2人目の子どもが生まれて4人家族になると、子どもが1人だった時と比べて生活費の負担がさらに重くなると心配している人は多いと思います。将来の教育資金や自分たちの老後資金の準備にも不安を感じるかもしれません。

「ほかの4人家族の生活費はどれくらいなんだろう?」
「4人家族の生活費の理想的なバランスは?」

といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。この記事では、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さん監修のもと、4人家族の生活費の平均や内訳のバランス、生活費シミュレーションなどをご紹介します。併せて、節約テクニックについてもお伝えします。

【注】この記事では、税金や社会保険料などを除いた“消費支出”のことを「生活費」と表現しています。家賃や水道・光熱費、食費などは含んでいますが、貯蓄や資産運用への投資金額などは含んでいないのでご承知ください。

この記事の監修者

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。

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4人家族の生活費の平均は約33万円/月

画像: 画像:iStock.com/kazuma seki

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まずは、4人家族の生活費の平均をご紹介しましょう。総務省の「家計調査年報(家計収支編)2021年」1)から、4人暮らし世帯のデータを参考に見ていきます。

【注】「家計調査年報」の調査対象には、持ち家がある世帯が含まれているほか、住宅ローンを消費支出に含めていないといった理由から「住居」の金額が低めになっています。

1カ月・1年間の生活費の平均は?

1世帯に住んでいる4人のうち、世帯主を含む誰かが働いている勤労者世帯の調査結果を抽出し、全体の月額の平均を計算してみました。

20代から50代までの4人暮らし(勤労者世帯)全体の、毎月の実収入(額面月収)の平均は66万6,757円です。税金や社会保険料などの非消費支出は12万4,624円なので、実収入から非消費支出を引いた手取りの月収額は54万2,133円となります。

一方、生活費(税金や社会保険料などの非消費支出を除いた消費支出)の平均は32万8,999円となっています

〈表〉4人家族の手取り月収と生活費の平均(20代~50代/勤労者世帯)

手取り月収(実収入−非消費支出)54万2,133円
消費支出(生活費)32万8,999円

4人家族の場合、手取り月収の約61%が生活費にあてられている計算です。この比率を、月収に対する生活費の割合の目安と考えてもいいでしょう。

ちなみに該当する統計資料がありませんが、4人家族の1カ月分の生活費の平均を12倍すると394万7,988円です。これを1年間の生活費の平均の目安と考えていいでしょう。

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この10年間で4人家族の生活費はどう変わった?

この10年間で、4人家族の生活費の平均はどのように変わったのでしょうか? 同じく「家計調査年報(家計収支編)」の、過去10年分(2012年から2021年まで)のデータをまとめてみました。

〈図〉4人家族の手取り月収と生活費の過去10年間の推移

画像: この10年間で4人家族の生活費はどう変わった?

過去10年分のデータを見ると、2012年の生活費の平均が32万7,980円であるのに対し、2021年の平均は32万8,999円となっており、大きな変化はありません。一方、2012年の手取り月収の平均が45万2,474円であるのに対し、2021年の平均は54万2,133円と上昇しています。

手取り月収に対する生活費の割合を計算すると、2012年は72%で2021年は61%と、生活費が占める割合が大きく下がったことがわかります

これには、主に以下の2つの原因が考えられます。

①共働き世帯の増加

4人家族の有業者率を、同じく「家計調査年報(家計収支編)」の2012年と2021年で比較したところ、2012年が1.75人なのに対し、2021年は1.89人となっています。つまり共働きの世帯が増えていることになり、世帯の収入が増加傾向にあることから相対的に生活費の割合が下がったと考えることができます。

②コロナ禍の影響

グラフを見ると、手取り月収に対する生活費の割合は、2020年以降に大きく下がっていることがわかります。これは、コロナ禍の影響により生活様式が変わったことも一因と考えられます。

たとえば生活費の内訳を比較すると「被服及び履物」の支出は、2012年が1万5,033円なのに対し、2021年は1万2,454円と減少しています。

一方、「食料」を比較すると2012年が7万3,378円なのに対し、2021年は8万6,019円となっています。また「家具・家事用品」の支出を比較すると、2012年が1万762円で、2021年は1万3,347円です。これは、コロナ禍の影響でおうち時間が長くなり、食事やおやつ代が増えているほか、家をより快適に過ごせる空間にするために使うお金が増えているから、と考えられます。

なお、一人暮らしから家族4人暮らしまで、すべての世帯の生活費の平均や内訳を知りたい人は、以下の記事も併せてご覧ください。

【関連記事】【人数別】世間の生活費の平均はいくら? 理想の内訳も解説!

4人家族の生活費の内訳は?

画像: 画像:iStock.com/takasuu

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続いて、4人家族の生活費の内訳を見てみましょう。やはり「食料」が占める割合が約26%と最も多く、続いて「交通・通信」の費用が高くなっています

〈表〉4人家族の手取り月収と生活費の平均(20代~50代/勤労者世帯)

手取り月収54万2,133円
消費支出(生活費)32万8,999円
生活費の内訳
※赤字は全体の支出に対する割合
食料8万6,019円 26%
住居1万7,432円 5%
水道・光熱2万2,773円 7%
家具・家事用品1万3,347円 4%
被服及び履物1万2,454円 4%
保健医療1万2,824円 4%
交通・通信4万9,962円 15%
教育3万2,931円 10%
教養娯楽3万713円 9%
その他の消費支出5万546円 15%

同じ調査で得られた3人家族の生活費と比較すると、「教育」が倍増しているほか、「食料」も1万円程度、「教養娯楽」も5,000円程度増えています。一方で、「水道・光熱」や「家具・家事用品」はそれほど大きな差はありません(3人家族では、「教育」1万6,872円、「食料」7万6,289円、「教養娯楽」2万6,446円、「水道・光熱」2万1,344円、「家具・家事用品」1万2,455円)。

3人家族と4人家族の生活費を詳しく比較したい人は、以下の記事も併せてご参照ください。

【関連記事】3人家族の生活費の平均は月30万円! 内訳や節約術も解説

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FPが教える! 4人家族の理想的な生活費の内訳バランスは?

画像: 画像:iStock.com/Violka08

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子どもが1人増えて4人家族になると、3人家族の時に比べ、生活費のバランスは変わります。とはいえ、生活費に対する基本的な考え方は、3人家族の場合と同じといっていいでしょう。

ただし進学に必要な教育資金は2人分になりますから、貯金は欠かせません。子どもが小さいうちから、しっかり将来への備えをしておくべきです。

そのために実践していただきたいのが、生活費の見直しです。具体的には、将来へ備える分をあらかじめ考慮に入れて、収入に対する生活費の割合を決めることから始めましょう。ここでは生活費だけに注目するのではなく、毎月の手取り月収に対する支出の理想的なバランスをご紹介します。

〈表〉4人家族の理想の支出バランス(監修者作成)

費目バランスの目安
住居(家賃/住宅ローン)手取り月収の20~25%
食費手取り月収の15%以内
通信費1万5,000円程度
水道光熱費2万円程度
教育費2万円程度
交通費ライフスタイルや収入に応じて調整
保険料
雑費(日用品費など)
小遣い
不定期な支出手取り月収の10%程度
貯蓄手取り月収の10%以上

①住居(家賃/住宅ローン):手取り月収の20~25%

前述の「家計調査年報」1)では、「住居」の金額が低めになっていますが、手取り月収の20~25%が、家賃や住宅ローン(マンションの管理費や修繕積立金を含む)を無理なく支払える範囲といえます。ちなみに、国土交通省「令和3年度 住宅市場動向調査」2)によれば、住宅ローンの平均返済額は全国平均で約11万6,000円、三大都市圏平均で約14万円となっています。

②食費:手取り月収の15%以内

手取り月収に対して食費が占める割合は15%以内が適切といわれています。世帯主の年齢的に収入も増えているため、この比率は、子どもが2人いる場合でも基本的には変わりません。

③教育費:2万円程度

この場合の教育費とは、習い事や塾などにかかる費用であり、学費などの教育資金とは別物です。「家計調査年報」1)によれば、4人家族の「教育」の費目の平均額は、3万2,931円となっています。ここでは、小さな子どもを含む4人家族を想定し、教育費は2万円としました。もちろん、ご家庭の方針によって金額は調整しても構わないでしょう。

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④通信費:1万5,000円程度

「家計調査年報」1)によれば、4人家族の「通信」の費目の平均額は1万6,476円となっています。スマホの格安通信プランを利用すれば、1人あたり5,000円程度に抑えることが可能です。なお、ここでは小さい子どもがいる家庭を想定して、両親のスマホ代と自宅で利用するインターネット回線の費用のみで計算し、1万5,000円程度としています。

⑤水道光熱費:2万円程度

「家計調査年報」1)によれば、「水道・光熱」の費目の平均額は2万2,773円ですから、だいたい2万円を目安と考えればいいでしょう。

⑥不定期な支出:手取り月収の10%程度

冠婚葬祭にかかる費用や帰省費用、家具家電の買い替えなど、毎月ではなく不定期であるものの年単位でみれば発生する可能性が高い支出については、毎月積み立てをしておくと家計の管理がしやすくなります。金額は手取り月収の10%程度が目安となります。年末に余った金額を貯蓄や子どもの教育費などに割り振ってもいいでしょう。

⑦貯蓄:手取り月収の10%以上

将来の子どもの教育資金を準備したいなら、少なくとも手取り月収の10%は貯蓄にまわすといいでしょう。あらかじめ割合を決めておけば、給与が振り込まれた時点で「先取り貯金」もしやすくなります。

⑧交通費、保険料、雑費、小遣い

交通費、保険料、雑費、小遣いは、ライフスタイルによって調整が必要になる支出といえます。具体的な目安がある費目を先に計算してから、残りの金額で配分を考えるといいでしょう。

【手取り40万円】4人家族の生活費シミュレーション

画像: 画像:iStock.com/Milatas

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それでは、ここまでに提案したバランスを踏まえて、30代の4人家族の生活費をシミュレーションしてみましょう。ここでは、例として手取り月収約40万円の世帯でシミュレーションします。

〈表〉4人家族(手取り月収約40万円)の生活費シミュレーション

手取り月収約40万円
住居(家賃/住宅ローン)11万5,000円
食費6万5,000円
通信費1万5,000円
水道光熱費2万円
教育費2万円
交通費(自動車維持費含む)1万5,000円
保険料1万5,000円
その他(日用品や小遣いなど)3万円
不定期な支出3万円
貯蓄7万5,000円

30代の4人家族と考えた場合、子どもの教育資金が2人分必要になることも考慮し、貯蓄にまわす金額を20%弱確保しました。一方、不定期な支出は子どもの教育費が増える分を考慮し、10%弱に抑えています。ここでは、小さな子どもがいる家族を想定し、教育費は2万円としました。

通信費にはスマホ代のほか、自宅に引くインターネット回線の費用も含んでいます。交通費1万5,000円では自動車の維持管理費などがまかなえない場合には、住居費や小遣い、不定期な支出などで調整してもいいでしょう。

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4人家族が実践したい、5つの節約術

画像: 画像:iStock.com/Rawpixel

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4人家族が押さえておきたい節約術をいくつか、ご紹介しましょう。

節約術①各種の控除や制度を活用する

国や自治体などが用意している控除や制度を利用し、納める税金の額を減らすのは、節約の基本となります。広報誌などに目を通して、地域の子育て支援制度などはもれなく活用しましょう。

そのほか、支払った保険料に応じて税金の負担が軽くなる生命保険料控除やふるさと納税、老後資金の積み立てにも役立つiDeCoなど、様々な控除や制度があります。

節約術②長子を通じて得たコミュニティーを活用する

1人目の子どもにお金をかけすぎた結果、2人目の子どもにかけるお金を節約しがちになる家庭も多いものです。しかし、どちらも平等にしてあげるべきなのはいうまでもありません。そこで活用したいのが、ママ友やパパ友など長子を通じて得た親同士のコミュニティーです。

洋服や玩具など子ども向けのグッズを融通し合ったりすれば、子どもにかけるお金を節約できるので、学費などの教育資金をより平等に準備することができるでしょう。そのほか、メルカリのようなフリマアプリを活用して子ども向けグッズの売買をすることも、子どもが増えた家庭では有効な節約術といえます。

節約術③通信費、ネットサービスの見直しをする

現代の暮らしに欠かせないスマホ代や動画配信などのネットサービス代は、家族会員(家族アカウント)の契約をすることで、個別契約よりも安くなる場合が多いです。個別にサービスを利用している場合は、契約形態を見直してみましょう。

節約術④保険の見直しをする

家族が増えると、必要な保障内容も変化するため、保険の見直しを検討してみましょう。ただし、必要以上の保障内容にする必要はありません。節約を念頭に置いた場合、不要な特約を外すなどの方法があります。どの保険に加入するか検討する場合には、新しい商品も含めて比較検討したりするといいでしょう。なお、医療保険や生命保険など、民間の保険に加入していると、生命保険料控除が受けられるメリットがあります。

節約術⑤家計簿アプリを活用する

生活費のやり繰りが上手な人たちに共通する傾向として、家計簿アプリを使い収支を小まめにチェックしていることが挙げられます。データの共有ができる家計簿アプリなら、夫婦で一緒に収支のチェックを行うことも可能です。何に、どれくらいお金を使っているのかが「見える化」できれば、節約しやすくなるでしょう。

子どもが増えれば幸せも増える。計画的な家計管理を

画像: 画像:iStock.com/Yagi-Studio

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子どもが増えた分だけ生活費もかさむと考えがちですが、1人と2人を比較した場合、食費や水道光熱費の増加はせいぜい1.5倍程度です。また、児童手当などを上手に活用すれば負担を減らすことも可能です。節約を含め計画的な家計管理を心掛けましょう。

そのための第一歩は、夫婦一緒に家計の管理を行い、ライフプランについても定期的に話し合うことです。家族の明るい未来のためにも、家計は家族みんなで管理するもの、という意識を忘れないようにしましょう。

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