20歳を超えてから学生時代を過ごした人の中には、国民年金の支払いにまで手が回らず、「学生納付特例制度」を活用した人も多いのではないでしょうか。猶予された保険料は追納する必要がありますが、将来の年金制度への不安や納付額の大きさから、「追納しないほうがいいのでは?」と感じている人もいるでしょう。

この記事では、学生納付特例制度を利用したあとの保険料の追納について、追納することによるメリット・デメリットや追納すべきかどうかについて解説します。また、追納の有無による年金受給額のシミュレーションも紹介します。追納するか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

藤井 亜也(ふじい あや)

株式会社COCO PLAN 代表取締役社長。ファイナンシャルプランナー(CFP、FP1級)。独立系ファイナンシャルプランナーとして20代~90代と幅広い年代のお客様の相談に対応。一人一人に心を込めて最適なプランを提案し、多くのお客様のライフプランを実現。個別相談だけでなく、マネーセミナー、執筆・監修など幅広く活動中。著書に『今からはじめる理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方』(三恵社)がある。ラジオ番組『未来のためのお金のハナシ』(FM川口)毎週月曜16時から放送中。

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国民年金の学生特例とは

画像: 画像:iStock.com/D76MasahiroIKEDA

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国民年金の学生特例とは「学生納付特例制度」の略称で、学生期間中の国民年金の保険料納付を猶予する制度です。まずは、制度の概要や対象となる人を簡単に説明します。

国民年金の学生特例の概要

学生納付特例制度を説明するにあたり、年金制度についておさらいしましょう。日本の公的年金制度は、以下の3つのしくみのもとで成り立っています1)

〈表〉公的年金制度のしくみと概要

相互扶助現役世代が保険料を負担し、高齢者が受給する世代間の支え合いのこと。
国民皆年金20歳以上のすべての国民が必ず年金保険に加入すること。
2階建て日本の年金制度の構造のこと。1階部分は国内に住む20歳から60歳の人が加入する「国民年金」、2階部分は会社員や公務員が加入する「厚生年金」に分類される。

つまり、20歳以降は学生であっても国民年金に加入し、保険料を納める義務が発生します。

〈図〉公的年金制度の構造

画像: 国民年金の学生特例の概要

しかし、学生は社会人のように生活に十分な収入を自分だけで得るのは難しいのが実情です。そこで、学生の期間に限り、本来納めるべき国民年金の保険料納付時期を先送りできる「学生納付特例制度」が用意されています。

学生納付特例制度は、制度を利用した期間が国民年金の受給資格期間に含まれるのが特徴です。65歳から受け取れる国民年金「老齢基礎年金」は、受給するために原則最低10年間の保険料納付済期間が必要です。しかし、学生納付特例制度を利用している期間は、保険料を納めていなくても国民年金の受給資格期間にカウントされます2)

国民年金の学生特例の対象となる人

画像: 画像:iStock.com/Keeproll

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学生納付特例制度の対象は、以下の2つの要件に当てはまる人です2)

  • 前年の所得金額が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下であること
  • 日本在住で大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校などに在学中の20歳以上の学生(対象校一覧はこちら

つまり、日本の学生のほとんどが対象となります。少なくとも、日本に住んでいて所得が128万円以下の学生であれば、学生納付特例制度を活用できると考えていいでしょう。

厚生労働省の「令和2年国民年金被保険者実態調査結果」3)によると、学生納付特例制度を利用している人は全体の63.9%にのぼるとの結果も出ています。多くの人が制度を活用し保険料納付の猶予を受けているといえるでしょう。

国民年金の学生特例の追納期限は10年

国民年金の学生納付特例制度で猶予を受けた保険料は、追納が承認された月から10年以内まで遡って納付できます。10年を超えてしまうと、追納はできません

また、3年以上前の保険料を追納する場合は、加算額も納める必要があります。本来納めるべき保険料よりもいくらか高い金額を納付しなければならないため、追納はできる限り早めにしておくといいでしょう4)

学生納付特例制度の追納期限については、以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】国民年金の学生特例の追納期限10年が過ぎた! いくら減る? どうしたらいい?

国民年金を追納するメリット・デメリット

学生納付特例制度を利用して猶予された保険料を、追納するかしないか迷っている人もいるでしょう。以下では追納するメリット・デメリットを解説します。

メリット①将来もらえる年金額が増える

画像: 画像:iStock.com/busracavus

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65歳になると受け取れる老齢基礎年金の受給金額は、以下の計算式で求めます。

【老齢基礎年金の受給額の計算式】5)

その年の満額の年金受給額×(保険料納付済月数÷480カ月)

保険料納付済月数が多いほど、受給額が多くなることになります。しかし、そのままにしておくと学生納付特例制度で猶予を受けた分は保険料納付済月数に含まれません。そのため、学生納付特例制度を利用した期間の分だけ受け取れる年金額が減ってしまうのです。

しかし、追納すれば学生納付特例制度を利用した期間分の保険料が納められるので、そのあとも欠かさず保険料を納めていれば満額受給が可能です。つまり、年金を追納すれば将来もらえる年金額が増えることになります。

追納する場合としない場合の差額については、後ほどシミュレーション形式で紹介します。

メリット②社会保険料控除が受けられる

画像1: 画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

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国民年金保険料の納付は、社会保険料控除の対象です。そのため、追納した年には、追納した金額分の社会保険料控除が受けられ、税額を少なくできます。社会保険料控除とは、所得金額の一部を差し引く所得控除のひとつで、適用されれば所得税や住民税の金額が減ります。

たとえば、令和6年度中に年収300万円の人が40万円分を追納した場合の所得税は、以下のようになります6)7)8)9)

〈追納しない場合の所得税額〉

収入−基礎控除−給与所得控除−社会保険料控除(令和6年度の国民年金保険料)=課税所得
300万円−48万円−98万円−20万3,760円=133万6,240円

課税所得×所得税率=所得税額
133万6,240円×5%=6万6,812円

〈追納した場合の所得税額〉

収入−基礎控除−給与所得控除−社会保険料控除(令和6年度の国民年金保険料+追納分)=課税所得
300万円−48万円−98万円−(20万3,760円+40万円)=93万6,240円

課税所得×所得税率=所得税額
93万6,240円×5%=4万6,812円

〈所得税の低減額〉

6万6,812円−4万6,812円=2万円

※:(基礎控除)所得金額に応じて差し引かれる金額。年収300万円の場合は48万円。
※:(給与所得控除)給与収入額に応じて差し引かれる金額。年収300万円の場合は98万円。
※:(令和6年度の国民年金保険料)年額20万3,760円。
※:(所得税率)課税所得195万円未満の場合は5%。

社会保険料控除は、年末調整や確定申告の時に適用されます。所定様式である「給与所得者の保険料控除申告書」を忘れずに記載して勤務先の担当者に提出しましょう。

メリット③障害基礎年金・遺族基礎年金の受給要件を満たしやすい

猶予された国民年金の保険料を追納すれば、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給要件を満たしやすくなります。どちらも国民年金のひとつで、障害年金は障がいのある人、遺族基礎年金は子どものいる故人の配偶者または故人の子どもに支給される年金です。

障害基礎年金、遺族基礎年金には受給要件に保険料納付済期間が関わってきます。それぞれの受給要件は以下のとおりです10)11)

【障害基礎年金の受給要件】

  • 障がいの原因となった病気やけがの初診日の前々月までに、国民年金の加入期間の2/3以上の期間、保険料が納付または免除されていること
  • 初診日に65歳未満で、初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

【遺族基礎年金の受給要件】

  • 国民年金の被保険者が死亡した時
  • 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所を有していた人が死亡した時
  • 老齢基礎年金の受給権者であった人が死亡した時
  • 老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡した時

※:国民年金の被保険者や被保険者であった人が死亡した場合は、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の2/3以上あることが必要。
※:国民年金の受給権者や受給資格を満たした人が死亡した場合は、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある場合のみ支給。

年金を追納しておけば、事故や病気で障がいが認められた時や自分が亡くなった時に、年金の支給対象となる可能性が高まります。将来への備えを重要視する人は、できる限り保険料を追納するようにしましょう。

【関連記事】障害年金の受給要件は? 受給する流れや注意点もわかりやすく解説

【関連記事】遺族年金とは? 受給要件や金額、期間などをわかりやすく解説

メリット④ローンや借入審査でプラスに働く

画像: 画像:iStock.com/David Gyung

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国民年金の保険料を追納しておけば、ローンや借入などの審査で、プラスに働く可能性があるでしょう。

たとえば、住宅ローンの融資を受ける際、審査時に国民年金の保険料納付済期間を見られることがあります。国民年金の保険料は税金と同じように納める義務があります。未払いとなっていれば、金融機関からの印象が悪くなる可能性があるでしょう。

一方、保険料をきちんと納めていれば、金融機関も問題なく融資をしてくれる可能性が高まります。また、年金を満額で受け取れるよう保険料を納めていれば、老後もローンの返済ができると判断されて、高齢でもローンを組めるケースもあるでしょう。

将来のライフプランで家や車の購入を検討しているのであれば、追納しておくと安心です。

デメリット①追納するためのまとまったお金が必要

画像: 画像:iStock.com/Panuwat Dangsungnoen

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国民年金の保険料を追納する際のデメリットとして、追納分のまとまったお金を用意しなければならないことが挙げられます。学校卒業まで学生納付特例制度が適用されていた場合、2年から4年程度の保険料を納めていないこととなります。

令和6年度の国民年金保険料が年額20万3,760円ですから、複数年分を納めると、数十万円を用意しなければなりません。毎月社会保険料として差し引かれる分とは別に追納分のお金を用意するのは、家計のやりくりが厳しくなる可能性も考えられます。

ただし、追納は分割での納付が可能です。分割区分は1カ月ごと、2カ月ごと、3カ月ごと、4カ月ごと、6カ月ごとの4つに分けられています。一時的に追納分のお金を全額用意できない時や、ボーナスの支給月に追納したい時などに活用できます。所定の「国民年金保険料追納申込書」を記入して、年金事務所へ提出しましょう。

デメリット②年金受給額が納めた金額を下回る可能性がある

画像: 画像:iStock.com/kool99

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追納の有無にかかわらず、国内の物価や経済情勢が上向かない状態が続くと、年金受給額が納めた保険料を下回る可能性があります。

厚生労働省の「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し-2019(令和元)年財政検証結果-」12)によると、経済成長率が低減し、労働力が上がらない年が続くと、2052(令和34)年度に年金原資である年金積立金が枯渇し、その年の保険料から年金を賄わなければならなくなるとしています。

保険料を追納しても受給する年金額が納めた保険料より少なければ、現役中の負担が増えるだけです。追納はメリットが多いのでできればしておきたいものですが、このようなリスクがある点もおさえておくといいでしょう。

デメリット③奨学金の返済と重なると家計のやりくりが苦しくなる

画像2: 画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

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日本学生支援機構の「令和4年度学生生活調査結果」13)によると、大学生の55%が奨学金を活用しています。奨学金の返済は就職直後の収入がまだ少ない時期から始まりますが、国民年金保険料の追納も10年以内に行う必要があり、返済と追納を併せてしようとすると、生活に影響を及ぼす可能性があります。特に、生活維持に必要な家賃や水道光熱費、携帯料金への支払いに影響が出てしまうと大変です。

そのため、「国民年金保険料の追納を優先してから奨学金の返済を進める」「ボーナスを使って国民年金保険料を追納し、毎月の給与で奨学金を返済する」といったマネープランをあらかじめ立てておくと、苦しい生活になる事態を免れることができます。計画的に追納し、将来に備えるようにしましょう。

【追納する場合・追納しない場合】年金受給額シミュレーション

学生納付特例制度で猶予された保険料を追納する場合と追納しない場合の年金受給額の差はどれほどになるのでしょうか。それぞれ計算してみましょう。

まずは老齢基礎年金の受給額の計算式をおさらいします。計算式は以下のとおりです4)

【老齢基礎年金の受給額の計算式】

その年の満額の年金受給額×(保険料納付済月数÷480カ月)(※)

※:シミュレーションでは令和6年度の満額の年金受給額81万6,000円をもとに計算しています。また、特例で猶予された保険料以外は、全額納めたものとします。

つぎに、令和6年度に追納する場合の、学生納付特例制度を利用した年度別の保険料は以下のとおりです14)

年度月額保険料の金額(※)
平成26年度1万5,460円
平成27年度1万5,790円
平成28年度1万6,460円
平成29年度1万6,670円
平成30年度1万6,500円
令和元年度1万6,560円
令和2年度1万6,670円
令和3年度1万6,710円
令和4年度1万6,590円
令和5年度1万6,520円

※:平成26年度〜令和3年度までの月額保険料には数十円〜数百円の加算額が含まれます。

なお、追納は古い年度から順に行わなければなりません。これらをもとに、試算したシミュレーションを説明していきます。

追納する場合と追納しない場合の年金受給額の差

保険料を追納しなかった場合は、学生納付特例制度を利用していた期間が長いほど、受給額が減ります。期間が1〜4年のケースを挙げ、追納しない場合とすべて追納する場合の年金受給額を比較してみましょう。

〈表〉令和5年度から1年間、学生納付特例制度を利用した場合

追納額年金受給額(年額)
追納しない場合0円79万5,600円
すべて追納する場合19万8,240円81万6,000円
年金受給額の差-2万400円

〈表〉令和4年度から2年間、学生納付特例制度を利用した場合

追納額年金受給額(年額)
追納しない場合0円77万5,200円
すべて追納する場合39万7,320円81万6,000円
年金受給額の差-4万800円

〈表〉令和3年度から3年間、学生納付特例制度を利用した場合

追納額年金受給額(年額)
追納しない場合0円75万4,800円
すべて追納する場合59万7,840円81万6,000円
年金受給額の差-6万1,200円

〈表〉令和2年度から4年間、学生納付特例制度を利用した場合

追納額年金受給額(年額)
追納しない場合0円73万4,400円
すべて追納する場合79万7,880円81万6,000円
年金受給額の差-8万1,600円

1年間分を追納しなかっただけでも、満額時と比べて年額で2万円程度の差が生まれます。4年間の場合には、満額の9割しか年金を受け取れません。

加えて、年金は多くの人が20〜30年以上受給することになります。そのため、4年分の保険料を追納せずに30年間受給したとすると、受給額の差は240万円以上にもなります

追納額の負担は大きいですが、追納しなかった場合に将来受け取れる年金受給額は、満額受け取れる人と比べて大きな差があるといえるでしょう。

【期間別】追納する場合の年金受給額

また、追納する場合には猶予分の全額に満たずとも、追納する期間分、年金受給額が満額に近づくことになります。

たとえば、令和4年度から2年間、学生納付特例制度を利用していた場合、追納する期間別の受給額は以下のとおりです。

〈表〉令和4年度から2年間、学生納付特例制度を利用した場合

追納する期間追納額年金受給額(年額)
6カ月分9万9,540円78万5,400円
1年分19万9,080円79万5,600円
1年半分29万8,200円80万5,800円
2年分39万7,320円81万6,000円

令和2年度から4年間、学生納付特例制度が適用されていた場合の受給額は以下のとおりです。

〈表〉令和2年度から4年間、学生納付特例制度を利用した場合

追納する期間追納額年金受給額(年額)
6ヵ月分10万20円74万4,600円
1年分20万40円75万4,800円
2年分40万560円77万5,200円
3年分59万9,640円79万5,600円
4年分79万7,880円81万6,000円

老齢基礎年金は終身で受け取れる年金です。受給額に差が生まれると、受け取る期間が長くなるほどその差は大きくなります。追納していれば保険料を満額納めている人との差を縮められるため、追納しない場合よりも多くの年金を受け取れます。

追納しないで投資にまわすのはアリ?

画像: 画像:iStock.com/recep-bg

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「学生特例の年金は追納しないほうがいい」「追納する代わりに投資にお金をまわすのがおすすめ」と考える人も中にはいるでしょう。しかし、国民年金の学生納付特例制度はあくまで本来収めるべき保険料を「猶予されている」状態です。納めなくてもいいことにはなっていますが、本来であれば納める義務があるものですから、追納すべきといえます。

とはいえ、マネープランは人それぞれです。「追納の代わりに投資をしてお金を増やす」ことをすでに思い描いていた人もいるはずです。追納分を投資にまわす際の注意点について、今一度確かめておきましょう。

追納分を投資にまわす際の注意点

追納分を投資にまわす際は、以下の2点について改めて考えてみましょう。

  • 年金が「相互扶助制度」である
  • 投資は本来余剰資金ですべきものである

前述のとおり、年金は現役世代が保険料を負担し、高齢者が受給する「世代間の相互扶助」で成り立っています。そのため、本来は損得抜きでごく自然に保険料が納められ、給付されるべき制度です。

学生納付特例制度を利用すると「追納する」「追納しない」の2つの選択肢が生まれます。どちらを選択しても法令違反ではないため追納の有無は個人の自由ですが、年金制度のしくみや今後のマネープランなどを踏まえたうえで、検討しましょう。

また、投資は本来余剰資金ですべきものであることを忘れないようにしましょう。お金を増やしたいと思い投資を始めるのは、資産形成のためにはいいことです。しかし、投資にのめり込みすぎて生活費を投資に使ったり、本来納めるべきものを納めずに投資をしていたりしては、老後を迎える前に生活が破綻してしまう可能性があります。

加えて、投資は元本割れのリスクがあります。運用結果によっては、終身で受け取れる年金額よりも少ない金額しか手元に残らない可能性もあるでしょう。国民年金の保険料を追納しない代わりに投資でお金を増やす場合は、リスクについても十分考慮するようにしましょう。

国民年金の学生特例の追納に関するよくある質問

画像: 画像:iStock.com/west

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国民年金の学生納付特例制度に関する質問をまとめました。追納するかどうかまだ決めかねている人は、ぜひ参考にしてください。

Q1.国民年金の学生特例は追納しないほうがいい?

学生納付特例制度で猶予されている保険料は、できる限り追納したほうがいいでしょう。追納すれば、将来年金を満額受け取れる可能性が高まります。また、社会保険料控除が適用されて所得税や住民税の節税にもつながります。

そのほか、障害年金や遺族年金の受給要件を満たしやすくなったり、ローンや借入審査でプラスに見てもらえたりと、追納のメリットは豊富です。国民年金の保険料は本来誰もが納めるべきものですから、できる限り追納しましょう。

Q2.国民年金の学生特例を追納しないとどうなる?

学生納付特例制度で猶予された年金保険料を追納しないと、将来年金を満額受け取れません。学生納付特例制度を利用した期間は老齢基礎年金の受給資格を満たすための期間には数えられますが、実際に保険料を納めているわけではないため受け取れる年金額は少なくなります。

また、今後の保険料の納付状況によっては、障害年金や遺族年金の受給要件を満たせなくなる可能性もあります。「あの時追納しておけばよかった」と後悔しないよう、慎重に判断しましょう。

Q3.国民年金の学生特例は追納しないといくら減る?

学生納付特例制度で猶予された保険料を追納しないまま年金を受給する場合、減額される年金額は以下のとおりです。

〈表〉追納しない期間別の減額される年金受給額

追納しない期間減額される年金受給額(年額)
1年分2万400円
2年分4万800円
3年分6万1,200円
4年分8万1,600円

※:シミュレーションでは令和6年度の満額の年金受給額81万6,000円をもとに計算しています。また、特例で猶予された保険料以外は、全額納めたものとします。

医学部のような6年制大学や大学院に進学した人は、期間が長くなる分、追納しない場合の年金受給額が大きく減ってしまいます。将来の備えに不安がある人は、追納するといいでしょう。

Q4.国民年金の学生特例はいつ追納するのがおすすめ?

追納のタイミングは、早ければ早いほどいいです。追納には最長10年の期限がありますが、早めに追納を済ませることで老後までのライフプランを立てやすくなります。

ただし、社会人になったばかりの頃に追納しようとすると、収入にまだ十分な余裕がないことも多く、特に奨学金の返済がある人の場合には、時期が重なり必要以上に負担を感じてしまいます。ボーナスが支給される月など、お金に余裕がある時に追納するといいでしょう。

また、税金や控除についてある程度の知識がある場合には、より節税効果のあるタイミングで追納を考えるのもひとつの手です。

国民年金の学生特例はできる限り追納を

画像: 画像:iStock.com/PrathanChorruangsak

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国民年金の学生納付特例制度で猶予された保険料は、年金制度の特性やメリット・デメリットなどを総合的に踏まえると、できる限り追納するほうがいいでしょう。年金を満額受給できる可能性が高まれば、老後の収入の目処が立つため、将来のライフプランを考えやすくなります。

ただし、奨学金の返済やローンの返済などと追納が重なると、負担は大きくなります。無理のないスケジュールで追納できるよう、マネープランを立てて可能な範囲で追納していくことを心がけましょう。

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