「専業主婦(夫)の私がもらえる年金額って、いくらくらい?」「もらえる年金額を増やす方法はあるの?」といった疑問を抱く専業主婦(夫)の人は多いでしょう。年金の受給額は、世帯収入や共働きをしているかどうかによって異なります。生活資金などに関して、働いている配偶者の収入に頼っている部分の大きい専業主婦(夫)にとっては、自分がいくら年金をもらえるかは大きな心配事の1つではないでしょうか。

今回は、専業主婦(夫)は年金をいくらもらえるのかについて、ファイナンシャルプランナーの頼藤太希さん監修のもと徹底解説します。共働き世帯との違いや、年金額を増やす方法も紹介します。

【最新情報】2025年度(令和7年度)の年金額改定について

2025年1月24日に、厚生労働省より2025年4月から施行される2025年度の年金額が発表されました。

2025年度年金額の例

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分)…月額6万9,308円(※1)
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金(満額)を含む標準的な年金額)…月額23万2,784円(※2)

※1:1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの人の老齢基礎年金(満額1人分)は月額6万9,108円。
※2:男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5,000円)で40年間就業した場合に受け取る年金の給付水準。

2025度の国民年金保険料

  • 国民年金保険料…1万7,510円

詳しく知りたい人は、コチラをご確認ください。

※この記事では2024年度(2025年3月31日まで)の金額を記載しています。

※この記事は、2024年2月9日に公開した内容を最新情報に更新しています。
なお、年金額や国民年金保険料は2024年度の資料をもとに解説しています。2025年度の年金額や国民年金保険料は、2025年4月以降に変更されるため、ご留意ください。

この記事の監修者

頼藤太希(よりふじ たいき)

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。主な著書に『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など著書累計180万部。YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

X

専業主婦(夫)が老後にもらえる年金は原則国民年金

画像: 画像:iStock.com/banabana-san

画像:iStock.com/banabana-san

年金の制度を大きく分けると、法律によって加入が義務付けられている「公的年金」と、企業や個人が任意で加入できる「私的年金」の2つです。

公的年金には、「国民年金」と「厚生年金保険(以下「厚生年金」と表記)」の2種類があります。すべての人が対象になる「国民年金」に、会社員や公務員が対象になる「厚生年金」が上乗せされる2階建ての構造になっています。

〈図〉公的年金制度の構造

画像: 専業主婦(夫)が老後にもらえる年金は原則国民年金

専業主婦(夫)がもらえるのは、原則、国民年金です。以下では、国民年金と厚生年金について、もらえる金額の目安や加入できる人、専業主婦(夫)が加入する条件などを解説していきます。まずは年金の基本的な知識を押さえましょう。

なお、年金制度全般については下記の記事で解説していますので、併せてご覧ください。

【関連記事】年金制度のしくみについて、詳しくはコチラ

①国民年金

国民年金は日本在住の20~60歳の全員が加入する義務のある公的年金です。納める保険料は物価や賃金の伸びに合わせ精査され、国によって決定されます。

将来もらえる金額は、保険料の納付期間・免除期間で決まります。20~60歳の480カ月(40年間)もれなく納付していれば、原則65歳から年金を満額もらうことができます。仮に保険料を納めていない期間があれば、満額受給することはできません(※)

2024年度の満額の年金額は81万6,000円(年額)となります1)

※:国民年金保険料の免除・未納期間がある場合には、60〜65歳の間に任意加入することでもらえる年金を満額にする制度があります。

②厚生年金

厚生年金とは、会社員や公務員が加入する公的年金です。国民年金に上乗せして支払うので、将来もらえる年金額は大きくなります。保険料の半額を事業主が負担する労使折半のしくみを取っていることが特徴です。

配偶者が会社員や公務員の場合、専業主婦(夫)は配偶者の厚生年金の扶養に入れます。扶養に入ると、自動的に専業主婦は後述する国民年金の第3号被保険者」になります。

第3号被保険者は保険料を自己負担する必要がありませんが、将来もらえるのは国民年金のみになります。つまり、「第2号被保険者である配偶者は厚生年金と国民年金の両方を将来もらうことができますが、専業主婦は国民年金のみしかもらえません。

国民年金の第3号被保険者とは?

国民年金の第3号被保険者とは、厚生年金に加入している第2号被保険者に扶養されている配偶者2)のことです。対象となるのは、以下の条件に該当する人になります。

  • 第2号被保険者に扶養されている配偶者であること
  • 20歳以上60歳未満であること
  • 年収が130万円未満であること

第3号被保険者は、保険料を納付する義務はありません。第2号被保険者である配偶者が加入する厚生年金で保険料を負担するためです。また、第3号被保険者となっている期間は、年金保険料は免除されますが、納付期間にカウントされます。たとえば、10年間第3号被保険者でいたとすると、10年間第1号被保険者として国民年金保険料を納め続けていた人と同等の国民年金をもらうことができるのです。

ただし、専業主婦(夫)の人でも一時的にパートなどで働いた場合、年収が約106万円以上になると、勤務先によっては厚生年金への加入が必要になる場合があります。

パート・アルバイトの年金について、詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。気になる人は併せてご覧ください。

【関連記事】パート・アルバイトがもらえる年金について、詳しくはコチラ

専業主婦の平均年金額は約5万6,000円

画像1: 画像:iStock.com/takasuu

画像:iStock.com/takasuu

繰り返しになりますが、専業主婦(夫)がもらえるのは、原則、国民年金のみになります。厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」3)によると、国民年金の平均年金月額老齢基礎年金は5万7,584円。男女別でみると、男性が5万9,965円、女性が5万5,777円です。

したがって、専業主婦(夫)の平均受給額は男性が5万9,965円、女性は月5万5,777円となります

では、専業主婦と共働きで働く女性では、年金額はどのくらい違いがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

専業主婦と共働きで働く女性の年金額の違い

前述のとおり、専業主婦(夫)は国民年金のみもらえます。そこで、国民年金と厚生年金の男女別の平均額から、ここでは専業主婦と共働きで働く女性の年金額の違いを確認しましょう。

前述したように、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」3)によると、国民年金の平均年金月額老齢基礎年金は5万6,316円。男女別でみると、男性が5万8,798円、女性が5万4,426円です。

厚生年金にも加入している場合は、平均年金月額が14万3,973円。男女別の平均年金月額は、男性が16万3,875円、女性が10万4,878円です。

〈表〉国民年金と厚生年金の平均年金月額3)

国民年金のみ厚生年金(国民年金を含む)
男性5万9,965円16万6,606円
女性5万5,777円10万7,200円

専業主婦の平均受給額は月5万5,777円、共働きで働く女性の平均受給額は月10万7,200円になります。現在年金を受給している人の平均受給額を比較すると、専業主婦と共働き世帯の妻では、年金額に約2倍の差が出ることがわかります

また、専業主婦(夫)は配偶者の職業によっても、世帯でもらえる年金額が違ってきます。以下で解説しますので、参考にしてみてください。

専業主婦(夫)の年金額は配偶者の職業によっても変わる

画像: 画像:iStock.com/alexsl

画像:iStock.com/alexsl

専業主婦(夫)は、配偶者が会社員または公務員、もしくは自営業かによっても年金額が変わることがあります。

配偶者が会社員(サラリーマン)の場合の年金額

配偶者が会社員の場合、専業主婦(夫)は配偶者が加入している厚生年金の扶養家族になることができます。厚生年金の扶養家族になると、専業主婦(夫)は国民年金の第3号被保険者となります。

配偶者は、厚生年金に加入しているため、老後に国民年金と厚生年金をもらうことができます。一方、専業主婦(夫)は国民年金の加入者となるため、もらえるのは原則国民年金のみです。

厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」3)のデータをもとに試算した、現在年金を受給している配偶者が会社員である場合の夫婦がもらえる年金額は以下のとおりです。

〈表〉配偶者が会社員(サラリーマン)の場合の毎月の年金額

世帯構成夫婦でもらえる年金の合計/月
会社員の夫・専業主婦の妻22万2,383円
専業主夫の夫・会社員の妻16万7,165円

上記は一例ですが、2023年度のデータでは、夫が会社員として働いている世帯の方が5万5,218円も年金額を多く受け取っていることがわかります。これは、厚生年金の平均額において、男性(16万6,606円)と女性(10万7,200円)の間に5万9,406円の差があることが影響しています。

ただし、この年金額は現在受給している世代のデータにもとづくものであり、現役世代が将来受給する年金額の指標としてそのまま捉えないほうがいいでしょう。現在の受給者世代の女性の多くは、「学校卒業後に会社員として就職し、結婚や出産後に専業主婦になる」という当時の社会構造の中で生活していた背景があります。このため、厚生年金に加入していた期間や給与水準に男女差があり、それが受給額の差に影響を与えています。

現役世代の女性は、男女間での給与格差が縮小傾向にあることや、共働き世帯の増加などを背景に、将来の年金受給額はこのデータと異なる可能性が高いです。そのため、このデータはあくまで参考として捉えましょう。

【関連記事】配偶者の扶養に入った場合の「年金」について、詳しくはコチラ

配偶者が自営業(フリーランス)の場合の年金額

配偶者が自営業の場合、夫婦で国民年金に加入し、保険料も各自で支払う必要があります。

配偶者が自営業の場合、夫婦でもらえる年金額は以下のとおりです。

〈表〉配偶者が自営業(フリーランス)の場合の毎月の年金額

世帯構成夫婦でもらえる年金の合計/月
自営業の夫・専業主婦の妻11万5,742円
自営業の妻・専業主夫の夫11万5,742円

夫婦どちらかが厚生年金に加入していた世帯よりも、年金額は少なくなります。国民年金は保険料の納付期間や保険料が免除されていた期間などが影響してきます。厚生年金のように収入で年金額が変わることはありません。

▼▽あなたは老後いくら必要? 将来の年金額目安もわかるツールはコチラ▼▽
老後資金シミュレーション
老後資金シミュレーション

第3号被保険者制度の見直しについて

画像: 画像:iStock.com/Yusuke Ide

画像:iStock.com/Yusuke Ide

前述したように、第3号被保険者制度は、扶養内で働く配偶者を対象とした国民年金のしくみですが、近年その廃止や見直しが議論されています。共働き世帯の増加や社会保険料負担の公平性が問われており、制度変更が進む可能性があります。ここでは、背景や廃止時期、専業主婦(夫)への影響を解説します。

第3号被保険者制度の廃止が検討されている背景

第3号被保険者制度は「片働き世帯を優遇している」「保険料の負担が不公平」といった批判を背景に、廃止の議論が進んでいます。

政府は2023年9月に「年収の壁・支援強化パッケージ」を発表し、短時間労働者の就業促進を目指す施策の一環として、第3号被保険者制度の見直しを提案しました4)。また、制度が女性の就業調整や人手不足を助長しているとの声もあります。

第3号被保険者制度の廃止はいつから?

2024年12月12日、厚生労働省は今回の見直しでの第3号被保険者制度の廃止を見送り、将来の議論に持ち越される見通しとなったと発表しました。

しかし、2023年9月の社会保障審議会では、社会保険適用の拡大による第3号被保険者の縮小が議論されました。また、2024年10月から従業員数51人以上の企業に勤務する短時間労働者も社会保険に加入する義務が生じています。廃止はいったん見送りになったものの、こうした動きは制度廃止への準備段階と考えられています。

専業主婦への影響:負担増や加入条件の変更

将来的に、第3号被保険者制度が廃止されると、専業主婦(夫)や扶養内で働く配偶者には以下の影響が予想されます。

保険料負担が発生
第3号被保険者の保険料(2024年度:年間約20万円)は、第2号被保険者が負担していましたが、廃止後は自身で納付する必要があります。

扶養内で働く人の年金加入条件の変更
廃止後は、扶養内で働く人も国民年金や厚生年金への加入が求められる可能性があります。これにより、家庭の働き方や家計管理の見直しが必要になるでしょう。

専業主婦(夫)やその配偶者にとって、制度廃止の影響は家計に直結します。早めに情報収集を行い、対応を検討することが重要です。

専業主婦(夫)がもらえる年金額を増やす方法6選

画像2: 画像:iStock.com/takasuu

画像:iStock.com/takasuu

専業主婦(夫)のいる世帯は、必然的に共働き世帯よりも年金額が少なくなります。不足している年金額を補うには国の制度を利用したり、自身で資産形成を行ったりするのがおすすめです。ここでは、専業主婦がもらえる年金額を増やす方法を6つ紹介します。

以下では、それぞれの方法を解説します。

①保険料納付月数が480カ月(40年)未満なら、60歳以降も国民年金に加入する

国民年金には、60歳以降も年金を納められる任意加入制度があります。任意加入制度は、20〜60歳の間に免除や未納などで保険料を納めていない期間がある場合に利用でき、年金を満額にすることが可能です。

以下の条件をすべて満たせば、国民年金の任意加入が可能です。

  • 現在日本国内に住所がある
  • 60~65歳の年齢に当てはまる
  • 国民年金の繰上げ受給をしていない
  • 20~60歳の保険料の納付月数が480カ月(40年)未満
  • 厚生年金や共済組合などに加入していない

なお、年金の受給資格期間を満たしていない65~70歳の人や、外国に住む20~65歳の人も任意加入ができます。申請者が日本国籍でない場合は、医療滞在や観光、保養目的で入国していない場合にのみ、任意加入の申請ができます。

②付加保険料を納付する

毎月納める国民年金にプラスしてお金を納付することで、もらえる国民年金の金額を増やせます。毎月追加して保険料(付加保険料)を納めるだけのシンプルなしくみなので、誰でも利用しやすい制度です。

付加保険料は月額400円。もらえる年金の追加金額は「200円×付加保険料の納付月数」で計算され、2年以上もらえば元を取れることになります。

付加保険料を長く納めれば納めるほど、将来もらえる年金額は高くなります。

なお、以下の記事では付加年金について解説しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】付加年金について、詳しくはコチラ

③iDeCoを利用する

iDeCoなどで投資を行い、自身の資産を増やすのも1つの手です。iDeCoは個人型確定拠出年金と呼ばれ、自分で年金を積み立てられる制度です。

〈図〉iDeCoのしくみ

画像: ※運用する商品によっては、元本割れを起こす場合もあります。

※運用する商品によっては、元本割れを起こす場合もあります。

iDeCoのメリットは、運用益によって資産を増やせる点です。また、掛金は全額所得控除されるので、税制面のメリットも受けられます。上図のとおり、自身で設定した拠出額に加えて、選択した運用商品の運用益を受け取ることが可能です。

貯金だけでは老後の生活資金をまかなうことが難しい場合、iDeCoはよい選択肢になるでしょう。運用商品の手数料水準も低いため、気軽に始めてはいかがでしょうか。

【関連記事】iDeCoに加入する場合の注意点について、詳しくはコチラ

④繰下げ受給を行う

国民年金の老齢基礎年金と、厚生年金の老齢厚生年金は、基本的に65歳からもらえますが、受給を開始する年齢を遅らせると、もらえる額が増額します。この制度を、繰下げ受給と呼びます。繰下げ受給のメリットは、以下の2つです。

  • 繰下げ期間に応じて毎月の受給額が増える
  • 繰下げで増えた毎月の受給額は一生変わらない

国民年金と厚生年金の両方をもらえる人は、それぞれ別々に繰下げができます。国民年金の場合は、「65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数」×0.7%ずつ増額され、最大で84%増額できます。

ただし、繰下げ受給を行うと、受け取り始めが遅くなるため長寿でない場合には受け取れる年金総額が少なくなる可能性もあります。

以下の記事では、繰下げ受給のしくみや年金をもらえる年齢について解説しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】年金の繰上げ・繰下げ制度などについて、詳しくはコチラ

⑤NISAで賢く資産運用

NISAは、投資によって得られた運用益にかかる税金がゼロになる制度です。

2024年1月からは新NISA5)に切り替わり、非課税期間に期限があったこれまでのNISAと異なり、非課税の期間が無期限となりました。また、年間投資枠や非課税保有限度額(総枠)も大幅に引き上げられています。

年間投資枠
(非課税)
非課税保有期間非課税保有限度額
新NISA
(つみたて投資枠)
120万円無期限1,800万円(※)
新NISA
(成長投資枠)
240万円無期限1,200万円(内数)

※:簿価残高方式で管理(枠の再利用が可能)。

投資商品については、つみたて投資枠はつみたてNISAと同じく、国が定めた条件をクリアした投資信託・ETF(上場投資信託)(※)であり、2024年10月時点で約300本あります。

なお、成長投資枠は「株式の整理銘柄・監理銘柄」「信託期間20年未満の投資信託」「高レバレッジ型の投資信託」「毎月分配型の投資信託」が除外されます。理由は、いずれも長期の資産形成に向かない商品だからです。

NISAのつみたて投資枠は月々100円から始めることができるので、少額から始めてみるのもいいでしょう。

【関連記事】新NISAの年代別シミュレーションについて、詳しくはコチラ

※:ETF(上場投資信託)とは、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託の一種です。

⑥個人年金保険で将来に備える

個人年金保険とは、公的年金に上乗せ補填する目的で、自身で老後の準備をするための民間の保険です。契約時に決めた年齢に達するまで保険料を払い込み、そのあとは保険料に応じた年金をもらうことができるのが特徴です。

個人年金保険に支払った保険料は、専業主婦(夫)でも配偶者が負担しているなどの条件を満たせば個人年金保険料控除として所得税・住民税の控除の対象となり、一定金額の控除を受けられるケースがあります。

個人年金保険の種類やメリットについては、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】個人年金保険について、詳しくはコチラ

専業主婦(夫)が年金をもらう際の2つの注意点

画像: 画像:iStock.com/itakayuki

画像:iStock.com/itakayuki

専業主婦(夫)が毎月十分な年金をもらうためには、働いている配偶者に頼らざるを得ない場合が多いでしょう。そのため、離婚や配偶者の退職が、年金の受給額を減らす大きなリスクになる可能性があります。ここでは、専業主婦が年金をもらう際に注意すべき点を2つ紹介します。

それぞれ詳しく解説します。

①離婚すると受給額が減少する

専業主婦(夫)が配偶者と離婚した場合、もらえる年金額は減少します。夫婦の両方が国民年金のみに加入していた場合、単純計算でもらえる金額は1人分に変わります。

配偶者が厚生年金に加入していた場合には、3号分割という制度が専業主婦(夫)側に適用されます6)。3号分割とは、配偶者が支払った厚生年金の半分を専業主婦(夫)だった人がもらえるしくみです。3号分割の請求にあたっては、双方の合意が不要なのもポイントです。

国民年金と厚生年金いずれの場合でも、専業主婦(夫)が離婚後にもらえる金額は夫婦2人がもらえる予定だった年金額の半分程度になると覚えておきましょう。

離婚時の年金に関する情報は、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】離婚時の年金手続きについて、詳しくはコチラ

②配偶者が退職すると第1号被保険者へ切り替えが必要

厚生年金に加入していた配偶者が退職した場合、専業主婦(夫)は第3号被保険者の資格を失います。そのため、配偶者の退職が決まったら、第1号被保険者への切り替え手続きを行う必要があります。

特に注意が必要なケースは、配偶者が定年退職を迎える場合です。この場合、配偶者側には切り替えの必要がないため、専業主婦(夫)が切り替えを忘れてしまう可能性があります。切り替えを忘れると保険料の未納期間が発生し、その結果、国民年金の受給額が減る可能性があります。切り替えが必要かどうか、退職のタイミングに合わせてしっかり確認してください。

ただし、以下のようなケースでは切り替えの必要はありません。

  • 専業主婦(夫)が60歳以上であり、国民年金の納付期間をすでに満了している場合
  • 専業主婦(夫)が配偶者より年上、または同年齢で、配偶者の退職時点ですでに国民年金の納付を終えている場合

これらのケースを除き、第1号被保険者への切り替えが必要となる場合は、国民年金保険料1万6,980円(月額、2024年度)を納付することになります。切り替えの手続きについては、お住まいの市区町村の役所で確認してください。

専業主婦(夫)の年金に関するよくある質問

画像: 画像:iStock.com/bonghyunjung

画像:iStock.com/bonghyunjung

ここでは、専業主婦(夫)の年金にまつわる疑問について解説します。

Q.独身時代に厚生年金に加入していた場合の年金はどうなるの?

独身時代に厚生年金に加入していた専業主婦(夫)の場合は、以下のいずれかの条件を満たしていれば、厚生年金ももらうことができます。

  • 国民年金保険料を10年間以上支払っていて、なおかつ厚生年金に1カ月以上加入している
  • 厚生年金に10年以上加入期間がある

たとえば、独身時代に1カ月以上厚生年金に加入しており、専業主婦(夫)の期間は配偶者の第3被保険者になっていた場合は、国民年金と厚生年金をもらうことができるのです。

ただし、厚生年金は加入期間と収入によって年金額が変わります。加入期間や年金額は、ねんきん定期便やねんきんネットマイナポータルで知ることができるので、気になる人は確認してみてください。

Q.夫が死亡した場合の専業主婦の年金はどうなるの?

夫が亡くなった場合、専業主婦は遺族年金がもらえます。遺族年金とは、国民年金または厚生年金の被保険者もしくは被保険者だった人が死亡した時に、その人に生計を維持されていた遺族がもらえる年金です。

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。亡くなった人が国民年金の被保険者の場合は遺族基礎年金を、厚生年金の被保険者の場合は遺族厚生年金が、妻に支給されます。ただし、それぞれ受給条件があるため、自身が対象者かどうか確認する必要があります。

たとえば、遺族基礎年金は子どもがいなければ、もらうことができません。一方、遺族厚生年金は、子どもの有無にかかわらず、条件を満たしていれば、もらうことができます。

なお、遺族厚生年金は2028年4月以降に改正が予定されています。たとえば、現行制度では子のいない男性配偶者には遺族厚生年金が支給されないケースがありますが、改正後は40歳未満の子のない男性配偶者に対し、原則5年間の有期給付が導入される予定です7)。具体的な施行日は現在調整中です。

遺族年金の受給条件や年金額については以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

【関連記事】遺族年金の受給条件などについて、詳しくはコチラ

Q.専業主婦(夫)の年金保険料は誰が負担するの?

前述したように、専業主婦(夫)の保険料は、配偶者が加入している厚生年金が、公的年金制度全体として負担するしくみになっています。そのため、保険料を自身で支払う必要はありませんが、パートやアルバイトをして年収が130万円以上になると、厚生年金の扶養から外れるため、自身で保険料を負担する必要があります。

社会保険への加入義務が発生する条件について、詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。気になる人は併せてご覧ください。

【関連記事】社会保険の扶養が外れるタイミングについて、詳しくはコチラ

専業主婦(夫)でも、もらえる年金は増やせる

画像: 画像:iStock.com/kazoka30

画像:iStock.com/kazoka30

現在の制度ですと、専業主婦(夫)が将来もらえる年金額は、配偶者の職業に依存してしまいます。会社員や公務員の人が将来もらえる年金額は高く、自営業の人はやや低くなりがちです。専業主婦(夫)がいる世帯は、将来もらえる年金を積極的に増やすべきでしょう。紹介したとおり、iDeCoなどの確定拠出年金を積み立てたり、保険料を追納したりして、将来もらえる年金を増やすことを考えましょう。

この記事を参考に、もらえる年金を増やすためのアクションを起こしてみてください。

自分や親の老後にかかるお金が心配…と思ったら、「お金のプロ」に相談してみませんか?

自分や親の老後に備えて、家計を見直し貯蓄を増やしたいと考えている人は、自分にぴったりの「お金のプロ」に相談してみませんか?

「お金のプロ」とのマッチングサイトでは、あなたの性別や年齢、住んでいるエリア、相談したい事項を選択することで、あなたにぴったりの「お金のプロ」を選ぶことができます。

対面だけでなく、オンラインでの相談も行っているので、ぜひ以下をクリックして詳しい情報を見てみてください。

This article is a sponsored article by
''.