配偶者や子どもがいない一人暮らしの人の場合、比較的自由にお金を使うことができるものです。しかし、その分、生活費の管理はルーズになっている人が多いのではないでしょうか。また、結婚や老後など将来のことを考え、今のうちに貯蓄を始めたいと考えている人も多いと思います。

「生活費は、いくらに収めるのが適切?」
「貯金にまわすため、生活費を節約したい」

といった悩みもあることでしょう。この記事では、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さん監修のもと、一人暮らしの生活費の平均や内訳のバランス、生活費シミュレーションなどをご紹介します。併せて、節約テクニックについてもお伝えしていきます。

【注】この記事では、税金や社会保険料などを除いた“消費支出”のことを「生活費」と表現しています。家賃や水道・光熱費、食費などは含んでいますが、貯蓄や資産運用への投資金額などは含んでいないのでご承知ください。

この記事の監修者

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。

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一人暮らしの生活費の平均は約17万円/月

画像: 画像:iStock.com/kazuma seki

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まずは、一人暮らしの生活費の平均をご紹介しましょう。総務省の「家計調査年報(家計収支編)2021年」1)から、20代から50代までの働いている一人暮らし世帯(勤労者世帯)のデータを参考に見ていきます。

【注】「家計調査年報」の調査対象には、持ち家がある世帯が含まれているほか、住宅ローンを消費支出に含めていないといった理由から「住居」の金額が低めになっています。

1カ月・1年間の生活費の平均は?

20代から50代の一人暮らし(勤労者世帯)の調査結果を抽出し、全体の月額の平均を計算してみました。

20代から50代までの一人暮らし(勤労者世帯)全体の、毎月の実収入(額面月収)の平均は35万6,376円です。税金や社会保険料などの非消費支出は6万4,219円なので、実収入から非消費支出を引いた手取り月収は29万2,157円となります。

一方、生活費(税金や社会保険料などの非消費支出を除いた消費支出)の平均は17万1,816円となっています

〈表〉一人暮らしの手取り月収と生活費の平均(20代~50代/勤労者世帯)

手取り月収(実収入−非消費支出)29万2,157円
消費支出(生活費)17万1,816円

一人暮らしの場合、手取り月収の約59%が生活費にあてられています。この比率を、月収に対する生活費の割合の目安と考えてもいいでしょう。

ちなみに該当する統計資料がありませんが、一人暮らしの1カ月分の生活費の平均を12倍すると206万1,792円です。これを1年間の生活費の平均の目安と考えていいでしょう。

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男女別での一人暮らしの生活費の平均は?

画像: 画像:iStock.com/west

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一人暮らしの生活費の平均は、性別や年代によっても変わります。同じく「家計調査年報」の「男女,年齢階級別1世帯当たり品目別支出金額」2)のデータを見てみましょう。

〈表〉一人暮らし(34歳以下)の男女別生活費の平均

男女男性女性
消費支出(生活費)15万5,991円15万2,657円16万227円

〈表〉一人暮らし(35~59歳)の男女別生活費の平均

男女男性女性
消費支出(生活費)19万36円20万722円17万3,780円

34歳以下では、男性に比べ女性の生活費が高くなっています。これは、たとえば女性のほうが働く上でファッションやメイクなどにお金がかかることなどが挙げられます。実際、この統計の内訳を見ると「被服及び履物」の平均額は、男性が3,973円なのに対し、女性は1万989円と、3倍近くになっています。一方「食料」の平均額を見ると、男性は4万2,379円なのに対し、女性は3万1,963円と、約1万円低くなっています。

また、35歳から59歳までの場合を比べると、男性のほうが生活費が高くなっていることがわかります。統計の内訳の「教養娯楽」の平均額を見ると、男性が2万6,590円なのに対し、女性は1万6,811円と約1万円の差があります。男性のほうが娯楽用品や書籍の購入、レジャーなどにお金をかけている、と考えられます。

この10年間で一人暮らしの生活費はどう変わった?

この10年間で、一人暮らしの生活費の平均はどのように変わったのでしょうか? 同じく「家計調査年報(家計収支編)」の過去10年分(2012年から2021年まで)のデータをまとめてみました。

〈図〉一人暮らしの手取り月収と生活費の過去10年間の推移

画像: この10年間で一人暮らしの生活費はどう変わった?

過去10年分のデータを見ると、2012年の生活費の平均が16万9,751円であるのに対し、2021年の平均は17万1,816円となっており、大きな変化はありません。一方、2012年の手取り月収の平均が26万4,545円であるのに対し、2021年の平均は29万2,157円と上がっています。

手取り月収に対する生活費の割合を計算すると、2012年は64%で2021年は59%と、生活費が占める割合が下がったことがわかります

これには、主に以下の2つの原因が考えられます。

①平均賃金の増加

厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」3)を見ると、年間平均賃金は年々増加しており、2012年は297万7,000円なのに対して、2020年は307万7,000円となっています。つまり世帯の収入が増加傾向にあることから相対的に生活費の割合が下がったと考えることができます。

②コロナ禍の影響

グラフを見ると、手取り月収に対する生活費の割合は、2020年以降に大きく下がっていることがわかります。これは、コロナ禍の影響により生活様式が変わったことも一因と考えられます。

たとえば生活費の内訳を比較すると「被服及び履物」の支出は、2012年が7,235円なのに対し、2021年は5,932円と下降。一方、「水道・光熱」を比較すると2012年が9,086円なのに対し、2021年は1万225円と上昇しています。また「家具・家事用品」の費目を比較すると、2012年が3,635円なのに対し、2021年は6,151円と上昇しています。これは、コロナ禍で家にいる時間が増えたからだと考えられます。

なお、一人暮らしから家族4人暮らしまで、すべての世帯の生活費の平均や内訳を知りたい人は、以下の記事も併せてご覧ください。

【関連記事】【人数別】世間の生活費の平均はいくら? 理想の内訳も解説

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一人暮らしの生活費の内訳は?

画像: 画像:iStock.com/takasuu

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続いて、一人暮らしの生活費の内訳を見てみましょう。「食料」が占める割合が約23%と最も大きく、続いて「住居」と「交通・通信」の費用が高くなっています

〈表〉一人暮らしの手取り月収と生活費の平均(20代~50代/勤労者世帯)

手取り月収29万2,157円
消費支出(生活費)17万1,816円
生活費の内訳
※赤字は全体の支出に対する割合
食料3万9,884円 23%
住居2万9,637円 17%
水道・光熱1万225円 6%
家具・家事用品6,151円 4%
被服及び履物5,932円 3%
保健医療6,540円 4%
交通・通信2万3,734円 14%
教育14円 0%
教養娯楽1万9,710円 11%
その他の消費支出2万9,988円 17%

【コラム】一人暮らし大学生の生活費の内訳は?

一人暮らしの大学生の生活費の平均や内訳は、日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」4)で知ることができます。ここでは、私立と公立を合わせた昼間部の大学生の生活費の平均と内訳をご紹介します。

〈表〉一人暮らし大学生の生活費の平均と内訳(下宿・アパートなど)

収入18万7,725円
学費8万6,883円
生活費9万2,367円
生活費の内訳
※赤字は全体の支出に対する割合
食費2万2,783円 33%
住居・光熱費4万1,475円 60%
保健衛生費3,525円 5%
娯楽・嗜好品費1万1,350円 16%
その他の日常費1万3,233円 19%

〈表〉一人暮らし大学生の生活費の平均と内訳(学寮住まい)

収入16万5,583円
学費9万2,375円
生活費6万9,558円
生活費の内訳
※赤字は全体の支出に対する割合
食費1万9,533円 28%
住居・光熱費2万5,075円 36%
保健衛生費3,133円 5%
娯楽・嗜好品費9,675円 14%
その他の日常費1万2,142円 17%

一人暮らしの大学生の生活費と内訳は、下宿やアパートに住んでいるか学寮暮らしかで、大きく変わります。たとえば食費は下宿やアパートが2万2,783円、食事がある場合も含まれる学寮では1万9,533円です。もちろん、住居・光熱費も大きく異なります。一般的に、下宿やアパートに住んでいる学生の割合のほうが多いと思いますので、生活費の目安は9万円程度と考えていいでしょう。

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FPが教える! 一人暮らしの理想的な生活費の内訳バランスは?

画像: 画像:iStock.com/Violka08

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一人暮らしでは、家賃や水道光熱費などを一人で負担しなくてはなりません。一方で、比較的自由に使えるお金も多くなるものです。結婚を考えている人も、老後も一人暮らしを想定している人も、暮らしに余裕がある今のうちに、将来への備えを始めておいたほうがいいでしょう。

そこで実践していただきたいのが、生活費の見直しです。具体的には、将来へ備える分をあらかじめ考慮に入れて、収入に対する生活費の割合を決めることから始めましょう。

ここでは生活費だけに注目するのではなく、毎月の手取り月収に対する支出の理想的なバランスをご紹介します。

〈表〉一人暮らしの理想の支出バランス(監修者作成)

費目バランスの目安
住居(家賃/住宅ローン)手取り月収の20~25%
食費手取り月収の15%以内
通信費5,000円程度
水道光熱費1万円程度
交通費ライフスタイルや収入に応じて調整
保険料
雑費(日用品費など)
小遣い
不定期な支出手取り月収の10%程度
貯蓄手取り月収の10%以上

①住居(家賃/住宅ローン):手取り月収の20~25%

前述の「家計調査年報」1)では、「住居」の金額が低めになっていますが、手取り月収の20~25%が、家賃や住宅ローン(マンションの管理費や修繕積立金を含む)を無理なく支払える範囲といえます。都内の一人暮らしだと、家賃をこの範囲に抑えるのは難しいかもしれませんが、その場合は不定期な支出や貯蓄にまわすお金で調整してみてもいいでしょう。

②食費:手取り月収の15%以内

手取り月収に対して食費が占める割合は15%以内が適切といわれています。ただし、まだ収入が少ないうちは、食費の割合が高めになるのも、ある程度しかたないでしょう。

③通信費:5,000円程度

「家計調査年報」1)によれば、一人暮らしの「通信」の費目の平均額は8,022円となっています。スマホの格安通信プランを利用すれば、5,000円未満に抑えることも可能でしょう。なお、一人暮らしの場合、インターネットの使い方によりますが、自宅にインターネット回線を引くよりは、スマホのテザリングを利用したほうがコストパフォーマンスがいいでしょう。

④水道光熱費:1万円程度

「家計調査年報」1)によれば、「水道・光熱」の費目の平均額は1万225円ですから、だいたい1万円を目安と考えればいいでしょう。

⑤不定期な支出:手取り月収の10%程度

冠婚葬祭にかかる費用や帰省費用、家具家電の買い替えなど、毎月ではなく不定期であるものの年単位でみれば発生する可能性が高い支出については、毎月積み立てをしておくと家計の管理がしやすくなります。金額は手取り月収の10%程度が目安となります。年末に余った金額を貯蓄にまわすことも可能です。

⑥貯蓄:手取り月収の10%以上

将来家庭を持つことを考えている場合でも、老後の備えを考えている場合でも、できれば手取り月収の10%は貯蓄にまわしたほうがいいでしょう。あらかじめ割合を決めておけば、給与が振り込まれた時点で「先取り貯金」もしやすくなります。

【関連記事】手取り15万円の一人暮らしでも貯金は可能?生活費の目安や貯金方法を紹介

⑦交通費、保険料、雑費、小遣い

交通費、保険料、雑費、小遣いは、ライフスタイルによって調整が必要になる支出といえます。具体的な目安がある費目を先に計算してから、残りの金額で配分を考えるといいでしょう。

【関連記事】生命保険料の平均はいくら? 年代・家族構成・年収別に徹底解説!

【手取り20万円】一人暮らしの生活費シミュレーション

画像: 画像:iStock.com/SetsukoN

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それでは、ここまでに提案したバランスを踏まえて、一人暮らしの生活費をシミュレーションしてみましょう。ここでは、例として手取り月収約20万円の世帯を例にシミュレーションします。

〈表〉一人暮らし(手取り月収約20万円)の生活費シミュレーション

手取り月収約20万円
住居(家賃/住宅ローン)5万5,000円
食費3万円
通信費5,000円
水道光熱費1万円
交通費(自動車維持費含む)1万円
保険料5,000円
その他(日用品や小遣いなど)5万円
不定期な支出1万5,000円
貯蓄2万円

将来への備えとして、貯蓄にまわす金額を10%確保しました。また年齢に応じて冠婚葬祭などお付き合いの機会が増えることを考え、不定期な支出を10%程度としています。

通信費にはスマホ代のほか、自宅で利用するインターネット回線も含んでいます。自家用車を利用しており、交通費1万円では維持管理費が足りない場合には、小遣いや不定期な支出などと調整してもいいでしょう。

【関連記事】手取り月収20万円の額面や年収は?適切な家賃や貯金額の目安についても解説

【関連記事】手取り15万円の一人暮らしでも貯金は可能?生活費の目安や貯金方法を紹介

一人暮らしが実践したい、4つの節約術

画像: 画像:iStock.com/patpitchaya

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一人暮らしの場合、自由にお金を使いやすいだけに、出費が増えてしまうことが多いものです。そこで、一人暮らしの人が押さえておきたい節約術をいくつかご紹介します。

節約術①家計簿アプリで支出を「見える化」する

一人暮らしの場合にありがちなのが「なんとなく」お金を使ってしまうこと。特に、外食やコンビニ代などは、1回あたりの金額が少額なこともあり、いくら使ったのかを覚えていない人が多いかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、家計簿アプリです。電子マネーやクレジット決済と連携するタイプの家計簿アプリなら、自動的に支出が記録されるので、いつ、何にお金を使ったのか、すぐに把握できるようになります。支出を細かく把握する習慣が身につけば、自然と無駄遣いも減るでしょう。

節約術②食費や小遣いを週単位で管理する

支出が変動しがちな食費や交際費を含む小遣いについては、1カ月の予算を決めておくのが基本です。とはいえ、1カ月単位で残額を管理するのは、意外と難しいものでしょう。そこでおすすめしたいのが、1カ月の予算を5等分し、週単位で管理することです。5等分すると、5週目が少し余るので、予備費も確保しやすくなります。予算が余った場合は次週にまわす、または貯金にあててもいいでしょう。

節約術③通信費、ネットサービスの見直しをする

趣味や娯楽に使える時間やお金に余裕がある一人暮らしの場合、動画配信サービスをはじめ、複数のネットサービスを楽しんでいる人も多いでしょう。その中には、あまり利用していないものがあるかもしれません。

個々の利用料は少額でも、塵も積もれば山となるものです。この機会に、ネットサービスの見直しをしてみましょう。また、スマホ代については、格安料金プランに乗り換えることで、通信費を大きく節約できる場合もあります。

節約術④保険の見直しをする

万が一の際にも安心して生活できるための備えが十分でない人は、民間保険の加入や見直しを検討してみましょう。ただし、必要以上の保障内容にする必要はありません。もしすでに加入している保険の保障が手厚すぎると感じたら、保険の見直しを行い、節約につなげましょう。なお、医療保険や生命保険など、民間の保険に加入していると、生命保険料控除を受けられるメリットがあります。

一人暮らしのうちに、家計管理の基本をマスターしよう

画像: 画像:iStock.com/miya227

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比較的お金が自由に使える一人暮らしは、ついつい生活費の管理がルーズになってしまいがちです。将来のことを考えるなら、今のうちに家計管理の基本を実践し、貯蓄にまわすお金をつくっておきましょう。

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