そんな魅力的な制度であるつみたてNISAですが、デメリットはあるのでしょうか?この記事では、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さん監修のもと、つみたてNISAのデメリットを他の資産運用と比較しながら紹介します。合わせて、メリットや資産運用初心者におすすめの理由についても詳しく見ていきましょう。
高山一恵(たかやま かずえ)
株式会社Money&You 取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。DCプランナー1級。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。
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つみたてNISAとは

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「つみたてNISA」とは、積立投資で利用できる少額投資非課税制度(NISA)のことです。年間40万円を上限として投資信託やETF(上場投資信託)を購入でき、その運用益が非課税になります。長期・分散・積立投資による国民の資産形成を支援する目的で、2018年に金融庁がスタートさせました。
NISAと投資の関係性がよくわからない…という方は、NISAという資産運用の商品があるのではなく、NISAという非課税の枠組みの中で投資を行うと考えると良いでしょう。具体的には、「NISA口座」や「つみたてNISA口座」を作って、投資を行うことになります。なお、投資ですから、預金などと違って元本保証はないのでご注意ください。
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NISAの最大の特徴は、投資で出た利益に税金がかからないことです。つみたてNISAでは20年間にわたって、投資で得られた利益が非課税になります。一般の証券口座で購入した投資信託の場合、利益の20.315%が税金として差し引かれるので、最終的な運用益や分配益に大きな差がつきます。
いまいちピンとこない人もいるかもしれませんが、たとえば100万円の利益が出た場合、一般の証券口座なら約20万円を納税しないといけないところが、つみたてNISAなら1円も納税しなくても良い、ということになるのです。
つみたてNISAで扱われている金融商品は投資信託・ETFのみで、金融庁によって一般の人が中長期的に安定的に資産形成できると判断された銘柄がラインナップされています。約6,000本ある投資信託・ETFのなかから厳正な審査によって約200本(2021年2月現在)まで絞り込まれているため、初心者でも始めやすい資産運用として注目を集めています。
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つみたてNISAのデメリットとは?

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そんなつみたてNISAですが、色々と調べていくうちに「他の手段もある中で、つみたてNISAを選んで良いの?」「デメリットはないの?」と疑問を持った人もいるのではないでしょうか。
まず押さえておきたいのが、つみたてNISAは「元々かかる税金が免除される」制度のため、単体で見た時にデメリットと言える部分は少ないということです。そこで、他の資産運用の手段と比較した時にどういった部分がネックになりやすいのか、という視点でデメリットを整理しました。
〈表〉他の資産運用の手段と比較した時の、つみたてNISAのデメリット
ここからは、それぞれのデメリットについて詳しく紹介していきます。自分が既に取り組んでいるものや検討しているものと比べてつみたてNISAはどのような部分にネックがあるのか、理解を深めていきましょう。
【デメリット比較①】一般の証券口座vs.つみたてNISA

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まずは、株式投資や投資信託など、一般の証券口座での投資と比較した場合のデメリットを、一つずつ見ていきましょう。
(1)購入できる金融商品の種類が限られている
一般の証券口座での投資と比較して、購入できる金融商品の種類が限られていることがつみたてNISAのデメリットのひとつです。前述の通り、つみたてNISAでは金融庁が定めた基準をクリアした投資信託・ETFしか購入できません。自由に銘柄を選択し、短期的に大きく利益を出したい人には物足りない部分もあるでしょう。つみたてNISAはあくまでも、長いスパンで利益を出すことに特化した制度なのです。
(2)大きな金額を一括投資できない
つみたてNISAでは、年間の投資金額の上限が40万円と定められています。さらに月単位・週単位などの積立投資を前提としているため、1度に40万円を使い切るような一括投資もできません。そのため、投資信託の価格(基準価額)の上下動を見ながら一気に大金をつぎ込むなど、短期的な運用はできない仕組みになっています。
(3)損益通算や繰越控除ができない
つみたてNISAでは、利益と損失を相殺する「損益通算」ができません。
たとえば、商品Aで20万円の利益が、商品Bで30万円の損失が出たとします。両方が課税口座で運用されていた場合、AとBの損益を合わせた10万円を損失として計上するため税金はかかりません。しかし、商品BをつみたてNISAで運用している場合は損失を差し引けず、課税口座で運用していた20万円がそのまま課税対象になります。つまり、実際には損失が出ているにも関わらず、利益のみに税金がかかってしまうのです。
〈図〉損益通算と繰越控除

同様に、つみたてNISAでは「繰越控除」もできません。繰越控除とは、その年に発生した損失を控除しきれない時に、翌年以降にその損失を繰り越して計上できる制度です。一般の投資なら最大3年間の繰り越しが可能ですが、つみたてNISAは対象外なので気をつけましょう。なお、一般NISAも損益通算と繰越控除には対応していません。
(4)リバランスが難しい
資産運用で、資産配分の割合が最初に決めたものから変わってきた時に、最初に決めた割合に戻すことを「リバランス」と呼びます。配分が変わってしまうと、計画通りに運用することが難しくなってしまいます。
〈図〉リバランス例

リバランスの基本的な方法は、商品の買い増しや売却です。しかし、つみたてNISAの場合は一括投資ができません。すでに年間40万円の上限を使い切っている場合、売却した分の買い直しなども翌年まで待たないといけません。つみたてNISAでリバランスが必要な時は、保有している商品の積立金額を見直し、時間をかけて目標の配分へと戻していくことが求められます。
【デメリット比較②】一般NISA vs.つみたてNISA

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積立投資に特化したつみたてNISAとは別に、一般の「NISA」という制度も存在します。こちらも投資への非課税制度で、年間120万円までの金融商品から得た利益が5年間にわたって非課税になります。投資信託・ETFだけでなく国内株式、外国株式、REITなども扱われているほか、一括購入も可能なので、一般の証券口座での投資に近いと言えるでしょう。
しかし、残念ながらつみたてNISAと一般NISAは同時に運用できません。どちらを選択すべきか迷っている方も多いと思います。つみたてNISAは一般NISAと比べて、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
(1)購入できる金融商品の種類が限られている
つみたてNISAは一般NISAと比べて、金融商品の種類が少ないです。つみたてNISAでは金融庁が定めた基準をクリアした投資信託・ETFしか購入できませんが、一般NISAでは投資信託・ETFのほかに国内株式と外国株式、REITなども扱われています。一般の「投資」と同様、自由に銘柄を選びたい人には一般NISAがおすすめです。
(2)年間で非課税になる金額が少ない
前述の通り、一般NISAの非課税枠は年間120万円で、つみたてNISAの年間40万円よりも多いです。そのため、年間で多くの資産を投資したい人には、一般NISAが向いています。
(3)大きな金額を一括投資できない
つみたてNISAでは、大きな金額を一括投資できません。あくまでも週単位・月単位などで一定金額を積み立てていく仕組みなので、40万円を一気に投資するような運用は不可能です。一般NISAは、年間120万円を上限として一括投資と積立投資のどちらにも対応しています。柔軟に運用スタイルを変えたり、価格の動きを見計らって投資したりしたい人は、一般NISAが使いやすいでしょう。
(4)ロールオーバーできない
一般NISAでは、保有している有価証券の非課税期間を延長する「ロールオーバー」も可能です。一般NISAの非課税期間は通常5年間ですが、所定の手続きによって非課税期間を最大10年間まで延長させられます。つみたてNISAはロールオーバーできないため、20年間を過ぎたら非課税期間は利用できません。
【デメリット比較③】iDeCo vs.つみたてNISA

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個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは、公的年金に加えて給付が受けられる私的年金制度です。加入者が毎月一定の掛金を積み立て、定期預金や保険、投資信託といった金融商品を運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。
【合わせて読みたい記事】iDeCoの詳しい仕組みやメリットをまとめた記事はこちら
受取金は積立金と運用損益の合計になるため、成果に応じて変動しますが、所得控除などの税制優遇を受けられるメリットもあり、老後に向けた資産形成のひとつとして注目されています。つみたてNISAはiDeCoと比べて、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
(1)所得控除の対象にならないので、節税効果が弱い
節税効果の高いつみたてNISAですが、iDeCoと比べると見劣りします。iDeCoにはつみたてNISAと同様、運用益が非課税になる税制優遇があるだけでなく、投資金額はすべて所得控除の対象になります。さらには将来的に積み立ててきた資産を受け取る際も、退職所得控除、公的年金等控除の対象となるため、所得税や住民税を節税することが可能です。節税効果に関してはiDeCoの方が優秀と言えるでしょう。
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(2)いつでもお金を引き出せるため、貯蓄の強制力が弱い
iDeCoは原則60歳になるまで給付を受け取れませんが、つみたてNISAはいつでも利益確定してお金を引き出すことができます。これはメリットでもありますが、お金が手元にあるとつい使い込んでしまう人や、老後の資産を確実に作りたい人にとっては逆効果になる可能性もあります。その場合は、強制的に資産形成できるiDeCoを選びましょう。
つみたてNISAのメリットとは?

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ここまでデメリットを確認してきましたが、先述したようにつみたてNISA自体のデメリットは多くはありません。むしろ、資産運用の初心者こそ利用すべき制度と言えるでしょう。
ここからはつみたてNISAのメリットを、ほかの資産運用の手段と比較しながら解説します。
〈表〉他の資産運用の手段と比較した時の、つみたてNISAのメリット
比較対象 | つみたてNISAのメリット |
---|---|
一般の証券口座での投資 | (1)運用益が非課税 (2)金融庁が定めた基準をクリアした商品の中から選ぶので、初心者でも選びやすい (3)積立投資に限られているので、初心者でも安心 |
一般NISA | (1)非課税の期間が長い (2)50歳以降の積立投資に向いている |
iDeCo | (1)お金をいつでも引き出せる (2)金融庁が定めた基準をクリアした商品の中から選ぶので、初心者でも選びやすい |
【メリット比較①】一般の証券口座vs.つみたてNISA

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まずは、株式投資や投資信託など、一般の証券口座での投資と比較した場合のメリットを、1つずつ見ていきましょう。
(1)運用益が非課税
つみたてNISAの最大のメリットは、運用益が非課税になることです。冒頭で説明した通り、一般の証券口座での投資では運用益に20.135%の税金がかかるので、せっかく大きな利益が出ても高額な税金を納めなければなりません。その点、つみたてNISAでは20年間の運用益が非課税なので、全額が自分の資産になります。
(2)金融庁が定めた基準をクリアした商品の中から選ぶので、初心者でも選びやすい
つみたてNISAで扱っている投資信託・ETFは、金融庁が定めた基準をクリアした、長期・分散・積立投資に適した銘柄のみに絞られています。対して一般の証券口座での投資の場合は、幅広い選択肢のなかから投資手段や銘柄を選択しなければならないため、資産運用初心者は自分に適した商品を選ぶのが難しいでしょう。
一般の証券口座で運用する投資信託の場合、購入時にかかる販売手数料、保有時にかかる信託報酬、売却時にかかる売却手数料と、3種類の手数料がかかる商品もあります。一方でつみたてNISAの場合、売買時の手数料はかからず、信託報酬も安いものだけが金融庁によってラインナップされています。
投資商品は、手数料の高い商品や運用の仕組みが複雑な商品も多いため、利回りのいい商品を見極めるのは容易ではありません。実際、一般の証券口座で運用する投資信託を購入した人の約50%が損をしているというデータ1)も金融庁から発表されています。金融庁が定めた基準をクリアした商品だけが厳選されているつみたてNISAは、安心して資産運用に取り組みやすい仕組みと言えるでしょう。
(3)積立投資に限られているので、初心者でも安心
つみたてNISAは、その名の通り、積立投資でのみ運用が可能です。たとえば、月に1回・1万円ずつ、月に2回、10日と20日に5,000円ずつ投資を行うといった方法をとることになります。大きな金額を一括投資することはできません。
そのため、大きな損失を出すのが不安な初心者でも、少額から安心して始めることができます。そもそも積立投資は、長期的な経済成長の恩恵を受けることで利益を出していくのが主流です。短期間で儲けようとするハイリスクな投資よりも、初心者向けと言えるでしょう。
【メリット比較②】一般NISA vs.つみたてNISA

画像:iStock.com/ Yusuke Ide
つみたてNISAと一般NISAは選択制で、併用できません。どちらを利用すべきか迷っている人も多いのではないでしょうか。一般NISAと比較した場合の、つみたてNISAのメリットを紹介します。
(1)非課税の期間が長い
つみたてNISAは非課税の期間が長く、積立投資の支援に特化した制度です。一般NISAの非課税期間は5年、ロールオーバーしても最大10年であるのに対し、つみたてNISAの非課税期間は20年と長いです。最初から年間40万円以内の少額での積立投資を前提とするなら、つみたてNISAの方が10〜15年長く非課税になるため、最終的な利益も出やすくなります。
(2)50歳以降の人もはじめやすい
つみたてNISA、一般NISAともに年齢の上限はなく、20歳以上の人なら誰でも加入できます。50〜70代の人は「今から20年間の長期投資をしても仕方ないから」と、短期的な利益を期待できる一般NISAを選択する人が多いのではないでしょうか。退職金によって金融資産が大きく増えるのも、その後押しになるでしょう。
しかし、人生100年時代と言われて寿命も伸びている昨今、中高齢層であっても20〜30年後を見据えた積立投資は有効な選択肢になります。むしろ若い世代よりも立て直しが難しい分、より安全な投資をすることが大切です。投資のタイミングが分散されて高値掴みを防止できる積立投資は、その点で優れています。なかでも長期の非課税期間があり、金融庁が定めた基準をクリアした商品のみがラインナップされているつみたてNISAは、中高齢層とも相性のいい制度と言えるでしょう。
【メリット比較③】iDeCo vs.つみたてNISA

画像:iStock.com/ Yusuke Ide
老後を見据えた積立投資の手段として、つみたてNISAと並んで注目を集めているのがiDeCoです。iDeCoと比較した場合の、つみたてNISAのメリットを紹介します。
(1)お金をいつでも引き出せる
iDeCoは老後に給付を受け取ることを前提とした私的年金なので、原則60歳以降になるまでお金を引き出すことができません。しかし、つみたてNISAは自由にお金を引き出すことが可能です。特に若い世代の人は思い描いていたライフプランが結婚や出産、転職などで変わるケースもあるので、自分の資産状況に応じて、必要に応じてお金を引き出したり、途中で利益確定できたりするのはメリットになるでしょう。
(2)金融庁が定めた基準をクリアした商品の中から選ぶので、初心者でも選びやすい
iDeCoで運用する金融商品は自分で選択します。商品選びで躓いてしまい、結局は掛金すべてを定期預金のみで運用している人も多いです。しかし、それでは元本割れのリスクは抑えられるものの、将来的な年金額が大きく上昇することもありません。つみたてNISAなら、金融庁が定めた基準をクリアした商品だけが用意されているので選びやすく、将来的な利益も期待できます。
つみたてNISAのメリット・デメリット一覧

画像;iStock.com/ Moussa81
このように、資産運用の手段を決める時には、自分のニーズと合っているかどうか、ほかの投資手段と比較した時にどちらがより良いかを考えて選択することが重要です。ここまで解説したつみたてNISAのメリット・デメリットを、一覧表にまとめました。
〈表〉他の資産運用の手段と比較した時の、つみたてNISAのメリット・デメリット
比較対象 | つみたてNISAのデメリット | つみたてNISAのメリット |
---|---|---|
一般の 証券口座 | ・購入できる金融商品の種類が限られている ・損益通算や繰越控除ができない ・大きな金額を一括投資できない ・リバランスが難しい | ・運用益が非課税 ・金融庁が定めた基準をクリアした商品の中から選ぶので、 選びやすい ・積立投資に限られているので、初心者でも安心 |
一般NISA | ・金融商品の種類が限られる ・年間で非課税になる金額が少ない ・大きな金額を一括投資できない ・ロールオーバーできない | ・非課税の期間が長い ・50歳以降の人もはじめやすい |
iDeCo | ・所得控除の対象にならないので、節税効果が弱い ・いつでもお金を引き出せてしまうことから、 強制力が弱い | ・お金をいつでも引き出せる ・金融庁が定めた基準をクリアした商品の中から選ぶので、 選びやすい |
つみたてNISAを利用する時の注意点

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では、いざつみたてNISAを始めようと思った時にはどのような点に注意すべきなのでしょうか。あらかじめ押さえておくべきポイントを解説します。
(1)非課税枠は再利用、繰り越しできない
つみたてNISAの非課税枠の再利用、繰り越しはできません。たとえば、年間の上限である40万円を使い切ってしまったあと、保有している投資信託を売却してその分の非課税枠を再利用することは不可能です。また、年間で30万円の非課税枠しか使わなかったとしても、未使用分の10万円を来年に繰り越すことはできないため気をつけましょう。
(2)一般NISAと併用できない
繰り返しになりますが、つみたてNISAと一般NISAの併用はできません。ライフプランや投資経験、投資の目的などを総合的に考慮し、自分に合ったものを選びましょう。基本的には、金融商品について勉強中の初心者ならつみたてNISA、投資経験が豊富で売買タイミングなどを見極められる金融リテラシーの高い人には一般NISAが向いています。
(3)つみたてNISAと一般NISAの切り替えや、口座変更は年に1回まで
つみたてNISAから一般NISAへと途中で乗り換えることは可能です。ただし、それも年に1回ごとと決まっており、その年にNISA口座を利用して取引していた場合、翌年まで区分変更はできないしくみになっています。また、NISA口座の金融機関変更も1年に1回しかできないため、金融機関を変更したい場合には、変更したい年の前年10月1日から9月30日までに手続きをする必要があります。
(4)金融機関選びは慎重に行おう
NISA口座を開設する金融機関選びにも注意が必要です。実は金融庁が定めた基準をクリアした約200本の投資信託・ETFのうち、どの銘柄を扱っているかは金融機関によって異なります。
ネット証券の多くは170本前後と、ほとんどの商品を購入できますが、銀行などでは10本程度しか扱っていないケースもあります。自力で様々なファンドを調べて「この商品を買おう」と思ったとしても、自分が利用している金融機関にその商品がない可能性もあるのです。
ただ、一概に商品数が多ければ良いのではなく、数が絞られているからこそ商品選びがスムーズになることもあります。特に銀行ではリスクの低いインデックスファンドを中心に用意していることが多く、初心者でも選びやすいです。また、設定できる積立金額の下限や積立頻度も金融機関によって違うため、自分の運用スタイルに合いそうな金融機関を選択することが大切です。
資産運用は次の時代の必須スキル

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今の日本は、人生100年時代へと突入しつつあることに加えて、財政状況も良いとは言えません。これからは国のサポートを受けられる範囲が縮小し、自助努力で資産形成することが求められる時代になるでしょう。自分でお金を増やすことは、これから生きていく上での必須スキルになるはずです。
そのためには1日でも早く、資産運用の知識や投資の感覚を身につけることが大切です。つみたてNISAは投資初心者でも取り組みやすい制度なので、特にリカバリーの効きやすい若い世代の人は思い切って始めてみるのが良いと思います。長く続けることで、複利効果によって利益も出やすくなります。つみたてNISAを入り口に、これからの時代を生き抜く力を養っていきましょう。
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