子どもが生まれて3人家族になれば、生活費も増えます。一方で子どもの将来を考えると、今のうちに教育資金などを貯めておきたいとも考えるのではないでしょうか。

「3人家族の生活費の理想的なバランスは?」
「貯金をするために生活費をどれくらい節約すべき?」

といった疑問を持つ人も多いと思います。この記事では、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さん監修のもと、3人家族の生活費の平均や内訳のバランス、生活費シミュレーションなどをご紹介します。併せて、節約テクニックについてもお伝えしていきます。

【注】この記事では、税金や社会保険料などを除いた“消費支出”のことを「生活費」と表現しています。家賃や水道・光熱費、食費などは含んでいますが、貯蓄や資産運用への投資金額などは含んでいないのでご承知ください。

この記事の監修者

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。

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3人家族の生活費の平均は約30万5,000円/月

画像1: 画像:iStock.com/takasuu

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まずは、3人家族の生活費の平均をご紹介しましょう。総務省の「家計調査年報(家計収支編)2021年」1)から、3人暮らし世帯のデータを参考に見ていきます。

【注】「家計調査年報」の調査対象には、持ち家がある世帯が含まれているほか、住宅ローンを消費支出に含めていないといった理由から「住居」の金額が低めになっています。

1カ月・1年間の生活費の平均は?

1世帯に住んでいる3人のうち、世帯主を含む誰かが働いている勤労者世帯の調査結果を抽出し、全体の月額の平均を計算してみました。

20代から50代までの3人暮らし(勤労者世帯)全体の、毎月の実収入(額面月収)の平均は59万9,864円です。税金や社会保険料などの非消費支出は11万3,139円なので、実収入から非消費支出を引いた手取りの月収額は48万6,725円となります。

一方、生活費(税金や社会保険料などの非消費支出を除いた消費支出)の平均は30万5,731円となっています

〈表〉3人家族の手取り月収と生活費の平均(20代~50代/勤労者世帯)

手取り月収(実収入−非消費支出)48万6,725円
消費支出(生活費)30万5,731円

3人家族の場合、手取り月収の約63%が生活費にあてられている計算です。この比率を、月収に対する生活費の割合の目安と考えてもいいでしょう。

ちなみに該当する統計資料がありませんが、3人家族の1カ月分の生活費の平均を12倍すると366万8,772円です。これを1年間の生活費の平均の目安と考えていいでしょう。

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この10年間で3人家族の生活費はどう変わった?

この10年間で、3人家族の生活費の平均はどのように変わったのでしょうか? 同じく「家計調査年報(家計収支編)」の、過去10年分(2012年から2021年まで)のデータをまとめてみました。

〈図〉3人家族の手取り月収と生活費の過去10年間の推移

画像: この10年間で3人家族の生活費はどう変わった?

過去10年分のデータを見ると、2012年の生活費の平均が30万7,734円であるのに対し、2021年の平均は30万5,731円となっており、大きな変化はありません。一方、2012年の手取り月収の平均が40万9,392円であるのに対し、2021年の平均は48万6,725円と上昇しています。

手取り月収に対する生活費の割合を計算すると、2012年は75%で2021年は63%と、生活費が占める割合が大きく下がったことがわかります

これには、主に以下の2つの原因が考えられます。

①共働き世帯の増加

3人家族の有業者率を、同じく「家計調査年報(家計収支編)」の2012年と2021年で比較したところ、2012年が1.67人なのに対し、2021年は1.83人となっています。つまり共働きの世帯が増えていることになり、世帯の収入が増加傾向にあることから相対的に生活費の割合が下がったと考えることができます。

②コロナ禍の影響

グラフを見ると、手取り月収に対する生活費の割合は、2020年以降に大きく下がっていることがわかります。これは、コロナ禍の影響により生活様式が変わったことも一因と考えられます。

たとえば生活費の内訳を比較すると「被服及び履物」の支出は、2012年が1万2,745円なのに対し、2021年は9,959円と減少しています。また交際費や小遣いなどをまとめた「その他の消費支出」も、2012年が7万2,106円なのに対し、2021年は5万8,361円と減少しています。

一方、「食料」を比較すると2012年が6万6,087円なのに対し、2021年は7万6,289円と上昇しています。コロナ禍でも食費が増えていますが、もともとお子さんがいる家庭は、一人暮らしや2人暮らしよりも、外食が少ない傾向にあります。おうち時間が増えて、家庭での凝った食事を楽しむ機会や、おやつ代なども増えたためと考えられます。

なお、一人暮らしから4人家族まで、すべての世帯の生活費の平均や内訳を知りたい人は、こちらの記事も併せてご覧ください。

【関連記事】【人数別】世間の生活費の平均はいくら? 理想の内訳も解説!

3人家族の生活費の内訳は?

画像2: 画像:iStock.com/takasuu

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続いて、3人家族の生活費の内訳を見てみましょう1)「食料」が占める割合が約25%と最も大きく、続いて「交通・通信」の費用が高くなっています

〈表〉3人家族の手取り月収と生活費の平均(20代~50代/勤労者世帯)

手取り月収48万6,725円
消費支出(生活費)30万5,731円
生活費の内訳
※赤字は全体の支出に対する割合
食料7万6,289円 25%
住居2万291円 7%
水道・光熱2万1,344円 7%
家具・家事用品1万2,455円 4%
被服及び履物9,959円 3%
保健医療1万3,815円 5%
交通・通信4万9,899円 16%
教育1万6,872円 6%
教養娯楽2万6,446円 9%
その他の消費支出5万8,361円 19%

同じ調査で得られた2人暮らしの生活費と比較すると、「教育」が大きく増えており、「食料」も1万円程度増えています。一方、「水道・光熱」や「教養娯楽」についての増加額は、それほど大きくはありません(2人暮らしでは、「教育」1,023円、「食料」6万7,170円、「水道・光熱」1万8,476円、「教養娯楽」2万3,424円)。

夫婦2人暮らしや4人家族の生活費と比較したい人は、以下の記事も併せてご参照ください。

【関連記事】2人暮らし夫婦の生活費はいくらが最適? 平均や家計の内訳を解説!

【関連記事】4人家族の生活費はいくらが最適? 平均や家計の内訳を解説!

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FPが教える! 3人家族の理想的な生活費の内訳バランスは?

画像: 画像:iStock.com/Violka08

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夫婦2人暮らしの時と比較して、子どもが生まれて3人家族になると、お金の使い方も変わります。2人暮らしの感覚で生活費のやりくりをすると、貯金する余裕がなくなってしまうので注意が必要です。

子どもの進学に必要な教育資金を準備するだけでなく、自分たちの老後資金を考える上でも、貯金は欠かせません。子どもが小さいうちから、しっかり将来への備えをしておいたほうがいいでしょう。

そのために実践していただきたいのが、生活費の見直しです。具体的には、将来へ備える分をあらかじめ考慮に入れて、収入に対する生活費の割合を決めることから始めましょう。ここでは生活費だけに注目するのではなく、毎月の手取り月収に対する支出の理想的なバランスをご紹介します。

〈表〉3人家族の理想の支出バランス(監修者作成)

費目バランスの目安
住居(家賃/住宅ローン)手取り月収の20~25%
食費手取り月収の15%以内
通信費1万5,000円程度
水道光熱費2万円程度
教育費1万円程度
交通費ライフスタイルや収入に応じて調整
保険料
雑費(日用品費など)
小遣い
不定期な支出手取り月収の10%程度
貯蓄手取り月収の10%以上

①住居(家賃/住宅ローン):手取り月収の20~25%

前述の「家計調査年報」1)では、「住居」の金額が低めになっていますが、手取り月収の20~25%が、家賃や住宅ローン(マンションの管理費や修繕積立金を含む)を無理なく支払える範囲といえます。ちなみに、国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査」2)によれば、住宅ローンの平均返済額は全国平均で約11万6,000円、三大都市圏平均で約14万円となっています。

②食費:手取り月収の15%以内

手取り月収に対して食費が占める割合は15%以内が適切といわれています。この比率は、子どもがいる場合でも基本的には変わりません。実際、子どもが小さいうちは夫婦2人暮らしの時と比べて、そこまで食費がかさむことはないでしょう。

③教育費:1万円程度

この場合の教育費とは、習い事や塾などにかかる費用であり、学費などの教育資金とは別物です。「家計調査年報」1)によれば、3人家族の「教育」の費目の平均額は、1万6,872円です。ここでは、小さな子どもがいる家族を想定し、教育費は1万円としました。もちろん、ご家庭の方針によって金額は調整しても構わないでしょう。

④通信費:1万5,000円程度

「家計調査年報」1)によれば、3人家族の「通信」の費目の平均額は1万5,343円となっています。スマホの格安通信プランを利用すれば、1人あたり5,000円程度に抑えることが可能です。なお、ここでは小さい子どもがいる家庭を想定して、両親のスマホ代と自宅で利用するインターネット回線の費用のみで、1万5,000円程度としています。

⑤水道光熱費:2万円程度

「家計調査年報」1)によれば、「水道・光熱」の費目の平均額は2万1,344円ですから、だいたい2万円を目安と考えればいいでしょう。

⑥不定期な支出:手取り月収の10%程度

冠婚葬祭にかかる費用や帰省費用、家具家電の買い替えなど、毎月ではなく不定期であるものの年単位でみれば発生する可能性が高い支出については、毎月積み立てをしておくと家計の管理がしやすくなります。金額は手取り月収の10%程度が目安となります。年末に余った金額を貯蓄や子どもの教育費などに割り振ってもいいでしょう。

⑦貯蓄:手取り月収の10%以上

将来の子どもの教育資金を準備したいなら、少なくとも手取り月収の10%は貯蓄にまわすといいでしょう。あらかじめ割合を決めておけば、給与が振り込まれた時点で「先取り貯金」もしやすくなります。

⑧交通費、保険料、雑費、小遣い

交通費、保険料、雑費、小遣いは、家族のライフスタイルによって調整が必要になる支出といえます。具体的な目安がある費目を先に計算してから、残りの金額で配分を考えるといいでしょう。

【手取り40万円】3人家族の生活費シミュレーション

画像: 画像:iStock.com/JohnnyGreig

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それでは、ここまでに提案したバランスを踏まえて、30代の3人家族の生活費をシミュレーションしてみましょう。ここでは、例として手取り月収40万円の世帯でシミュレーションします。

〈表〉3人家族(手取り月収約40万円)の生活費シミュレーション

手取り月収約40万円
住居(家賃/住宅ローン)10万円
食費6万円
通信費1万5,000円
水道光熱費2万円
教育費1万円
交通費(自動車維持費含む)1万5,000円
保険料1万5,000円
その他(日用品や小遣いなど)3万5,000円
不定期な支出4万円
貯蓄9万円

30代の3人家族と考えた場合、子どもの教育資金が必要になるほか、マイホームへの準備を考える時期にあたることが多いので、貯蓄にまわす金額を22.5%確保しました。また、不定期な支出は子どもの教育費が増える分を考慮し、10%にしています。教育費は小さな子どものいる3人家族を想定し、1万円としました。

通信費にはスマホ代のほか、自宅で利用するインターネット回線の費用も含んでいます。交通費1万5,000円では自動車の維持管理費などがまかなえない場合には、住居費や小遣い、不定期な支出などで調整してもいいでしょう。

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3人家族が実践したい、5つの節約術

画像: 画像:iStock.com/Yagi-Studio

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3人家族が押さえておきたい節約術をいくつか、ご紹介しましょう。

節約術①各種の控除や制度を活用する

国や自治体などが用意している控除や制度を利用し、納める税金の額を減らすのは、節約の基本となります。広報誌などに目を通して、地域の子育て支援制度などはもれなく活用しましょう。

そのほか、支払った保険料に応じて税金の負担が軽くなる生命保険料控除やふるさと納税、老後資金の積み立てにも役立つiDeCoなど、様々な控除や制度があります。

節約術②子ども用品の購入はフリマアプリも活用する

子どもが生まれたばかりの家庭の場合、初めてのお子さんということで、ベビーグッズや玩具などは、たくさん買い与えてあげたくなると思います。そこで活用したいのが、メルカリのようなフリマアプリです。特に小さな子ども向けのグッズは使用期間が短いため、コンディションのいい状態の商品を安価に購入できる場合が多いです。また、不要になったグッズをフリマアプリで売れば、別のグッズの購入資金にもなります

節約術③通信費、ネットサービスの見直しをする

現代の暮らしに欠かせないスマホ代や動画配信などのネットサービス代は、家族会員(家族アカウント)の契約をすることで、個別契約よりも安くなる場合が多いです。個別にサービスを利用している場合は、契約形態を見直してみましょう。

節約術④保険の見直しをする

家族が増えると、必要な保障内容も変化するため、保険の見直しを検討してみましょう。ただし、必要以上の保障内容にする必要はありません。節約を念頭に置いた場合、不要な特約を外すなどの方法があります。どの保険に加入するか検討する場合には、新しい商品も含めて比較検討したりするといいでしょう。なお、医療保険や生命保険など、民間の保険に加入していると、生命保険料控除が受けられるメリットがあります。

節約術⑤家計簿アプリを活用する

生活費のやり繰りが上手な人たちに共通する傾向として、家計簿アプリを使い収支を小まめにチェックしていることが挙げられます。データの共有ができる家計簿アプリなら、夫婦で一緒に収支のチェックを行うことも可能です。何に、どれくらいお金を使っているのかが「見える化」できれば、節約しやすくなるでしょう。

子どものお金ばかり優先させず、バランスのいい家計を心掛けよう

画像: 画像:iStock.com/kokouu

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子どもが生まれて3人家族になると、玩具や洋服、習い事など、つい子どもに使うお金を優先しがちになると思います。しかし、子どもにかけるお金を優先しすぎるのも考えものです。子育てが大変な時期こそ、夫婦の楽しみに使うお金を含めた、全体の家計バランスを考えましょう。

そのための第一歩は、夫婦一緒に家計の管理を行い、ライフプランについても定期的に話し合うことです。家族の明るい未来のためにも、家計は家族みんなで管理するもの、という意識を忘れないようにしましょう。

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