「老後のための貯金、いくら必要?」
「退職金や年金だけでは、老後の生活費は足りない?」
老後のための資金について、不安や疑問を抱える人は少なくないでしょう。

この記事では、ファイナンシャルプランナー・藤井亜也さん監修のもと、老後に備えたい人に向けて老後のための資金づくりについて説明します。さらに、退職金や年金、定年退職後の収入まで、老後のお金について徹底解説します。

この記事の監修者

藤井 亜也(ふじい あや)

株式会社COCO PLAN 代表取締役社長
ファイナンシャルプランナー(CFP、FP1級)。独立系ファイナンシャルプランナーとして20代~90代と幅広い年代のお客様の相談に対応。一人一人に心を込めて、最適なプランを提案し、多くのお客様のライフプランを実現。個別相談だけでなく、マネーセミナー、執筆・監修など幅広く活動中。著書に『今からはじめる理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方』(三恵社)がある。ラジオ番組『未来のためのお金のハナシ』(FM川口)毎週月曜16時から放送中。

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老後のための貯蓄額、平均は2,000万円以上

画像: 画像:iStock.com/takasuu

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総務省の調査1)によると、2人以上世帯の世帯主の貯蓄額は、60~69歳で2,537万円、70歳以上で2,318万円でした。一方、全国の60歳以上の男女を対象とした内閣府の調査2)によると、貯蓄総額(※)は、「100万円~500万円未満」が18.8%で最も多く、ついで「2,000万円以上」が15.6%で続きました。

2つの調査を併せて考えると、一定数の人が老後の資金として2,000万円以上を用意していることがわかります。

※配偶者と同居している場合は、夫婦の貯蓄額の合計

老後の生活費、必要額は目指す生活レベルで異なる

画像: 画像:iStock.com/kokouu

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老後の平均的な生活費はどのくらいと考えたらいいでしょう。総務省「家計調査報告」3)によると、65歳以上の1人暮らし無職世帯の支出は14万4,747円でした。一方、2人暮らし無職世帯(世帯主が65歳以上)の場合、支出は25万5,100円でした。

一方、ゆとりある老後生活を送ろうと思うと、平均的な家計収支に比べ、生活費はどの程度の上乗せが必要なのでしょうか。生命保険文化センターの調査4)によると、ゆとりある老後生活のための上乗せ額の平均は月額で14万8,000円でした。

その使い道は、「旅行やレジャー」が60.0%で最も高く、「日常生活費の充実」(48.6%)、「趣味や教養」(48.3%)、「身内とのつきあい」(46.2%)が順に続きます。

老後の生活費について知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】老後の生活費はいくら? 家計収支の詳細はコチラ

住まいによっても生活費は変わる

画像: 画像:iStock.com/marchmeena29

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前述の「家計調査報告」では、生活費に「住居費」が含まれていましたが、住まいによって老後生活にかかる金額の内容は大きく変わります。それぞれの場合について、以下で説明します。

戸建ての持ち家の場合

住宅ローンや固定資産税があるのはもちろん、戸建ての場合は、マンションと異なり、室内だけではなく、外壁や庭などのメンテナンスの費用も自分で負担する必要があります。また、マンションに比べ、セキュリティ対策にも注意する必要があります。これをカバーするために、セキュリティ会社などのサービスを利用する場合、その費用も発生します。

分譲マンションの場合

戸建て同様に分譲マンションの場合も、住宅ローンや固定資産税があります。加えて、管理費や修繕積立金、駐車代・駐輪代など、戸建てには必要ない費用がかかります。特に近年、人件費や材料の高騰により、管理費や維持費が年々上がる傾向にあります。今後の支出として資金を多めに見積もったほうが安心でしょう。

賃貸住宅の場合

賃貸住宅の場合は、持ち家と異なり、住宅ローンや固定資産税の支払いはありません。住居のメンテナスは基本的に大家が行う点も賃貸住宅ならではの利点です。毎月かかる費用としては、家賃、管理費、駐車代・駐輪代などがかかります。一方、資産性がないため、資金不足に陥った時に活用できない点に注意が必要です。

老後の住まい方の経費について知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】老後はマンションだと後悔する? 戸建てとの違いや物件選びの詳細はコチラ

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いくらもらえる? 制度で年金の受給額は異なる

画像: 画像:iStock.com/banabana-san

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厚生労働省5)によると、年金の平均受給額は国民年金が5万6,368円、厚生年金が14万5,665円です。直近3年間の平均月額は以下のとおりです。

〈表〉年金受給額の平均月額の推移

年度国民年金厚生年金(国民年金を含む)
令和3年5万6,368円14万5,665円
令和2年5万6,252円14万6,145円
令和元年5万5,946円14万6,162円

年金の受給額を試算したい人は、厚生労働省の公的年金シミュレーターを使ってみましょう。年金額を簡単に試算することを目的としているため、実際の年金額とは必ずしも一致しませんが、受給額の概算をするには十分です。

また、日本年金機構の「ねんきんネット」でも受給額の試算は可能です。同サイトでは、将来受け取る年金の見込み額や年金記録の確認などができます。

年金制度について知りたい人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】老後の年金はいくらもらえる? 受給額やしくみの詳細はコチラ

定年まで勤めた場合、大卒の退職金は平均2,563万9,000円

画像: 画像:iStock.com/bee32

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厚生労働省の調査6)によると、定年まで勤めた場合、大学卒の退職金は平均2,563万9,000円、高校卒の場合は1,971万2,000円です。大学卒と高校卒の「モデル退職金」は以下のとおりです。

〈表〉事務・技術(総合職)のモデル退職金額(会社都合)

勤続25年勤続30年勤続35年60歳定年
大学卒1,393万8,000円1,915万4,000円2,364万9,000円2,528万円2,563万9,000円
高校卒1,005万円1,367万9,000円1,669万4,000円1,925万2,000円1,971万2,000円

モデル退職金とは、学校を卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進した者で、設定されたモデル条件(事務・技術労働者または生産労働者、総合職又は一般職、学歴、年齢、勤続年数)に該当する者の退職金を指します。

とはいえ、中小・中堅企業の中には退職給付制度を採り入れていない企業もあります。また、近年は退職金をもらうことができない非正規雇用労働者も増えている点にも注意が必要です。「男女共同参画白書 令和4年版」7)によると、令和3年は正規雇用労働者が3,555万人、非正規雇用労働者が2,065万人でした。

60%以上の人が定年後も働いて収入を得ている

画像: 画像:iStock.com/maruco

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定年後の収入の平均額はいくらなのでしょうか。60歳以上の男女を対象にした内閣府の調査8)によると、1カ月当たりの収入の平均額(※)は、「10万円~20万円未満」が30.9%で最も多く、ついで「20万円~30万円未満」(25.8%)、「5万円~10万円未満」(14.0%)、「30万円~40万円未満」(12.5%)でした。

最近では、定年制度の廃止や定年の引き上げ、継続雇用制度の導入などの「高年齢者雇用確保措置」を行っている企業が増加しており、それに伴い65歳以上でも働く人は増えています。令和4年の「高齢社会白書」9)によると、従業員31人以上の企業約16万社のうち、高齢者雇用確保措置を実施済みの企業の割合は99.9%(16万4,033社)でした。

また、65歳以上の就業状況をみると、男性の場合は65~69歳で就業する人は全体の60.4%、70~74歳では41.1%でした。女性の場合も65~69歳で40.9%、70~74歳で25.1%、と70代に入ると激減するものの、男女ともに65~69歳では40%以上の人が働いていることがわかります。

※配偶者と同居している場合は、夫婦の収入の合計額

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老後のための貯金はいつまでに準備したらいい?

画像: 画像:iStock.com/gan chaonan

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まずはひと月あたりの現在の支出と老後の収入(年金や保険など)を確認しましょう。老後の収入から現在の支出を引くと、これまでどおりの暮らしをした場合、毎月いくら足りないのかがわかります。続いて、退職金と預貯金を合計した金額をこの金額と12で割ると、マイナス分をカバーできる年数が分かります。

老後の収入ー現在の支出=足りない金額/月
20万円ー34万円=▲14万円/月

預貯金・退職金の合計金額÷マイナス分÷12カ月
3,000万円÷14万円÷12カ月=17.8年

=カバーできるのは約18年分

たとえば65歳定年の場合、上述の計算によると、カバーできるのはだいたい83歳までとなります。平均寿命や健康寿命などと比較して、足りない年数分は家計の見直しや資産運用などの対策をすることが必要です。

老後の本格的な準備は50代から取り組むのがおすすめです。結婚や子育て、住宅購入などの大きな出費を伴うライフイベントが落ち着き、退職までまだ余裕があるので、ある程度の対策を立てることができます。

最近では、現役時代のうちから副業や起業に取り組むことで、老後の収入源を確保する人も増えています。企業に属さず収入を得る準備は老後の資金づくりにつながるだけでなく、生活に潤いを与える上でも役立つでしょう。

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