この記事では、ねんきん定期便の見方をファイナンシャルプランナーの高山一恵さん監修のもと徹底解説。はがきや封書の見方だけでなく、インターネットでチェックする方法も紹介します。ねんきん定期便の内容をしっかりと把握し、老後の生活に備えましょう。
※この記事は2024年4月15日に更新しています。
この記事の監修者
高山一恵(たかやま かずえ)
株式会社Money&You 取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。DCプランナー1級。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。
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ねんきん定期便に関する基礎知識
ねんきん定期便とは、どのようなものなのでしょうか。まずは基本的な情報を知っておきましょう。
(1)ねんきん定期便とは
ねんきん定期便とは、国の年金制度への理解を深めることを目的に発行されている通知書です1)。国民年金保険または厚生年金保険(※1)の被保険者を対象として、毎年1度、誕生月に日本年金機構から郵送されます。
〈図〉ねんきん定期便のイメージ
様式や記載内容は、受け取る人の年齢によって異なりますが、現在の年金加入状況を知ることができるようになっています。
※1:以下、国民年金保険を「国民年金」、厚生年金保険を「厚生年金」と表記します。
(2)ねんきん定期便の種類と内容
ねんきん定期便は、年齢によって内容が異なり、全5パターンが存在します。
主な様式は「はがき」ですが、“節目の年齢”と定められている35歳・45歳・59歳の誕生月には「はがき」の代わりに「封書」が送られてきます。「封書」では、「はがき」より詳細な年金加入状況を確認することができます。
以下に5パターンをまとめました。内容がどのように違うのかを確認してみましょう。
〈表〉ねんきん定期便の種類と内容
対象者 | 様式 | これまでの情報 | 年金額の情報 |
---|---|---|---|
①50歳未満 | はがき | ・直近1年間の年金の月別納付状況 ・保険料納付額の累計 ・年金加入期間の累計 | これまでの加入実績に応じた年金額 |
②50歳以上 | 老齢年金の種類と見込額 | ||
③年金受給者(※) | ー | ||
④35歳・45歳 | 封書 | ・全期間の年金の月別納付状況 ・保険料納付額の累計 ・年金加入期間の累計 | これまでの加入実績に応じた年金額 |
⑤59歳 | 老齢年金の種類と見込額 |
ねんきん定期便には、ザックリ分けると「これまでの情報」と「年金額の情報」という2種類の情報が記載されています。各項目の詳細と「年金額の情報」を見る際の注意点は、後述の「【図解】ねんきん定期便の詳細をサンプルで解説!」で解説します。
(3)ねんきん定期便で毎月いくらもらえるかがわかるのは、50歳以上の人だけ
ねんきん定期便の内容について、これから詳細を説明していきますが、その前に前提知識として知っておくべきことがあります。
読者のみなさんの中には、将来年金をいくらもらえるかが気になって、ねんきん定期便を確認する人が多いと思います。しかし、「将来、年金をいくらもらえるか」は、50歳以上になるまで知ることができません。
これは50歳未満の人は、これからの働き方や年金制度の変更次第で、もらえる年金の金額が大きく変わる可能性があるためです。
なお、50歳未満、50歳以上でねんきん定期便で確認できる内容は異なります。それぞれ以下のとおりです。
〈表〉ねんきん定期便の年金額に関する表記
50歳未満 | これまでの加入実績に応じた年金額 (これまでに納付した保険料の累計額を年額としたもの) |
---|---|
50歳以上 | 老齢年金の種類と見込額 (このまま60歳まで同じ条件で加入し続けた場合にもらえる年額) |
50歳未満のねんきん定期便には「これまでの加入実績に応じた年金額」という項目がありますが、これは実際に将来にもらえる金額ではありません。
年金を受け取るために必要な年金加入期間の有無にかかわらず、これまでに納付した保険料を基に算出したもので、今後の加入実績が増えるに従って金額は変化します。また、年金を受け取るためには、原則として120カ月以上の加入が必要ですが、この条件も無視した金額になっています。
つまり、50歳未満の人にとって、ねんきん定期便でわかることは、先ほど説明した「これまでの月別納付状況」がメインなのです。
以上のことを踏まえた上で、ねんきん定期便の内容を確認しましょう。なお、年金額の計算方法などは以下の記事で詳しく説明しています。
【関連記事】将来年金はいくらもらえる? 年金の種類別の計算方法や、職業別のシミュレーションについて詳しくはコチラ
(4)公的年金は課税対象
国民年金、厚生年金を合わせた公的年金は、雑所得に分類されるため基本的には課税対象です2)。しかし、公的年金等控除額より年金額が少ない場合は、非課税となります。所得税が非課税となる年金受給額は以下のとおりです3)。
〈表〉所得税が非課税となる年金受給額
・65歳未満で1年間の受給額が108万円未満 ・65歳以上で1年間の受給額が158万円未満 |
上記の受給額を超えると、各種税金が源泉徴収された金額が実際には振り込まれることになります。また、公的年金等控除額は国民年金と厚生年金を合わせた金額から計算されるため、注意が必要です。年金額から差し引かれる税金は以下のとおりです。
・所得税 ・復興特別所得税 ・住民税 |
ねんきん定期便に記載されている見込額どおりの金額がもらえるとは限らない点に、注意しましょう。
参考資料
【図解】ねんきん定期便の詳細をサンプルで解説!
それではここからは、ねんきん定期便の各項目の詳細について説明していきます。
(1)「はがき」のねんきん定期便の場合
まずは、50歳未満に送られてくるねんきん定期便の詳細を見てみましょう。
① 50歳未満に届く、ねんきん定期便の場合
〈図〉オモテ
〈図〉ウラ
【A】最新の月別状況
ここ1年の月別の支払い状況や保険料納付額などが書いてあります。はじめに、この項目に「未納」や「未加入」、空欄などがないかをチェックしましょう。
「月別納付状況」の中には、国民年金と厚生年金の欄があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
国民年金の保険料はすべての人が同額のため、金額は表示されず、月ごとに「納付済」「未納」などといった記載がされます。自身の納付状況はこの文言で判断することになります。なお、金額は毎年見直されます(令和6年度現在、1万6,980円〈月額〉)。
〈図〉国民年金の月別納付状況記載例
国民年金の納付状況の表示例と意味を一覧表にしました。この表を見ながら、確認してみてください。
〈表〉納付状況の表示例
表示 | 意味 |
---|---|
納付済 | 国民年金保険料を納めている月(免除や猶予されたあとに追納した場合も含む) |
未納 | 国民年金保険料を納めていない月(または、「定期便」作成時点で納付が確認できない月) |
確認中 | 「定期便」作成時点で納付状況が未確定の月(表示している最終年度の最終月のみを表示) |
3号 | 国民年金の第3号被保険者として登録されている月 |
全額免除 | 納付が全額免除されている月 |
半額免除 | 納付が半額免除されていて、免除後の残りの保険料を納めている月 |
3/4免除 | 納付が3/4免除されていて、残りの1/4の保険料を納めている月 |
1/4免除 | 納付が1/4免除されていて、残りの3/4の保険料を納めている月 |
半額未納 | 納付が半額免除されていて、免除後の残りの保険料を納めていない月(未納期間) |
3/4未納 | 納付が3/4免除されていて、残りの1/4の保険料を納めていない月(未納期間) |
1/4未納 | 納付が1/4免除されていて、残りの3/4の保険料を納めていない月(未納期間) |
学特 | 学生納付特例制度の適用を受けている月 |
猶予 | 納付猶予制度の適用を受けている月 |
産前産後 | 納付が産前産後期間により免除されている月 |
付加 | 付加保険料を納めている月 |
合算 | 国民年金の任意加入期間のうち保険料を納めていない月(※) |
未加入 | 20歳以上60歳未満の期間のうち、どの年金制度にも加入していなかった月 |
一方、厚生年金の保険料は月々の収入額によって決まります。そのため、収入額を算出するために必要な「標準報酬月額」(給与額)と「標準賞与額」(ボーナス額)、そしてそれに応じて徴収された「保険料」が記載されています。給与明細などを見ながら、金額が正しいかどうかをチェックしましょう。
〈図〉厚生年金の月別納付状況記載例
なお、加入していない箇所は空欄になります。未納部分の有無も確認しましょう。
ちなみに、「加入区分」の記載は、加入している制度により異なります。
〈表〉加入している制度ごとのねんきん定期便での記載
加入している制度 | ねんきん定期便での記載 |
---|---|
厚生年金保険 | 厚年 |
厚生年金基金 | 基金 |
船員保険 | 船保 |
公務員共済制度(国家公務員共済組合または地方公務員共済組合) | 公共 |
私立学校教職員共済制度 | 私学 |
〈図〉ウラ
【B】これまでの保険料納付額(累計額)
これまでに納めてきた国民年金保険料と厚生年金保険料を足した、通算の累計額がわかります。
【C】これまでの年金加入期間
年金への加入期間を知りたい時にチェックする欄です。国民年金、厚生年金のそれぞれの加入期間がわかります。
【D】通算の累計額を基にした年金額
先ほども述べたとおり、年金をいくらもらえるかについては50歳以上になるまで知ることができません。これまでの加入実績に応じた年金額(年額)を表示しています。
【E】お客様のアクセスキー
「ねんきんネット」のユーザーIDを取得する際に必要になる数字が記載されています。このアクセスキーの有効期限は3カ月です。ねんきん定期便の確認をインターネットに切り替えたいという人は、受け取ってから早めに手続きするようにしましょう。ねんきんネットに関しては、後述を確認してください。
② 50歳以上に届く、ねんきん定期便の場合
〈図〉オモテ
〈図〉ウラ
50歳以上の人に送られてくるねんきん定期便は、50歳未満の人とほとんど同じ内容です。A〜C、Eに関しては、前述の説明を参照してください。
ウラ面に50歳未満の場合にあった「通算の累計額を基にした年金額」(D)の代わりに、「老齢年金の種類と見込額(年額)」(F)という欄がある点が大きな違いです。
F欄で示されるのは、今の年金制度で60歳まで継続すると仮定した、65歳からもらえる年金見込額です。ここでは、各年齢で受け取る予定の金額も確認することができます。
(2)「封書」のねんきん定期便の場合
“節目の年齢”と呼ばれる35歳・45歳・59歳の時に送付される「封書」も、基本的には「はがき」のねんきん定期便と同じ内容です。
しかし、その書式は大きく異なります。「これまでの『年金加入履歴』」、「これまでの厚生年金保険における標準報酬月額などの月別状況」、「これまでの国民年金保険料の納付状況」という用紙が同封されているのです。
「はがき」のねんきん定期便では、「月別納付状況」の情報が直近1年分だけしか載っていませんが、「封書」では、「これまでのすべての実績」を知ることができます。
〈図〉用紙①これまでの「年金加入履歴」
これまで加入していた年金制度と、資格を取得した年月日や資格を失った年月日、加入月数の制度別の履歴を一覧で確認することができます。
〈図〉用紙②これまでの厚生年金保険における標準報酬月額などの月別状況
これまで加入していた厚生年金に関する保険料納付状況を、「年度ごと」と「月ごと」で記載しています。
〈図〉用紙③これまでの国民年金保険料の納付状況
これまで加入していた国民年金に関する保険料納付状況を、「年度ごと」と「月ごと」で記載しています。
ちなみに、35歳・45歳の時に送られてくるねんきん定期便と59歳の時に送られてくるねんきん定期便は、基本的に違いがありません。ただし、35歳・45歳の場合は「これまでの加入実績に応じた年金額」が、59歳の場合は「老齢年金の種類と見込額」が記載されています。
毎年送られてくるねんきん定期便にしっかりと目を通してこなかったという人は、改めて「もれ」や「支払い忘れ」がないか、“節目の年齢”で送られてくる封書を念入りに確認するようにしましょう。
<コラム>国民年金の第1号〜第3号被保険者とは?
国民年金には、3種類の加入者の区分があり、その種別によって加入する際の届出方法や保険料の支払い方法が異なります4)。以下の表に、被保険者の区分とそれぞれの対象者をまとめました。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 | |
---|---|---|---|
対象者 | ・自営業者とその家族 ・農業者とその家族 ・学生 ・無職の人 など | ・会社員、公務員など厚生年金、共済に加入している人 | ・第2号被保険者に扶養されている配偶者で、年収が130万円未満の人 |
届出方法 | 住んでいる自治体に届出 | 勤務先の会社が届出 | 第2号被保険者の勤務先に届出 |
保険料の支払い方法 | 納付書や口座振替など、自分で支払う | 厚生年金保険料とまとめて、勤務先が支払う(給与から天引きの場合が多い) | 第2号被保険者の勤務先が、第2号被保険者と第3号被保険者の保険料を合わせて支払う |
中でも、第3号被保険者に含まれる専業主婦(夫)の年金については、気になる人も多いのではないでしょうか。以下の記事で詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。
【関連記事】専業主婦(夫)は将来いくら年金をもらえる? 受給額を増やす方法や注意点について詳しくはコチラ
参考資料
最低限チェックしておくべきポイント
前述のとおり、ねんきん定期便には複数の情報が記載されていますが、様式に慣れないと「どこを読めばいいのかわからない」と感じる人も多いでしょう。
そこで、手元に届いた際に最低限チェックしておくべきポイントを解説します。
(1)「年金の月別納付状況」は必ずチェック
最低限チェックすべき項目は「年金の月別納付状況」(A)です。
これは自分が国民年金あるいは厚生年金の保険料をどの月に納付したかを記した情報です。
前述のとおり国民年金の場合、きちんと納付されていれば「納付済」、納められていなければ「未納」などと記載されています。一方、厚生年金では納付額などが記されるほか、納められていない場合には空欄になります。
日本年金機構の記録情報なので、誤りはないと思いがちですが、実際には「もれ」や「誤り」が存在することがあります。システム上のエラーのほか、結婚や転職、海外に住んでいた期間がある場合の届出忘れなどにより、「未納」や「未加入」と記載されていることがあるためです。
さらに、基礎年金番号制度が始まった1997年以前から国民年金に加入している人の中には、結婚した時の旧姓と新姓がうまく結びつけられていないケースもまれにあるようです。
そのままにしてしまうと、実際に支払った額に応じた年金額を受け取れなくなってしまう可能性があるので十分に注意しましょう。
(2)もらえる年金額が気になる場合は、「これまでの年金加入期間」や「年金見込額」をチェック
将来もらえる年金は、加入期間と支払った保険料の金額により変動します。そのため、「これまでの年金加入期間」(C)をチェックして、抜けがないか確認しておくのもよいでしょう。
たとえば大学に進学し、20歳を過ぎてから年金を納めていない期間(学生納付特例期間)があった場合には、その期間の分だけ将来もらえる年金が少なくなります。ただし、学生納付特例期間分の保険料は、10年以内であれば追納することも可能です。
また、50歳以上の場合には「年金見込額」(F)を確認して、具体的な年金額を把握しておくのもよいでしょう。
(3)「もれ」や「誤り」を見つけたら…
国民年金・厚生年金の加入状況をチェックして、もし「もれ」や「誤り」を見つけた場合には、お住いの近くの年金事務所に相談してください。
なお、35歳・45歳・59歳の時に送られる「封書」の場合、「年金加入記録回答票」と「返信用封筒」が封入されています。日本年金機構に返送するか、近くの年金事務所に提出してください。
なお、「年金加入記録回答票」は日本年金機構のウェブサイトからダウンロードすることも可能です5)。将来の年金を目減りさせないためにも、後回しにせず速やかに手続きするようにしましょう。
年金額をインターネットで確認する方法
ここまで、年に1度郵送されてくるねんきん定期便の見方を解説してきました。しかし、年に1度といわず、インターネットを通じていつでも年金加入状況を確認できる方法もあります。
ここからはインターネットでの確認方法について紹介していきます。
(1)ねんきんネット
① ねんきんネットを利用するメリット
ねんきんネットとは、自身の年金の情報を手軽に確認できる、日本年金機構のインターネットサービスです6)。このサービスを利用するメリットは、主に3つです。
ⅰ.常に最新の年金情報を閲覧できる
毎月更新される情報を閲覧できるほか、1年に1回の郵送を待たずに、最新の各月の年金記録が確認できます。また、「電子版ねんきん定期便」という、郵送されるねんきん定期便をデジタルで閲覧できる機能もあります(詳しいメリットは、後述します)。
ⅱ.いつでもどこでも閲覧できる
IDとパスワードがあれば、簡単にログインし、いつでもどこでも閲覧することができます。はがきよりも楽に自分の年金記録を管理できる利便性の高さが特徴です。
ⅲ.50歳未満でも年金額のシミュレーションができる
ねんきんネットでは、加入状況のほか、「年金額のシミュレーション機能」を利用することも可能です。
〈図〉ねんきんネットのシミュレーション機能
50歳未満だったとしても、現在の加入条件が60歳まで継続したと仮定した年金見込額を自動表示する「かんたん試算」や、今後の職業・想定収入および就業期間などの条件を設定して試算できる「詳細な条件で試算」なども行うことができます。また、年金受給開始年齢を繰上げたり、繰下げたりする場合の年金見込額なども表示可能です。
あくまでも予測値ですが、ある程度の年金額の想定を知りたい人は利用するとよいでしょう。
②ねんきんネットの登録方法
ねんきんネットを利用するには、ユーザーIDを取得する必要があります。日本年金機構のトップページからの「新規登録」ボタンをクリックして手続きを行いましょう。
登録には基礎年金番号とメールアドレスが必要です。年金手帳や年金証書など、基礎年金番号が確認できるものをあらかじめ用意しておきましょう。
登録方法は2つあり、アクセスキーを持っているか否かで手順が多少変わります。
アクセスキーとは、ねんきんネットのユーザーIDを取得する際に使用する17桁の番号のことで、ねんきん定期便に記載されています。
〈図〉ねんきん定期便に記載してあるアクセスキー
アクセスキーを持っている場合は、申し込み完了後、ユーザーIDが即時発行できるのに対し、アクセスキーがない場合はユーザーIDの発行に5営業日程度かかります。すぐに加入状況を知りたい人は注意しましょう。
【A】アクセスキーがある場合
①「有効なアクセスキーあり」の「新規利用登録」ボタンをクリック
②利用規約を確認する
③アクセスキー、基礎年金番号などの情報を入力。ログインパスワード、秘密の質問・答えを設定する
④入力内容の確認し、「ユーザーIDの発行を申し込む」ボタンをクリック
⑤申し込み完了! ユーザーIDを即時取得できる
【B】アクセスキーがわからない場合
①「有効なアクセスキーなし」の「新規利用登録」ボタンをクリック
③基礎年金番号などの情報を入力。ログインパスワード、秘密の質問・答えを設定する
④入力内容を確認し、「ユーザーIDの発行を申し込む」ボタンをクリック
⑤申し込み完了! 画面に申請受付番号が記載され、5営業日程度でユーザーIDが記載されたはがきが届く。
※申請受付番号はユーザーIDが届くまで大切に保管するようにしましょう。
なお、「マイナポータル」でねんきんネットとの連携手続きを行うと、ねんきんネットでユーザーIDを取得しないでも、ねんきんネットを利用することができます7)。初回利用登録の時間帯は平日8時〜23時である点、基礎年金番号を持っていないと一部の機能を利用できない点に注意しましょう。
(2)電子版ねんきん定期便
電子版ねんきん定期便は、毎年はがきで送られてくるねんきん定期便の内容をインターネットで確認することができるサービスです。
①電子版の登録方法
電子版ねんきん定期便は、ねんきんネットのユーザーIDを取得することで利用できます。
②電子版に切り替えることのメリット
電子版ねんきん定期便の場合、ダウンロード機能があるため、年金記録の管理・保存が簡単にできるといったメリットがあります。その上、誕生月に郵送されるねんきん定期便よりも1カ月ほど早く内容を確認できるのも特徴です。
なお、ねんきんネット内で、はがき版のねんきん定期便の郵送を停止することもできます。郵便物をチェックするのが面倒な人や、紛失してしまうといった懸念がある人は電子版ねんきん定期便を利用するのもおすすめです。
(3)公的年金シミュレーター
厚生労働省が試験的に運用している「公的年金シミュレーター」は、自分の将来の年金額を簡単に試算できるツールです。生年月日をはじめ、働き方や年収、受給開始年齢、税金、社会保険料額などを入力することで、年金見込受給額を算出することができます。
〈図〉ねんきん定期便に記載してあるQRコード
ねんきん定期便にも公的年金シミュレーターにアクセスするためのQRコードが記載されているので、気になる人は活用してみましょう。
年金の受給額を増やす3つの方法
将来もらえる年金額を確認した上で、記載されている見込額が低いと感じる場合は、年金額を増やす工夫ができないか考えてみましょう。年金の受給額を増やす方法には、以下の3つがあります。それぞれ詳しく解説していきます。
(1)働く期間を長くする
(2)繰下げ受給をする
(3)私的年金制度の利用や資産運用をする
(1)働く期間を長くする
ねんきん定期便で確認できる年金の見込受給額は、60歳までの加入が前提として計算されています。
原則、年金は加入期間が長いほど多く支給されます。60歳以降も健康で働ける状態にあるなら、厚生年金は70歳まで加入することができるので、年金を納める期間を長くするとよいでしょう。
ただし、場合によっては年金を早く受給するほうがメリットがある場合があります。以下の記事では、年金を早く受給する場合のメリットを解説しているので、気になる人は併せてご覧ください。
【関連記事】年金は60歳からもらったほうが賢い? 受給開始年齢によるメリット
(2)繰下げ受給をする
公的年金の受給は、原則65歳から始まりますが、最長75歳まで受給開始時期を繰下げることができます8)。受給時期を繰下げた場合、1カ月ごとに0.7%、1年間で8.4%受給額が増えます。
繰下げ受給をする注意点として、税金の増額や健康状態が挙げられるでしょう。とはいえ、65歳以降も働ける場合は、繰下げ受給により受給額を増やせるため、ひとつの選択肢として参考にしてみてください。
参考資料
(3)私的年金制度の利用や資産運用をする
年金の受給額を増やす方法として、私的年金制度の利用や資産運用をする方法も挙げられます。たとえば、以下の制度があります。
- iDeCo
- NISA
- 個人年金保険
- 国民年金基金
私的年金制度を利用すれば、公的年金にプラスして年金を受け取ることが可能です。老後の安心した生活を送るために、日本では様々な制度が創設されています。年金の受給額を増やす方法は、以下の記事でより詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
【関連記事】年金を月20万もらうために必要な年収はいくら? 補填するための制度など、詳しくはコチラ
ねんきん定期便に関する「よくある疑問」
ここまでねんきん定期便の見方や、ねんきんネットの利用方法について紹介してきました。ただ、内容を確認して「新たな疑問が生まれてしまった…」という人もいることでしょう。
ここからは、ねんきん定期便にまつわるよくある疑問と、その回答を紹介します。
疑問1「受給できる年金額が少ないのでは?」
50歳未満の人が「ねんきん定期便」を確認すると、年金額が少ないことが気になる人もいるでしょう。しかし、前述したとおり、この年金額は将来もらえる実際の金額ではなく、これまでの加入実績だけを基に計算した年金額で、今後の加入による金額変化分は含みません。
50歳未満の人の場合、保険料のこれまでの納付期間が短ければ当然金額は少なくなり、先々保険料を納めていれば将来受け取る年金は増えていきます。
そこで、現在の年金受給者が今年の時点(令和6年4月分から)でもらえる満額の年金額を下の表に示しておきますので、もらえる年金額の目安を知りたいという人は参考にしてみてください9)。
〈表〉令和6年4月分からもらえる年金額
年金の種類 | 令和5年度(月額) |
---|---|
国民年金(老齢基礎年金)※1 | 6万8,000円 |
厚生年金※2(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) | 23万483円 |
疑問2「年金が『未納』の場合はどうなるの?」
これまでの支払い状況を確認したところ、年金が「未納」と表記される人もいるでしょう。
未納の場合、未納期間は年金を受け取る際の受給資格期間へ算入されず、未納月分の年金額も反映されません。また、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格期間への算入もされないことになります。
年金額に反映されないということは、将来受け取る年金の金額が少なくなるので、老後の生活に困窮する可能性が高くなります。また、障害者になってしまった時に、障害年金がもらえないと生活に困窮する可能性が高くなります。また、自分が一家の大黒柱であるケースでは、もし自分が死亡してしまったら、遺族年金が支給されないと遺された遺族の生活が厳しくなる可能性も高いでしょう。
そのため、様々な理由から保険料を納めるのが難しい人は保険料免除制度や、納付猶予制度を利用することがおすすめです。
また、免除の承認を受けた期間の国民年金保険料は、あとから納付すること、すなわち「追納」が可能です。それにより年金額を増やすことができます。
気になることがあれば、近くの年金事務所へすぐに問い合わせるようにしましょう。
疑問3「基礎年金番号が記載されていないのはなぜ?」
ねんきん定期便には、年金事務所への問い合わせに用いる「照会番号」やねんきんネットに登録するための「アクセスキー」は書いているものの、基礎年金番号は記載されていません。これは個人情報を保護するためで、メールや電話で年金事務所に問い合わせても答えてもらえません。
基礎年金番号を確認したい場合は、以下を確認しましょう。
〈表〉基礎年金番号を確認できる書類
- 年金手帳(青色のもの)
- 基礎年金番号通知書
- 国民年金保険料の口座振替額通知書
- 国民年金保険料の納付書・領収書
- 年金証書
- 年金額改定通知書・年金振込通知書
疑問4「ねんきん定期便は捨てていい?」
ねんきん定期便を捨てても、罰則はないので、情報を一通り確認したら、捨ててしまっても問題ありません。記載されている情報は前述のねんきんネットでも確認することができます。
ねんきん定期便を捨てる前にやるべきことについては、以下の記事で詳しく説明しているので、併せてご覧ください。
疑問5「ねんきん定期便が届かなかったらどうすればいい?」
ねんきん定期便が届かない場合には、「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」か、年金事務所に問い合わせましょう。ねんきん定期便が届かない理由については、以下の記事で詳しく説明しているので、併せてご覧ください。
【関連記事】ねんきん定期便が届かない原因は? 詳しくはコチラ
老後に備えるためにも、ねんきん定期便を活用しよう
昨今、老後の生活費が足りなくなるのではないかといったニュースを目にする機会が増えました。そんなニュースを見て、どのような方法で、どのくらいの金額を老後の資金として準備をしたらよいのか不安に思っている人もいるでしょう。
そんな人にこそ、今一度伝えたいのがねんきん定期便を確認すべきということです。さらに、ねんきんネットを使えば老後のシミュレーションをすることも可能になるので、自分はどのくらいの金額を備えておくべきかを今のうちに把握しておくようにしましょう。