お風呂やキッチンを中心に日々使用するガスですが、「自分のガス代は高いのか低いのか?」など、ほかの家庭のガス代の平均額が気になっている人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、家事アドバイザーの矢野きくのさん監修のもと、ガス代の平均額を世帯人数別・地域別・季節別で解説します。併せて、ガス代を抑える方法もご紹介しているので参考にしてみてください。

この記事の監修者

矢野 きくの(やの きくの)

家事アドバイザー・節約アドバイザー。家事の効率化、家庭でできるSDGsを中心に、テレビ、講演、コラム連載などで活動。働く人向けの時短家事術、50代からシニア層への家事改革などをアドバイス。「食育指導士」「食生活アドバイザー」の資格も持ち、食品ロス削減をテーマにした講演も行う。100円ショップや業務用スーパーでの買い物術や、便利グッズの開発にも携わる。著書に『シンプルライフの節約リスト』(講談社)など。

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ガス代の平均額は世帯人数と季節で変わる

画像: 画像:iStock.com/bee32

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1カ月あたりのガス代の平均額は、世帯人数や季節により異なります。世帯人数が多いほどガスの使用量は増え、季節によってガスの使用量も変動するからです。

では、具体的にはそれぞれどのくらい違うのでしょうか。世帯人数別の平均額を確認してみましょう。

世帯人数別:ガス代の平均額

総務省の「2021年度 家計調査」によると、世帯人数別のガス代の1カ月の平均額は以下の表のとおりです1)2)

〈表〉世帯人数別ガス代の平均額/月

世帯人数ガス代の平均額
1人世帯3,001円
2人世帯4,330円
3人世帯4,930円
4人世帯4,882円

ガス代は1人世帯が最も低く、1カ月の平均額は約3,000円です。2人世帯になるとガス代は大きく上がり、1人世帯と比べて1,300円ほど高くなります。その理由として、1人世帯より2人世帯のほうが料理をする機会が多いことが考えられます。学生の1人世帯の場合は、毎日キッチンを使わない人もいるでしょう。

一方、世帯人数が3人以上となると、人数と比例してガス代が増えるようなことはありません。これは料理などをまとめて行うことで、ガスを効率的に使用できているためだと考えられます。

なお、以下の記事では、1人世帯や2人世帯のガス代の平均や節約方法について詳しく解説しています。気になる人は確認してみてください。

【関連記事】1人世帯のガス代について、詳しくはコチラ

【関連記事】2人世帯のガス代について、詳しくはコチラ

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地域別:ガス代の平均額

つぎに、地域によってガス代がどのように変わるかを見ていきましょう。総務省の「2021年度 家計調査」をもとに、地域ごとのガス代の平均額を以下の表にまとめました5)

〈表〉地域別1人世帯のガス代の平均額/月

地域ガス代の平均額
北海道・東北地方3,297円
関東地方3,136円
北陸・東海地方2,831円
近畿地方2,818円
中国・四国地方2,824円
九州・沖縄地方2,842円

北海道・東北地方のガス代が高いのは、給湯器や暖房機具を多く使用するためだと考えられます。自分の住んでいる地域の平均額よりも、ガス代がかかっている場合は、節約を心がけてもいいでしょう。

季節別:ガス代の平均額

続いて、季節によってガス代がどのように変動するかを世帯人数別にご紹介します。総務省の「2021年度 家計調査」をもとに、以下の表にまとめました3)4)5)6)

〈表〉世帯人数・時期別のガス代の平均額/月

世帯人数/時期1~3月4~6月7~9月10~12月
1人世帯3,562円3,313円2,275円2,642円
2人世帯6,049円5,083円3,448円4,013円
3人世帯6,225円5,373円3,773円4,347円
4人世帯6,542円5,287円3,578円4,121円

季節別のガス代の平均額は、世帯人数にかかわらず、1~3月が最も高く、7~9月が最も低くなっています。これは、気温が低い1〜3月は、お風呂のお湯を溜めたり、追い焚きを使用したりするなど、ガスを使う機会が増えるためです。また、水温が低い1〜3月は7〜9月に比べて、お湯を沸かすのにガスの消費量が増えるのも理由の1つといえます。

ガス代が高くなる3つの原因

画像: 画像:iStock.com/metamorworks

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前述でご紹介した平均額と比べてガス代が高くなる場合は、何かしらの原因があるかもしれません。ガス代が高くなる原因は、主に以下の3つが考えられます。

それぞれ詳しく解説します。

原因①そもそもガスの使用量が多い

画像: 画像:iStock.com/FF.HONG

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まず考えられるのが、日々のガスの使用量が多いということです。世帯人数が多い家庭や、暖房機器に頼らざるを得ない寒い時期などにガスの使用量が多くなることは、ある程度仕方ないことです。

しかし、普段のガスの使い方を変えるだけでガス代を抑えられる可能性があります。中でも、ガスの使用量が多いのがお風呂での追い焚きです。冷めたお湯を温め直すのには大きなエネルギーが必要です。資源エネルギー庁のデータ7)によると、1日1回の追い炊きを減らすだけで、年間で約6,190円の節約が可能になるとされています。家族が入浴する際は間隔を空けずに続けて入るなど、工夫するようにしましょう。

原因②プロパンガスを利用している

家庭で使われているガスは大きく2種類に分類できます。1つは製造所で造られたガスをガス導管を通じて各家庭へ供給する都市ガス、そしてもう1つはボンベに入っているLP(プロパン)ガスです。

一般的に、プロパンガスのほうが都市ガスよりも基本料金が高く設定されています。その理由は、「料金制度の違い」と「配送コストの有無」が大きいとされています。

都市ガスは公共料金に含まれるため、総括原価方式(※1)と呼ばれる方法で料金設定を行うよう、ガス事業法8)という法律で義務付けられています。一方、プロパンガスの料金は、小売業者がすべて自由に決定できる自由料金制(※2)が採用されています。

また、都市ガスは地下に設置されたガス導管を通じて各家庭に供給されるため配送料がかかりませんが、プロパンガスはガスボンベの配送に費用がかかります。

両者のガス代を比較した調査によると、平均価格はプロパンガスのほうが都市ガスより1.8~2倍にもなるとされています9)

※1:供給原価に基づき料金が決められるものであり、安定した供給が求められる公共性の高いサービスに適用される方式のこと。

※2:価格を規制する法律がなく、独自の料金システムにのっとって、自由に価格を決定できる制度のこと。

原因③原油価格の上昇によりガス代が上がった

原油価格の上昇により、月々のガス代が値上がりすることがあります。為替レートの変動など経済情勢の影響を受けやすいガスは、原料費の変動に応じて毎月自動的に料金が変化する、原料費調整制度が適用されています10)

具体的には、液化天然ガスと液化石油ガスなどのガスの原料の3カ月間にわたる貿易統計価格に基づいて、平均原料価格を毎月算定します。算定された平均原料価格と基準原料価格とを比較し、その差分が月々のガス代に反映されるのです。なお、プロパンガス・都市ガスともに、原料費調整制度の対象となります。

ガス代を抑えるための7つの方法

画像: 画像:iStock.com/takasuu

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ガス代を抑える方法として、以下の7つが挙げられます。少しの工夫で月々の金額が大きく変わることもあるので、できることから試してみましょう。

それぞれ詳しく解説します。

①料金プランやガス会社を見直す

ガスの使用量を抑えなくても、料金プランを見直したり、ガス会社を変えたりすることでガス代を抑えられる可能性があります。特に、長らくガス会社や料金プランを変えていない場合は、今の生活スタイルに料金プランが合っていない可能性があります。

電気と同様に、ガスも小売自由化が開始され、価格競争が起きています。そのためこれまで契約していたガス会社よりもおトクな料金プランを打ち出している企業があるかもしれません。

また、電力会社がガス事業を始めたり、ガス会社が電力事業に参入したりすることも増えてきました。この動きに伴い、これまで別々に契約することが主流だった電気とガスをセットにしたおトクな料金プランも多く登場しています。

なお、家庭で使用されるガスにはプロパンガスと都市ガスがありますが、どちらのガスを使っていても会社の変更は可能です。プロパンガスの場合、切り替えに費用はかからず簡単に変更できますが、最低契約年数に注意が必要です。都市ガスも小売全面自由化が行われたため、私たち消費者側がガス会社を選択できます。

②プロパンガスから都市ガスへ切り替える

現在プロパンガスを使っているなら、都市ガスに変更するだけでガス代を抑えられる場合もあります。自宅のガスが、プロパンガスか都市ガスかを見分ける方法は、ガスの供給方法です。プロパンガスではガスボンベからエネルギーが供給されるのに対し、都市ガスでは道路下の地中のガス管を通じて供給されます。

ただし、都市ガスは供給地域が限られているためお住まいの地域によっては利用できない場合もあります。そのため、新規でガス導管を敷地に引き込む工事をする場合はかなりのコストがかかる可能性があります。また、マンションなど集合住宅の場合は工事自体が難しいため、入居の際に確認するようにしましょう。

③ガス機器の使用頻度を抑える

画像: 画像:iStock.com/mykeyruna

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ガス代を抑える最も簡単な方法は、普段の生活におけるガスの使用量を削減することです。無駄遣いしないのはもちろんですが、家庭で使われるガス機器の日々の使用頻度を抑えれば、ガスの使用量も少なくできます。家庭で使われる主なガス機器には、以下があります。

〈表〉家庭で使われる主なガス機器

・ガスコンロ
・ガスファンヒーター
・床暖房
・衣類乾燥機
・ガス給湯器

これらの使用頻度を抑えられれば、ガス代の節約が期待できます。ガス機器をよく使う人は、日々の生活に支障がない程度に意識してみましょう。

④給湯器を交換する

給湯器が古くなっている場合は、交換することでガス代を節約できる可能性があります。給湯器を長い期間使い続けると、熱効率が悪くなるため、ガスの使用量が増えることもあるからです。

給湯器を交換するタイミングの目安は、多くのメーカーが「給湯器を問題なく利用可能な期間」としている8〜10年です11)。10年以上同じ給湯器を使っている場合は、新しい給湯器の購入を検討してみましょう。現在では、少量のガスで効率よくお湯を沸かす、省エネ性能の高い給湯器も販売されています。

⑤お風呂やキッチンでのガスの使い方を工夫する

画像: 画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

電気と比べ、使う場所が限られるガスは、細かな点に気を配れば月々の料金を抑えることが可能です。家庭で多くのガスを使う主な場所は、お風呂とキッチンです。それぞれで工夫できることを以下にまとめました。

〈表〉お風呂で工夫できること

・お湯の使用量を減らす
・節水シャワーヘッドなどの節約グッズを使う
・家族で入浴の時間をそろえる

〈表〉キッチンで工夫できること

・電子レンジを併用して、ガスの使用量を減らす
・落とし蓋や圧力鍋などを活用する

これらはあくまで一例です。できることから、無理せずに取り組むことが大切です。

⑥エコキュートを導入する

エコキュートとは、ヒートポンプユニット(※3)で1日に使う分のお湯を貯湯タンクに溜めておく機器の総称です。空気の熱を利用することで、電気の消費量を抑えるので、CO2(二酸化炭素)削減にもつながります。

エコキュートを導入すれば、お湯を沸かす時にガスではなく電気を使用するため、ガス代がかかりません。その分電気代が高くなりますが、お湯を沸かす深夜に電気代が安くなる電気料金プランなどを契約することで、光熱費をトータルで見た時に節約できる可能性は十分にあります。

※3:空気の中の熱を集めてお湯を沸かす機器のこと。

⑦オール電化住宅に切り替える

給湯や調理、暖房といった住宅で用いるエネルギーをすべて電気でまかなうオール電化住宅では、ガスを使用しないためガス代がかかりません。ガスコンロはIHクッキングヒーターに、ガス給湯器はエコキュートに置き換えることで、住宅設備の熱源を電気だけでまかなうことができます。

オール電化住宅に切り替えると電気の使用量が大きく増えるため、電気代が上がります。しかし、深夜の電気代が安くなる電気料金プランを契約するなどで、光熱費全体で見た時には節約になる可能性もあります。光熱費の削減以外にも、調理時の安全性が高いなどのメリットがあります。

なお、ガス代を抑える方法については以下の記事で詳しくご紹介しています。興味のある人は確認してみてください。

【関連記事】ガス代を抑える方法について、詳しくはコチラ

毎月のガス代が平均額以上なら節約を心がけよう

画像: 画像:iStock.com/syahrir maulana

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お風呂やキッチンなどで毎日使用するガスは、私たちの生活に欠かせません。ガス使用量を減らす方法は、お風呂やキッチンの使い方の見直しからガスの料金プランの変更など、様々な方法があります。

自身のガス代が平均額と比べて高い場合は、この記事でご紹介したガス代を抑える方法を参考に、できることから始めてみましょう。

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