将来のお金に不安を感じていながらも、「何から始めればよいのかわからず行動に移せない」という状況に陥ることがあります。その背景には、物価上昇や社会保障への不安があり、預金だけでは十分とはいえない環境の変化が挙げられます。

一方で、資産形成にはNISAや株式投資、保険など選択肢は多く、それぞれの違いがわかりにくいのも事実です。この記事では、資産形成の基本的な考え方から主な方法の違い、始めるためのステップなどを整理し、わかりやすく解説します。

本記事の監修者

画像: 資産形成とは?何から始める?初心者向けに始め方と主な方法を解説

西海重尚(にしうみしげひさ)

CFP®認定者
1級ファイナンシャル・プランニング
技能士公的保険アドバイザー
終活アドバイザー2級
DCプランナー

慶應義塾大学経済学部卒。大手損害保険会社、生命保険会社、日本FP協会認定教育機関を経てFPとして独立。生命保険、損害保険、相続に強いFPとして活動中。

資産形成とは?必要な理由

資産形成とは、毎月の収入から余剰資金を生み出し、貯蓄や投資を通じて将来に向けて計画的に資産を増やしていくことです。単なる貯金とは異なり、増やすことを前提とした行動である点が大きな特徴といえます。

その必要性は、社会環境の変化からも明らかです。たとえば、物価が年2%上昇した場合、現在の100万円の価値は10年後には約82万円相当まで目減りする試算になります。つまり現金で持っているだけでは、実質的に資産が減っていく懸念があるのです。

さらに、将来の大きな支出には、目安として老後資金が約2,000万円前後、子どもの教育費は1人あたり1,000万円以上、住宅購入費は3,000万〜6,000万円台といった現実的な数字があります。こうした支出に備えるためにも、早い段階から計画的に資産形成に取り組むことが重要です。

参考:金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」」(老後資金)※PDF p.21, 26

参考:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査_調査結果の概要【令和8年1月16日差替】 ※PDF p.18 「国公私立大学の授業料等の推移」(教育費)

参考:国土交通省「令和6年度 住 宅 市 場 動 向 調 査 報 告 書」(老後資金)※PDF p.21, 26

貯蓄と投資の違いを理解する

画像: 貯蓄と投資の違いを理解する

資産形成を考える上で、まず理解しておきたいのが貯蓄と投資の違いです。両者は目的やリスクが大きく異なります。

貯蓄は、普通預金や定期預金などを活用し、元本を守りながら資産を増やす方法です。現在の普通預金金利水準は年0.2〜0.3%程度と低く、大きく増やすことは難しいものの、元本割れのリスクが極めて低い点が特徴です。

参考:日本銀行「主要時系列統計データ表」

一方、投資は株式や投資信託などに資金を投じ、企業の成長や市場の値動きによって資産を増やすことを目指します。元本保証はありませんが、年3〜5%以上のリターンが期待できるケースも少なくありません。

両者は「安全性(元本保証の有無)」「収益性(リターンの大きさ)」「流動性(引き出しやすさ)」の3つの観点で整理できます。資産形成では、このバランスを意識しながら使い分けることが重要です。

主な資産形成の方法5種類を比較

資産形成には様々な方法があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは代表的な5つの手段を取り上げ、それぞれのメリット・注意点を整理しながら比較します。

預貯金

預貯金は資産形成の土台となる手段であり、安全性の高さが最大の特徴です。たとえば年0.2%の金利で100万円を預けた場合、1年後の利息は2,000円程度となり、大きく増えるわけではありませんが元本割れのリスクは基本的にありません。

そのため、生活防衛費の確保や、1〜3年以内に使う予定がある資金の管理といった用途に適しています。資産形成においては増やすお金と守るお金を分けることが重要であり、預貯金は後者の役割を担います。

投資信託・ETF

投資信託やETFは、初心者でも始めやすい分散投資の手段です。ひとつの商品で数十〜数百の銘柄に投資できるため、個別株に比べてリスクを分散しやすい特徴があります。

たとえば、毎月3万円を年利3%で20年間積み立てた場合、元本720万円に対して約981万円になる試算があり、長期で続けることで複利による効果が期待できます。

参考:金融庁「つみたてシミュレーター」

一方で、信託報酬と呼ばれる運用コストが年0.1〜2%程度かかることがある点には注意が必要です。このコストは長期運用になるほど差が大きくなるため、商品選びの際には重要な判断材料となります。

株式投資

株式投資は、個別企業に直接投資する方法で、値上がり益に加えて配当金や株主優待なども狙える点が魅力です。企業の成長に伴い株価が上昇すれば、大きな利益を得られる可能性があります。

その一方で、業績悪化や市場環境の変化により短期間で20〜30%以上下落するケースもあり、価格変動が大きくリスク管理が重要です。

また、企業の財務状況や業界動向、経済ニュースなどを継続的にチェックする必要があり、一定の知識と時間的余裕が求められます。初心者の場合は、少額から始める、または投資信託と組み合わせるといった工夫が有効です。

iDeCo・新NISA

iDeCoや新NISAは、税制優遇を活用して効率的に資産形成を行える制度です。特に2024年からの新NISAでは、年間投資枠や非課税保有限度額が拡充され、より使いやすくなりました。

NISAは運用益が非課税になるため、通常であれば約20%かかる税金が不要になります。長期投資との相性が良く、資産形成の中心として活用する人が増えています。

また、iDeCoは掛金が全額所得控除となり、所得税や住民税の軽減効果がある点が大きなメリットです。ただし原則60歳まで引き出せないため、老後資金として計画的に利用する必要があります。

保険

保険は本来、万一の事態に備える保障手段ですが、一部の商品では長期の資金準備に活用できるものもあります。特に、終身保険や個人年金保険などは、長期的に積み立てることで将来の資金準備にも活用が可能です。

たとえば、終身保険では一定期間経過後に解約返戻金が増える商品があります。変額保険では投資信託のように運用され、運用実績によっては元本を下回る恐れはありますが、将来の受取額が大きく増えるケースがあり、貯蓄性も兼ね備えています。

ただし、途中解約した場合は、解約返戻金が保険料払込総額を下回ることもあり、短期間での利用には向いていません。基本的には長期契約を前提とした設計となるため、ライフプランに合わせて無理のない範囲で活用することが重要です。

資産形成のポイント

画像: 資産形成のポイント

資産形成を成功させるためには、単に投資商品を選ぶだけでなく、長期・積立・分散という基本原則を理解することが重要です。さらに、投資だけでなく保障も含めた総合的な資産設計を意識することで、長期的に安定した資産形成につながります。

長期投資

長期投資とは、短期的な価格変動に左右されず、時間を味方につけて資産を増やしていく考え方です。たとえば、年利3%で100万円を30年運用するケースを試算すると、複利効果により約243万円になります。

短期売買は相場の価格変動に影響を受けやすい一方、長期保有は価格変動のリスクを平準化しやすくなる点がポイントです。また、この考え方は投資だけでなく保険にも共通しており、終身保険や個人年金保険も10年以上の長期加入を前提に設計されています。

積立投資

積立投資は、毎月一定額を継続的に投資する方法で、初心者でも取り組みやすい資産形成手段です。あらかじめ決めた金額で毎月同じ投資商品を購入するため、価格が安い時には多く、高い時には少なく購入することになり、平均購入単価を抑える効果が期待できます。

一度に大きな資金を投じるよりも価格変動リスクを抑えやすく、長期運用と組み合わせることで安定した成果を目指せます。

また、給与日に合わせて自動積立設定をすることで、継続しやすくなる点もメリットです。毎月一定額を自動で積み立てる考え方は、保険料を継続的に払い込む保険商品にも通じます。

分散投資

分散投資は、資産を複数に分けて運用することでリスクを抑える考え方です。たとえば、株式だけでなく債券や保険なども組み合わせることで、特定の資産が値下がりしても全体への影響を抑えられます。

また、国内株式と海外株式のように地域を分散させる方法や、積立投資による時間分散も有効です。さらに重要なのが役割分散の視点です。たとえば資産を増やす投資と、万一の生活リスクに備える保険は目的が異なるため、運用する資産に対して複数の役割を組み合わせることを意識しましょう。

ライフプランを立てる上で把握すべき大きな支出

資産形成を始める際には、将来の大きな支出を予測し、前もって把握しておくことが重要です。結婚や出産、住宅購入、子どもの進学、老後の生活など、ライフイベントごとに必要な資金は異なります。

たとえば、教育費は進学先によって総額が大きく変わりますが、大学まで進学する場合は1,000万円以上かかるケースがあります。住宅購入では物件価格だけでなく、頭金や諸費用、将来的な修繕費も含めて考えなければなりません。

さらに老後は、年金だけでは生活費が不足することが多く、その差額を自分で準備する必要があります。また、万一の事態に備え、家族の生活費や子どもの教育費をどのように確保しておくかという保障設計も、ライフプランの重要な要素です。

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年代別に考える資産形成のポイント

画像: 年代別に考える資産形成のポイント

資産形成は年代によって適した運用が異なります。収入や支出、運用期間が変わるため、それぞれのライフステージに合わせた現実的な戦略を考えることが大切です。

20〜30代

20〜30代は、運用期間を長く確保できるため、資産形成の効果を得やすい世代です。たとえば、月2万円を年利3%で30年間積み立てると、元本720万円に対して約1,157万円になる試算もあり、長期積立の効果が大きく現れます。

この世代では、結婚や出産、住宅購入といった将来イベントを見据え、短期資金は預金、長期資金は投資にまわすといった使い分けが有効です。また、収入が今後増える可能性が高いため、最初は無理のない金額で始め、昇給に合わせて積立額を増やす方法も現実的です。

さらに、万が一のリスクに備える観点も重要です。特に家族を持つことを見据える場合には、生活費や教育費を守るための保障を準備しておく必要があります。資産を増やすための投資と、万一に備えるための保険を組み合わせることで、より安定した資産形成につながります。保障と将来への資金準備の両立を狙える、貯蓄型の保険商品を活用する方法も有効です。

40〜50代

40〜50代は老後までの期間が限られてくるため「増やす」「守る」のバランスが重要になります。まずは60歳までの残り年数をもとに、必要な老後資金から毎月の積立額を逆算しましょう。

また、子どもの教育費がピークを迎える時期と老後資金準備が重なるケースも多く、資金の用途ごとに分けて管理する必要があります。さらに、老後直前に大きな値下がりが起きるリスクもあるため、株式などのリスク資産の比率を徐々に下げるといった調整も大切です。

関連記事:年金から引かれるものは4種類!手取りのシミュレーションと増やし方を解説

資産形成を始める前にやるべき3ステップ

資産形成は感覚ではなく、具体的な数字をもとに計画することが重要です。ここでは初心者でも実践しやすい3つのステップを紹介します。

ステップ① 家計収支を把握する

まずは現在の収入と支出を把握し、運用にまわせる金額を明確にします。直近3カ月分の銀行預金明細や家計簿アプリを活用し、固定費と変動費を整理しましょう。

毎月の手取り収入から支出を差し引くことで、実際に積立可能な金額が見えてきます。また、急な病気や失業に備え、生活費の6カ月分程度は預金として確保しておくことが重要です。

ステップ② 目標金額と期限を決める

次に、ライフプランをもとに具体的な目標を定めます。たとえば教育資金であれば、進学時期から逆算して必要金額と準備期間を決め、それに応じた積立額を設定します。

老後資金についても、必要な金額と年金との差額を試算し、必要な準備額を明確にしましょう。目標金額・期間・毎月の積立額を一覧にまとめることで、現実的な計画を立てやすくなります。

ステップ③ 方法を組み合わせる

最後に、目的や期間、リスク許容度に応じて複数の方法を組み合わせます。たとえば、3年以内に使う資金は預金で管理し、10年以上使わない資金は長期投資にまわすといった使い分けが有効です。

また、新NISAで投資信託を積立し、老後資金はiDeCoで準備するなど制度を組み合わせることで効率的な資産形成が可能になります。さらに、万一への備えが不足している場合は、保険の活用も検討するとよいでしょう。

無理なく継続できる金額から始めることが、資産形成を成功させる最大のポイントです。

資産形成におけるリスクとは

画像: 資産形成におけるリスクとは

資産形成におけるリスクとは、損をすることではなく将来の期待している結果が変動する可能性を指します。したがって、リスクを正しく理解し、コントロールすることが重要です。

例として、株式や投資信託は短期間で10〜30%以上資産価値が下落することもありますが、長期では年3〜5%以上のリターンが期待されるケースがあります。このように、リスクとリターンは表裏一体の関係にあります。

また、現金のみを保有している場合でも、インフレによって実質的な価値が下がるリスクは見逃せません。さらに、病気や事故などの生活リスクは投資だけでカバーすることは難しいでしょう。価格変動リスクは分散や長期運用で軽減できますが、生活リスクには保険などの保障設計で備える必要があります。

ひとりで決めるのが不安な場合はどうする?

資産形成の方法は多岐にわたり、投資信託や保険商品は数十種類以上存在するため、全てを自分ひとりで比較・判断するのは容易ではありません。

特に、保険を活用した資産形成は長期目線で考える必要があり、検討する場合は複数の商品を比較したうえで、自分のライフプランに合った提案を受けることが重要です。専門のアドバイザーに相談し、シミュレーションを通じて具体的なプランを確認する方法は有効な選択肢といえます。

まずはアドバイザーへの相談やシミュレーションがおすすめ

資産形成は、少しでも早く始めることが大きなメリットにつながります。時間を味方につけることで、複利効果や積立の効果を最大限に活かせるためです。

また、無理のない範囲で自分に合った方法を継続することが重要であり、短期間で大きな成果を求める必要はありません。一方で、選択肢が多いからこそ、自分に最適な方法を見極めるのが難しいのも事実です。

そのため、まずは現状を把握し、必要に応じて専門家への無料相談を活用し、自分に必要な資産額や不足額を具体的に把握することから始めてみましょう。特に保険の活用については、将来設計と保障をまとめて考えられるため、自分に合った商品を選ぶことは資産形成の有効な選択肢のひとつといえます。

アドバイザーへの無料相談は、以下のリンクからお気軽に申し込みいただけます。

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