老後にいくら年金をもらえるか、気になる人は多いでしょう。将来もらえる年金が減るといわれている昨今では、老後の資金に関する不安は大きいものです。

そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの頼藤太希さん監修のもと、年金制度の詳細や職業別でもらえる年金額を紹介します。年金の計算方法や目安となる金額の早見表も紹介するので、将来もらえる金額のイメージができるでしょう。

また、老後の資金を増やす方法も解説します。将来の年金を不安に思っている人は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

頼藤太希(よりふじ たいき)

Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめての資産運用』(宝島社)、『1日5分で、お金持ち』(クロスメディア・パブリッシング)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。

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年金制度は大きく分けて「公的年金」と「私的年金」の2種類

画像: 画像:iStock.com/takasuu

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年金の制度を大きく分けると、法律によって加入が義務付けられている「公的年金」と、企業や個人が任意で加入できる「私的年金」があります。

〈図〉年金制度の違い

画像1: 年金制度は大きく分けて「公的年金」と「私的年金」の2種類

公的年金には、「国民年金」と「厚生年金保険(以下「厚生年金」と表記)」の2種類があります。すべての人が対象になる「国民年金」に、会社員や公務員が対象になる「厚生年金」が上乗せされる2階建ての構造になっています。

〈図〉公的年金制度の構造

画像2: 年金制度は大きく分けて「公的年金」と「私的年金」の2種類

一方、私的年金は公的年金に上乗せの給付を保障する制度です。上図のさらに上、3階部分に位置すると考えてよいでしょう。老後の不安を解消したい人、資産運用をして将来のためにお金を貯めたい人におすすめです。以下では、公的年金と私的年金についてそれぞれ詳しく解説します。

公的年金①国民年金

国民年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の国民であれば加入する義務がある年金制度です。国民年金では、主に下記の条件によって、もらえる年金の種類が異なります。

〈表〉年金の種類

老齢基礎年金10年以上保険料を納付した人がもらえる年金
障害基礎年金病気やケガなどの原因で障害を負った人がもらえる年金
遺族基礎年金国民年金の被保険者が亡くなった際に配偶者や子どもに支給される年金

保険料を40年間納付した場合、最大で年間77万7,792円(令和4年4月以降)の老齢基礎年金が支給されます1)。ただし、未納期間や免除期間がある場合は、その分もらえる年金も減額されるので注意しましょう。

また、国民年金は原則65歳から支給されますが、繰上げ受給や繰下げ受給をすると受け取る年金額も変わります。繰下げ受給の場合、年金の受け取り月数が減るため増額されますが、繰上げ受給では逆に減額されてしまいます。

なお、2022年4月現在の国民年金の保険料は月額1万6,590円です。保険料は毎年見直されるので、詳細は日本年金機構のウェブサイトを確認しましょう2)

公的年金②厚生年金

厚生年金とは、会社員や公務員が加入する年金です。会社員や公務員になると自動的に厚生年金に加入することになりますが、保険料は会社側と従業員側で折半して納付します。

厚生年金に加入していると、国民年金に厚生年金が上乗せされて受給できることがメリットです。なお、厚生年金はあくまでも組織に雇用された時点で加入します。したがって、国民年金のように年齢による納付開始の決まりはありません。

なお、2015年まではもう1つの公的年金として、常時勤務している国家公務員や地方公務員、私立学校の教職員が加入する「共済年金」がありましたが、現在では厚生年金に統合されています。

私的年金の種類

公的年金のほかに、下記のような私的年金があります。

企業年金を除いて、それぞれ任意加入できる年金制度や商品なので、将来受け取る年金をさらに増やしたい人は利用してみましょう。以下では、それぞれ詳しく解説します。

私的年金①企業年金

企業年金とは、企業が独自に設けている年金制度のことです。正式名称は「確定給付企業年金」で、確定給付企業年金法に基づいて運営されています。企業年金の大きな特徴は、加入時に将来受給できる年金額が決まっていることです。

そのため、ほかの年金制度に比べて、老後資金の見通しが立てやすいでしょう。なお、掛金などの管理はすべて企業が行うので、従業員が行う必要はありません

私的年金②iDeCo

iDeCoとは、自分で資産運用を行い、掛金と運用益を60歳以降に年金として受給できる制度です。年金制度でありながら、自身の運用次第で年金額を増やせる可能性がある点は魅力的でしょう。

最大のメリットは、掛金全額が所得控除を受けられる点です。所得控除を受けられれば、所得税や住民税の負担を軽くでき、節税効果も期待できます。また、運用益に税金はかかりません。ただし、原則60歳までは資産の引き出しができないので、注意が必要です。

私的年金③国民年金基金

国民年金基金とは、自営業の人や個人事業主などを対象とする、国民年金にプラスして加入できる年金制度です

会社員や公務員は厚生年金に加入しているため、老後に多くの年金を受給できます。しかし、自営業やフリーランスなどは厚生年金に加入できないため、将来もらえる公的年金は国民年金しかありません。

自営業やフリーランスの人は、国民年金基金に加入すれば、会社員や公務員との年金受給額の格差を埋めることができます。なお、掛金は全額、社会保険料控除の対象です。

私的年金④厚生年金基金

厚生年金基金とは、企業が国に代わって厚生年金保険料の一部を運用し、年金支給まで行う制度です。高度経済成長期に多く行われていましたが、バブル崩壊後は運用利回りが悪化しました。それに伴い、運用の中断を余儀なくされた企業が多く存在します。2014年4月以降は、厚生年金基金の新設は認められておらず、一部の企業のみが行っています。

私的年金⑤個人年金保険

個人年金保険とは、民間の保険会社が販売している金融商品の1つです。契約時に年金を受給する年齢を決めて、受給までの期間で保険料を支払います。

受給年齢になると、あらかじめ決めた期間中、年金を毎年受給できるしくみです。タイプによっては、受給期間中に本人が死亡した場合、残りの年金を遺族が受給することもできます。

公的年金の受給額の計算方法

画像: 画像:iStock.com/SrdjanPav

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公的年金は国民全員に加入義務がありますが、実際の受給額はどれほどのものなのか気になる人も多いでしょう。国民年金と厚生年金、共済年金では、それぞれ受給額の計算方法が異なります。以下では、簡易的な計算式を解説します。

なお、日本年金機構は年金額を把握できるシミュレーターを公開しているので、併せて活用するとよいでしょう3)

国民年金の計算方法

国民年金の場合、受給できる年金の最大額を利用して計算すると、年間の受給額が算出できます。たとえば、令和4年4月以降の年金受給額は最大で年間約77万7,800円です。それを以下の計算式に当てはめます。

年金受給額(年間)=77万7,800円×(保険料納付済み月数+免除期間)÷480カ月

また、受給額をすぐに確認したい人は、下記の早見表も参考にしてみてください。

〈表〉加入期間ごとの受給額早見表

加入期間受給額(年間/月間)
5年(60カ月)97,225円/8,102円
10年(120カ月)194,450円/16,204円
15年(180カ月)291,675円/24,306円
20年(240カ月)388,900円/32,408円
25年(300カ月)486,125円/40,510円
30年(360カ月)583,350円/48,613円
35年(420カ月)680,575円/56,715円
40年(480カ月)777,800円/64,817円

ねんきん定期便とは、日本年金機構から定期的に郵送されるはがきや封書です。これまでの公的年金の加入状況や、将来受給できる見込み年金額を把握できます。詳細は下記の記事で解説しているので、併せて参考にしてください。

【関連記事】ねんきん定期便の見方を図解でわかりやすく解説! 詳しくはコチラ

厚生年金の計算方法

老齢基礎年金は、原則として20歳〜60歳までの40年間(480カ月)国民年金保険料を納付することで満額受け取れます。

一方、老齢厚生年金の金額はおおよそ「平均年収÷12×0.005481×加入月数」という式で計算します。

老齢基礎年金の金額は保険料の納付期間が同じならば同額ですが、老齢厚生年金の金額は平均年収や加入月数によって人それぞれ異なります。

下記は23歳から厚生年金に加入した場合の平均年収別受給額を示した早見表です。あくまで目安ですが、参考になるでしょう。

〈表〉平均年収別受給額(23歳から厚生年金に加入した場合)

厚生年金年齢平均年収
200万円300万円400万円500万円600万円700万円
5年27歳83.4万円86.3万円89.0万円91.3万円94.2万円97.2万円
10年32歳89.0万円94.9万円100.1万円104.7万円110.7万円116.6万円
15年37歳94.6万円103.4万円111.3万円118.2万円127.1万円136.0万円
20年42歳100.1万円112.0万円122.5万円131.7万円143.6万円155.4万円
25年47歳105.7万円120.5万円133.7万円145.2万円160.0万円174.8万円
30年52歳111.3万円129.1万円144.9万円158.7万円176.4万円194.2万円
35年57歳116.9万円137.6万円156.0万円172.2万円192.9万円213.6万円
40年62歳122.5万円146.2万円167.2万円185.6万円209.3万円233.0万円
43年65歳125.9万円151.3万円173.9万円193.7万円219.2万円244.6万円
※国民年金満額(77万7800円)と厚生年金額の目安
※65歳未満の金額は65歳時点での受給金額を表示
(株)Money&You作成

より詳細な受給額を確認したい人は「ねんきん定期便」4)あるいは「ねんきんネット」5)を活用するとよいでしょう。

共済年金の計算方法

共済年金は2015年10月に厚生年金に一元化されました。しかし、それ以前に共済年金に加入していた人や、共済年金を受給していた人は、該当分に限り従来どおりの計算方法が適用されます。

平均月給×7.5/1000×加入期間

〈表〉共済年金の受給額早見表

加入期間平均給与(年収/12)
10万円20万円30万円40万円50万円
5年4.2万円8.3万円12.5万円16.6万円20.8万円
10年8.3万円16.6万円24.9万円33.2万円41.5万円
15年12.5万円24.9万円34.3万円49.8万円62.3万円
20年16.6万円33.2万円49.8万円66.5万円83.1万円
25年20.8万円41.5万円62.3万円83.1万円103.8万円
30年24.9万円49.8万円74.8万円99.7万円124.6万円
35年29.1万円58.2万円87.2万円116.3万円145.4万円
40年33.2万円66.5万円99.7万円132.9万円166.2万円

共済年金が廃止された2015年10月以降の受給額の計算方法は、厚生年金と同じです。

もらえる年金を職業別にシミュレーション

画像: 画像:iStock.com/seb_ra

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もらえる年金額は、職業ごとに異なるのが特徴です。以下では、職業別の年金受給額をシミュレーションしました。

  • 会社員・公務員
  • 個人事業主・専業主婦(主夫)

それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

①会社員・公務員の場合

会社員・公務員がもらえる年金受給額の目安は、以下のとおりです。

〈表〉会社員・公務員の年金受給額の目安

厚生年金年齢平均年収
200万円300万円400万円500万円600万円700万円
5年27歳83.4万円86.3万円89.0万円91.3万円94.2万円97.2万円
10年32歳89.0万円94.9万円100.1万円104.7万円110.7万円116.6万円
15年37歳94.6万円103.4万円111.3万円118.2万円127.1万円136.0万円
20年42歳100.1万円112.0万円122.5万円131.7万円143.6万円155.4万円
25年47歳105.7万円120.5万円133.7万円145.2万円160.0万円174.8万円
30年52歳111.3万円129.1万円144.9万円158.7万円176.4万円194.2万円
35年57歳116.9万円137.6万円156.0万円172.2万円192.9万円213.6万円
40年62歳122.5万円146.2万円167.2万円185.6万円209.3万円233.0万円
43年65歳125.9万円151.3万円173.9万円193.7万円219.2万円244.6万円
※国民年金満額(77万7800円)と厚生年金額の目安
※65歳未満の金額は65歳時点での受給金額を表示
(株)Money&You作成

②個人事業主・専業主婦(夫)の場合

個人事業主・専業主婦(夫)の年金受給額の目安は以下のとおりです。

〈表〉個人事業主・専業主婦(夫)の年金受給額の目安

受給額(月額)受給額(年間)生涯額の合計
64,816円777,800円19,445,000円
※生涯額の合計は65歳から90歳まで受給した場合を想定

個人事業主・専業主婦(夫)が加入できる公的年金は国民年金のみです。受給額は毎年変わるので、表内の数字はあくまでも参考値と考えておきましょう。また、上記の金額は、20〜60歳の間に保険料の未納期間がなく、満額受給した場合の金額です。

個人事業主・専業主婦(夫)は公的年金だけでなく、iDeCoや個人年金保険などの私的年金に加入すると、将来の受給額を増やせます。老後の資金に不安がある人は検討してみましょう。

専業主婦(夫)がもらえる具体的な年金額を知りたい人は、下記の記事もぜひご参照ください。

【関連記事】専業主婦(夫)が年金をいくらもらえるかを解説! 詳しくはコチラ

老後資金を増やす方法5選

画像: 画像:iStock.com/Khanisorn Chaokla

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老後の資金を増やすには様々な方法があります。私的年金や投資など、下記5つの方法を掛け合わせることで、より多くの資金を貯めることができるでしょう。

以下では、それぞれ詳しく解説します。

①私的年金を活用する

私的年金は、公的年金に上乗せの給付を保障する制度です。下記のように様々な制度があります。

  • iDeCo
  • 個人年金保険

余裕のある老後生活を送るために、公的年金に上乗せして活用することをおすすめします。また、公的年金が国民年金しかない個人事業主は、積極的に老後資金を増やすために加入しましょう。iDeCoや個人年金保険などは所得税の控除を受けられることもあるので、節税対策も兼ねて加入を検討するとよいでしょう。

②貯金方法を見直す

下記のような制度を利用すれば、効率よく老後資金を貯められます。

  • 財形貯蓄
  • 個人年金保険

企業では、財形貯蓄を設けて従業員の貯金をサポートしているところもあります。財形貯蓄を利用すると、給与から天引きされる形で貯蓄ができるので、無駄遣いをする心配がありません。

また、純粋な貯金ではありませんが、民間会社の個人年金保険を利用することでも、貯金と同じようにお金を貯めることができ、老後の資金を増やせるでしょう。個人年金保険とは前述したように保険料を毎月支払うことで、契約時に設定した受給開始時期に年金を受け取れる保険です。余裕のある老後生活を送りたい人は、検討しましょう。

③投資をする

画像: 画像:iStock.com/MicroStockHub

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老後の収入を少しでも多くしたい人には、投資信託や株式投資をおすすめします。投資信託とは、プロが自分の代わりに資産を運用してくれる投資方法です。

また、近年では「つみたてNISA」も人気です。つみたてNISAは2018年にスタートした少額投資非課税制度で、年間40万円までの投資に対する利益は非課税なのが特徴です。投資先は金融庁が定めた基準をクリアした金融商品のみなので、比較的安心して利用できます。

④働く期間を長くする

働く期間を長くすると、年金を多く受給できるようになる可能性が高くなります。下記の表は、厚生年金の平均受給月額を年代別にまとめたものです6)

〈表〉年代ごとの平均受給額6)

年代平均受給額(月額)
60〜64歳7万5,922円
65〜69歳14万3,069円
70〜74歳14万5,705円
75〜79歳15万569円
80〜84歳15万9,529円

年代によって平均額に差があるのは、法律の改正によって年金の支給額が年々引き下げられているからだと考えられます。少子高齢化が進むとともに、今後も年金の支給額が引き下げられる可能性があるでしょう。

60歳以降も働き続け、厚生年金の加入期間を延ばせば、受給額を増やせるかもしれません。なお、下記の記事では、年金の受給開始年齢に関するメリットやデメリットを詳しく解説しています。併せてご参照ください。

【関連記事】年金は60歳からもらったほうが賢い? 詳しくはコチラ

⑤現在の収入を増やす

老後の年金受給額が心配になる人は、現在の収入を増やすことを考えるとよいでしょう。収入を増やすには、副業や転職をすることが近道です。

副業をすることで、増えた収入分を貯金や私的年金にまわせます。今の職場で昇進などが見込めない場合は、転職を検討してみましょう。同じ職種でも、会社が変わると給料が増えることは珍しくありません。

なお、下記の記事では、年金を毎月20万円もらうために必要な年収などを詳しく解説しています。

【関連記事】年金20万円もらうには?年収などの条件について、詳しくはコチラ

年金額は主に職業と収入によって左右される

画像: 画像:iStock.com/kokouu

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将来もらえる年金額は、主に職業や収入によって左右されます。

また、少子高齢化が進む中、公的年金の支給額は年々引き下げられる一方です。退職後の人生も決して短くはない時代になったからこそ、老後の資金をどれだけ確保できるかは重要です。

老後を安心して過ごしたい人には、iDeCoや個人年金保険など私的年金への加入をおすすめします。加入することで老後資金の上乗せになるだけでなく、税金対策もできるので、ぜひ検討してみましょう。

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