この記事では、国民年金の学生納付特例制度の追納期限10年を過ぎた場合にどうしたらいいのか、どれくらい年金受給額が減るのかを紹介します。また、将来もらえる年金額が減ってしまうことへの対処法についても解説します。年金の追納期限をまもなく迎える人やすでに期限を過ぎてしまった人は、ぜひ参考にしてください。
国民年金の学生特例とは
国民年金の学生特例とは「学生納付特例制度」の略称で、学生期間中の国民年金の保険料納付を猶予する制度です。まずは、制度の概要や対象となる人を簡単に説明します。
日本の公的年金制度をおさらい
はじめに、日本の公的年金制度について振り返ります。日本の公的年金制度は、以下の3つのしくみのもとで成り立っています1)。
〈表〉公的年金制度のしくみと概要
相互扶助 | 現役世代が保険料を負担し、高齢者が受給する世代間の支え合いのこと。 |
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国民皆年金 | 20歳以上のすべての国民が必ず年金保険に加入すること。 |
2階建て | 日本の年金制度の構造のこと。1階部分は国内に住む20歳から60歳の人が加入する「国民年金」、2階部分は会社員や公務員が加入する「厚生年金」に分類される。 |
よって、20歳になれば学生を含め誰もが国民年金に加入し、保険料を納めなければなりません。
〈図〉公的年金制度の構造
しかし、学生は社会人のように生活に十分な収入を自分だけで得るのは難しいのが実情です。また、勉学に勤しむ必要もあるため、年金の保険料を毎月納めるのは大きな負担になりかねません。そこで、学生の間は保険料の納付を猶予する「学生納付特例制度」が設けられているのです。
国民年金の学生特例の概要や対象
学生納付特例制度の概要は、以下のとおりです2)。
〈表〉学生納付特例の概要
定義 | 本来納めるべき国民年金の保険料を、学生の間に限って猶予する制度 |
---|---|
特徴 | 学生納付特例制度の利用期間は老齢基礎年金の受給資格期間に含まれる |
対象者 | 以下いずれの要件も満たす人 ・前年の所得金額が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下であること ・日本在住で大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校などに在学中の20歳以上の学生(対象校一覧はこちら) |
保険料の追納 | 10年以内であれば追納が可能 |
学生納付特例制度は、制度を利用した期間が国民年金の受給資格期間に含まれるのが特徴です。65歳から受け取れる国民年金「老齢基礎年金」は、受給するために原則最低10年間の保険料納付済期間が必要です。しかし、学生納付特例制度を利用している期間は、保険料を納めていなくても国民年金の受給資格期間にカウントされます。
対象となるのは、所得金額が128万円以下の学生です。大学生や専門学校生、高専生などが制度を活用できます。もし扶養親族がいる場合や社会保険料を納めている場合は、制限が多少緩和されます。
厚生労働省の「令和2年国民年金被保険者実態調査結果」では、63.9%が学生納付特例制度を利用しているとの結果が出ています。多くの人が保険料納付の猶予を受けていることがわかります3)。
国民年金の学生特例の追納期限は10年!
国民年金の学生納付特例制度で猶予された保険料は、追納ができます。追納は古い年度の分から行います。ただし、遡って追納できるのは10年までです。たとえば、11年前や15年前に猶予された保険料は、追納できません。
学生納付特例制度を利用して猶予を受ける期間は人により異なりますが、おおむね1〜4年程度です。例として、令和2年度から5年度までで1〜4年の猶予を受けた場合の追納金額を見てみましょう4)。
〈表〉学生納付特例制度を利用していた期間ごとの追納金額
期間 | 追納金額 |
---|---|
1年(令和5年度) | 19万8,240円 |
2年(令和4年度〜5年度) | 39万7,320円 |
3年(令和3年度〜5年度) | 59万7,840円 |
4年(令和2年度〜5年度) | 79万7,880円 |
なお、3〜10年前の保険料を追納する場合は、対象年度の本来の保険料に加え、ひと月あたり数十円〜数百円の加算額を納める必要があります。余計なお金を納めたくない場合は早めに追納するとよいでしょう。
学生納付特例制度で猶予されている保険料は、本来は納める必要のあるものです。保険料が未納となると、将来もらえる年金受給額が減るうえ、障害年金や遺族年金を受給できなくなる可能性もあります。まだ追納期限を迎えていない場合は、ぜひ追納を前向きに検討してみましょう5)。
国民年金の学生特例の追納をしないとどうなる?
もし学生納付特例制度で猶予されていた保険料を追納しなかった場合は、以下のことを想定しておく必要があります。
追納しなかった場合の注意点をおさえておかないと、老後の生活はもちろん、今後のライフプランにも影響をおよぼす可能性があるため、よく確認しておきましょう。
将来もらえる年金額が減る
老齢基礎年金の受給額は以下の計算式で求められます。
【老齢基礎年金の受給額の計算式】6)
その年の満額の年金受給額×(保険料納付済月数÷480カ月)
学生納付特例制度を利用し、その猶予期間の保険料を追納しなかった場合、「保険料納付済月数」が少なくなるため、将来もらえる年金額が減ります。年金額を減らしたくない人は、必ず保険料を追納しましょう。
なお、学生納付特例制度を利用していた期間は、国民年金の受給資格期間にカウントされます。
障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できない場合がある
国民年金の保険料を追納しなかった場合、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できない可能性があります。障害基礎年金と遺族基礎年金の受給要件については、以下のとおりです7)8)。
【障害基礎年金の受給要件】
- 障がいの原因となった病気やけがの初診日の前々月までに、国民年金の加入期間の2/3以上の期間、保険料が納付または免除されていること
- 初診日に65歳未満で、初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
【遺族基礎年金の受給要件】
- 国民年金の被保険者が死亡した時
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所を有していた人が死亡した時
- 老齢基礎年金の受給権者であった人が死亡した時
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡した時
※:国民年金の被保険者や被保険者であった人が死亡した場合は、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の2/3以上あることが必要。
※:国民年金の受給権者や受給資格を満たした人が死亡した場合は、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある場合のみ支給。
障害基礎年金、遺族基礎年金ともに「保険料納付済期間が国民年金加入期間の2/3以上あること」が受給要件のひとつとなっています。
タイミング次第ではありますが、保険料を追納しなかったことにより、保険料納付済期間が国民年金加入期間の2/3以下になってしまうこともあるでしょう。障害基礎年金は初診日までの直近1年間、遺族基礎年金は国民年金の被保険者が亡くなった場合に限り死亡日の月の前々月までの直近1年間で保険料の未納がなければ受給可能ですが、もし保険料が未納だった場合は受給できません。
より確実に障害基礎年金や遺族基礎年金を受給するためには、保険料を追納しておくと安心です。
【関連記事】障害年金の受給要件は? 受給する流れや注意点もわかりやすく解説
【関連記事】遺族年金とは? 受給要件や金額、期間などをわかりやすく解説
住宅ローンなどの借入審査に影響が出る場合がある
国民年金の保険料を追納しなかった場合、住宅ローンなどの借入審査に影響が出る可能性があります。借入審査では、金融機関に国民年金の保険料納付済期間をチェックされる場合があります。保険料の納付状況に問題があると、支払い能力に乏しいと判断され、審査落ちする場合もあるでしょう。
住宅ローンや車のローンが借りられないとなると、将来のライフプラン設計にも影響がおよびます。できる限り保険料を追納して、家や車の購入といったライフプランを着実に遂行できるようにしましょう。
【関連記事】年金の学生特例は追納しないほうがいい? 受給額の変化やメリット・デメリットを解説
追納できなかった場合に年金額はいくら減る?
期限を過ぎてしまい追納できなかった場合、すべて追納した時と比べてどれくらい年金額が減るのでしょうか。保険料をすべて追納した場合とまったく追納しなかった場合に分けて、年金受給額の差を見ていきましょう。
老齢基礎年金の受給額の計算式は以下のとおりです6)。
【老齢基礎年金の受給額の計算式】
その年の満額の年金受給額×(保険料納付済月数÷480カ月)(※)
※:シミュレーションでは令和6年度の満額の年金受給額81万6,000円をもとに計算しています。また、特例で猶予された保険料以外は、全額納めたものとします。
また、令和6年度に追納する場合の、学生納付特例制度を利用した年度別の保険料は以下のとおりです4)。
年度 | 月額保険料の金額(※) |
---|---|
平成26年度 | 1万5,460円 |
平成27年度 | 1万5,790円 |
平成28年度 | 1万6,460円 |
平成29年度 | 1万6,670円 |
平成30年度 | 1万6,500円 |
令和元年度 | 1万6,560円 |
令和2年度 | 1万6,670円 |
令和3年度 | 1万6,710円 |
令和4年度 | 1万6,590円 |
令和5年度 | 1万6,520円 |
※:平成26年度〜令和3年度までの月額保険料には数十円〜数百円の加算額が含まれます。
なお、追納は古い年度から順に行わなければなりません。これらを踏まえて、1〜4年学生納付特例制度を利用した場合の追納額と年金受給額を計算すると、以下のようになります。
〈表〉令和5年度から1年間、学生納付特例制度を利用した場合
追納額 | 年金受給額(年額) | |
---|---|---|
追納しなかった場合 | 0円 | 79万5,600円 |
すべて追納した場合 | 19万8,240円 | 81万6,000円 |
年金受給額の差 | - | 2万400円 |
30年間受給した場合の差 | - | 61万2,000円 |
〈表〉令和4年度から2年間、学生納付特例制度を利用した場合
追納額 | 年金受給額(年額) | |
---|---|---|
追納しなかった場合 | 0円 | 77万5,200円 |
すべて追納した場合 | 39万7,320円 | 81万6,000円 |
年金受給額の差 | - | 4万800円 |
30年間受給した場合の差 | - | 122万4,000円 |
〈表〉令和3年度から3年間、学生納付特例制度を利用した場合
追納額 | 年金受給額(年額) | |
---|---|---|
追納しなかった場合 | 0円 | 75万4,800円 |
すべて追納した場合 | 59万7,840円 | 81万6,000円 |
年金受給額の差 | - | 6万1,200円 |
30年間受給した場合の差 | - | 183万6,000円 |
〈表〉令和2年度から4年間、学生納付特例制度を利用した場合
追納額 | 年金受給額(年額) | |
---|---|---|
追納しなかった場合 | 0円 | 73万4,400円 |
すべて追納した場合 | 79万7,880円 | 81万6,000円 |
年金受給額の差 | - | 8万1,600円 |
30年間受給した場合の差 | - | 244万8,000円 |
保険料を追納しなかった場合、学生納付特例制度の利用期間が長くなるほどもらえる年金の差額は大きくなります。4年間の場合には、30年間受給するとなると、満額の人と比べて生涯で約240万円以上の差が生まれてしまうのです。
追納した場合としなかった場合の年金受給額については、こちらでより詳細なシミュレーションをしているので、ぜひ参考にしてください。
【関連記事】年金の学生特例は追納しないほうがいい? 受給額の変化やメリット・デメリットを解説
国民年金の学生特例の追納期限10年が過ぎてしまった場合の対処法
もし学生納付特例制度で猶予されていた保険料を追納しないまま、10年の期限を過ぎてしまった場合は、以下の対処法で将来受け取る年金額の減少をカバーしましょう。
追納期限を過ぎてしまうと、老齢基礎年金を満額受給できません。終身で受け取れる老齢基礎年金の受給額に差が生まれれば、老後は収入が少なく安定した生活を送るには心もとないかもしれません。減ってしまう年金額をカバーできる程度の資産をつくり、老後に備えましょう。
対処法①年金受給額がいくら減るのかきちんと把握する
追納期限を過ぎてしまったことに気づいた際は、まずいくら年金受給額が減りそうなのかを確かめて、代わりとなる資産をどのように形成するか考えましょう。
減ってしまう年金受給額(年額)は、以下の式で計算します。
【減ってしまう老齢基礎年金の受給額の計算式】
その年の満額の年金受給額×(学生納付特例制度を利用した月数÷480カ月)
令和6年度の満額の年金受給額は81万6,000円です。これをもとに、おおよその金額を試算してみましょう。
たとえば、4年制の大学に通っていた人は、通常20歳から22歳までの約2年間が学生納付特例制度の利用対象となる期間です。自分が20歳になった月から学校を卒業するまでの月数を式に当てはめて計算すれば、減ってしまう年金受給額(年額)がわかります。
【減ってしまう老齢基礎年金の受給額】
(学生納付特例制度を2年間利用した場合)
81万6,000円×(24カ月÷480カ月)=4万800円
老齢基礎年金は終身で受け取れる年金のため、たとえば30年間受給する場合には、総額で122万4,000円も満額受給と比較して減ってしまうこととなります。この差額分をどのように埋め合わせていけばよいか、以降の項目で解説します。
対処法②任意加入制度を利用する
国民年金の任意加入制度を活用すれば、追納して受け取れるはずだった年金額をカバーできます。任意加入制度とは「60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない」「納付済期間が40年に達していない」といった理由で年金を満額受給できない人が、60歳以降も国民年金に加入することで年金額を増やせる制度です。加入は任意のため、将来の年金受給額や年金以外の資産額に不安のある人におすすめの制度です9)。
任意加入制度は、以下の条件すべてに当てはまる人が利用できます10)。
〈表〉国民年金に任意加入する条件
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
- 老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない人
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480カ月(40年)未満の人
- 厚生年金保険、共済組合等に加入していない人
※:上記のほか、つぎの条件に当てはまる人も加入できます。「年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人」「外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の人」。
※:日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人は、日本国籍でなく、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する人を除く。
※:老齢基礎年金の繰上支給とは、通常65歳から受け取れる年金を、60〜64歳の間から繰り上げて受け取り始めることを指す。
学生納付特例制度で猶予を受けていた保険料を追納しなかった場合、制度を利用していた期間分の保険料は納めていないとみなされます。そのため、保険料の納付月数が480カ月に達しません。
任意加入制度を利用する際は、住んでいる自治体の窓口か、自治体管轄の年金事務所で手続きしましょう。
参考資料
対処法③定年後も働いて厚生年金の受給額を増やす
国民年金ではなく厚生年金を増やして、国民年金の減額分をカバーする方法もあります。厚生年金は会社員や公務員が加入し、受け取れる年金で、国民年金に上乗せされて支給されます。国民年金と違い、70歳まで加入できるのが特徴です。受給額は勤務先での給与や賞与が関係するため、収入額が多い人ほど増えるしくみです。
定年後も引き続き働けば、給与収入を確保できるうえ、厚生年金保険料を納めることになり、年金受給額を増やせます。60歳以降も社会で活躍したい人や収入を得ながら年金を増やしたい人は、定年後の再就職を検討しましょう。
ただし、再就職先が厚生年金の適用事業所でなければ、厚生年金保険には加入できません。たとえば従業員が5人以下の個人事業所などは、原則厚生年金が適用されないため、年金額を増やすために再就職するのであれば、よく確認しておきましょう10)。
参考資料
対処法④NISAやiDeCoで老後資金を準備する
NISAやiDeCoを活用して、年金の代わりとなる老後資金を準備するのもひとつの手です。NISAとiDeCoの概要を紹介します11)12)。
〈表〉NISAとiDeCoの概要
NISA | 少額投資非課税制度の通称。少額から投資ができて、運用益がすべて非課税になるのが特徴。2024年から恒久で非課税運用ができる新しい制度がスタートした。 |
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iDeCo | 個人型確定拠出年金のこと。自分で掛金を支払い運用して年金をつくる制度。掛金はすべて税控除対象、受け取り時は一定額までなら非課税と、税制優遇に強みがある。 |
どちらも運用結果次第では、年金受給額以上の老後資産をつくれる可能性があります。ただし、投資は余剰資金で行うものです。生活費や本来納めるべき年金保険料にまで手をつけて行うものではありません。投資を始める際には自分の手取り収入や貯蓄状況をよく見直したうえで始めましょう。
また、保険の活用も検討してみましょう。私的な年金保険を活用すれば、公的年金以外の資産をつくれます。年金保険以外に、生命保険の解約返戻金を活用する方法もあります。たとえば、以下のような保険で資産づくりを検討してみましょう。
【関連記事】新NISAをやらないほうがいい?見落としがちなデメリットと対策を解説
〈表〉老後資金づくりができる保険の例
個人年金保険 | 自分で保険料を支払って年金を積み立てる保険。保険料の払込期間や受け取り期間、受け取り開始時期などを自分で決められるため、柔軟なライフプランに対応できる。 |
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変額年金保険 | 支払った保険料を運用し、運用実績によって将来の受け取り金額が変動する保険。より多くの金額を受け取れる可能性があり、インフレ対策にもなる。 |
終身保険 | 亡くなるまで死亡・高度障害保障が続く生命保険。解約時の解約返戻金を老後資産として活用する。 資産形成を目的に契約する場合は、保険料の払込が終了した時点で解約返戻金が大きく増える「低解約返戻型」がおすすめ。 |
私的年金は、公的年金よりも融通がきくのが特徴です。保険料の払込期間や受け取り期間を自分で決められます。貯金するのが苦手な人や投資が怖い人は、年金保険を使えば簡単に自分だけの年金資産をつくれます。
これらのほか、以下のような年金受給額を上乗せできる制度を活用するのも手です。主な制度を紹介します13)14)15)。
【関連記事】個人年金保険とは? しくみやメリット・デメリットをFPが解説
〈表〉年金受給額を上乗せできる制度の例
国民年金基金 | 個人事業主やフリーランスが利用できる年金の上乗せ制度。毎月最大6万8,000円まで掛金を拠出できる。任意加入制度を利用している際にも利用可能。 |
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付加年金 | 個人事業主やフリーランスが利用できる年金の上乗せ制度。国民年金保険料に毎月400円をプラスして納付すると、受け取り時に「200円×付加保険料納付月数」分の年金が増額される。 |
企業年金 | 企業が掛金を負担し従業員が受け取る年金。給付額があらかじめ決まっている確定給付企業年金(DB)と、運用結果によって受け取り金額が変わる確定拠出年金(DC)がある。 |
個人事業主やフリーランスの人は厚生年金が適用されるケースが少なく、会社員や公務員に比べて年金受給額が少なくなりがちです。国民年金基金や付加年金を利用して、年金を上乗せしましょう。会社員や公務員の人は、企業年金を利用してさらに年金受給額の上乗せが可能です。勤務先で企業年金を取り扱っているか、確かめてみるとよいでしょう。
【関連記事】月額400円で将来の年金が増える「付加年金」とは? メリット・デメリットや注意点を解説
参考資料
11)金融庁「NISAを知る」
12)iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の特徴」
13)国民年金基金「国民年金基金とは」
14)日本年金機構「付加年金」
15)企業年金連合会「企業年金制度」
国民年金の学生特例の追納に関するよくある質問
国民年金の学生納付特例制度の追納に関する質問や疑問をまとめました。追納期限が近づいている人、過ぎてしまった人は、ぜひ参考にしてください。
Q1.国民年金の学生特例の追納期限はいつまで?
国民年金の学生納付特例制度によって猶予された保険料は、10年まで遡って追納できます。11年より前に猶予された保険料は、追納できません。
Q2.国民年金の学生特例の追納期限が過ぎたらどうなる?
保険料の追納期限を過ぎてしまった場合、追納ができなくなるため将来もらえる年金受給額が減ってしまいます。
年金受給額を増やすためには、国民年金の任意加入制度を活用したり、定年退職後も働くという選択肢をもちましょう。また、年金以外の資産づくりとしてNISAやiDeCoなどを活用して投資をしてみてもいいでしょう。
Q3.国民年金の学生特例は追納しなかった場合、いくら減る?
年金の学生納付特例制度で猶予された保険料を追納しなかった場合、年金額は以下のように減額すると考えられます。
〈表〉追納しなかった期間別の減額される年金受給額
追納しなかった期間 | 減額される年金受給額(年額) |
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1年分 | 2万400円 |
2年分 | 4万800円 |
3年分 | 6万1,200円 |
4年分 | 8万1,600円 |
※:シミュレーションでは令和6年度の満額の年金受給額81万6,000円をもとに計算しています。また、特例で猶予された保険料以外は、全額納めたものとします。
ただし、試算はあくまで令和6年度の老齢基礎年金受給額をもとにしています。実際に私たちが年金を受け取る際の受給額は、その年の物価や経済情勢によって変わる可能性があることをおさえておきましょう。
国民年金の学生特例の追納期限が過ぎてしまっても適切な対処を
学生納付特例制度で猶予されていた保険料の追納期限が過ぎてしまうと、保険料の未納期間ができ、将来もらえる年金額が減ってしまいます。ただ、この記事で紹介したように減額分をカバーできる対処法はいくつもあります。老後資金の不安をなくすために、自ら工夫して資産形成を行いましょう。
資産形成の際には、年金改定や税改正など、私たちの生活に密接にかかわるお金の情報に注視すると、具体的なライフプランを決めやすくなります。また、もし投資で資産形成するのであれば、現在の生活が破綻しないように必ず余剰資金で積み立てるようにしましょう。
老齢基礎年金は終身で受け取れるため、老後生活では貴重な収入源となります。まもなく追納期限を迎える人は、前向きに追納を検討することをおすすめします。すでに追納期限を過ぎてしまった人は、年金や資産を増やす工夫をして、老後に備えましょう。