「どうやって申請すればいいの?」
など、育児休業給付金について疑問がある人は少なくないでしょう。保育施設の確保が難しい近頃、育児休業期間を経済的に補助してくれる制度についてもきちんと理解しておく必要があります。
この記事では、ファイナンシャルプランナー・藤井亜也さん監修のもと、出産や育児に臨む人に向けて育児休業給付金がもらえる条件について解説します。2022年・2023年の育児・介護休業法改正についても説明するので、参考にしてみてください。
育児休業給付金支給の条件とは?
育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子どもを養育するために育児休業(育休)を取得した場合、受け取ることができるお金です1)。受け取るには以下の要件を満たす必要があります。
〈表〉育児休業給付金の支給要件
・雇用保険に入っている
・1歳未満の子を養育するために育児休業を取得している
・育児休業開始前の2年間に、11日以上就業している月が12カ月以上ある
・育児休業期間中の各1カ月で、就業している日数が最大10日あるいは80時間以下
雇用保険に入っているのであれば、正社員だけではなく、パートなどの有期雇用労働者や派遣社員でも取得することができます。
参考資料
育児休業給付金を申請する手順と必要な書類は?
育児休業給付金は原則として会社が2カ月に1度の頻度でハローワークに支給申請を行い、育休中の従業員に2カ月分の給付金がまとめて支払われます。育休を取得している期間=給付金が支給される期間です。
申請の方法は、まず育休開始予定日の1カ月前までに勤務先に申し出ます。以下が申請の必要書類です1)。
〈表〉育児休業給付金申請の必要書類
①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
②育児休業給付受給資格確認票
③(初回)育児休業給付金支給申請書
④賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など
⑤母子健康手帳の写し
⑥育児休業給付金振込先の通帳の見開きのコピー
申請する人が勤務先から③の書類を受け取って必要事項を記入し、⑤と⑥を添えて勤務先に提出すると、勤務先が①②④を用意し、まとめてハローワークに書類提出・申請を行います。提出書類が多いので、もれがないように注意しましょう。
育児休業給付金の計算方法
育児休業給付金の支給額は以下の計算式1)で算出します。
〈表〉育児休業給付金の支給額
育休開始から180日(6カ月)まで | 休業開始時賃金日額×支給日数(※)×67% |
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育休開始から181日(6カ月)以降 | 休業開始時賃金日額×支給日数×50% |
賃金日額とは、原則、育休開始前の6カ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額を指し、ハローワークへの申請時に事業主が提出する「休業開始時賃金月額証明書(票)」に記されています。育休を開始した日以前の2年間に完全な賃金月が6カ月に満たない場合は、賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上である6カ月間に支払われた賃金の総額で計算します。
育児休業給付金の計算方法や支給額についてもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
育児休業給付金をもらえないのは、どんな場合?
育児休業給付金は原則、育休開始日から2年間で11日以上出勤した日が12カ月以上あれば、支給の対象となります。ただし、育休開始日以前の2年間でケガや病気など、やむを得ない事情で休業していた場合には、最大4年まで遡ることができます1)。
たとえば、1人目の育休からそのまま2人目の産休・育休に入る場合、この「4年遡り」が適用されます。とはいえ、1人目の育休期間の長さや育休前の出勤日数などによって、支給要件を満たさないケースがあるので注意が必要です。
育児休業給付金を受け取ることができないケースについて、さらに知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
【関連記事】育児休業給付金がもらえないケースは? 詳細はコチラ
2022年・2023年の育児・介護休業法改正で変わった点は?
会社を休んで1歳未満の子どもを育てる人にうれしい育児休業給付金ですが、制度が用意されていても、職場によっては育休自体が取りづらいという人もいるでしょう。そんな環境を改善するため、育児・介護休業法は2022年4月1日から3段階で改正が施行されました。改正のポイントは以下の5点です2)。
〈表〉2022年・2023年の育児・介護休業法改正のポイント
①雇用環境の整備、個別の周知・意向確認の義務化
②有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
③産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
④育児休業の分割取得
⑤育児休業取得状況の公表の義務化
※:①②は2022年4月1日施行、③④は2022年10月1日施行、⑤は2023年4月1日施行
今回の改正は、男女共に仕事と育児を両立できるように育休を取りやすくする目的で施行されました。たとえば、男性と女性が交互に育休を取得可能にすることで、保育施設確保の困難による職場復帰へのハードルを下げることにもなります。
育児・介護休業法の改正についてもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
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制度を理解して、育児休業給付金を活用しよう
出産・育児はお金がかかる上、女性にとっては一定期間、会社を休まざるを得ないものです。育児休業給付金はそんな期間の経済的負担を軽減してくれます。不明な点や疑問は会社ともコミュニケーションを取って解消し、支給要件や支給額をきちんと理解した上で育休と育児休業給付金を活用しましょう。