「きちんと貯金したいな」とは思うものの、なぜか貯められず、給料日前にはいつも口座が空っぽ……という人は多いのではないでしょうか。特に20代のうちは、お金の使い方がわかっていなかったり、収入が少なかったりするために思うように貯金ができず、将来への不安ばかりが募りやすいもの。でもじつは、そんな20代こそ貯金を始めやすい「貯金適齢期」だといえるのです。
「若いうちに自分のお金の使い方をしっかり把握できると、“貯めグセ”がつきやすくなります」と教えてくれたのは、ファイナンシャルプランナーの冨士野喜子さん。20代の貯金事情のデータを追いながら、どのように貯金を始めればよいのか、具体的な方法を解説していきます。

※この記事では、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査」のデータをもとに、単身世帯および二人以上世帯の20代の金融状況について解説しています。なお、二人以上世帯には、世帯主が20代で共働きや子育て中の世帯も含まれており、金融資産や年収は「世帯全体」の金額で集計されています。

※この記事は、2022年 6月30日に公開した内容を最新情報に更新しています。

この記事の監修者

冨士野 喜子(ふじの よしこ)

ふじのFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー
教育出版会社、外資系生命保険会社を経て、2012年にFPとして独立。教育出版会社、外資系生命保険会社を経て2012年にFPとして独立。金融商品を取り扱わないFP事務所として、幅広い世代からの相談対応を行っている。近年は、子ども向けマネー講座、資格取得講座の講師として、金融教育に力を入れている。プライベートでは3児の母。

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20代で金融資産をもたない人の割合は36.6%

画像: 画像:iStock.com/years

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まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が2024年に行った「家計の金融行動に関する世論調査」1)から、20代の貯金事情を見てみましょう。

同調査によると、20代(単身世帯)で将来の備えとなる金融資産を保有していない人の割合は36.6%。つまり、金融資産を保有している人は約63%にとどまっています。また、二人以上世帯は、22.8%と単身世帯よりは割合が低くなっています。

※:金融資産とは、運用や将来の備えとして蓄えられた預貯金、株式、保険などのことを指します(不動産や貴金属、現金、生活費用としての預貯金は含まない)

〈表〉【年代別】金融資産の保有状況1)

単身世帯二人以上世帯
金融資産非保有率
20代36.6%22.8%
30代33.4%24.5%
40代33.3%25.7%
50代40.2%29.2%
60代27.7%20.5%

20代の8.2%は預貯金すら持たない「貯金なし」世帯

前述の「金融資産なし世帯」は、あくまでも将来への備えや運用目的の貯金を含む金融資産はない世帯を指しています。では、「生活費としての預金も含めて、預貯金・金融資産を一切保有していない」という世帯の割合を見てみましょう。。

20代(単身世帯)で貯金なしの人の割合は8.2%です。二人以上世帯では3.5%と単身世帯に比べて低い数値となっていますが、これは調査対象者数に大きな差があるため、単純に比較することはできません。

〈表〉【年代別】預貯金(※1)・金融資産(※2)の保有状況1)

単身世帯二人以上世帯
預貯金・金融資産をいずれも保有していない世帯の割合
20代8.2%3.5%
30代3.1%4.3%
40代4.9%3.8%
50代7.4%3.4%
60代3.7%2.1%
※1:預貯金には、日常的な出し入れ・引落しに備えている部分も含む。
※2:金融資産とは、運用または将来に備えて蓄えている預金、株式、保険などのこと。

20代の平均貯金額は91万〜147万円

同調査によると、20代(単身世帯)の金融資産保有額の平均値は161万円です。そのうち預貯金の平均金額は91万円となっています。二人以上世帯では、金融資産保有額の平均値は382万円、そのうち預貯金の平均金額は132万円です。

なお、この平均値は貯金なしの人も含む値です。

〈表〉【年代別】金融資産保有額(※1)の平均値と預貯金額(※2)の平均値(金融資産を保有していない世帯を含む)1)

単身世帯二人以上世帯
金融資産保有額の平均値預貯金金融資産保有額の平均値預貯金
うち定期性預貯金うち定期性預貯金
20代161万円91万円18万円382万円132万円26万円
30代459万円200万円55万円677万円349万円59万円
40代883万円331万円131万円944万円402万円175万円
50代1,087万円419万円180万円1,168万円468万円211万円
60代1,679万円551万円241万円2,033万円811万円411万円
※1:金融資産とは、運用または将来に備えて蓄えている貯金、株式、保険などのこと。
※2:預貯金には、日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は含まない。

一方、金融資産を保有する世帯に絞って金融資産保有額を見てみると、その額は大幅に上がります。20代(単身世帯)の金融資産保有額の平均値は260万円となっており、そのうち預貯金の平均金額は147万円です。二人以上世帯では、金融資産保有額の平均値は508万円、そのうち預貯金の平均金額は175万円です。「貯めている人」「貯めていない人」の差が大きく開いていることがわかります。

〈表〉【年代別】金融資産保有額(※1)の平均値と預貯金額(※2)の平均値(金融資産保有世帯)1)

単身世帯二人以上世帯
金融資産保有額の平均値預貯金金融資産保有額の平均値預貯金
うち定期性預貯金うち定期性預貯金
20代260万円147万円28万円508万円175万円35万円
30代700万円305万円84万円909万円468万円79万円
40代1,342万円503万円199万円1,293万円551万円240万円
50代1,859万円717万円308万円1,677万円671万円302万円
60代2,363万円775万円339万円2,581万円1,030万円522万円
※1:金融資産とは、運用または将来に備えて蓄えている貯金、株式、保険などのこと。
※2:預貯金には、日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は含まない。

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貯金できないのは目的が定まっていないから

画像1: 画像:iStock.com/takasuu

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働き始めたばかりの20代前半は収入が少なく、ボーナスもほとんどないため、貯金にまわせるお金がないというケースは珍しくありません。お金を貯めにくい時期だといえるでしょう。

しかし、20代後半になれば、収入も多少はアップし、ボーナスで大きな額が入ってくるようになる人も多いので、そういった場合は貯金しやすくなってきます

ただ、貯金を始めるにあたって大切なことは、「収入が増えること」よりも「思考を変えること」なのです。もちろん貯金にまわすお金を捻出する必要はありますが、収入が増えたからといって、誰でも貯金できるようになるわけではありません

20代(単身世帯)の「金融資産非保有」の割合は36.6%でしたが、30代だと33.4%、40代は33.3%、50代は共に40.2%です。年齢が上がっても、貯金がない人の割合は大きくは変わりません

さらに、年収別で見てみると、年収1,200万円以上と回答した20代の単身世帯17人中4人は金融資産を持っていませんでした。一方、二人以上世帯では、331人中20人は金融資産ゼロでした。つまり、貯金ができる・できないは年齢や年収に関係なく、重要なのは「貯金をするぞ!」と、強く思えるかどうかなのです。

〈表〉【年代別】金融資産の保有状況1)

単身世帯二人以上世帯
300万円未満36.1%35.8%
300~500万円未満26%25.3%
500~750万円未満12.1%19.1%
750~1,000万円未満15.2%16.1%
1,000~1,200万円未満29.4%12.8%
1,200万円以上23.5%6%

20代でも貯金したほうがよいケース4選

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なかなか貯金できない20代でも、将来に備えての貯金は必要となってくるでしょう。ここでは、特に20代でも貯金したほうがよいケースを4つ紹介します。

〈表〉20代でも貯金したほうがよいケース4選

それぞれ詳しく解説していきます。

①一人暮らしを考えている場合

一人暮らしを予定している人は、早めに貯金を始めるべきです。一人暮らしをスタートさせるだけでも、以下の費用がかかるためです。

【一人暮らしをスタートするのに必要な費用】

  • 敷金、礼金などの物件契約代
  • 火災保険料
  • 引っ越し代
  • 家具・家電代 など

住んでいる地域にもよりますが、こうした一人暮らしのための初期費用は数十万円かかることがほとんどでしょう。また、一人暮らしを始めたあとには、家賃や食費、光熱費などの生活費もかかります。

総務省の2024年の「家計調査」2)によると、34歳以下の単身者の平均消費支出は月17万6,366円(うち、住宅費4万146円)です。毎月この程度のお金が必要となると、手取りが少ない20代の間に、貯金なしで生活をすることには大きな不安が残ります。一人暮らしを考えている人は、安心して生活を送れるように、ある程度の貯金を確保してから一人暮らしを始めることが望ましいでしょう。

②結婚を考えている場合

結婚を考えている人は、20代のうちからコツコツ貯金をすることがおすすめです。リクルートブライダル総研の「ゼクシィ 結婚トレンド調査2024 (首都圏)」によると、結納・婚約から新婚旅行までにかかった費用の総額は454万3,000円です3)。また、結婚指輪の購入費だけでも平均29万7,000円がかかっています。

貯金ゼロで結婚をすると、結婚式を簡素にする「ジミ婚」や、そもそも結婚式をしない「ナシ婚」になりがちです。ただし、同調査によると、結婚費用を貯金している人は平均325万8,000円を用意しています。ご祝儀などでカバーできる部分もありますが、人生の節目に披露宴や結婚式をしたい人は、準備資金として300万円以上は用意しておくと安心です

③マイホームの購入を考えている場合

マイホームを買いたいと考えている人も、20代のうちから貯金しましょう。マイホームを購入する際には、家の購入費用だけでなく、登録免許税や不動産取得税など、諸費用もかかります。マイホームの購入には、住宅ローンを利用する場合がほとんどだと思いますが、ローンの借入金額が多くなると、月々の返済が家計を圧迫してしまいます。

そのため、マイホームをローンで購入する際には、物件価格の1~2割程度の資金は準備しておきたいところです。購入物件の価格は、注文住宅・戸建てやマンションなど購入物件の種類、地域によって異なりますが、新築物件の平均価格は約3,600万~5,300万円4)ですので、準備しておきたいお金の目安は350万~800万円となります。20代で全額を準備することはなかなか難しいですが、将来、マイホームを手に入れたいと考えているなら、20代から貯金を始め、コツコツ資金を用意しましょう。

④妊娠・出産を望んでいる場合

厚生労働省保健局によると、出産にかかる費用の平均は約50万円です5)。公的病院か民間病院か、病院の種類にもよりますが、子どもを望むなら、まずは出産に50万円程度かかると考えましょう。

健康保険から出産一時金が原則50万円支給されるほか、2025年4月1日から始まった「妊婦のための支援給付」もあるため6)、以前に比べると、出産にかかる自己負担は少なくなりました。とはいえ、ベビー用品の購入など何かと支出が増えますので、安心して出産・育児をするための準備をしておきましょう。

また、子どもが生まれてからは成長に応じて、教育資金がかかります。幼稚園から高校までの学習費を調べた文部科学省の調査7)と、高校入学から大学卒業までの平均費用を調べた日本政策金融公庫による調査8)によると、幼稚園から大学まで、すべて公立に通わせた場合の子どもの平均教育費は、約1,080万4,209円です。すべて私立に通わせる場合は、文系で2,668万612円、理系では2,799万8,612円がかかります

【関連記事】【先輩パパ・ママ200人に質問】出産前にやればよかった「お金の後悔」TOP7

20代独身の間こそ、人生における「貯金適齢期」

貯金を始めるなら20代がチャンス

画像1: 画像:iStock.com/Milatas

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人生には、“三大貯金適齢期”があります。

  • 就職してから結婚するまでの独身の時期
  • 結婚後~出産後、子どもが小学校を卒業するまでの時期
  • 子どもが独立してから自分が定年を迎えるまでの時期

このうち、20代は「独身の時期」に該当する人が多いでしょう。独身の間は、収入の使い方を自分だけで決められます。どのくらい使ってどのくらい貯金にまわすかは自分次第なので、たくさん貯めようと思えば貯められる時期だといえます。

結婚後、共働き世帯の場合は、家賃など今まで別々にかかっていた費用をコンパクトにできるため、独身時代よりも貯金にまわせるお金が増えることもあります。また、子どもが生まれてからは、教育費の負担が本格化する前の時期が“貯め時”です。育児が始まると、自分や配偶者の収入の多くが子どもの生活費に充てられるようになるため、当然ながら自由に使えるお金は減っていくでしょう。

先ほど、「貯金ができる・できないは年齢や年収に関係ない」といいましたが、20代の貯金適齢期といわれるうちに貯金ができるようになっておくことは、その後の人生においても貯金を続けられる“貯めグセ”をつけることにもなるのです。

最初の目標は「20代のうちに100万円」

画像: iStock.com/William_Potter

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貯金を実践するためには、目標設定が大切です。目標がないまま漠然と貯金を始めても、よほど貯金が得意な人でない限り、続けられないからです。

ファイナンシャルプランナーとして、「30歳になるまでに貯めたい金額」の目安としてお伝えすることが多いのは、「年齢×10万円=300万円」です。年齢×10万円、という目標は設定しやすく、目安としてわかりやすいからです。

それぞれの家計には収入や支出に特徴がありますし、人によって貯めておくべき金額は異なりますが、実際にもし職を失ったり病気になったりしても、300万円あれば安心感を持てるでしょう。

ただし、貯金ゼロの状態で、いきなり300万円を目指すのは無謀に思えるかもしれません。そのため、現在貯金がゼロなら、まずは100万円を目指してみるのがよいでしょう。20代のうちに100万円を貯めることは貯金のトレーニングにもなり、30代以降の貯金の継続にもつながっていくはずです。

また、「100万円」という数字は想像しやすく、到達すると達成感があるわかりやすい数字です。達成できたら「つぎの目標は300万円、500万円にしよう」「1,000万円目指せるかもしれない」と、「100万円貯金」ができるようになると、具体的な感触がつかめるため、つぎのステップが見えてきます。

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貯金ゼロから始める貯金術 5つのステップ

画像: 画像:iStock.com/surasaki

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目標を設定したら、つぎは貯金するための具体的な方法を実践してみましょう。ここでのポイントは、いかに“貯めグセ”をつけるかということ。今まで貯金なしだった人は、そもそも“使うクセ”がついているのです。そこを見直し、貯められる人になるためのポイントを5つのステップで紹介します。まずはステップ1から実践してみましょう。

【ステップ1】まずは無意識下の「無駄遣い」に気づく

画像: 画像:iStock.com/GoodLifeStudio

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貯金を始めるうえで、まず把握するべきは「支出」です。貯金できない人は、「意識せずにお金を使っている」という特徴が挙げられます。自分なりに節約しているつもりでも、どこかでお金を使ってしまっているのです。

これまで家計相談に乗ってきた中では、1,000円以下のもので散財しているケースが多く見られます。たとえば、カフェで飲み物とスイーツを買えば、500~600円はしますよね。週3回お茶したら、ひと月6,000~7,000円使っていることになるのです。日々のちょっとした贅沢が積もり積もって、数万円の浪費になってしまうこともあります。

小さい買い物は記憶に残りづらく、無駄遣いの感覚がないまま続けてしまうので、いつの間にかお金がなくなり、貯金ができなくなってしまうのです。

まずは、なんとなくでもよいので、自分の支出の無駄があることを自覚するようにしてみましょう。コンビニ、カフェ、ファストファッション…といった自分が無駄な支出をしやすいポイントを自覚することが、日々の支出を減らすことの第一歩です。

【関連記事】簡単にできる節約術30選について、詳しくはコチラ
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【ステップ2】手帳やスマホに「支出メモ」をつける

画像: 【ステップ2】手帳やスマホに「支出メモ」をつける

つぎは、1日に使った金額をメモしてみましょう。家計簿でもよいのですが、レシートをもとに細かく仕分けして書こうとすると挫折しやすいので、手帳やスマホのメモに、1日に使った金額を走り書きするだけでも十分です。

1カ月間、支出メモを続けるだけでも、どんなタイミングでどれくらいお金を使っているかが可視化されます。ステップ1で確認した自分の支出ポイントが、より明確になっていくでしょう。さらに、「給料日のあとは飲み会で散財しやすい」「仕事のストレスがたまると買い物欲を我慢できず、服を買ってしまう」など、どの時期により気をつけるべきかが見えてきます

支出メモはずっと同じように続けなくてもOKです。おすすめなのは、「今月は食費だけメモしよう」「コンビニで買ったものだけつけてみよう」と項目を1つに絞ってメモしてみること。ずっと同じメモをつけ続けるのには飽きてしまいがちですが、テーマを決めれば続けやすくなるはずです。さらに、項目ごとの支出の傾向がわかると、無駄な支出への対策がしやすくなるというメリットもあります。

支出するポイントを意識できるようになると、買い物の判断力も鍛えられます。たとえば、服を買う時に「今はストレスがたまっていて、欲しい気がしているだけだから、これは買わないでおこう」と、冷静に取捨選択できるようになり、無駄遣いが減っていくのです。

【ステップ3】「1日100円」ミニマムな目標からスタート

画像: 画像:iStock.com/frema

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自分の支出ポイントを把握し、買い物の判断力をつけられたら、実際にお金を貯めていくフェーズです。

まずは「1日100円」など、簡単に達成できる小さな目標から始めましょう。最初から「1カ月3万円」のようにまとまった目標金額を決めると、一度に口座から減る金額が大きくなり、3万円が捻出できなかった月がきっかけで貯金を諦めてしまいかねないからです。

「1日100円」なら、3日分まとめて300円貯金するということも簡単です。1カ月続いたら「1日500円」にステップアップするなど、徐々に目標を高めていくのがポイントです。この繰り返しで“貯めるクセ”をつけるのです。

自動貯金アプリ「finbee(フィンビー)」もおすすめです。「1日100円」「出社したら500円」など、独自のルールを設定するだけで、貯金用の口座に自動的にお金を移してくれます。貯金が苦手な人でも、ゲーム感覚で始めやすいでしょう。

どうしても定期的に貯められないという人は、1日の終わりに、財布に入っている小銭をすべて貯金にまわす、という方法を試してみてください。毎日少しずつ貯まっていく過程に喜びを覚え、貯金が楽しくなるはずです。

【ステップ4】目標額に幅を持たせた「先取り貯金」

画像: 画像:iStock.com/baona

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少額の貯金に慣れてきたら、「先取り貯金」を始めましょう。あらかじめ1カ月の貯金額を設定し、給与が入ったら、すぐに貯金にまわしてしまうという方法です。

目標額は、給与の手取り額の10~15%程度に設定すると、無理なく続けられると思います。ステップ3で1カ月間に達成できた金額から始めてみるのもよいでしょう。このステップでは、「給与の一部をなかったことにして生活する」ことを実践してみましょう。

目標に幅を持たせるというテクニックもあります。友人の結婚式などで大きな支出があり、思うように貯められない月もあるでしょう。そのような時にも対応できるよう、目標額を「最低1万円、最高5万円」と設定しておくと、柔軟に対応でき、貯金を続けやすくなります。真面目になりすぎず、「貯金できない月があってもOK」くらいの気持ちで臨みましょう。

1カ月に少額しか貯金できない場合は、「ボーナスの半分は貯金にまわす」などのルールを決め、ボーナスで一気に貯金額を増やすのも1つの方法です。

【関連記事】先取り貯金について、詳しくはコチラ

【ステップ5】貯金の先に「ご褒美」を用意

画像: 画像:iStock.com/Sushiman

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ただ貯金を続けているだけだとモチベーションが保てないので、自分にご褒美をあげることも忘れずに。たとえば、「1年で貯金できた額の1割は自由に使っていい」というルールを決めます。1年間で50万円貯まったら、そのうちの5万円で旅行に行くのもよいでしょう。

ご褒美を用意することで貯金を楽しいものだと思うクセをつければ、頑張ろうと思えるはずです。そもそもお金は、貯めるものではなく使うもの。「使うために貯める」という意識も大切です。

これらのステップで“貯めるクセ”を少しずつ身につけていけば、短期的に貯金ができるだけでなく、長く貯金を続けていけるはずです。貯める喜びを感じられるようになれれば、目標の100万円も達成できるでしょう。

いくら貯めるべき? ライフスタイル&目標別「貯金計画」の立て方

上記では、「とりあえず100万円を貯める」という指標を提示しましたが、もし「海外旅行に行きたい」「結婚資金を貯めたい」など、具体的な目標があれば、その目標に向かって貯金を始めたほうがモチベーションを保ちやすいでしょう。そこで、ライフスタイルと目標に合わせて、貯め方をシミュレーションしてみました。

【実家暮らしの場合】「家賃・光熱費」分を貯金しよう

画像: 画像:iStock.com/visualspace

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●プロフィール

●Aさん(23歳・独身)の場合

  • 実家暮らし
  • 非正社員
  • 手取り月収16.7万円(手取り年収200万円)、ボーナスなし
  • 目標「1人暮らしを始める費用を貯めたい」

Aさんは手取り月収は少なめですが、実家暮らしなので、10万円もあれば1カ月分の食費や通信費、交際費は捻出できるでしょう。今後一人暮らしを始めるのであれば、まずは引っ越し資金と半年分の生活費として100万円を目標に貯金を始めてみましょう。

ちなみに、総務省が発表した「家計調査」2)によると、34歳以下の1人暮らし世帯の生活費(家賃や光熱費など)は、約5万5,000円/月となっています。地域差はありますが、実家暮らしでも生活費はかかっているものと想定し、毎月6万円程度を貯めてみると、1人暮らしを始めた際のお財布事情をシミュレーションできます。親に生活費を渡しているのであれば、6万~7万円からその金額を差し引いた分を貯金しましょう。

毎月6万円貯金したら、1年で72万円貯まります。毎月3万円だったとしても、貯金額は1年で36万円、3年で100万円を超えます。現実的に感じるのではないでしょうか。

【関連記事】実家暮らしの貯金は手取りの4割が目安!平均貯金額や生活費について、詳しくはコチラ

【結婚資金を貯める場合】目標は「年間100万円」

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●プロフィール

●Bさん(25歳・恋人と同棲中)の場合

  • 賃貸、恋人と2人暮らし
  • 正社員
  • 恋人と合わせて手取り月収33万円(手取り年収400万円)
  • 目標「結婚資金を貯めたい」

結婚式、新婚旅行、結婚後の新生活の準備など、結婚にまつわるイベントにかかる費用をすべて合わせると、400万円ほどかかると考えましょう。結婚式を小規模にする、新婚旅行をしない、結婚後も同棲していた家に住むなど、条件によって費用は抑えられます。

このケースでは、400万円を目標とします。仮にカップル2人の給与額が同じであれば、片方の収入(手取り額約16万円)を生活費にまわし、片方の収入を貯金にまわせるとベストです。1年で約200万円貯められるので、2年後には結婚式を挙げられるでしょう。

ただし、2人の生活費を1カ月16万円ほどでやりくりするのは、大変かもしれません。今貯金がない状況なら、1年で100万円の貯金を目指してみましょう。ハードルが高そうに感じるかもしれませんが、2人で月8万~9万円の貯金であれば、実現可能なはずです。

【収入に余裕がある場合】コンスタントに「先取り貯金」を

画像: 画像:iStock.com/Koji_Ishii

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●プロフィール

●Cさん(27歳・独身)の場合

  • 賃貸、1人暮らし
  • 正社員
  • 手取り月収28万円+ボーナス(手取り年収400万円)
  • 目標「海外旅行に行く費用を貯めたい」

それなりの収入があるのに貯められない人は、貯金を成功させるためのステップで紹介した「先取り貯金」を始めるのがおすすめです。

Cさんのように収入に余裕があると感じている場合、貯金の必要性を実感できない人も少なくありません。しかし、病気や失職など、未来のリスクに備えるためにも、貯金はしておいたほうが安心です。まずは海外旅行など楽しみのために貯めて、貯金の成功体験を得るのがおすすめです。

手取り年収を単純に12カ月で割ると、ひと月の手取り額が約33万円なので、その10~15%にあたる3万~5万円を月々の貯金にまわせば、1年経たずに旅行費用程度は貯められるでしょう。

また、手取り年収が400万円ほどある人だと、ボーナスの額が大きい場合があります。月々の貯金が難しいのであれば、「ボーナスには手をつけない」などのルールを決めて、一度に大きく貯めるのも1つの方法です。

【妊娠・出産を望む場合】「生活費1年分」を目標に

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●プロフィール

●Dさん(29歳・既婚)の場合

  • 賃貸、夫婦2人暮らし
  • 正社員
  • 夫婦合わせて月収40万円+ボーナス年間80万円(手取り年収560万円)
  • 目標「妊娠・出産費用を備えたい」

結婚式や新生活で今までの蓄えを使い切ってしまい、貯金がないという新婚夫婦は多いのではないでしょうか。将来、子どもが欲しいと考えるのなら、夫婦どちらかの収入がなくなっても生活していけるくらいのお金をできるだけ早く貯めておきたいところ。まずは家計を見直して、生活費がいくらかかっているか算出し、生活費1年分くらいを貯金目標にしましょう。

年間のボーナス80万円、それにプラスして手取り額の15%=毎月6万円を貯金できれば、80万円+72万円となるので、「1年で150万円」の貯金は可能でしょう。2年あれば、最低限の生活費1年分くらいにはなるはずです。

夫婦生活の貯金で大切なのは、2人できちんとお金について話すことです。お互いの年収、それぞれに支払っている通信費やローンの額などを開示しておかないと、どのくらい貯金できるかといった判断ができません。よく話し合ったうえで、お互いに納得のいく貯金額を設定しましょう。

【関連記事】夫婦で家計管理するコツについて、詳しくはコチラ

資産運用で活用したいおすすめ投資制度2選

画像: 画像:iStock.com/fatido

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コツコツ貯金が増えてきたら、つぎに考えてもらいたいのが「資産運用」です。資産運用では、投資制度が2つあるので、ぜひ活用してください。

〈表〉おすすめの投資制度

それぞれ詳しく解説します。

①NISA

NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、一定金額の範囲内で購入した投資商品に対して得られた利益に税金がかからない制度です9)

〈表〉NISAのつみたて投資枠と成長投資枠

つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円240万円
非課税保有期間無期限
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠単体では1,200万円まで)
口座開設期間恒久化
投資対象商品金融庁の基準を満たした投資信託金融庁の基準を満たした投資信託、
国内外の上場株式やREIT(不動産投資信託)
対象年齢18歳以上

NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、それぞれ年間投資枠と非課税保有限度額、投資対象商品などの違いがあります。

「つみたて投資枠」では、手数料を低く、月々少額から始められる投資信託での積立投資をすることができます。一方、「成長投資枠」は、リスクは高くなりますが、その分リターンを得やすい株式や投資信託でさらに資産形成することができます。20代であれば、長期的な運用期間を確保しやすいという大きなメリットがあります。まずは「つみたて投資枠」を中心に、焦らず着実な運用を心がけるとよいでしょう。

【関連記事】NISAを20代で始めた場合のシミュレーションについて、詳しくはコチラ
【関連記事】NISAのメリット・デメリットについて、詳しくはコチラ

②iDeCo

iDeCoとは確定拠出型年金のことで、自分で年金を積み立てながら運用する制度です。iDeCoを取り扱っている金融機関で手続きをすれば、誰でも簡単に利用できます。iDeCoの使い方は、以下のとおり10)です。

  1. 自身で設定した金額を積み立てる
  2. 定期預金や投資信託などで掛金を運用する
  3. 60歳以降、運用成績や拠出掛金に応じた年金を受け取る

掛金は月々5,000円から上限金額まで自分で決めることができ、途中で増やすことも止めることもできます。また、年金の受け取り開始年齢も60歳以降75歳までの間で自由に設定することができるため、ライフプランに応じて柔軟に対応できる制度という特徴があります。

そして、iDeCoの最大のメリットは掛金の全額が所得金額から控除されるため、収入から引かれる所得税や住民税が少なくなるという点です。また、運用益にかかる税金は非課税となるため、税制上のメリットが大きい制度です。ただし、60歳までは引き出せない点に注意しましょう。

【関連記事】iDeCoについて、詳しくはコチラ

20代におすすめの金融商品3選

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前途した制度を利用する際の参考として、20代におすすめの資産運用方法を3つ紹介します。

〈表〉20代におすすめの資産運用方法3選

それぞれ詳しく解説していきます。

①投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金を専門家が代わりに投資・運用してくれる金融商品です。数千円程度の少額から気軽に始められます。

投資先は株式や債券など投資信託によって様々ですが、専門家が選定するので投資の専門知識がなくてもできることがメリットです。専門家が市場をリサーチし、様々な銘柄に分散投資することで、価格変動のリスクを軽減しているので、安定的に運用している投資信託が多いことが特徴の1つです。

そして投資信託には、投資資金から得られた利益を再投資できるため「複利」の効果があります。投資期間が長ければ長いほど、複利の力を利用できる点も見逃せません。早めに始めて時間を味方につけましょう。

ただし、投資信託には様々な種類があり、手数料などがかかりますし、預貯金とは異なりマイナスになる可能性もゼロではない点は注意しましょう。少しでも余裕がある人は、毎月数千円からでも投資信託を始めてみてはいかがでしょうか。

②株式投資

株式投資は、代表的な資産運用の1つです。株式投資には、配当益、売却益、株主優待の3つのメリットがありますが、株式投資が20代におすすめといえる理由は、主に以下の4つです。

  1. 10万円未満の少額の資金で購入できる銘柄も多い
  2. 株主優待や配当金を受けられる(銘柄によってはないものもある)
  3. 国内外の経済情勢や企業の情報を集めるきっかけができる
  4. ほかの方法の資産運用を始める際の基盤になる

会社の株式を保有すると、必然的にその会社の動向や業界の情勢に敏感になれます。社会人となってまだ日が浅い20代にとっては、ビジネスや経済について学ぶよい機会となるでしょう。

③貯蓄型保険

生命保険の一種である貯蓄型保険は、満期まで存命であれば満期保険金を、途中解約すると返戻金を受け取れるため、資産形成法の1つとして活用できる保険です。貯蓄型保険には以下5つの種類があるため、自分に合った保険を選びましょう。

  1. 解約して返戻金を受け取るか、死亡などの保障を一生涯持つか選べる「終身保険」
  2. 一定の年齢を迎えた時点で年金保険金を受け取れる「個人年金保険」
  3. 外貨で運用し、通貨分散ができる「外貨建て保険」
  4. 保険料の一部をファンド(株式や債券など)で運用する「変額保険」

通常の掛け捨て型の生命保険と比べ、貯蓄型保険の保険料は割高です。しかし、保障を得ながら貯蓄もできるメリットがあります。保険料が強制的に引き落としされるので、“貯めグセ”をつけたい20代の人はぜひ取り入れてみましょう。

貯金に必要なものは「具体的な目標設定」

画像: 画像:iStock.com/Tabee

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“貯めグセ”をつける方法を紹介しましたが、お金を貯めるために最も大切なのは、具体的な目標です。将来どのくらいのお金が必要になるのか、貯めたお金を将来的にどう使いたいかを明確に決めていると、お金は自然と貯まっていくものなのです。貯金も大事ですが、なんのために貯金をするかというと、使うためなのです。

貯金ができない人は、まずは小さな目標を立ててみましょう。「欲しかったブランドバッグのために3万円貯める」「夏休みに旅行するために5万円貯める」など、目標の貯金額は少なくて構いません。小さな目標を達成できると貯金が楽しくなり、目標を高めていけるはずです。少しずつ“貯めグセ”を習慣化し、20代の間だけでなく、この先もずっと貯金を続けていけるよう意識してみましょう。

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