コロナ禍の影響により、多くの企業で導入されている在宅勤務。自宅で働く生活が半年以上続いていることによるストレスが、そろそろ溜まってきたと感じている人も多いのではないでしょうか。とはいえ、在宅勤務によるストレスの原因は多岐にわたります。

そこで、産業医で精神科医の井上智介さん監修のもと、溜まっているストレスの原因を知るためのヒントになるチェックリストをご用意しました。チェックを通じて判明したストレスの原因を改善するためのアドバイスと合わせて、お読みください。

【INDEX】

■在宅勤務によるストレスの主な原因をチェックリストで調べよう

■在宅勤務のストレスを招く4つの主な原因とは?

■在宅勤務を支える家族もストレスを感じている

■【ストレスの原因①】特に注意が必要な「生活リズムの乱れ」

(1)起床時間をなるべく一定に揃える
(2)目覚めたらすぐに外の光を浴びる
(3)食事の時間も規則的に。タンパク質を重視する
(4)睡眠の質を向上させる

■【ストレスの原因②】外出の機会が減ることによる運動不足

(1)バランスボールに座って仕事をする
(2)定期的にデスクから離れる習慣をつける
(3)オンライン・トレーニング動画を活用する

■【ストレスの原因③】仕事仲間とのコミュニケーション不足から生まれる緊張感や孤独感

(1)自分の“状況”を相手に明確に伝える
(2)チャットでの会話に絵文字やスタンプを使ってみる
(3)リモート会議の前後に「雑談タイム」を設定する
(4)普段より多めに“感謝”の気持ちを伝えあう

■【ストレスの原因④】家族とのコミュニケーション不足から生まれるイライラ

(1)仕事のオンオフが家族に明確に伝わる工夫をする
(2)家族で一日のスケジュールを共有しあう
(3)今の気持ちや悩み事、してほしいことを定期的に伝えあう

■在宅勤務でストレスを抱えるのは当たり前。適切な対処方法を身につけよう

この記事の監修者

画像: 【医師が解説】在宅勤務のストレス原因別チェック&改善法をアドバイス

井上智介(いのうえ ともすけ)

産業医・精神科医。島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科などのプライマリケアを学ぶ。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動。産業医として毎月約30社を訪問しているほか、精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動中。精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務している。
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在宅勤務によるストレスの主な原因をチェックリストで調べよう

画像: 画像:iStock.com/Roman Valiev

画像:iStock.com/Roman Valiev

通勤に時間をとられることがない、家族と近い場所で働ける、雑用に悩まされず仕事に集中できるなど、様々なメリットがあるとされる在宅勤務。政府主導の「働き方改革」でも推奨されていたため、以前から関心を持っていた人も多いと思います。

しかし、今回のコロナ禍により在宅勤務を始めてみた結果、職場で働いている時よりも効率の低下を感じたり、不安やイライラした気持ちになることが増えたりした人も、決して少なくないはずです。そうしたストレスを抱えたまま在宅勤務を続けていると、体やメンタル面での深刻な不調を招く恐れもあるので、早めのケアを心がけておくと良いでしょう。

在宅勤務が続くことで溜まるストレスには、いくつかの原因が考えられます。まずは、あなたが感じているストレスの主な原因がどこにあるのかを調べてみましょう。以下のチェックリストを読んで、在宅勤務をする以前と比べた場合に当てはまると思われる項目にチェックをつけてください。

〈表〉在宅勤務のストレスチェックリスト

【A群】A-1 朝起きる時間がまちまちになっている
A-2 身だしなみに対する関心が衰えてきた
A-3 インスタント食品やコンビニ弁当で済ませる食事が増えた
A-4 お酒を飲む頻度や量が増えた
【B群】B-1 以前より体重が大幅に増えた
B-2 手足の指先に冷えを感じやすくなっている
B-3 家事をこなすのが以前よりおっくうになっている
B-4 同じ姿勢を保つのが辛くなってきている
【C群】C-1 着信を確かめるため、スマホを頻繁に手にしてしまう
C-2 リモート会議で相手の映像がオフになっていることが気になる
C-3 仕事中、周囲が静かすぎると感じることが多い
C-4 昔の友人や知人の消息をSNSで確認する機会が増えた
【D群】D-1 自宅で仕事をする場所は主にリビングやキッチンだ
D-2 仕事に対する家族の理解が少ないと感じている
D-3 家族が自分に気を遣いすぎている気がする
D-4 家事や子育ての分担で揉めることが増えている

■A群に2つ以上チェックした人は……
生活リズムの乱れがストレスの主な原因かもしれません。その理由と改善策はこちらから。

■B群に2つ以上チェックした人は……
運動不足がストレスの主な原因かもしれません。その理由と改善策はこちらから。

■C群に2つ以上チェックした人は……
上司や同僚など、仕事仲間とのコミュニケーション不足がストレスの主な原因かもしれません。その理由と改善策はこちらから。

■D群に2つ以上チェックした人は……
パートナーや子どもなど、家族とのコミュニケーション不足がストレスの主な原因かもしれません。その理由と改善策はこちらから。

在宅勤務のストレスを招く4つの主な原因とは?

それでは、在宅勤務が続くことで溜まるストレスの主な原因と改善法について解説していきましょう。ストレスを増やす主な原因として考えられるのは、以下の4つです。

〈表〉ストレスを招く主な原因

多くの人の場合、複数の原因が重なりあってストレスにつながっていると思われます。チェックリストで当てはまらなかった原因についても、他の原因を改善するヒントを得ることができるかもしれませんので、できれば4項目すべて確認することをおすすめします。

在宅勤務を支える家族もストレスを感じている

画像: 画像:iStock.com/monzenmachi

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また、忘れてはならないのが、在宅勤務をしている本人だけでなく、パートナーや子ども、親などの家族がストレスを感じていることも多いということです。家族が感じるストレスには、以下のような原因が考えられます。

●家事・育児を思い通りのスケジュールでこなせなくなる

普段は職場で働いている人が家にいることで、その人の食事の世話をする必要が出てくるなど、これまで通りのスケジュールで一日を過ごせなくなってしまうのは、ストレスの大きな原因となるでしょう。

●在宅勤務中の家族の行動や気分に配慮する必要がある

仕事をしている時の行動パターンやテンションを、家族が見る機会はあまりないと思います。そのため、在宅勤務中の人に対し余計な気を遣ったり、どう接して良いかわからず困ったりすることが増え、それがストレスの原因につながります。

●家庭内の居場所や動線が通常と異なるため、対応しなければならない

在宅勤務のための仕事部屋を確保できれば良いのですが、キッチンやリビングなどの共有スペースで働く場合も多いと思います。そうした働き方に対応するため、家族は家での過ごしかたを変えざるを得なくなりますから、当然普段よりもストレスを感じるはずです。

こうした状況を良くしていくためには、在宅勤務をしている本人とその家族が同じ意識をもって改善に取り組むことが必要です。在宅勤務をしている本人が感じているストレス改善のヒントを参考に、一度話しあいの場を設けてみると良いでしょう。

【ストレスの原因①】特に注意が必要な「生活リズムの乱れ」

画像: 画像:iStock.com/Moostocker

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それまで毎日通勤をしていた人が自宅で働くようになるわけですから、生活リズムに大きな変化が起こるのは当然です。また在宅勤務の場合は、時間の使い方がある程度自由になるため、かえって生活リズムを安定させることが難しくなってしまいます。この生活リズムの乱れが、ストレスを招く原因である可能性は、特に高いといえるでしょう。

生活リズムが乱れる典型的な4つの行動パターン

在宅勤務で生活リズムが乱れる人の、典型的な行動パターンを挙げてみましょう。

(NG行動1)起床時間が一定でなくなる

まず注意してほしいのが、起床時間の乱れです。通勤時間に充てていた時間を自由に使うことができるのは、在宅勤務の大きなメリットといえます。とはいえ、通勤をしなくて済むなら睡眠時間を長く取りたいと考える人も多いでしょう。

睡眠時間が増えれば良いのですが、たいていの場合は起床時間のずれにあわせて、就寝時間を後ろ倒しにしてしまいがちです。さらに、決まった時間の電車に乗る必要がないといった安心感から、起きる時間もまちまちになってしまいます。こうした起床時間の不安定さは、生活リズムが乱れる第一歩といえるでしょう。

(NG行動2)身だしなみにかける時間が減る

通勤時や職場などで直接人目に触れる機会が減ることから、以前に比べて身だしなみに気を遣う必要がないのは、ある意味ではストレスの軽減につながるともいえます。しかし、生活リズムの観点から考えれば、身だしなみにかける時間も1日のルーティンを構成するひとつの要素です。

また身だしなみを整えることにより、気持ちのオンオフを切り替える効果も見逃せません。以前に比べオンとオフの切り替えが一定でなくなれば、生活リズムも自然と乱れてくることでしょう。

(NG行動3)食事の時間がまちまちになる

3食正しく食べることも、生活リズムの安定には大切な要素となります。しかし、時間の使い方が比較的自由になる在宅勤務では、職場で働いている時よりも、かえって食事の時間が不規則になりがちです。

特に自炊が苦手な独身者の場合は、仕事をしながらでも手軽に食べられるインスタント食品やコンビニ弁当を選ぶことが多くなりがちで、食事の時間が毎日変わることが多くなる場合もあるでしょう。これでは生活リズムが乱れるだけでなく、栄養の偏りも起こりがちです。

(NG行動4)飲酒量が以前より増える

お酒を飲む人の場合は、飲酒量の増加も注意すべきポイントといえます。飲酒量の増加自体がストレスの溜まり具合のバロメーターですが、一方で深酒は朝起きれなくなったり、眠りが浅くなったりするなど、生活リズムの乱れにつながる大きな原因にもなるからです。

特に、通勤をしなくて済むから多少遅くまで飲んでも大丈夫、という考え方には要注意。外で飲むよりコストがかからないとはいえ、飲みすぎは禁物です。

生活リズムの乱れを改善する方法は?

画像: 画像:iStock.com/show999

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生活リズムの改善は、ストレス軽減につながるだけでなく、体調を整えるためにも重要です。生活リズムに乱れを感じている人は、以下のポイントに注意してリズムを整えるようにすると良いでしょう。

(1)起床時間をなるべく一定に揃える

朝の目覚めは一日のリズムを決める起点です。起床時間を一定にすることで、生活リズムを揃える効果が期待できるでしょう。

(2)目覚めたらすぐに外の光を浴びる

起床後、すぐに強い光を浴びることで、体内時計がリセットされると考えられています。そのためには、照度が高い外光(太陽光)がもっとも効果的です。曇りの日でも、室内の照明よりも強い光を浴びることができます。目安は30分~1時間程度といわれていますが、快晴の日なら3分程度でもある程度の効果を期待できます1)

(3)食事の時間も規則的に。タンパク質を重視する

朝、昼、晩の食事もできるだけ規則正しく摂るように心がけましょう。また、食事の内容にも気を遣いましょう。特に、セロトニンなどの神経伝達物質の材料となるたんぱく質は十分に摂りましょう。肉や魚、大豆などをバランスよく取り入れたメニューを選ぶようにしてください。

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(4)睡眠の質を向上させる

起床時間を一定にすることに比べれば、就寝時間の長さに気を遣う必要は、それほどありません。それよりも睡眠の質を向上させることに気を遣いましょう。就寝の3時間前までに食事を終える、1時間前までに入浴を済ませるなどに注意するだけでも、質の向上に役立ちます。

どれも、特に実践が難しいものではありませんが、習慣化させるまでにはある程度の時間が必要になります。はじめは窮屈な思いをするかもしれませんが、ストレス軽減のためにも、少しだけ頑張ってみましょう。

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参考文献

1)有田 秀穂『自律神経をリセットする太陽の浴び方』山と溪谷社、P77

【ストレスの原因②】外出の機会が減ることによる運動不足

画像: 画像:iStock.com/Zania Studio

画像:iStock.com/Zania Studio

在宅勤務というシチュエーションに加え、コロナ禍で不要不急の外出を制限せざるを得ない状況になっているわけですから、以前に比べ運動不足になるのは当然のことといえます。

しかし、適度な運動はストレスの軽減に効果的とされているほか、運動不足自体がストレスにつながる可能性も高いです。そのため在宅勤務が続いている今こそ、意識して運動の機会を増やす必要があるのです。

自分の運動不足に気づく4つのポイント

在宅勤務による運動不足の兆候は、主に以下のポイントにあらわれます。

(ポイント1)体重の大幅な増加

運動不足が体に与える影響で、もっともわかりやすいのが体重の増加です。特に、食事量が以前と変わらないのに体重が増えている場合には、運動不足を疑ったほうが良いでしょう。

(ポイント2)体に冷えを感じやすくなる

運動不足により代謝が落ちることで、体が冷えやすくなります。特に、手足の指先に冷えを感じやすくなっている場合は、運動不足に加えストレスが溜まっていることの証拠でもありますので、注意が必要です。

(ポイント3)体を動かすことがおっくうになる

自宅で仕事をするようになると、どうしても体を動かす機会が減ってしまい、体力も衰えてきます。洗濯物を干したり部屋を掃除したりといった日常的な家事をこなすのが、以前に比べて面倒になっているようなら、体力が衰えてきている可能性があります。

(ポイント4)同じ姿勢を保つのが辛くなる

運動不足が続くことで心配なのが、筋力の低下です。一定時間座り続けたり、立ち続けたりすることが以前に比べてキツくなったと感じるのなら、筋力の低下を疑いましょう。

運動不足改善に役立つグッズや対策アイデア3つ

画像: 画像:iStock.com/AlexeySulima

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運動不足を改善するための最大の対策は、積極的に運動を行うことです。とはいえ、コロナ禍を心配し、ジムに通ったり公園でランニングをしたりといったことが困難と感じている人も多いでしょう。そこで、在宅勤務の合間に運動量を増やすための方法を、いくつかご紹介しましょう。

(1)バランスボールに座って仕事をする

低めのデスクやテーブルを使って仕事をしている人の場合は、椅子やクッションのかわりにバランスボールに座ることで、働きながら体幹トレーニングの効果を得ることができます。体幹を鍛えることで、腰痛や肩こりの軽減も期待できるほか、集中力を高める効果も期待できるといわれています。

(2)定期的にデスクから離れる習慣をつける

在宅勤務の場合、会社で働いていた時よりもデスクに向かっている時間が長くなりがちです。長時間座ったままの姿勢でいることは、体力の低下だけでなく、ストレスを招く要因のひとつと考えられる血流の悪化にもつながります。定期的にデスクから離れ、歩き回ったりストレッチをしたりなど、軽い運動をする習慣を身につけましょう。

そのために役立つのが、多くのスマートウォッチに用意されているタイマー機能です。1時間おきなど、一定間隔で運動を促すアラームをセットしておけば、仕事に集中している時でも忘れず体を動かすことができるようになるでしょう。

(3)オンライン・トレーニング動画を活用する

ストレッチや筋力トレーニングの多くが、正しいフォームや手順を踏むことで効果を発揮します。そこで活用してほしいのが、動画サイトなどにアップされている無料のトレーニング動画です。専門家の監修による動画を見ながら運動すれば、短時間でも効果を期待できるでしょう。

多少の投資をしても構わないのであれば、ZOOMなどを使って直接指導を受けることができるオンラインの運動教室に参加してみるのもおすすめです。

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ほかにも、たとえばマンション暮らしの人ならエレベーターのかわりに階段を使うようにするなど、ちょっとした工夫で気軽に運動不足を改善することが可能です。通勤の必要がない分だけ運動量が減っていることを自覚して、なるべく体を動かす機会を増やしましょう。

【ストレスの原因③】仕事仲間とのコミュニケーション不足から生まれる緊張感や孤独感

画像: 画像:iStock.com/itakayuki

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会社での勤務と在宅勤務を比較した場合、もっとも大きな違いとなるのが上司や同僚など仕事仲間との“距離” です。

確かにメールやチャットツールを使うことで、業務のやり取りは行うことができますし、ビデオ会議システムを利用すればお互いの顔を見ながら会話をすることもできます。とはいえ、そうしたツールを使う際には、どうしても必要最低限のやり取りになりがちなので、対面でのコミュニケーションに比べ、互いの感情が伝わりにくくなってしまいます。

相手の気持ちがわからない状態が続くことで、「さぼっていると思われていないか」という不安から緊張した状態が続いたり、「自分だけ取り残されているのではないか」というような孤独感をおぼえたりする機会が増える人も多いようです。

自分の緊張感や孤独感に気づく4つのポイント

以下のような兆候がある場合には、仕事仲間とのコミュニケーションを見直したり、自分の意識を変えたりするように心がけると良いでしょう。

(1)スマートフォンの着信を頻繁に確認してしまう

職場で仕事をしている場合なら、互いの姿を常に見て状況を把握しあうことができますが、在宅勤務ではそうもいきません。そのため真面目な人ほど、自分が相手からどう評価されているかが気になってしまう傾向にあるようです。

その典型といえるのが、電話の応対です。さぼっていると思われないために、着信には必ず応答しないと、と思う気持ちが強くなった結果、トイレ中でもスマートフォンが手放せなくなるのは、明らかに過剰な対応といえます。こうした対応を続けていると、オフタイムでも緊張感がほぐれず、大きなストレスを抱えることになるでしょう。

(2)相手の“顔”が見えないことに対し不安や緊張をおぼえる

対面で仕事をしている場合には、声の調子や表情から相手の感情をある程度察することができますが、メールやチャットのように文字ベースのコミュニケーションでは、感情まで読み取ることが難しくなります。そのため、良好なやり取りができているかどうか自信が持てなくなり、不安や緊張が高まる人も多いようです。

相手の表情と声の調子がわかるビデオ会議システムなら、そうした問題は多少改善されますが、いわゆる「ムダ話」が省略されがちなため、やはり実際に対面するのとは感覚が異なります。また、通信状況や自室を見られたくないといった事情から映像をオフにしてリモート会議に参加する人がいると、表情がわからないことに対し余計な不安を感じる場合もあるようです。

(3)周囲が静かすぎることが気になる

話し声や電話の着信音などがない場合でも、複数の人が集まるオフィスでは常時何かしらの物音がしているものです。適度な物音には集中力を高めたり、気分を落ち着かせたりする効果があるとされています。また音だけでなく、いわゆる“人の気配”も、適度なリラックス状態をつくる大切な要素と考えられます。

一方で、基本的に働いているのは自分一人となる在宅勤務には、オフィスのような物音もありませんし、人の気配も感じることができません。そのため、人がいる場所で働くことに慣れている人の中には、物音や人の気配がないことが気になってしまい、孤独を感じるようになる場合も多いようです。

(4)人とのつながりを求める機会が増えている

ひとりで働く在宅勤務が長く続いた結果、世間から取り残されたような孤独感を抱えるのは当然のことといえます。しかし、その孤独感を放置しておくことはストレスの増加につながり、心身の健康にも良くありません。

たとえば、以前に比べ昔の友人や知人の消息が気になったり、連絡を取ってみたくなったりする機会が増えているなら、仕事仲間とのつながりが薄くなっているという気持ちが強くなっている証拠かもしれないので、注意しましょう。

コミュニケーション不足によるストレスを改善する4つのアイデア

画像: 画像:iStock.com/west

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コロナ禍の影響で急遽、在宅勤務を導入した会社では、機材の用意やルールの整備など、互いに離れた場所で働くためのしくみづくりが不十分なため、仕事仲間同士のコミュニケーション不足も起こりがちです。

そんな状況を改善するために、まず必要なのは、職場で一緒に働くのに比べ、オンライン上では互いの気持ちや状況を理解にしくいという事実を共有することでしょう。その上で、比較的簡単に実践できる、コミュニケーション不足改善のアイデアを、いくつかご紹介します。

(1)自分の“状況”を相手に明確に伝える

たとえば、電話に出られなかったことで「さぼっていると思われたかも?」と思われたくないなら、折り返し連絡をした際にまず電話に出られなかった理由を伝えるようにしましょう。正当な理由であれば、ほとんどの場合、相手の理解を得られるはずです。

同様にメールやチャットの返信が遅くなった場合でも、その理由を簡単に添えておくことで、互いにストレスを軽減させることができます。

また、電話やメールの着信が気になって、常に緊張感が抜けないという人は、メールや電話をチェックする時間をあらかじめ決めておくのも、ストレス軽減に効果的です。チャットツールのなかには、離席中や外出中といった自分の状況をアイコンで伝えたりできる機能を装備しているものもありますので、それらも活用してください。

(2)チャットでの会話に絵文字やスタンプを使ってみる

在宅勤務の導入以降、LINEやSlackといったチャット系のコミュニケーションツールをビジネスに導入する会社も増えています。

メールに比べ、短い言葉で要件をやり取りできるのがメリットですが、要件だけになりがちな文字ベースの会話では、互いのテンションがわからず、誤解を招いたり余計な不安を与えたりしてしまう可能性があります。

そこで、おすすめしたいのが、ほとんどのチャットツールに装備されている絵文字やスタンプ機能です。ビジネス上のコミュニケーションに取り入れることに抵抗がある人も多いと思いますが、メッセージを柔らかく演出したり、自分の気持ちをライトに伝えたりする効果が期待できます。必要に応じて使ってみると良いでしょう。

(3)リモート会議の前後に「雑談タイム」を設定する

対面での会議に比べ、無駄話が減ることはリモート会議のメリットといえますが、無駄話がないぶん、互いの気持ちに寄り添いにくいというデメリットも見逃せません。

仕事仲間とのコミュニケーション不足を感じているようなら、リモート会議の前後に5分程度、近況報告など要件以外の会話をするための「雑談タイム」を設定するように、提案してはいかがでしょうか。コミュニケーション不足改善に役立つだけでなく、雑談のなかから意外な発想が出てくる可能性もあります。

(4)普段より多めに“感謝”の気持ちを伝えあう

在宅勤務の場合には、以前のように「黙っていても働く姿を見れば(見せれば)わかる」という美徳が通用しません。そのため、普段よりもはっきりと言葉にして、お互いの“頑張り”を認め合う必要があります。ねぎらいや感謝の言葉をかけあったり、相手の良いところを指摘しあったりすれば、離れた場所で働いていることによる不安や緊張感も、自然と軽減されていくことでしょう。

ここに挙げたアイデアの中で、特に大切なのは、自分の気持ちや状況をきちんと言葉にして伝えあうことです。自分が抱えている緊張や不安感は、多かれ少なかれ仕事仲間の誰もが抱えているはずですから、まずは気軽に話しあってみると良いでしょう。

【ストレスの原因④】家族とのコミュニケーション不足から生まれるイライラ

画像: 画像:iStock.com/kohei_hara

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パートナーや子ども、もしくは親と同居している人が在宅勤務をする場合には、家族との付き合い方もストレスを溜める原因となる可能性があります。

そもそも、家族と暮らすオフタイムの場所で仕事をするというシチュエーション自体が想定外なのですから、互いに理解できないことがあったり気持ちの行き違いがあったりするのは当然のことです。

家族との関係でストレスの原因になる4つのポイント

まずは、家族と暮らす場所で働く際に、ストレスの原因となり得るポイントを挙げてみましょう。

(1)リビングやキッチンなどの共有スペースで仕事をしている

在宅勤務を円滑にこなすためには、仕事場として個室を用意するのが最善ですが、日本の住宅事情では、なかなかそうもいきません。広い作業スペースを確保する意味からも、リビングやキッチンのテーブルを使い仕事をしている人が多いのではないでしょうか。

しかし、リビングやキッチンは本来、家族の共有スペースです。一定時間とはいえ共有スペースを占拠するわけですから、互いに違和感をおぼえないはずがありません。また、キッチンやリビングは、他の部屋に行き来する際の動線上にあることが大半なので、家族の行き交いも少なくないはずです。オンとオフが異なる状況にある人同士が同じ空間にいることは、互いにとって大きなストレスの原因といえるでしょう。

(2)家族が知らないオンタイムの“顔”で一日を共に過ごしている

「家族のために働いているのだから、家族が自分の仕事をサポートするのは当然のことである」と思うのは、ある意味で無理のないことかと思います。

とはいえ通常は会社で働いているわけですから、どのように働いているのか、どうすれば円滑に仕事ができるようにサポートできるのかを、家族が理解できないのもまた、無理のないことといえます。

たとえば、仕事のアイデアを真剣に考えている場合でも、家族からは単にボーっとしているように見える場合もあるでしょう。また、ノートパソコンに向かって仕事をしていても、休日と同じような服装をしていれば、小さなお子さんでなくとも、話しかけて良いのかどうか迷ってしまうのではないでしょうか。

在宅勤務をする人から見れば家族が自分の仕事を理解していないように思え、家族から見れば相手が働いているのか休んでいるのかがわかりにくいと感じてしまう状況もまた、互いにとってストレスの原因となるでしょう。

(3)家事や子育ての分担でパートナーと気があわない

在宅勤務により、家庭で過ごす時間が増えたぶん、今まであまりできていなかった家事や子育てに協力したいと考えている人は多いはずです。

しかし、ここで注意しなければいけないのが、家事や子育てにあてる時間や作業の手順です。積極的に協力する気持ちはあっても、パートナーが普段行っている家事や子育てのルーティンを理解していなければ、相手にとってかえって迷惑な行動をとってしまうおそれがあるからです。

これは、普段から主に家事や子育てを行っている側にも当てはまることです。在宅勤務でパートナーが一日中家にいるからといって、仕事をしている時間帯に手伝いを頼むのは、あまり良い結果につながりません。このように、パートナー同士の場合には、お互いの領域に対する理解不足がストレスの原因となり得ると考えられるのです。

家族との関係から生まれるストレスを改善する3つの方法

画像: 画像:iStock.com/AntonioGuillem

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在宅勤務が続き、家族との関係が上手くいかなくなっていることから生まれるストレスを改善したい場合、まず理解していただきたいのは、あなただけでなく家族もまた、ストレスを感じているということです。自分のストレスだけに目を向けているうちは、根本的な改善は難しいでしょう。

その上で、家族とのコミュニケーション不足を改善するために役立つと考えられるアイデアを、いくつかご紹介しましょう。

(1)仕事のオンオフが家族に明確に伝わる工夫をする

本来はオフタイムを過ごす場所である家の中で働いているわけですから、家族から見てあなたがオンの状態なのか、それともオフの状態なのかを判断することは、難しいものです。

そこでおすすめしたいのが、見た目でオンオフがわかるような工夫をすることです。たとえば、スーツ姿でノートパソコンに向かっていれば、小さなお子さんでも普段とは違う状態にいることを理解しやすくなり、邪魔をすべきではないと思ってくれる可能性が高くなります。

もちろん、家の中で毎日スーツに着替えるのは面倒でしょうし、不自然になりますが、少なくとも髪型を整えたり、よそ行きに見える服装に着替えたりする程度の工夫はすべきでしょう。見た目のオンオフを切り替えることで、家族に状態が伝わりやすくなるだけでなく、自分の気持ちを切り替える効果も期待できます。もちろん、仕事が終わったらオフタイムの服装に着替えることもお忘れなく。

(2)家族で一日のスケジュールを共有しあう

職場の場合は同席している全員が仕事モードになっているので、細かな差はあっても基本的には同じ“時間割”を共有しているはずです。

オンライン会議や作業にあてる時間だけでなく、「この辺りの時間帯で食事にしたい」「この時間帯は休憩時間なので家事の手伝いが可能」といったことまで細かく書き込んでおけば、お互い無駄に様子を探りあう必要がなくなり、ストレスの軽減に役立ちます。お子さんと“時間割”を共有するなら、アプリで作成したカレンダーを印刷し、冷蔵庫などに貼りだしておいても良いでしょう。これなら、お子さんも予定を気軽に確認したり、自分の予定を書き込んだりできるようになります。

しかし、家族の場合はそうではありません。たとえ夫婦で在宅勤務をしている場合でも、家事をこなす時間帯や手順といった、職場での仕事とは別分野の作業に関しては、互いの“時間割”に対する意識が異なる場合のほうが多いものでしょう。

ですから、互いの“時間割”を把握することによって、「してほしいのに気付いてくれない」、「今やろうと思ったのに、先を越された」というような揉めごとは少なくなっていくはずです。

若干事務的な印象ではあるものの、夫婦間なら、Googleカレンダーのような複数人で共有できるカレンダーアプリを利用することが、もっとも簡単な方法になるでしょう。

(3)今の気持ちや悩み事、してほしいことを定期的に伝えあう

仕事仲間とのコミュニケーション不足の場合と同様に、家族とのコミュニケーションにおいても、「言わなくてもわかるはず」という態度や行動は、ほとんどの場合通用しません。

特に男性の場合は、自分の気持ちやしてほしいことを言葉で伝えるのが苦手な傾向が強いようですが、在宅勤務が続き、家族との関係が濃密になっているからこそ、言葉で伝える習慣を持つようにすべきでしょう。

理想としては、互いに思いついた時に伝えあうのがいちばんですが、最初のうちは、「毎週金曜日の夕食後30分」というように家族が揃う時間を決めて、互いの今の気持ちや悩み、要望などを伝えあう機会を設けてみても良いでしょう。この時、家族の1週間のおおまかな予定を確認しあうのもおすすめです。

また、その際にルールとして心がけていただきたいのが、なるべく互いの批判を避けることです。不満がある場合でも、良いところと一緒に伝えるようにすれば、互いにストレスを受けず前向きに話しあうことができると思います。

在宅勤務でストレスを抱えるのは当たり前。適切な対処方法を身につけよう

コロナ禍による非常事態宣言から半年以上が経過した現在、在宅勤務を続けている人のほとんどが、何かしらのストレスを感じながら過ごしています。矛盾した言い方になってしまいますが、ストレスを抱えているのが当たり前、と開き直るくらいの気持ちを持つほうが、ストレス軽減に役立つかもしれません。

とはいえ、もちろんストレスを放置しておくことは良くありません。ここで紹介した改善策を実践してもストレスの軽減が実感できないようであれば、ソーシャルワーカーやお医者さんなど専門家に相談をしてください。

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