【関連記事】携帯代が支払えない時はどうしたらいい? 弁護士が解説する「4つの重大リスク」と「正しい対応」。詳しくはコチラ
※この記事は、2022年6月20日に更新しています。
※サービス等の金額は、すべて税込表記です。
この記事の著者
佐藤宇紘
1991年3月生まれ。チームラボのグループ企業でメディアコンサルタントを経験後、フリーランスのライター・編集者に転身。雑誌やIT系のウェブ媒体を中心に、取材・構成・執筆を手がける。その他、ブログやオウンドメディアのコンテンツマーケティングの支援なども行っている。
みんなのスマホ代はいくら? まずは平均額をチェック
料金の節約を考える前に、そもそも自分が払っているスマホ代が、みんなと比べてどれくらい高いのかが気になるのではないでしょうか? まずは、スマホ代の平均額をご紹介しましょう。
大手通信会社3社(ドコモ、au、ソフトバンク)の平均額
MMD研究所が発表した「2021年12月通信サービスの料金と容量に関する実態調査」1)によると、大手通信会社3社(ドコモ、au、ソフトバンク)と契約している方の、端末代・オプションを含んだスマホ代の平均額は8,471円となっています。
また、2021年春にスタートした大手通信会社3社によるオンライン申し込み専用の新料金プラン(「ahamo(ドコモ)」「povo(au)」「LINEMO(ソフトバンク)」)で契約している方の平均額は6,345円です。
格安SIM(MVNO)の平均額
一方、ここ数年でユーザー数が増えている格安SIM(MVNO)のユーザーの平均額は3,841円と、大手3社の利用者と比較すると低い水準となっています1)。MVNOは、仮想移動体通信事業者といい、主に自社回線を所有しない通信会社のことです。詳しいしくみに関しては後述します。
※「格安SIM」とは、大手通信会社から借りた通信回線を利用者に提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)の一般的な呼称です。
〈図〉月々のスマホ代の平均(ユーザー属性別)
この調査結果を見る限り、1カ月のスマホ代が平均を上回る金額、目安として9,000円以上になっている方は、他の人よりも高い料金を支払っているかもしれない、と疑ってみてもよいでしょう。
家族(2〜4人)の平均額
ここまでの平均額を踏まえ、家族が2〜4人の場合のスマホ代はいくらになるのかを算出してみました。
〈表〉推定される家族のスマホ代の平均額(月額)
家族の人数 | 大手通信会社3社の場合 | 新料金プランの場合 | MVNOの場合 |
---|---|---|---|
2人 | 16,942円 | 12,690円 | 7,682円 |
3人 | 25,413円 | 19,035円 | 11,523円 |
4人 | 33,884円 | 25,380円 | 15,364円 |
もちろん使い勝手が異なりますが、月々でかかるスマホ代はそれなりに変わってきます。詳しくは後述しますが、それぞれのよさを把握しながら、お財布と相談して自分に最適な通信会社や料金プランを選ぶのがよいでしょう。
スマホ代を構成する4つの要素とは?
スマホ代の節約を考える際、まず確認しておきたいのがスマホ代の内訳です。料金明細をチェックし、どのサービスに対していくらの料金がかかっているのかを知ることで、不要なサービスを停止したり、別のプランへの乗り換えを検討したりできるようになります。
〈図〉1カ月に支払うスマホ代の内訳のイメージ
スマホ代のしくみは複雑でわかりにくいというイメージを持っている方が多いかもしれませんが、基本的な考え方はどの通信会社でも同じです。重要なものから順番に説明していきましょう。
①データ通信料
多くの場合、スマホ代の内訳のうち、割合がもっとも高いのがデータ通信料です。
YouTubeなどの動画コンテンツはもちろん音楽配信やゲーム、メールやSNSといったサービスの大半がインターネットに接続しデータ通信を行うため、データ通信料を全額カットすることは難しいでしょう。
ただし、料金プランの見直しや通信会社を変更することで、データ通信料を従来よりも低く抑えられる可能性があります。
特に、動画をよく見る方は大量のデータ通信を行っているので、データ通信料の見直しをすれば、スマホ代の大幅な節約ができるかもしれません。
データ通信料を節約する際のチェック項目やポイントについては、後ほど詳しく解説します。
②音声通話料
携帯電話(フィーチャーフォン)に比べてスマホの場合、音声通話料が月々の料金に占める割合は少なくなっています。
最近では、LINEやSkypeといった音声通話回線を使わずインターネット経由で通話を行うサービスも普及しているため、以前に比べ通常の音声通話を利用する機会も減っているのではないでしょうか。
もし、音声通話の必要がないと考えているなら、通信会社によっては、データ通信のみのプランを用意している場合があるため、思い切って音声通話の利用を止めてしまうこともできます。
とはいえ、音声通話の利用を止めると、固定電話へ電話をかけたり受けたりすることができなくなるほか、LINEやSkypeなどを利用していない相手とは通話ができなくなってしまいます。
通信会社によっては、条件付きで音声通話料を無料にしたり低く抑えたりできるプランを用意している場合もあるので、音声通話の利用頻度が多い方は、プランの見直しを検討してみるとよいでしょう。
データ通信料を節約するためのチェック項目やポイントについては、後ほど詳しく解説します。
③オプションサービス料
スマホ代全体に占める割合は少ないものの、もっとも手軽に見直しできるのが、各種のオプションサービスに支払っている料金です。不要なサービスを整理することで、スマホ代が節約できます。
〈表〉一般的なオプションサービスの種類と料金の目安
主なオプションサービス | サービスの概要 | 料金の目安(月額) |
---|---|---|
留守番電話 | 留守番電話の内容をセンターで預かってくれる | 300円程度 |
端末補償 | 故障や紛失時に代替機と交換してくれる | 300~1,000円程度 |
遠隔操作サポート | スマホの使い方を遠隔からわかりやすく教えてくれる | 400円程度 |
動画、音楽などのオリジナルコンテンツ | 通信会社が提供する有料コンテンツが利用できる | 300~500円(1コンテンツあたり) |
セキュリティ | マルウェアやフィッシング詐欺を排除してくれる | 300~500円 |
通信会社によっては、格安をうたう料金プランに契約する際、複数のオプションサービスへの加入を条件としていることがあります。あまり使わないオプションサービスだと、加入したことを忘れたまま料金を支払い続けている場合がよくあるものです。料金明細をしっかりとチェックして、不要なオプションサービスに加入していないかを確かめましょう。
また、留守番電話のように加入するのが当然と思っているオプションサービスでも、実際にはあまり利用していない場合もよくあります。再加入もできるので、いったん解約して不便かどうかを確認してみるのもよいでしょう。
④スマホ端末の分割代金
1カ月に支払うスマホ代の内訳で、見逃せないのがスマホ端末の分割代金です。
契約時のスマホ端末の料金が無料または格安となっている料金プランは、じつは端末の分割代金が毎月の料金に含まれている場合がほとんどです。料金明細をよく見ると、端末の分割代金がスマホ代の半分近くを占めている方もいるでしょう。
また、月々のスマホ代に端末の分割代金が含まれている場合、分割代金を払い終えるまでは、解約料に残りの端末代が加算されるため、別の通信会社に乗り換えにくくなってしまうデメリットもあります。
毎月のスマホ代を低く抑えるという観点からいえば、契約時に一括払いで購入する、または家電量販店などで、「SIMフリー」と呼ばれる、通信会社の制限が少ない端末を購入するなど、毎月のスマホ代に含まれない形で端末を用意するのがおすすめです。特にSIMフリーの端末なら、通信会社の乗り換えも簡単になります。
とはいえ端末代を一度に支払うわけですから、当然一時的な負担が大きくなるのが悩みどころです。最近のスマホは10万円前後の機種も多いため、一括払いでは頻繁に買い替えることも難しくなってしまいます。
そのため端末代を一括で支払うことに抵抗がある方や、常に最新機種を使い続けたい方なら、スマホ代の内に端末代を含めたほうがよいと感じることもあるでしょう。自分の経済事情や利用形態にあわせて、選択してください。
チャートで確認! あなたのスマホ代はどこまで節約できる?
それでは、あなたのスマホ代がどこまで節約できるかをチェックしてみましょう。フローチャートの質問に答えていけば、今、あなたがもっとも意識すべき節約のポイントがわかります。なお、このフローチャートは、現在大手通信会社3社と契約している方(オンライン申し込み専用の新料金プランではない方)を対象にしています。その点をご理解の上、試してみてください。
では、それぞれの節約ポイントをご紹介していきましょう。
【節約パターンA-1~4】通信会社を乗り換えずにスマホ代を節約する方法
大手通信会社と契約している場合、格安SIMに乗り換えることでスマホ代を大幅に節約できる可能性があります。しかし、現在使っているメールアドレス(キャリアメール)を変更したくない、格安SIMの通信環境に不安がある、乗り換えの手続きが面倒と思っているなどの理由から、通信会社を変えたくないと思っている方も多いはずです。
その場合でも、各種のプランを見直したり特典を利用したりすることで、毎月のスマホ代を節約することができます。代表的な節約のポイントをご紹介しましょう。
【A-1】データ通信プランを見直す
大手通信会社のデータ通信プランは、それ以上消費したデータ通信量(ギガ)に応じて料金が変わる「従量タイプ」と、毎月一定の料金を支払う「定額タイプ」の2種類が用意されています。
どちらのタイプを利用すべきかは、毎月消費しているデータ通信量によって変わります。その目安となるのが、特にデータ通信量を消費する動画の視聴時間です。
〈表〉1日あたりの動画視聴時間とデータ通信量の関係
1日あたりの視聴時間 | 月あたりのデータ通信量 |
---|---|
10分程度(月で約5時間) | 約1.2GB |
30分程度(月で約15時間) | 約3.6GB |
60分程度(月で約31時間) | 約7.2GB |
通信プランを切り替えるか否かの目安は、動画視聴時間が毎日60分を超えているかどうかでしょう。詳細な料金については、以下でそれぞれ解説していますが、現在大手通信会社3社は消費したデータ量に応じて料金が変動する「従量プラン」を用意しており、毎月のデータ消費量が7GB以下なら従量プランのほうが安価で済む可能性が高くなります。
動画にたとえた場合、視聴時間が毎日60分を超えていないのに定額プランを選んでいる場合は、従量タイプに切り替えることで、毎月3,000円程度のスマホ代節約が期待できます。
以下、大手通信会社3社のデータ通信の代表的な料金プラン(4Gサービスの場合)について、従量プランと定額プランの一例をご紹介していきます。
【備考1】ご紹介する各プランの料金はすべて、定期契約によるサービスやそのほかの割引サービスが適用されていない場合の税込価格となります。
【備考2】動画視聴以外でも、スマホのデータ通信を利用して、パソコンやタブレットをインターネットに接続する「テザリング」や、電子書籍アプリによるコンテンツのダウンロード、ゲームアプリのデータ通信なども大量のデータ通信量を消費する可能性があります。あくまで動画視聴の時間は目安とお考えください。
●NTTドコモの場合
NTTドコモが提供する大容量のデータ通信プラン「ギガホ プレミア」は、定期契約なしの場合、月額7,205円で60GBまでのデータ通信量を使うことができます(テザリング含む)。ただし、使用量が3GB以下の月は1,650円が割引された5,555円になります(容量超過後、通信速度は送受信最大1Mbps)。
一方、使ったデータ通信料に応じて支払うプランの「ギガライト」は、次のように月額料金が変動します。
〈表〉ドコモ「ギガライト」の月額料金
通信量 | 月額料金 |
---|---|
1GBまで | 3,465円 |
3GBまで | 4,565円 |
5GBまで | 5,665円 |
7GBまで | 6,765円 |
「ギガライト」を契約している場合、データ通信量の消費が7GBまでなら、「ギガホ プレミア」より毎月440〜2,090円程度がお得になります。
一方、7GBより多くなる場合、「ギガライト」では速度制限(送受信最大128kbps)がかかります。通常の通信速度での利用可能データ通信量を追加するには1GBあたり1,100円の追加費用がかかり、7,865円になります。つまり、「ギガホ プレミア」(7,205円)よりも660円高くなってしまいます。
「ギガホ プレミア」も60GBを超えると速度制限はかかりますが、データ通信量がかなり大きいので、スマホの使い勝手を変えずに大容量のデータ通信を行いたい方は、「ギガホ プレミア」を選択すると通信料の節約が期待できることになります。
なお、加入条件やキャンペーンにより、価格は変動します。ドコモのウェブサイトよりご確認ください。
●auの場合
auが提供するデータ通信の定額プラン「使い放題MAX 5G/4G」は、月額7,238円でデータ通信量を使い放題で利用ができます。ただし、このプランでは月間のデータ通信量が3GB以下の場合、1,650円割引となります。(容量超過後、通信速度は送受信最大128kbps)
一方、従量プランの「ピタットプラン4G LTE(新auピタットプランN)」は使うデータ通信量で、次のように月額料金が変動します。
〈表〉au「ピタットプラン4G LTE(新auピタットプランN)」の月額料金
通信量 | 月額料金 |
---|---|
1GBまで | 3,465円 |
4GBまで | 5,115円 |
7GBまで | 6,765円 |
「ピタットプラン4G LTE」は、データ通信量の消費が毎月4GB〜7GBなら6,765円なので、「使い放題MAX 4G」と473円の差があり、2GB〜4GBまでなら5,115円なので、毎月2,123円の節約となります。
一方で、データ残量や速度制限などを気にせず使いたいなら、「使い放題MAX 5G/4G」を選択するほうがよいでしょう。
●ソフトバンクの場合
ソフトバンクが提供するデータ通信の定額プラン「メリハリ無制限」は、月額7,238円で無制限にデータ通信量を使うことができます(テザリングやデータシェアは合計30GBを超過すると低速化します)。
一方、従量プランの「ミニフィット プラン+」は消費するデータ通信量で、次のように月額料金が変動します。
〈表〉ソフトバンク「ミニフィット プラン+」の月額料金
通信量 | 月額料金 |
---|---|
1GBまで | 3,278円 |
2GBまで | 4,378円 |
3GBまで | 5,478円 |
ソフトバンクの場合、3GBまでなら「ミニフィット プラン+」のほうが安いように思えますが、「メリハリ無制限」は、月のデータ通信量が3GB以下の場合、料金が1,650円引かれる特典があります。
データを消費しやすい動画をほとんど見ない方以外は、定額プランを選んでおいたほうが無難かもしれませんが、使い方によって決めたほうがよいでしょう。
【A-2】音声通話オプションに加入する
スマホの音声通話料は、通信会社を問わず22円/30秒が基本となっています。家族間通話は大手通信会社3社ともに無料ですが、それ以外の方との長電話の習慣がある方なら、スマホ代の内訳で音声通話料が占める割合が高くなっている可能性が少なくありません。
目安として、音声通話の使用時間が毎月合計で40分を超えている場合は、「音声通話オプション」に加入することで、スマホ代の節約が期待できます。
大手通信会社3社の、音声通話オプションの料金とメリットを、個別にご紹介しましょう。
●NTTドコモの場合
NTTドコモの音声通話オプションは、「かけ放題オプション」と「5分通話無料オプション」の2種類が用意され、通話量に応じて選ぶことができます。
〈表〉ドコモの音声通話オプション
オプション名 | 月額料金 | サービス内容 |
---|---|---|
かけ放題オプション | 1,870円 | 国内通話がかけ放題になる(※) |
5分通話無料オプション | 770円 | 1回5分以内の国内通話がかけ放題※になる(1回あたりの通話が、5分を超過したぶんは22円/30秒の追加料金) |
国内通話は30秒ごとに22円の通話料がかかる※1ため、「かけ放題オプション」の月額1,870円は、約42分間の音声通話料に相当します。たとえば、音声通話を毎月60分利用しているとすれば、基本プランでは通話料は2,640円になりますので、「かけ放題オプション」に加入することで、毎月770円の節約となります。
※1 同一「ファミリー割引」グループ以外の方との通話の場合。
また、毎月合計で42分以上の音声通話を利用しており、1回の通話が5分以内で終わることが多い方なら、月額770円の「5分通話無料オプション」に加入することで、音声通話料の大幅な節約が期待できます。
●auの場合
auの音声通話オプションは、「定額通話2」と「定額通話ライト2」の2種類が用意されています。
〈表〉auの音声通話オプション
オプション名 | 月額料金 | サービス内容 |
---|---|---|
通話定額2 | 1,980円 | 国内通話がかけ放題になる(※) |
通話定額ライト2 | 880円 | 1回5分以内の国内通話がかけ放題(※)になる(5分を超過したぶんは22円/30秒の追加料金) |
NTTドコモの場合と同様、「通話定額2」の月額1,980円は、約45分間の音声通話料に相当します。たとえば音声通話を毎月60分利用しているとすれば、通話料は2,640円ですから、「通話定額2」に加入することで、毎月660円の節約となります。
また、1回の通話が5分以内で終わることが多い方は、月額880円の「通話定額ライト2」に加入することで、さらに音声通話料を大幅に節約することが期待できます。
●ソフトバンクの場合
ソフトバンクの音声通話オプションは、「定額オプション+」と「準定額オプション+」の2種類が用意されています。
〈表〉ソフトバンクの音声通話オプション
オプション名 | 月額料金 | サービス内容 |
---|---|---|
定額オプション+ | 1,980円 | 国内通話がかけ放題になる |
準定額オプション+ | 880円 | 1回5分以内の国内通話がかけ放題になる(5分を超過したぶんは22円/30秒の追加料金) |
「定額オプション+」の月額1,980円は、約45分間の音声通話料に相当します。たとえば音声通話を毎月60分利用しているとすれば、通話料は2,640円ですから、「定額オプション+」に加入することで、毎月660円の節約となります。
また、毎月合計で45分以上の音声通話を利用しており、1回の通話が5分以内で終わることが多い方なら、月額880円の「準定額オプション+」に加入することで、音声通話料の大幅な節約が期待できます。
【A-3】不要なオプションサービスを解約する
大手通信会社の場合、契約時に様々なオプションサービスに、自動的に加入するケースが少なくありません。
個々のオプションサービスは300円~500円程度のものが多いのですが、塵も積もれば山となるという言葉もあるように、複数のオプションサービスに加入していると、支払う料金もかさんでしまいます。
データ通信も音声通話も、そこまで多くは利用していないのに何故かスマホ代が高いという場合は、オプションサービスに複数加入している可能性があります。
料金明細を確認し、不要なオプションサービスが見つかった場合は、解約をしましょう。無駄な出費を省くという点では、効果的な節約となります。ただし、契約している料金プランによっては、指定のオプションサービスとの組み合わせで割引が適用されている場合がある点に注意してください。
なお、オプションサービスの詳細については、こちら(③オプションサービス料)も併せてご参照ください。
【A-4】通信会社指定のインターネットサービス、電気会社を併用する
大手通信会社は、指定のインターネットサービスと契約することで、スマホ代の割引をするサービスを提供しています。
〈表〉インターネットサービスを併用した場合の割引サービス例
通信会社 | 名称 | 内容 |
---|---|---|
NTTドコモ | ドコモ光セット割 | 「ドコモ光」とセットなら、家族でギガホ・ギガライト(1GB超)等を契約した方(または同一「ファミリー割引」グループ内の方)のスマホの月額料金から値引きされる |
au | auスマートバリュー | 「auひかり」やケーブルテレビなど指定のインターネットサービスと契約することで、スマホ代の月額から値引きされる |
ソフトバンク | おうち割 光セット | 「SoftBank 光」など指定のインターネットサービスと契約することで、スマホ代の月額から値引きされる |
家庭にインターネット回線を引けば、そのぶん通信代が増えますが、家の中でスマホを利用する際にWi-Fi経由で家庭のインターネット回線を使うことで、スマホのデータ通信量を抑えることができ、結果的に節約につながる場合もあります。
また通信会社によっては、指定の電気会社と契約する、家族を同じ通信会社の契約に乗り換えさせる、といった条件でスマホ代を割引するサービスを提供していることもあります。
割引サービスのしくみは複雑なので、詳しく知りたい場合は、契約している通信会社のショップなどで相談してみるとよいでしょう。
【節約パターンB】格安SIM・新興系通信会社に乗り換えてスマホ代を大幅に節約する方法
大手通信会社にこだわらないなら、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる、いわゆる「格安SIM」を提供する通信会社に乗り換えることで、スマホ代の大幅な節約が期待できます。
また、MVNOではありませんが、自社回線を所有し、格安SIM並みの低料金を実現している「楽天モバイル」のような新興系通信会社も、スマホ代を節約する際の有力な選択肢となるでしょう。
通信会社を乗り換えることで番号が変わってしまうという不安があるかもしれませんが、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)という制度を利用すれば、携帯電話番号を変更することなく、格安SIMに乗り換えることが可能です。
とはいえ大手通信会社と比べた場合、料金が安いぶん格安SIMや新興系通信会社にはデメリットもあります。乗り換えの前に、格安SIMのしくみやメリット、デメリットを整理しておきましょう。
格安SIMのスマホ代が安い理由は?
大手通信会社に比べ格安SIMのスマホ代が安い理由は、サービスを提供するためにかかるコストの違いにあります。
特に大きな違いは、格安SIMを提供する通信会社の大半が、自前の通信回線を持っていないことです。大手通信会社の回線を借りているため、回線の整備や基地局の維持などにかかる費用の負担が少ないのです。
〈図〉格安SIMを提供するMVNOのしくみ
また、実店舗の数も大手通信会社に比べ少ないため、人件費やテナント料を低く抑えられることなども、格安SIMのスマホ代が安い理由といえるでしょう。
格安SIMや新興系通信会社のスマホ代はどれくらい?
格安SIMや新興系通信会社を利用する最大のメリットは月々のスマホ代の安さです。また多くの場合、料金プランもシンプルなので、どのプランを選べばよいのか迷うことが少ない点も、格安SIMのよいところといえます。
MVNOのワイモバイルと新興系通信会社「楽天モバイル」の料金プランを例に、乗り換えした場合のスマホ代をご紹介します。
●ワイモバイルの場合
ワイモバイルの料金プランは、契約するデータ通信量によって料金が3パターンにわかれる定額プランの「シンプルS/M/L」が基本となります。
〈表〉ワイモバイル「シンプルS/M/L」の月額料金
プラン名 | 通信量 | 月額料金 |
---|---|---|
シンプルS | 3GBまで(S) | 2,178円 |
シンプルM | 15GBまで(M) | 3,278円 |
シンプルL | 25GBまで(R) | 4,158円 |
15GBまでの「シンプルM」を選んだ場合、大手通信会社3社の定額制のプランと比べて約3,000〜4,000円の節約となります。25GBまでの「L」でも、約2,000〜3,000円の節約となります。
音声通話は22円/30秒ですが、国内通話が毎回10分間まで無料になる「だれとでも定額」(770円/月)などの通話オプションも用意されています。
●楽天モバイルの場合
楽天モバイルは、自社回線を有しながら、大手通信会社の回線を併用している、新興系通信会社です。
楽天モバイルは使用したデータ通信量によって料金が変わる1種類の料金プランのみを提供しています。2022年6月時点では「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」を提供していますが、2022年7月より「Rakuten UN-LIMIT VII」に変更することが発表されています。
〈表〉楽天モバイル「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ/VII」の月額料金
Rakuten UN-LIMIT Ⅵ | Rakuten UN-LIMIT VII | ||
---|---|---|---|
通信量 | 月額料金 | 通信量 | 月額料金 |
1GBまで | 無料 | - | - |
3GBまで | 1,078円 | 3GB以下 | 1,078円 |
20GBまで | 2,178円 | 20GB以下 | 2,178円 |
20GB以上 | 3,278円 | 20GB超 | 3,278円 |
7月から適用される「Rakuten UN-LIMIT VII」では、3GB以下のデータ通信は1,078円に抑えられるほか、20GBより多く使った場合でも3,278円で使い放題と、大手通信会社3社の定額プランと比べおおよそ3,000〜4,000円の節約となります。
ただし注意したいのが、データ通信の速度が条件によって変わることです。楽天モバイルは2020年4月より本格的に携帯キャリアサービスを開始しており、独自の回線を所有しています。楽天回線エリア内なら高速のデータ通信が利用可能ですが、楽天回線エリア外の大手通信会社から借りている回線(パートナー回線)エリアで利用する場合は、通信料が5GBを超過すると、通信速度が最大1Mbpsになってしまいます。なお、楽天回線エリアの4G人口カバー率は2022年4月末時点で97.2%に到達したと発表されており、急速に拡大していますが、まずは利用できるエリアを確認したほうがよいでしょう。
ちなみに、音声通話は大手と同じく22円/30秒ですが、「RakutenLink」という専用の音声通話アプリを使った場合、国内通話はかけ放題です。また、海外渡航時も2GBまでのデータ通信、SMSは追加料金無しで使うことができます。
格安SIMのデメリットは?
スマホ代の節約という点では大きなメリットがある格安SIMですが、利用にあたって注意すべき点もいくつかあります。主なデメリットをご紹介しましょう。
(1)通信速度が安定していない
他の通信会社の回線を借りて運営していることもあり、大手通信会社と比べ通信速度が安定していないのが、格安SIMのもっとも大きなデメリットといえます。
特に、通勤や昼休みなど、回線の利用者が増える時間帯になると、使い勝手に影響するほどに通信速度が落ちてしまう格安SIMも少なくありません。
メールやSNSのチェック程度なら気にならないかもしれませんが、動画を見たりゲームで遊んだりする頻度が多い方は、ストレスを感じる機会が増える可能性があることをおぼえておくべきでしょう。
(2)手厚いサポートが受けられない
サポート体制も、大手通信会社のように手厚いわけではありません。特に、スタッフが対面でサポートしてくれる実店舗の数が少ないため、初期設定やトラブル対応に自信がない方は、不便を感じるかもしれません。
とはいえ最近では、サポート体制を充実させている格安SIMも増えています。乗り換える際には、その点も確認しておくとよいでしょう。
このように、格安SIMを利用することでスマホ代が大幅に節約されるぶん、不便になることが増えるのも事実です。
【節約パターンC】大手通信会社が提供する新料金プランに変更してスマホ代を大幅に節約する方法
2021年3月より、大手通信会社も新料金プランの提供を開始しました。現在契約している通信会社を変更しなくても、スマホ代が「格安SIM」並みの料金になることから、契約変更を検討している方も多いと思います。
〈表〉大手通信会社が提供する新料金プランの月額料金
会社名 | サービス名 | 月額料金 | データ通信量 |
---|---|---|---|
NTTドコモ | ahamo(アハモ) | 2,970円 ※1 | 20GB |
KDDI | povo2.0(ポヴォ) | 月額料金0円 ・390円:1GB(3日間) ・990円:3GB(30日間) ・2,700円:20GB(30日間) ・6,490円:60GB(90日間) ・12,980円:150GB(180日間) ・330円:データ使い放題(24時間) | |
ソフトバンク | LINEMO(ラインモ) | 2,728円 ※2 | 20GB |
表のように、各社とも月額料金が20GBまで3,000円弱となっており、従来の定額通信料金プランの半額以下となっています。povo2.0を除き、20GBを超えた場合には通信速度が制限されるとはいえ、コストパフォーマンスは非常に高いといえるでしょう。
通話料金は各社とも22円/30秒ですが、かけ放題の通話オプション(有料)も用意されています。
〈表〉大手通信会社が提供する新料金プランの通話オプション
サービス名 | 5分かけ放題 | 時間無制限かけ放題 |
---|---|---|
ahamo(アハモ) | 無料(基本料金に含まれている) | 1,100円 |
povo2.0(ポヴォ) | 550円 | 1,650円 |
LINEMO(ラインモ) | 550円 | 1,650円 |
時間無制限の通話オプションを追加した場合でも、従来の定額通信料金プランより割安ということになります。ただし、いずれのプランの場合でも加入方法が従来のプランと異なります。
大手通信会社が提供する新料金プランに変更する際の注意事項は?
格安SIM並みの通信料金で安定した回線が利用できる点は大きなメリットですが、従来の通信料金プランと比べると、やはりデメリットもあります。新料金プランへの変更を検討する前に、知っておきたい主な注意事項は次の4つです。
注意①留守番電話などのオプションサービスが利用できない場合がある
留守番電話や各種のコンテンツサービスなど、通信会社が提供するオプションサービスの多くが非対応になっている場合があります。オプションサービスを利用している方は、特に注意が必要でしょう。
注意②これまで使用している端末では利用できない場合がある
大手通信会社が提供する新料金プランは、古い端末では利用できない場合があります。契約変更を検討する際には、通信会社のウェブサイトで対応する端末を確認しておきましょう。
注意③店頭での申し込みやサポートが利用できない
大手通信会社が提供する新料金プランは店頭でのサポートを原則として行わず、申し込みもオンラインのみとなっています。店頭でスマホの使い方やトラブル対応に関する相談をする機会が多い方は、従来のプランを利用したほうが安心かもしれません。
なお、ドコモの「ahamo」は、有償(1回3,300円)で新規契約や乗り換えおよび、申し込み後の手続きを補助する店頭サポートを受けることが可能です。また、「ahamo」で利用しているスマホに故障などのトラブルがあった際の修理申し込みも店頭で行うことができます(修理代金は別途発生)。
注意④適用されない割引サービスがある
従来の料金プランでは利用できた割引特典で、対象外となるものがいくつかあります。
〈表〉対象外となる割引サービスの例
ahamo | みんなドコモ割、ドコモ光セット割など ※ |
---|---|
povo2.0 | auスマートバリュー、家族割など |
LINEMO | 新みんな家族割、おうち割光セットなど |
割引特典にメリットを感じていた方は、契約を変更しないほうがよいかもしれません。
そのほかにも、ahamo、LINEMOは18歳未満、povo2.0は20歳未満は契約ができない、これまでの契約年数が引き継がれない(ahamoは引き継ぎ可)など、従来の料金プランに比べ不便な点がいくつかあります。また、サービス内容や注意事項は頻繁に変更される可能性が高いため、契約変更を検討する際には、各社のウェブサイトをチェックしましょう。
大手通信会社3社も新料金プランを拡充。賢い使い方をしよう
毎月支払うものだけに、スマホ代の節約は家計にも大きな影響を与えます。とはいえ、単にコストを下げるという観点だけで節約すると、使い勝手が悪くなってしまい、日常のストレスが増える可能性もあります。大手通信会社3社も新料金プランを用意するなど、選択肢は増えていますので、スマホ代の節約を考える際には、コストと利便性のバランスを考えつつ、最適な選択をするように心がけましょう。