「バランスのいい食事が大切なのはわかるけど、コンビニでどうにか揃わないかな?」
体を鍛えている人たちにとって、ただでさえトレーニングを頑張っているのに、食事の準備にまで時間をかけるのは大変なことです。しかしながら、トレーニングばかりに力を入れて、食事をおろそかにしてしまうと、十分な効果が得られないのもまた事実です。
そこでこの記事では、忙しい人の強い味方、「コンビニ」で買えるものの中で、筋トレの効果をアップするのに最適な食品を、管理栄養士の佐藤樹里さん監修のもと紹介します。おすすめの組み合わせについても紹介するので、自炊の時間がとれない人は、ぜひ参考にしてください。
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※この記事は2022年6月8日に公開した内容を最新情報に更新しています。
筋トレ後の食事で摂取すべき栄養素
食事メニューを選ぶために、まずは筋トレ後の食事がなぜ大切なのか、その重要性と、選ぶべき栄養素を把握しておきましょう。
筋トレ後の食事が必要な理由
そもそも、筋トレなどのトレーニングは、筋肉を損傷させる行為であり、筋肉が修復する際に、より強い筋肉がつくられます。しかしこの時、筋肉の材料となる十分な栄養素がなければ、スムーズに修復が行えません。
そのため、筋トレ後に十分な食事を摂っていないと、筋肉量が増えないだけでなく、かえって筋肉が痩せてしまう可能性もあるのです。
せっかく頑張った筋トレの効果を最大限高めるためにも、筋トレ後には食事を摂りましょう。
筋トレ後の食事で摂取したい5大栄養素
コンビニの食品を選ぶ際、どんな栄養素を意識すればいいのでしょうか。主に摂るべき栄養素は、以下の「5大栄養素」と呼ばれるものです。
〈表〉筋トレ後の食事で摂取すべき5大栄養素
種類 | 概要と役割 |
---|---|
タンパク質 | ・筋肉をつくる主な材料 ・筋トレで傷ついた筋肉を修復するために必要 ・筋肉以外にも、臓器や肌、髪、爪、酵素、ホルモンなどの材料にもなる |
炭水化物 | ・体を動かすエネルギー源 ・糖質と食物繊維からできている ・糖質は、傷ついた筋肉の修復のために元からある筋肉が分解されるのを抑制してくれる |
脂質 | ・体を動かすエネルギー源 ・筋肉の外側を包む細胞膜の素になる ・ビタミンの吸収を助ける |
ビタミン | ・筋トレで受けた体へのストレスを低減してくれる ・ビタミンB群は、タンパク質や糖質、脂質の代謝を促す ・ビタミンDは筋肉の合成を促進すると考えられている |
ミネラル | ・鉄分、マグネシウム、亜鉛、カルシウムなどがある ・亜鉛はタンパク質と結合し、筋肉の修復や新陳代謝をスムーズにする ・カルシウムやマグネシウムが不足すると筋肉の痙攣を起こすこともある |
この中でも、最も必要な栄養素がタンパク質です。タンパク質は筋肉の主な材料となるため、必ず十分な量を摂りましょう。目安として、1日あたりに必要なタンパク質の量は以下のようになっています。
〈表〉1日あたりに必要なタンパク質量
運動をしていない人 | 体重[kg]×1g |
---|---|
トレーニングをする人 | 体重[kg]×1.3〜1.5g |
毎日トレーニングをする人 | 体重[kg]×2g |
ゆでたまご1個分(約50g)のタンパク質が6.3g1)なので、体重が60kgの人ならば12個以上食べなければいけないということになります。
また、タンパク質以外の栄養素を摂ることも大切です。これらは、筋肉が分解されるのを抑制したり、スムーズに筋肉を修復したりするための手助けをしてくれます。
そのため、筋トレ後の食事では5大栄養素を意識してメニューを選ぶようにしましょう。
参考資料
筋トレ後のベストな食事タイミング
食事の内容も大切ですが、筋トレの効果を最大限活かすためには、食事を摂る時間も大切です。おすすめは、トレーニングのあとにしっかりと食事をすることです。理由は、トレーニング後は傷ついた筋肉を修復しより強い筋肉をつくるために、運動によって消費されたり失われたりした栄養素を補給する必要があるからです。
栄養が十分に足りていないと、体が元からある筋肉を分解して損傷部分を修復しようとするため、筋肉が減ってしまいます。そのため、トレーニング後には消費した栄養素や筋肉の材料となる栄養素をしっかりと摂取することが大切です。具体的にはプロテインは筋トレから30分以内、きちんとした食事は60〜90分後までには摂れるといいでしょう2)。
しかしながら、トレーニング後1〜2時間以内に食事を摂ろうとすると、そこから買い物に行って、食事の準備をして……といったことは難しいでしょう。コンビニで買える食品をうまく活用して、可能な限り時間も意識するようにしましょう。
また、トレーニングの数時間前にも食事を摂っておくことが大切です。空腹状態で栄養が足りていないままトレーニングを始めると、前述のように体が元からある筋肉を分解して、筋肉が減ってしまうことにつながります。
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参考資料
2)International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. J Int Soc Sports Nutr. 2017 Jun 20;14:20.
コンビニで買えるおすすめ食品
では、5大栄養素を含むコンビニ食品にはどんなものがあるのか、具体的に紹介します。
〈表〉コンビニで買える筋トレ後のおすすめ食品
・サラダチキン ・サラダフィッシュ ・プロテインバー、プロテインドリンク ・ゆでたまご、温泉たまご ・豆腐、豆乳 ・ヨーグルト ・納豆 ・おにぎり ・そば ・干し芋 ・バナナ ・その他果物類 ・ナッツ類 ・ひじき ・めかぶ ・枝豆 ・レバニラ ・チーズ ・牛乳 ・小魚 |
タンパク質を含む食品
サラダチキンは、代表的な高タンパク低糖質低脂質な食品です。糖質と脂質は必要な栄養素ではありますが、摂りすぎると太る原因にもなるため、筋トレ後でタンパク質を特に多く摂りたい場合には、サラダチキンは最適な食品といえるでしょう。
そのほか、高タンパク質食材には、プロテインバー、プロテインドリンク、ゆでたまご、大豆製品、ヨーグルトなどが挙げられます。特にゆでたまごは、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素をすべて含んでおり、完全栄養食品ともいわれている優秀な食品です。
炭水化物を含む食品
米で十分な炭水化物が摂取できるおにぎりがおすすめです。また、たとえば梅干し入りのおにぎりであれば、梅干しに含まれるクエン酸で疲労回復をサポートしてくれます。
脂質を含む食品
脂質は肉類や油などに多く含まれるため、日常の食事で過剰摂取しやすい栄養です。そのため、あえて意識して多く摂取する必要はないでしょう。ほかの栄養素を摂る際に付随する量で十分なことがほとんどです。
ビタミンを含む食品
果物類はビタミンを補給するのにいい食品です。最近ではりんごやパイナップルなどのカットフルーツや、バナナを置いているコンビニも多いでしょう。中でもバナナは、消化吸収が比較的早く、含まれる栄養素もタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルと豊富です。サッと食べやすいのも魅力です。
また、ビタミンB群は豆類に多く含まれているため、豆乳やナッツ類もおすすめです。
ミネラルを含む食品
ミネラルにはいくつかの種類がありますが、日常で特に不足しがちなのは鉄分、亜鉛、カルシウムなどでしょう。
鉄分を多く含む食材の代表として知られているのが、レバーです。コンビニによって必ずしも置いてあるわけではありませんが、取り扱いがあればぜひレバーを使った惣菜を選びましょう。そのほか、手に入りやすい食品では枝豆や納豆がおすすめです。亜鉛は、チーズやカシューナッツ、アーモンドに多く含まれています。カルシウムは、牛乳のほか小魚に多く含まれています。
おすすめの組み合わせ
バランスよく栄養を摂取するために、コンビニで買える食品のおすすめの組み合わせを紹介します。
おすすめメニュー①「鮭おにぎり+ゆでたまご+果物」
鮭おにぎりから糖質とタンパク質、たまごからさらにタンパク質が手軽に摂れる組み合わせです。また、たまごにはビタミンCが含まれないので、パイナップルなどのビタミンCが豊富な果物で補いましょう。
おすすめメニュー②「そば+めかぶ+温泉たまご」
そばとめかぶからは不足しがちなミネラルや食物繊維が、温泉たまごからはタンパク質が摂れるおすすめの組み合わせです。
おすすめメニュー③「梅干しおにぎり+レバニラ」
レバニラが置いてあるコンビニであれば、ぜひレバニラを選びましょう。レバニラは高タンパク質だけでなく鉄分が豊富なので筋トレをする人におすすめです。さらに梅干しのクエン酸で疲労回復を促せるメニューです。
重要なのは食事のバランス
コンビニで買える、筋トレ後におすすめの食品を紹介しましたが、食事において大切なのはなによりもバランスです。筋トレ後だけでなく、普段の食事から意識することで体質改善にもつながるでしょう。
また、毎日同じものばかりを食べ続けていると、栄養が偏ってしまう可能性もあるため、できるだけ満遍なくいろいろな食材を食べるように心がけましょう。