「どこで無駄遣いが生じているのか、わからない」
そんな悩みを抱えている人は、家計を見直す必要があるでしょう。
この記事では、ファイナンシャルプランナー・冨士野喜子さんの監修のもと、家計を見直す方法を解説します。1人暮らし、共働き夫婦、子どもがいる夫婦と3タイプの家計で節約するポイントも説明します。
この記事の監修者
冨士野 喜子(ふじの よしこ)
ふじのFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー。教育出版会社、外資系生命保険会社を経て、2012年にFPとして独立。自身の結婚、妊娠、出産、子育ての経験を活かし、20~30代のライフプランニングを中心に活動。最近はラジオ出演や子ども向けのマネー講座の講師をするなど幅広い年代に向けてお金に関する情報発信を行っている。
家計の見直し、まずは固定費と変動費をチェック
生活費として支払うお金には、生活するのに欠かせない「固定費」と、金額や内容が個人によって変わる「変動費」の2種類があります。まずは日々の支出で、どれが固定費で、どれが変動費に当たるのかを認識することが家計を見直す上での第一歩になります。
家計を見直す目的は、無駄遣いを削り、その分を将来に備えた貯蓄にまわすことにあります。ただし、すべてを削ろうとすると、ストレスがたまり、挫折しやすくなります。節約しても心理的に負担に感じづらい項目と金額を見極めるのが無理なく家計を管理するコツです。
固定費を節約するコツ
生活する上で欠かせない固定費はなかなか削りにくいものです。ただし、必要以上の金額を支払っているのなら、普段の行動を変えることで節約することもできます。以下で代表的な固定費について、それぞれを節約するコツやポイントを説明します。
住居費
住居費は収入の25%が適正といわれています。最大でも35%と考え、これを超えているようなら見直しが必要です。
光熱費
省エネを意識するだけでも光熱費は変わります。エアコンの温度を調整する、電気をこまめに切るといった行動を心がけましょう。
通信費
料金プランやオプションの見直しが有効です。また、最近では格安料金の携帯キャリアも増えています。他社との比較も有効です。
保険料
複数の保険に入っている場合、保障内容に重複がないか、不必要な特約を付けていないか、折に触れて確認が必要です。保険ショップなどで相談したり、他社の保険と比較したりするのも一手です。マッチングサイトで「お金のプロ」に相談するのもおすすめです。
自動車費
自動車にかかる費用としては、保険料と駐車場代、車検などのメンテナンス費があります。特に保険料は折に触れて見直す必要があるでしょう。
変動費を節約するコツ
生活にどうしても必要というわけではないのが、以下のような変動費です。とはいえ、削り過ぎては生活から潤いが失われ、ストレスもたまるでしょう。
- 交際費
- 外食費
- 旅行費
- 雑費
- 趣味・習い事代
こうした変動費を節約するコツは、年間の予算を決め、それ以上使わないことです。特に旅行など大きなお金を費やす場合には、「ご褒美」として意識しましょう。また、買い物に行く回数を減らす、娯楽費は収入に合わせた金額に設定しておくなど、日頃から節約するルールをつくるのも有効です。
タイプ別シミュレーションで理解する家計の見直しポイント
世帯の形態によっても家計を見直すポイントは異なるものです。そこで、3タイプの家計をシミュレーションしてみました。
①1人暮らし世帯
ここで説明するのは、28歳の女性1人暮らし世帯です。以下の収入と支出で目標が「旅行費用50万円を貯める」の場合、どのように節約すればいいのかを説明します。
- 月々の手取り収入:23万円(ボーナスなし)
- 目標:旅行費用50万円を貯めたい!
〈1カ月の支出〉
現状から合計で月3万5,000円を節約できれば、月々4万2,000円の貯金ができ、目標額50万円を約1年で達成できます。
1人暮らし世帯の場合、固定費を収入の6割以内に抑えられると、貯蓄にまわせるお金や自由に使えるお金は増えます。上の図では固定費は収入の55%なので合格です。一方、変動費は月に10万円程度の支出で、使い過ぎの傾向が見られます。
そこで、変動費の中でも支出額が大きい被服費・美容費と外食費に着目します。被服費・美容費は、必要以上に買っていないかを確認してみましょう。洋服を「つい買ってしまう」人は少なくありません。衣装ケースの中身を把握した上で、買う前に「同じような服を持っていない?」「本当に着る?」と自分に問いかけ、それでも欲しい場合にはコーディネートを考えてから購入しましょう。
外食費を削減する時には、コストを積み重ねがちなランチ代に着目しましょう。たとえば外食をお弁当に変えると、ぐっと外食費は減ります。そうして、被服費・美容費と外食費を削減できれば、それよりも金額が低い娯楽費は現状のままでも貯金の目標額を達成する節約ができます。
②夫婦のみ世帯
例として説明するのは、夫・妻ともに30代前半で、妻が専業主婦という世帯です。この夫婦は、基本的にボーナスから貯金を行っており、毎月の収支の赤字を解消したいと考えています。どのように節約すればいいでしょうか。
- 世帯手取り月収:27万円
夫:月々の手取り収入27万円(ボーナス60万円/年)
妻:収入なし
- 目標:子どもが生まれる前に月々の赤字を0にする!
〈1カ月の支出〉
住居費は収入の25%前後が適正なのに対し、この世帯では収入の35%以上を費やしています。ただし、この夫婦の場合、家族が増えることを視野に入れて、少し広めの住まいを選んでいるので、これは必要な支出として現状維持とします。
そのほかの支出を見る限り、贅沢や無駄遣いをしているわけではありません。そうした場合、固定費を一つ一つチェックしてください。月々の節約金額が少なくても、積み重ねれば大きな金額となります。まずはスマートフォンやインターネットプロバイダー、生命保険や自動車保険などの料金を比較して見直しましょう。食費や光熱費などもちょっとした節約意識で減らすことができます。
③子どもがいる世帯
説明するのは、夫が40歳、妻が35歳の共働き夫婦で、子ども2人がいる世帯です。これから子どもの教育にお金がかかることもあり、年間150万円の貯金を目指します。住居は持ち家で住宅ローンを支払っています。
- 世帯手取り月収:55万円
夫:月々の手取り収入30万円(ボーナス120万円/年)
妻:月々の手取り収入25万円(ボーナス20万円/年)
- 目標:年間150万円を貯金する!
〈1カ月の支出〉
共働き夫婦で多いのが、忙しいために食事の宅配やネットスーパーなど、便利なサービスの利用によって生活コストが上がってしまうことです。利用をやめるのではなく、「週3回→週2回」と利用回数を減らすことから始めてみましょう。外食も回数を月1回でも減らすと、わずかとはいえ確実に節約ができます。
また、子どもがいる場合、教育費や娯楽費に思わぬ無駄が生じていないか、折に触れて確認しましょう。通信教育やサブスクリプションなど、もはやサービスを利用していないのに、解約手続きが面倒でそのままになっているものはありませんか? 契約内容と家族の使用頻度を一つ一つ見直し、必要かどうかをしっかりと見極めましょう。
さらに、この家族の場合、夫、妻ともに各2万5,000円の小遣い制ですが、「何を小遣いでまかなうか?」の線引きを決めていない家庭が少なくありません。たとえば「自分の服や美容代は小遣いの中から」など、金額が大きくなりがちなものを小遣いでやりくりするようにすると、節約の意識が高まります。
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見直した家計、どうやって管理する?
家計の見直しを考える際に以下の3STEPを試してみましょう。
STEP①ライフプランを考え、貯金の目標額を決める
STEP②予算を決める
STEP③支払い方法を整理する
初めに結婚や子育て、マイホーム購入など、貯金の目的と目標額を決めます。続いて見直した家計の収支を元に、月々の予算を決めます。最後にお金の出入り口である支払い方法を整理すると、家計管理にかける時間を効率化できます。
家計管理に役立つツールやアプリを知りたい人は、以下の記事でも紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
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家計の見直し、専門家に相談するなら?
自分1人で家計を見直しても節約するポイントがわからない場合、専門家に相談するのも一手です。有料で相談するのなら、ファイナンシャルプランナー(FP)に頼ってみましょう。税金や社会保障制度、さらには経済、不動産、民間保険まで、幅広い知識を持つFPは、家計の節約術はもちろん個々のライフプランに応じた経済面についてアドバイスをしてくれます。
まずは無料で家計の相談をしたいという人は、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください。
【関連記事】家計の見直し、誰に相談すればいい? 無料でできる家計相談の詳細はコチラ
家計を見直して、無理なく貯蓄しよう
貯金ができていない人は、意識せずに無駄遣いをして、家計を管理できていない場合が少なくありません。心理的に負担を感じずに節約できる項目を見つけるのが、上手に家計を見直すコツです。無理なく無駄遣いを削減することで、将来に備えた貯蓄に取り組みましょう。