらえないケースもあります。

育児休業給付金は原則、育児休業開始日から2年間で11日以上出勤した月が12カ月以上あれば、支給の対象となります。ただし、育休開始日以前の2年間でケガや病気など、やむを得ない事情で休業していた場合には、最長4年まで遡ることができます1)

〈図〉育児休業給付金の支給対象

画像: 2人目でももらえる?「連続育休」と「4年遡り」の注意点

1人目の育休中に妊娠して、そのまま2人目の産休・育休に入る場合もこの「4年遡り」が適用されます。とはいえ、1人目の育休期間の長さや育休前の出勤日数などによって、支給要件を満たさないケースがあるので注意が必要です

育児休業給付金をもらえるケース、もらえないケース

画像: 画像:iStock.com/YUTTHANAJAIDEE

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連続して育休を取得する場合でも、4年遡りのルールに基づいて、育児休業給付金を受け取ることができる場合がほとんどです。NGになる可能性が高いのはどんなケースか、以下で説明します。

①1人目の育児休業期間中に2人目を妊娠した場合

1人目の育児休業給付金を取得した際に以下の要件を満たしていれば、1人目の育休からそのまま2人目の産休・育休を取っても、ほとんどの場合、育児休業給付金を受け取ることができるでしょう。

〈図〉連続で育休を取得しても給付金が支給されるケース

画像: ①1人目の育児休業期間中に2人目を妊娠した場合

【ほぼOKの要件】

  • 1人目の育休開始日以前の2年間で出勤日の要件を満たし、育児休業給付金の申請が通った
  • 育休の期間は原則2年以内

1人目の育休を2年以上取得すると、2人目の育休では4年遡っても出勤日が支給要件に足らず、支給対象とならない場合もあるので注意しましょう。また、1人目の育休申請で4年遡りのルールを適用している場合、2人目の時点では出勤日が不足する可能性があります。

【NGになる可能性があるのは…】

  • 1人目の育休を2年以上取得している
  • 1人目の育休取得で4年遡りのルールを適用している

②2人目の育児休業期間中に3人目を妊娠した場合

1人目の育休と2人目の育休が1年以上離れているのであれば、子どもが3人目でも育休期間は2連続です。①で説明した要件を満たしていれば、育児休業給付金は支給されるでしょう。

〈図〉3連続で育休を取得する場合

画像: ②2人目の育児休業期間中に3人目を妊娠した場合

ただし、1人目の出産から一度も復帰せずに3人目の育休を3連続で取得する場合は、上の図のように、仮に4年遡っても休業中のため、出勤日数が支給要件に足りません。育児休業給付金を受け取りたいのであれば、1人目か2人目の育休のあと、最低1年は職場復帰することが必要です。

そもそも育児休業給付金とは?しくみを簡単に解説

画像: 画像:iStock.com/itakayuki

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育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子どもを養育するために育休を取得した場合、受け取ることができるお金です1) 。育児休業給付金を受け取るには以下の要件を満たす必要があります。

【育児休業給付金の支給要件】

  • 雇用保険に入っている
  • 1歳未満の子を養育するために育児休業を取得している
  • 育休開始前の2年間に、11日以上就業している月が12カ月以上ある
  • 育休中の各1カ月で、就業している日数が最大10日あるいは80時間以下

雇用保険に入っているのであれば、正社員だけではなく、パートなどの有期雇用労働者や派遣社員でも取得することができます。

育児休業給付金は原則として、会社が2カ月に1度の頻度でハローワークに支給申請を行い、育休中の従業員に2カ月分がまとめて支払われます。育休を取得している期間=給付金が支給される期間です

申請の方法は、まず育休開始予定日の1カ月前までに勤務先に申し出ます。以下が申請の必要書類です。

【育児休業給付金申請の必要書類】

①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
②育児休業給付受給資格確認票
③(初回)育児休業給付金支給申請書
④賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など
⑤母子健康手帳の写し
⑥育児休業給付金振込先の通帳の見開きのコピー

申請する人が勤務先から③の書類を受け取って必要事項を記入し、⑤と⑥を添えて勤務先に提出すると、勤務先が①②④を用意し、まとめてハローワークに書類提出・申請を行います。提出書類が多いので、もれがないように注意しましょう。

育児休業給付金の支給要件などについては、以下の記事でも詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】育児休業給付金をもらう条件などについて、詳しくはコチラ

育休を延長する場合の注意点

画像: 画像:iStock.com/Suchatlongthara

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原則として、育休は子どもが満1歳になるまで取得できるものです。ただし「所定の期間までに保育施設が見つからない」「子育てをするはずだった配偶者がなんらかの理由で子育てができなくなった」などのやむを得ない事情がある場合、延長を申請することができます

育休の期間延長は最長で子どもが2歳になるまで可能ですが、1回の申請で2歳まで延長することはできません。申請のタイミングは、1歳6カ月まで、2歳まで、と2回に分かれています。

育休の期間延長についてもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】育児休業期間の延長手続きについて、詳しくはコチラ

育休を延長したら、育児休業給付金の支給額はどうなる?

画像: 画像:iStock.com/everydayplus

画像:iStock.com/everydayplus

ちなみに、育休を延長すると育児休業給付金の支給額は減ってしまう、といったことはあるのでしょうか?

育児休業給付金の支給額は、以下の計算式1)を使って算出します。

〈表〉育児休業給付金の支給額

育休開始から180日(6カ月)まで休業開始時賃金日額×支給日数(※)×67%(給付率)
育休開始から181日(6カ月)以降休業開始時賃金日額×支給日数×50%(給付率)

※:原則30日間を1単位として計算する。

こちらの表のとおり、育休延長の有無にかかわらず、育休開始から181日以降の支給額は変わりません。そのため、延長期間の支給額も休業開始時賃金日額×支給日数×50%で算出することができます。

〈図〉延長した場合の育児休業給付金の支給額

画像: 育休を延長したら、育児休業給付金の支給額はどうなる?

なお、2025年4月から育児休業給付の受給期間延長手続きが厳格化されることになっています。

これまで、保育所等に入れなかったことを理由として、育児休業給付の受給期間延長手続きをする際、市区町村の発行する入所保留通知書などにより延長の要件を確認していましたが、2025年4月からは「保育所等の利用申込の写し」が必要となりました2)

これは、保育所等の利用の意思がないにもかかわらず、市区町村に入所を申し込むといった制度趣旨に沿わない行為を防止するためです。具体的には、育休延長を狙って、わざと入園できそうにない保育所等を選んだり、申込数を少なくしたりする行為が頻発していたことで、このような手続きの変更が行われました。

育児休業給付金以外の給付金

画像: 画像:iStock.com/maroke

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2025年4月1日より、育休中や育児のための時短勤務中にもらえる給付金が新設されました。給付金制度の大幅な拡充により、育休の取得率はさらに高まることが予想されます。つぎで詳しく解説します。

出生後休業支援給付金

2025年4月から給付金制度が改正され「出生後休業支援給付金」が新設されました3)。これは育児休業給付金に上乗せされる給付金で、一定の要件を満たした場合、育児休業開始から最大28日間、賃金の13%が支給されます。育児休業給付金(賃金の67%:開始から180日間)とあわせると、最大80%の給付を受け取ることができます。

【出生後休業支援給付金の支給額】

休業開始時賃金日額×支給日数(休業期間)(※)× 13%(給付率)

※:28日が上限。

ただし、出生後休業支援給付金にも上限金額と下限金額が設定されています。2025年7月31日までの上限金額、下限金額は以下のとおりです(支給日数が28日の場合)1)

【支給上限額と支給下限額】

支給上限額:5万7,111円
支給下限額:1万443円

また、育児休業期間中に賃金が支払われる場合は、支給額が調整されるため、注意が必要です。

出生後休業支援給付金の支給要件は、以下になります1)。なお、申請手続きは勤務先が行うため、担当部署に確認するようにしましょう。

出生後休業支援給付金の支給要件は、両親ともに育休を通算して14日以上取ることが原則ですが、配偶者の状況により例外が認められる場合があります。支給要件は細かく定められているため、申請前に「育児休業給付の内容と支給申請手続」で確認しておくとスムーズです。

以下の記事では、出生後休業支援給付金の計算方法や上限額について解説しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】出生後休業支援給付金の計算方法などについて、詳しくはコチラ

育児時短就業給付金

育児のための時短勤務に対する給付も始まります。2025年4月1日からは、2歳未満の子どもを養育している人が時短勤務をしている場合、時短勤務中の賃金の10%が「育児時短就業給付金」として支給されます4)

2025年7月31日までの育児時短就業開始時賃金月額の上限金額、下限金額は以下のとおりです。

【支給上限額と支給下限額】

支給上限額:47万700円
支給下限額:8万6,070円

支給要件は以下になります5)

【支給要件】

  • 2歳未満の子を養育するために、育児時短就業をする雇用保険の被保険者であること
  • 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて育児時短就業を開始していること。もしくは、育児時短就業開始日前の2年間に、被保険者期間が12カ月以上あること

原則、支給対象期間は子どもが2歳になる誕生日の前日です。なお、申請手続きは勤務先が行います。

育休は連続取得するよりも職場復帰を挟むのがおすすめ

画像: 画像:iStock.com/kohei_hara

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そもそも育休の期間延長は、前述のように職場復帰が難しい場合の処置です。育休は原則として職場復帰を前提とした制度であり、連続して取得することを想定してつくられたわけではありません。連続で育休を取得すると、タイミングによっては育児休業給付金を受け取るには出勤日数が足りない場合もあり得ます。

また、支給要件を満たしていれば、2連続まではほぼ支給されるといっても、最大で4年間の休業をした場合、職場復帰後に会社で苦労する可能性も大きくなります。事情が許すようであれば、育休は連続で取得せず、間に最低1年間の職場復帰を挟むのがおすすめです

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