「2人続けて育休を取ったら、育児休業給付金はもらえない?」
など、育休育児休業給付金をもらえないケースがあるのではないかと心配する人もいるのではないでしょうか。
この記事では、ファイナンシャルプランナー・藤井亜也さん監修のもと、2人目の育休と育児休業給付金について知りたい人に向けて、もらえるケースともらえないケースについて解説します。育児休業(育休)を延長する場合の注意点についても説明するので、参考にしてみてください。
2人目でももらえる?連続育休と「4年遡り」の注意点
育児休業給付金は2人目の子どもでも、もちろんもらうことができます。ただし、1人目の子どもの育児休業(育休)中に2人目の子どもを妊娠し、そのまま2人目の子どもの産休・育休に入る場合にはもらえないケースもあります。
育児休業給付金は原則、育児休業開始日から2年間で11日以上出勤した日が12カ月以上あれば、支給の対象となります。ただし、育休開始日以前の2年間でケガや病気など、やむを得ない事情で休業していた場合には、最長4年まで遡ることができます1)。
1人目の育休中に妊娠して、そのまま2人目の産休・育休に入る場合もこの「4年遡り」が適用されます。とはいえ、1人目の育休期間の長さや育休前の出勤日数などによって、支給要件を満たさないケースがあるので注意が必要です。
参考資料
育児休業給付金をもらえるケース、もらえないケース
連続して育休を取得する場合でも、4年遡りのルールに基づいて、育児休業給付金を受け取ることができる場合がほとんどです。NGになる可能性が高いのはどんなケースか、以下で説明します。
①1人目の育児休業期間中に2人目を妊娠した場合
1人目の育児休業給付金を取得した際に以下の要件を満たしていれば、1人目の育休からそのまま2人目の産休・育休を取っても、ほとんどの場合、育児休業給付金を受け取ることができるでしょう。
〈図〉連続で育休を取得しても給付金が支給されるケース
【ほぼOKの要件】
・1人目の育休開始日以前の2年間で出勤日の要件を満たし、育児休業給付金の申請が通った
・育休の期間は原則2年以内
1人目の育休を2年以上取得すると、2人目の育休では4年遡っても出勤日が支給要件に足らず、支給対象とならない場合もあるので注意しましょう。また、1人目の育休申請で4年遡りのルールを適用している場合、2人目の時点では出勤日が不足する可能性があります。
【NGになる可能性があるのは…】
・1人目の育休を2年以上取得している
・1人目の育休取得で4年遡りのルールを適用している
②2人目の育児休業期間中に3人目を妊娠した場合
1人目の育休と2人目の育休が1年以上離れているのであれば、子どもが3人目でも育休期間は2連続です。①で説明した要件を満たしていれば、育児休業給付金は支給されるでしょう。
〈図〉3連続で育休を取得する場合
ただし、1人目の出産から一度も復帰せずに3人目の育休を3連続で取得する場合は、上の図のように、仮に4年遡っても休業中のため、出勤日数が支給要件に足りません。育児休業給付金を受け取りたいのであれば、1人目か2人目の育休のあと、最低1年は職場復帰することが必要です。
そもそも育児休業給付金とは?しくみを簡単に解説
育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子どもを養育するために育休を取得した場合、受け取ることができるお金です1) 。受け取るには以下の要件を満たす必要があります。
〈表〉育児休業給付金の支給要件
・雇用保険に入っている
・1歳未満の子を養育するために育児休業を取得している
・育休開始前の2年間に、11日以上就業している月が12カ月以上ある
・育休中の各1カ月で、就業している日数が最大10日あるいは80時間以下
雇用保険に入っているのであれば、正社員だけではなく、パートなどの有期雇用労働者や派遣社員でも取得することができます。
育児休業給付金は原則として、会社が2カ月に1度の頻度でハローワークに支給申請を行い、育休中の従業員に2カ月分がまとめて支払われます。育休を取得している期間=給付金が支給される期間です。
申請の方法は、まず育休開始予定日の1カ月前までに勤務先に申し出ます。以下が申請の必要書類です。
〈表〉育児休業給付金申請の必要書類
①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
②育児休業給付受給資格確認票
③(初回)育児休業給付金支給申請書
④賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など
⑤母子健康手帳の写し
⑥育児休業給付金振込先の通帳の見開きのコピー
申請する人が勤務先から③の書類を受け取って必要事項を記入し、⑤と⑥を添えて勤務先に提出すると、勤務先が①②④を用意し、まとめてハローワークに書類提出・申請を行います。提出書類が多いので、もれがないように注意しましょう。
育休を延長する場合の注意点
原則として、育休は子どもが満1歳になるまで取得できるものです。ただし「所定の期間までに保育施設が見つからない」「子育てをするはずだった配偶者がなんらかの理由で子育てができなくなった」などのやむを得ない事情がある場合、延長を申請することができます。
育休の期間延長は最長で子どもが2歳になるまで可能ですが、1回の申請で2歳まで延長することはできません。申請のタイミングは、1歳6カ月まで、2歳まで、と2回に分かれています。
育休の期間延長についてもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
【関連記事】育児休業期間の延長はどうすればいい? 手続きの詳細はコチラ
育休を延長したら、育児休業給付金の支給額はどうなる?
では、育児休業給付金の支給額はどのように決まるのでしょうか。支給額の算出には、以下の計算式1)を使います。
〈表〉育児休業給付金の支給額
育休開始から180日(6カ月)まで | 休業開始時賃金日額×支給日数(※)×67% |
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育休開始から181日(6カ月)以降 | 休業開始時賃金日額×支給日数×50% |
延長した場合も育休開始から181日以降であることは変わりません。そのため、延長期間の支給額も休業開始時賃金日額×支給日数×50%で計算します。
〈図〉延長した場合の育児休業給付金の支給額
育休は連続取得するよりも職場復帰を挟むのがおすすめ
そもそも育休の期間延長は、前述のように職場復帰が難しい場合の処置です。育休は原則として職場復帰を前提とした制度であり、連続して取得することを想定してつくられたわけではありません。連続で育休を取得すると、タイミングによっては育児休業給付金を受け取るには出勤日数が足りない場合もあり得ます。
また、支給要件を満たしていれば、2連続まではほぼ支給されるといっても、最大で4年間の休業をした場合、職場復帰後に会社で苦労する可能性も大きくなります。事情が許すようであれば、育休は連続で取得せず、間に最低1年間の職場復帰を挟むのがおすすめです。