「年金分割」とは、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を分割して、それぞれの年金記録に分配する制度です。離婚時にこの年金分割をしないとどうなるのか、疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、ファイナンシャルプランナー・氏家祥美さん監修のもと、離婚時の年金分割について徹底解説します。手続きのほか、年金分割ができないケースについてもしっかり説明します。

この記事の監修者

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。

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離婚時に年金分割をしないとどうなる?

画像: 画像:iStock.com/inga

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専業主婦(夫)の場合、年金分割をしないと将来もらえる年金の受給額が大きく減少してしまう可能性があります。ただし、共働きで自身も厚生年金に加入していて、配偶者よりも収入が多い場合には、自分の年金が分割される可能性がある点に注意が必要です。

なお、離婚をしたからといって、年金の分割は自動では行われません。原則、離婚などをした日の翌日から起算して2年以内に申請手続きを行う必要があります1)

年金分割とは

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年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を分割して、それぞれの年金記録に分配する制度です。事実婚でも当事者の一方が他方の被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者(※)と認定されていた期間あれば、年金分割を請求することはできます2)

〈図〉離婚時の厚生年金の分割(イメージ図)

画像: 年金分割とは

離婚時の年金分割ができるのは厚生年金のみです。配偶者の収入がどんなに多くても、自営業で国民年金の加入者である場合はその年金を分割することはできません。国民年金基金や確定給付企業年金、個人型確定拠出年金も年金分割の対象からは外れます。

※:厚生年金保険の被保険者あるいは共済組合の組合員の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満の人を指します。

年金分割の注意点

画像: 画像:iStock.com/AslanAlphan

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ここでは離婚時の年金分割について、知っておくべき注意点を3つ説明します。

年金分割されるのは婚姻期間中の厚生年金記録

年金分割の対象となるのは、「婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録」です。婚姻をしていない期間の厚生年金記録は対象になりません。また、分割されるのは厚生年金の保険料納付記録であって、「年金の受給額ではありません。老齢厚生年金などの受給額は、当事者それぞれの分割後の記録に基づいて計算されます。

年金分割の請求期限は離婚などの翌日から2年間

年金分割の請求期限は原則、離婚などをした日の翌日から起算して2年間です。ただし、期限までに分配の割合を合意できなかった場合でそれまでに割合を決めるための審判申立や調停申立を行っていれば、本来の請求期限経過日から6カ月まで期限を延長することができます

なお、離婚などが成立してから相手が死亡した場合、死亡した日から起算して1カ月を経過すると年金分割は請求できなくなってしまうので注意しましょう3)

分割の割合は50%が上限

年金分割を受けることによって増額される側の分割後の持ち分割合を「按配割合(あんばいわりあい)」といいます。按配割合は分割を受ける側の持ち分が減らないように、それと同時に分割をされる側の持ち分を超えないように決めることになっています。そのため、按配割合は50%が上限となっています。

年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2種類がある

画像: 画像:iStock.com/heliopix

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年金分割には合意分割3号分割の2種類があります4)。「合意分割」は、平成19年4月1日以降に離婚などをして、両者の合意または裁判などに基づいて厚生年金記録を分割する制度です。

一方、「3号分割」は、相手の合意がなくても厚生年金記録を1/2ずつに分割することができる制度です。ただし、3号分割は平成20年4月1日以降の婚姻期間中の第3号被保険者期間に限って利用できます。以下でそれぞれについて詳しく説明します。

合意分割とは

合意分割は、離婚または事実婚関係を解消した場合に、両者の合意に基づいて婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割できる制度です。ただし、事実婚関係の解消で年金分割ができるのは、事実婚期間中の第3号被験者期間に限られます。

合意分割の場合、分割の按配割合は当事者同士の話し合いで決定します。ただし、話し合いで按配割合を合意できなかった時は、当事者一方の求めがあれば、法律の定める範囲内で家庭裁判所に割合を定めてもらうことができます。

3号分割とは

3号分割は平成20年4月1日以降の国民年金第3号被保険者期間について、相手の厚生年金保険料納付記録を1/2ずつに分割請求できる制度です。相手の合意なく、年金分割を請求でき、按配割合が一律50%と決まっている点が合意分割との相違点です。

合意分割と3号分割を併用する場合も

前述のように、3号分割は国民年金の第3号被保険者である場合に利用できます。ただし、厚生年金に加入する共働きから専業主婦(夫)になったり、専業主婦(夫)から自分で国民年金保険料を支払う共働きになったりと婚姻期間中に年金の加入状態が変わった場合には、合意分割と3号分割を併用する点に注意しましょう。

年金分割の手続きの流れ

画像2: 画像:iStock.com/takasuu

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年金分割は以下の流れで行います3)

ただし、3号分割の場合には、按配割合が50%と定められているので、行う手続きは④だけになります。それぞれについて詳しく説明します。

①「情報通知書」を入手する

年金分割をする際にはまず、分割の対象となる期間や双方の年金加入記録などが書かれた情報通知書を入手します。後述の必要書類を年金事務所に提出することで、この情報通知書の請求手続きを行います。期限内であれば、この手続きは離婚前でも離婚後でも行うことが可能です。

また、情報通知書は当事者2人一緒でも1人でも請求することができます。離婚後であれば1人で請求しても2人で請求してもそれぞれに届きますが、離婚前であれば請求した人だけに届きます。

②夫婦で按配割合を話し合う

続いて、情報通知書をもとに、夫婦で按配割合について話し合います。話し合いで決まった按配割合は、「公正証書の謄本または抄録謄本」か「公証人の認証を受けた私署証書」、あるいは「年金分割の合意書」のいずれかの書類で明らかにしておきます。ただし、年金分割の合意書を選ぶ場合は、当事者2人かその代理人が揃って年金事務所に直接書類を持参する必要があります。

③合意できなければ、調停や裁判を行う

合意分割で按配割合を合意できない場合には、家庭裁判所に審判または調停の申し立てをして、按配割合を定めてもらいます。この手続きは当事者一方の請求で行えます。

④按配割合が決まったら、年金事務所で分割の手続きをする

按配割合が決まったら、離婚後に後述の必要書類を年金事務所に提出することで年金分割の請求手続きを行います。

⑤「標準報酬改定通知書」を受け取る

日本年金機構が按分割合に基づいて、厚生年金の標準報酬を改定し、改定後の標準報酬をそれぞれに通知します。

年金分割の必要書類を確認

画像: 画像:iStock.com/mapo

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ここでは、年金分割の手続きをする際に必要な書類について説明します3)

なお、いずれの手続きを行う場合でも以下の書類が必要となります。

A:マイナンバーカード
A:請求者の基礎年金番号通知書または年金手帳などの基礎年金番号を明らかにすることができる書類
B:婚姻期間を明らかにすることができる書類(戸籍謄本〈全部事項証明書〉またはそれぞれの戸籍抄本〈個人事項証明書〉のどちらか)

※:Aはどちらか請求書に記載する方でOK
※:Bは請求日から6カ月以内に交付され、婚姻日と離婚日が確認できるもの。事実婚関係にある期間を含む場合は、その事実を明らかにすることができる住民票などの書類

情報通知書の手続きに必要な書類

情報通知書の請求手続きに必要なのは、前述のA、Bのほかに「年金分割のための情報提供請求書」が必要です。

③は日本年金機構のウェブサイトで入手することができます。

合意分割の手続きに必要な書類

合意分割の手続きをする際には、以下の書類が必要です。

①A
②B
③標準報酬改定請求書
④請求日前1カ月以内に交付された当事者両名の生存を証明できる書類(それぞれの戸籍謄本〈全部事項証明書〉、戸籍抄本〈個人事項証明書〉または住民票のいずれか)
⑤年金分割の割合を明らかにすることができる書類

※:④は③に個人番号(マイナンバー)を記入することで省略可能

③は日本年金機構のウェブサイトで入手することができます。⑤は話し合いで年金分割の割合を定めた時は、ア〜ウのいずれかを用意します。

ア:公正証書の謄本または抄録謄本
イ:公証人の認証を受けた私署証書  
ウ:年金分割することおよび按分割合について合意している旨を記入し、自らが署名した書類

ウの書式は日本年金機構のウェブサイトからダウンロードすることもできます。ただし、ウは当事者両名かそれぞれの代理人が揃って、年金事務所に直接持参する必要があります。その際には当事者の場合には「本人確認書類」、代理人の場合にはさらに「委任状」と委任状に捺印した印鑑の「印鑑登録証明書」が必要です。

一方、家庭裁判所裁判所による手続きで按配割合を定めた場合には、以下の書類が必要です。

審判(判決)の場合:審判(判決)書の謄本、または抄本および確定証明書
調停(和解)の場合:調停(和解)調書の謄本または抄本

なお、家庭裁判所で住所または氏名の秘匿決定を受けた場合には、これに加えて秘匿事項届出書面謄本および秘匿決定謄本も必要となります。

3号分割の手続きに必要な書類

3号分割の手続きをする際には、以下の書類が必要です。

①A
②B
③標準報酬改定請求書
④請求日前1カ月以内に交付された当事者両名の生存を証明できる書類(それぞれの戸籍謄本〈全部事項証明書〉、戸籍抄本〈個人事項証明書〉または住民票のいずれか)

※:④は③に個人番号(マイナンバー)を記入することで省略可能

3号分割の場合は、離婚前でも事実上離婚状態にあることを理由に分割を請求することもできます。その場合には、「事実上の離婚状態であること」を明らかにすることができる書類を添付します。詳しくは弁護士に相談しましょう。

年金分割のための情報通知書の見方

最後に「年金分割のための情報通知書」で確認すべき部分を説明します。

画像: 年金分割のための情報通知書の見方

①対象期間標準報酬総額

年金分割の対象となる期間の厚生年金保険料納付記録を、当事者それぞれの生年月日に応じた再評価率で現在価値に換算した合計額が示されています。

なお、対象期間の標準報酬総額が多いほうを「第1号改定者」 といい、相手に標準報酬を分割する側になります。この金額が少ない方が「第2号改定者」で、相手から標準報酬の分割を受ける側になります。

②按配割合の範囲

按配割合は年金分割をしたあとに第2号改定者がもらえる持ち分を表したものです。ここに第2号改定者に割り当てられる範囲が示されます。

③対象期間

年金分割の対象となる期間を示します。

離婚で年金分割できない4つのケース

画像: 画像:iStock.com/kieferpix

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離婚や事実婚を解消する際に年金分割ができないこともあります。以下で詳しく説明します。

①配偶者が厚生年金に加入していない

離婚によって分割できるのは、厚生年金の保険料納付記録です。そのため、たとえば配偶者が婚姻期間中ずっと個人事業主をしていて厚生年金の被保険者でなかった場合などには、年金分割をできません。ただし、配偶者が現在、厚生年金に加入していなくても、婚姻期間のどこかで厚生年金に加入していた場合には、その期間について分割請求することは可能です。

②離婚してから2年以内に分割の手続きをしなかった

前述のように、年金分割の請求期限は離婚した翌日から2年以内です。期限内に手続きを済ませましょう。ただし、特例として、期限内に審判申立や調停申立を行っていた場合には、最大6カ月延長できることもあります。また、按配割合が決定したあと、分割手続き前に一方が亡くなった場合にも、最大1カ月まで延長することができます。

③自分の年収が配偶者より高い

自分も配偶者も厚生年金の被保険者で、自分のほうが配偶者よりも年収が高い場合、分割の対象となるのは配偶者ではなく、自分の年金になります。

④国民年金あるいは厚生年金に加入した期間が10年未満

公的年金の受給資格がない場合、年金記録の分割は受けられても、年金をもらうことができません。年金の受給は原則65歳からです。それまでに国民年金(第3号被保険者期間を含んでも可)か厚生年金に加入した期間が10年以上あることが公的年金をもらう条件です。

いくらもらえる?年金分割の計算方法 

画像: 画像:iStock.com/gtlv

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ここでは年金分割をした場合の年金の受給額を試算します。年金の受給額を算出する計算式は以下です。

報酬比例年金額=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数(※)

※:平成15年4月以降は総報酬制の導入に伴い、厚生年金給付の計算において賞与も含めた平均標準報酬額を用いて年金額を計算します。平成15年3月までの給付乗率は、7.125/1000となります。

65歳以降の老齢厚生年金の支給額は、報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額ですが、ここでは、報酬比例年金額を目安として考えることとします。

さらに年金分割の計算をする時には、前述の情報通知書で対象期間標準報酬総額按分割合の範囲の項目を確認する必要があります。なお、以下では、夫が会社員(第1号改訂者)、妻が専業主婦(第2号改訂者)で3号分割を行ったと仮定します。第1号改定者は厚生年金記録の分割をした人、第2号改定者は分割を受けた人です。

夫の対象期間標準報酬総額:8,000万円
妻の対象期間標準報酬総額:0円
妻の対象期間標準報酬総額:0円
按分割合:50%
厚生年金加入期間20年

上記の条件の場合、離婚後の年金支給額(報酬比例金額部分)は以下のようになります。

夫と妻の対象期間標準報酬総額の合計額
8,000万円+0円=8,000万円

2人の分割後の対象期間標準報酬総額
夫:8,000万円×50%=4,000万円
妻:8,000万円×50%=4,000万円

年金支給額(報酬比例金額部分)
対象期間標準報酬総額×5.481/1000

夫:4,000万円×5.481/1000=21万9,240円(年額)
妻:4,000万円×5.481/1000=21万9,240円(年額)

※:夫が厚生年金に加入した期間は平成15年4月以降と仮定

約20年間の婚姻期間中の厚生年金加入記録をもとに50%ずつ年金分割したと仮定すると、このケースでは65歳以降に年間21万9,240円ずつ老齢厚生年金を受給することになります。1カ月あたり1万8,270円です。

上記の計算例はあくまでも目安であり、正確な計算方法で算出した場合の結果は異なるということを覚えておきましょう。

実際に年金分割をした人がもらっている年金額

離婚時に年金分割を行った人が実際にどのくらいの金額を年金としてもらっているのかも見てみましょう。厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」5)によると、離婚件数が減少傾向にある一方で、離婚時の年金分割をする人は増加傾向にあります。

〈表〉離婚などに伴う年金分割の状況

総数(件)年金分割3号分割のみ離婚件数(組)
令和元年度2万9,3912万1,4857,90620万9,217
令和2年度2万9,7812万6959,08618万8,657
令和3年度3万4,1352万3,3591万77618万727
令和4年度3万2,9272万1,8931万1,03418万583
※:離婚件数は、「人口動態統計月報(概数)」(厚生労働省政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室)による年度累計

令和4年度は前年に比べて離婚件数も離婚時の年金分割も減っていますが、3号分割の件数は増加しています。

続いて、実際に年金分割した人が受け取っている年金についても見てみましょう。離婚後に年金分割の手続きをした人のうち、年金を受け取り始めた人だけを対象にしているデータのため、対象件数が2,000件余りと少なくなっています。第1号改定者は厚生年金記録の分割をした人、第2号改定者が分割を受けた人です。

〈表〉離婚分割後の平均年金月額の推移【第1号改訂者】

件数(人)改訂前(円)改訂後(円)変動差(円)
令和元年度2,98214万3,16211万4,025−2万9,137
令和2年度2,31014万5,06111万5,963−2万9,098
令和3年度2,72214万4,95111万5,492−2万9,459
令和4年度2,62314万6,96111万5,363−3万1,598
※:金額には老齢厚生年金と老齢基礎年金が含まれる

〈表〉離婚分割後の平均年金月額の推移【第2号改訂者】

件数(人)改訂前(円)改訂後(円)変動差(円)
令和元年度2,4815万3,4058万4,0563万651
令和2年度2,0705万1,5858万2,3583万774
令和3年度2,3315万4,2818万5,3943万1,112
令和4年度2,2575万5,2158万7,9493万2,734
※:金額には老齢厚生年金と老齢基礎年金が含まれる

令和4年度の場合、第1号改定者の平均年金月額は11万5,363円、第2号改定者は8万7,949円でした。いずれの場合でも老後の生活費としては不十分と感じる人が多いのではないでしょうか。できるだけ、離婚後には働いて収入を得て貯蓄を増やす、できれば厚生年金に加入できる仕事に就いて将来の年金受給額を増やすなどの対策を考えましょう。

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分割した年金はいつからもらえる?

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離婚時に年金分割をすると、按配割合に基づいて厚生年金の保険料納付記録が改訂されます。これを年金として受け取るのは、受給開始年齢に達してからになります。

年金分割に関するよくある疑問に回答

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最後に年金分割に関する疑問に回答します。

Q.年金分割を拒否することはできる? 

合意分割の場合、按配割合を双方が合意する必要があるため、分割の割合に合意しないことはできます。しかし、相手は家庭裁判所に按配割合を裁定請求して分割の手続きを進めることが可能です。また、3号分割の場合には相手側だけで年金分割の手続きを行うことができます。

Q.専業主婦(夫)が離婚した場合、年金はどうなる?

厚生年金に加入したことのない専業主婦(夫)が離婚した場合、その人自身の年金が分割されることはありません。厚生年金に加入する配偶者の扶養者として平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間がある場合には、3号分割を請求しましょう。配偶者の合意がなくても、厚生年金の保険料記録を分割してもらうことができます。また、それ以前の期間も第3号被保険者期間がある場合は、相手の合意が必要ですが、合意分割の対象になります。

Q.再婚した場合、年金分割に影響する?

離婚後に年金分割が完了している場合、再婚は年金分割に影響を与えません。

Q.結婚年数は年金分割に影響する?

結婚年数にかかわらず、年金分割を行うことは可能です。ただし、婚姻期間中の厚生年金加入記録だけが分割の対象になるため、婚姻期間が短いと分割額は少なくなる傾向があります。また、3号分割は、平成20年4月1日以降の婚姻期間のみが対象になります。

Q.事実婚の場合でも年金分割はできる?

事実婚でも年金分割は可能です。ただし、相手の被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者と認定されていた期間がある場合に限られます。

Q.別居すると年金分割の割合に影響する?

別居をしても離婚をしていなければ、その期間は婚姻期間と数えられ、年金分割の割合には基本的に影響がないと考えられます。

Q.年金分割をした配偶者が死亡した場合は?

年金分割をしたあとであれば、配偶者が死亡しても、自分の年金への影響はありません

離婚時の年金分割は2年以内に手続きを

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離婚時に年金分割を受けて、すでに年金を受給している人の年平均年金月額は令和4年度で8万7,949円となっています。老後の生活費としては不十分かもしれませんが、法律で認められた重要な権利です。年金の受給額が増額する機会をみすみす逃さず、離婚が成立した日から2年以内にしっかり年金分割の手続きをしましょう

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