特定の企業や組織に所属せず、社会的に独立する形で収入を得るフリーランス(個人事業主)の働き方が、最近注目されています。能力に応じた収入が得られる、自分のライフスタイルにあわせて働けるといったメリットから、フリーランスへの転身を考えている人も多いことでしょう。

そこで覚えておきたいのが、会社員と比べ異なる点が多い社会保険(社会保障)と民間保険に関する知識です。フリーランスが加入できる健康保険や年金の種類と注意点や、不安を軽減するために必要な、フリーランスならではの民間保険の必要性について解説します。

フリーランスが知るべき「2つの保険」の重要性

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病気やケガ、そして老後の生活に対する不安に備える保険に対する基本的な考えかたは、会社員もフリーランス(個人事業主)も同様です。具体的には、公的医療保険や公的年金などの「社会保険」と、その不足分を補う「民間保険」の組みあわせで全体的な保障を考えていくことになります。

しかし会社員からフリーランスに転身した場合、特に社会保険(社会保障)で受けられる保障の範囲と保険料の自己負担が大きく変化するため、注意が必要です。

フリーランスになると健康保険料が高くなる理由

公的医療保険を例に説明しましょう。通常、会社員や公務員など特定の企業もしくは団体に所属している場合には、雇用主が保険者(保険を提供する側)となる「被用者保険」に加入することになります。その際の保険料は、雇用主と被保険者(保険に加入する人)の双方で分担する形が基本となります。

対して、フリーランスが加入できる公的医療保険の代表となる「国民健康保険」の保険料は、基本的に被保険者の全額負担となります。単純にいえば、会社員時代には会社が負担してくれたぶんの保険料も、自分で支払わなければならなくなるのです。

また国民健康保険は、被用者保険のように扶養家族を被保険者に含めることができないため、家族はそれぞれ国民健康保険に加入し、保険料を支払うことになります。

〈図〉公的医療保険の支払い方の違い(例)

フリーランスになると受けられなくなる保障もある

さらに勤めていた会社の健康保険(被用者保険)から国民健康保険に移行した場合には、保険料の自己負担額が上がるだけでなく、受けられる保障内容も変わります

たとえば、業務外の病気やケガで会社を休んだ場合に支給される「傷病手当金」や、出産のために会社を休んだ場合に支給される「出産手当金」は、国民健康保険にはありません。このほかにも、雇用主が独自に提供する検診などのサービスも、国民健康保険に移行することで受けられなくなります。(詳しくは、後述します)

公的年金の「2階建て」部分が失われる

一方、公的年金の場合はフリーランスに移行することで、将来支給される年金の額が変わります

日本の公的年金制度は、すべての国民が加入する「国民年金」会社員や公務員などが加入できる「厚生年金(または共済年金)」を組み合わせた2階建ての構造になっています。

〈図〉公的年金の2階建て構造

画像: 公的年金の「2階建て」部分が失われる

会社員や公務員などは、すべての人が定額を支払う「国民年金」に加えて、「厚生年金」にも加入します。これは本人と雇用主が保険料を折半して支払っており、受給される年金額も大きくなります

対して会社員からフリーランスに移行すると、「厚生年金」に加入できなくなるため、公的年金は基本的に国民年金のみとなります。そのため毎月支払う保険料の合計は低くなりますが、そのぶんだけ受給される年金の額も減ってしまうわけです。

フリーランスにおける民間保険の重要性とは?

このように社会保険の観点からみれば、フリーランスは会社員に比べて、かなり制限があることがわかります。

もちろん公的制度のなかにも、フリーランスの社会保険を補うものがいくつかありますが、それだけでは不安を感じるという人も多いでしょう。そこで重要な存在となるのが、社会保険の不足分を補ってくれる民間保険です。

たとえば、国民健康保険の保障だけではカバーしきれない、がんのような大病に備える「がん保険」や、病気やケガで働けなくなった場合の保障が得られる「就業不能保険」は、フリーランスの働きかたを選ぶにあたり、特に重視すべきでしょう。また、将来の年金額に不安をおぼえるようであれば、民間の年金保険を検討しても良いでしょう。

フリーランスの保険料の相場は?

画像: 画像:iStock.com/Sean_Kuma

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ここからは、フリーランスが選ぶべき社会保険や民間保険の詳細について解説していきたいと思います。その前に、フリーランスが支払うべき社会保険や民間保険の保険料の相場を、簡単にまとめてみました。フリーランスに移行すると、どれくらいの保険料を支払うことになるのかを知りたい人は、この表が役に立つでしょう。

(A)社会保険の相場例

種類保険料の相場例備考
公的医療保険国民健康保険1)210,281円(年額)※文京区(2019年)の場合
※扶養家族の保険料は含まれない
国民健康保険組合2)組合員:19,900円(月額)
組合員の家族:10,600円(月額)
※国民健康保険と同時加入はできない
※文芸美術国民健康保険組合の場合
(収入を問わず、一定の保険料になる)
公的年金国民年金3)16,540円(月額)※毎年固定(日本年金機構が毎年度、金額の見直しを行う)
国民年金基金4)13,935円※30歳・男性で一口目A、二口目1の場合
※iDeCoと国民年金基金であわせて68,000円(月額)が上限となる
iDeCo5)5,000円〜68,000円(月額/1,000円単位で調整可能)※5,000円以上から、1,000円単位で増額できる
※iDeCoと国民年金基金であわせて68,000円(月額)が上限となる
付加年金400円(月額)※国民年金基金と併用はできない
その他小規模企業共済6)1,000円〜70,000円(月額/500円単位で調整可能)※500円単位で増額できる
※30歳・独身・年収400万円・所得200万円の場合
※あくまで一例です。参考としてご覧ください。

(B)民間保険の相場例

種類保険料の相場例保障例
就業不能保険約5,000円(月額)給付金月額:10万円
支払対象外期間180日
保険期間・保険料払込期間:65歳
がん保険約4,000円(月額)ガン入院給付金:10,000円(日額)
診断一時金:100万円
保険料払込期間:終身
賠償責任保険(フリーランス協会) 7)10,000円(年会費として)・業務遂行中の補償:最大1億円
・業務結果(PL責任)の補償:最大1億円
・受託財物の補償:最大1,000万円
・業務過誤の補償:最大1,000万円
※すべて一連の損害賠償請求あたりの支払限度額
※30歳・独身・年収400万円・所得200万円の場合
※あくまで一例です。参考としてご覧ください。

「社会保険」を徹底解説!①【健康保険編】

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会社員からフリーランスに移行した際に、もっとも大きく変わるのが公的医療保険(健康保険)です。ここでは、フリーランスが加入できる公的医療保険について解説します。

健康保険の選択肢は3つ。メリット・デメリットを理解して選択しよう

フリーランスが加入できる公的医療保険には、複数の選択肢があります。国民健康保険に加入するのが基本となりますが、それ以外の選択肢を選ぶことで保険料の節約や、国民健康保険にはないサービスを受けられる可能性もあります。加入条件や保険料の計算法などを確認し、自分にあった公的医療保険を選びましょう。

〈図〉フリーランスができる3つの選択

(A)任意継続保険制度

会社員からフリーランスに移行する際に、まず検討してほしいのが、それまで勤めていた会社の被用者保険に継続加入できる「任意継続保険制度」です。

最長2年間までという継続期間の制限はありますが、一般的に国民健康保険に比べ保険料が安くなる場合が多いほか、扶養家族を被保険者に含めることができたり、雇用主が提供する検診などのサービスが継続利用できたりするなど、数多くのメリットがあります。

特に、扶養家族が多い場合には国民健康保険に比べ保険料を大幅に節約できるので、家族がいる場合には任意継続保険制度をぜひ利用すべきでしょう。

ただし任意継続保険制度を利用するためには、前職の在籍歴(被用者保険の加入歴)が2カ月以上あること、退職日の翌日から20日以内に手続きする必要があること、といった条件がある点には注意が必要です。また、保険料を滞納すると即座に資格が喪失される点にも注意してください。

〈表〉加入手続きに必要なもの・提出先・提出期限

手続きに必要なもの・任意継続被保険者資格取得申請書
・住民票
・健康保険被扶養者届(扶養家族がいる場合)
(扶養の事実を確認できる書類の添付が必要な場合がある)
・退職日の確認ができる書類(任意)
・本人確認書類
・印鑑
提出先今まで加入していた健康組合または居住地の社会保険事務所
提出期限退職後20日以内

(B)国民健康保険

フリーランスが加入する公的医療保険の基本となるのが、国民健康保険です。

医療費の3割負担や高額療養費制度など、基本的な保障は被用者保険と同様ですが、被用者保険にはあった傷病手当金や出産手当金が、国民健康保険にはありません。また、配偶者や子どもなどの扶養家族を被保険者に含めることができないのも、被用者保険と異なる点です。

毎月の給与額やボーナスの金額をベースに、金額に応じた保険料率に従い支払う保険料が決まる被用者保険に対し、国民健康保険は年間の所得額に応じて保険料が決まります。被保険者が支払う保険料の計算方法は、各自治体で異なります。

また、国民健康保険は扶養家族を被保険者に含めることができないため、配偶者や子どもも、それぞれ国民健康保険に加入する必要があります。年収が一定額以下の場合には「均等割」という制度が適用され、保険料が大幅に割引されるので、現在住んでいる自治体の保険料を確認しておきましょう。

〈表〉加入手続きに必要なもの・提出先・提出期限

手続きに必要なもの・会社の社会保険をやめたことを示す証明書(資格喪失証明書、離職証明書など)
・マイナンバーを確認できるもの(マイナンバーカード、もしくは通知書)
・印鑑
・本人確認書類
・保険料口座振替用のキャッシュカード
提出先住民票のある市区町村役所の担当窓口
提出期限社会保険の喪失日から14日以内
※手続きに必要なものは、市区町村によって異なる場合があります。

(C)国民健康保険組合

美容、建設、医師や飲食など特定の業種に就いており、指定の組合の会員となっている場合には、国民健康保険組合に加入することができます。最近では、ウェブデザイナーやライターといった職業のフリーランスでも加入できる国民健康保険組合もあります

扶養家族を被保険者に含められない点を含め、基本的な保障は国民健康保険と大きく変わりませんが、保険料が収入にかかわらず固定額になっている場合が多いのがメリットといえます。

組合に入ることを検討しているフリーランスなら、国民健康保険組合も視野に入れておくと良いでしょう。なお、手続きに必要な書類等は各保険組合によって異なります。

「社会保険」を徹底解説!②【年金編】

画像: 画像:iStock.com/gtlv

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老後の生活を支える公的年金も、会社員からフリーランスに移行することで、受給額が目減りする可能性が高くなります

会社員時代には国民年金に加え、厚生年金の保険料を支払っていたため、そのぶんだけ受給額も増えますが、フリーランスは国民年金だけになるからです。ここでは国民年金の不足分を補うための制度について紹介します。上手に活用して、老後に備えましょう。

年金は老後を考えて、プラスアルファをつけるか考えよう

画像: 画像:iStock.com/mykeyruna

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フリーランスであるかどうかにかかわらず、公的年金の基礎となるのが国民年金です。保険料は収入や年齢にかかわらず一定で、毎年見直しが行われます。ちなみに、2020年度の国民年金の保険料は毎月16,540円となっています。

国民年金だけに加入していた場合の受給額は、現在のところ毎月約65,000円程度です8)。この金額は、仮に60歳で退職するまでに国民年金に加え、会社も負担してくれる厚生年金の保険料も支払っていた場合の半額程度になります。

たとえば30歳でフリーランスに移行した人が60歳まで働くとしたなら、30年分の差額を別のしくみで補う必要があるともいえるわけです。フリーランスが加入できる、国民年金の不足を補う公的制度を紹介しましょう。

(A)国民年金基金

画像: 全国国民年金基金公式サイト。※この画像はサイトのスクリーンショットです。

全国国民年金基金公式サイト。※この画像はサイトのスクリーンショットです。

国民年金基金は、会社員にとっての厚生年金に相当する、フリーランスならではの公的な年金制度です。国民年金と違い任意加入となります。

いちばんの特徴は、「第1号被保険者」と呼ばれる、自営業や農業・漁業者、そしてフリーランスを主な対象としていることです。加入は口数制で、何口加入するかによって将来の給付額が決まります。死亡時まで給付される「終身年金」に加え、給付の期間を指定する「確定年金」が選択できるのも特徴といえるでしょう。

フリーランスにとっての大きなメリットは、保険料の全額が所得控除(社会保険料控除)の対象となり、確定申告時の課税所得を減らし節税につなげられる点です。課税所得の減額につながれば、住民税や国民健康保険の保険料が下がる可能性もあります。

ちなみに保険料(掛金)の制限もあり、後述するiDeCoとあわせて最大で月額68,000円までとなります。年金額は満額でも月額65,000円程度ですが、節税効果とあわせて考えれば、魅力的な選択肢といえるでしょう。

(B)iDeCo(個人型確定拠出型年金)

画像: iDeCo公式サイト。※この画像はサイトのスクリーンショットです。

iDeCo公式サイト。※この画像はサイトのスクリーンショットです。

フリーランスにとって、国民年金基金と並ぶ、公的年金に上乗せ給付を行うための制度がiDeCo(イデコ)です。国民年金基金が、フリーランス(第1号被保険者)を対象としているのに対し、iDeCoは会社員でも利用することが可能です。

毎月一定額を積み立てるしくみは、国民年金や国民年金基金と同様ですが、投資の性格を兼ね備えており、積み立てた掛金を、元本保証タイプの投資商品または、価格変動のある投資信託に充てられる点が大きな特徴となります。投資なので当然リスクはありますが、国民年金基金と比較した場合、同じ金額を積み立てても受け取る年金額が増える可能性もあるわけです。

国民年金基金と同様に、掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となる点も、フリーランスにとっては大きなメリットといえます。さらに通常の投資の場合、利益に対しておよそ20%の税金がかかるのが基本であるのに対し、iDeCoの運用益は非課税になる点も見逃せないところでしょう。

なお、国民年金基金の保険料とiDeCoの掛金は、両方をあわせて月額68,000円までという制限があることには注意が必要です。リスクがあっても多くのリターンを得たいのならiDeCoを重視、堅実な積み立てを目指すなら国民年金基金を重視というように、バランスを考えて加入しましょう。

(C)小規模企業共済

画像: 独立行政法人 中小企業基盤整備機構の公式サイト。※この画像はサイトのスクリーンショットです。

独立行政法人 中小企業基盤整備機構の公式サイト。※この画像はサイトのスクリーンショットです。

小規模企業共済は、フリーランスの退職金制度ともいわれる、独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供する共済制度です。

毎月1,000円から70,000円まで500円単位で掛金を自由に選択できるので、収入に応じて無理なく積み立てできる点が特徴となります。また、掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になる点も、フリーランスにとっては大きなメリットといえるでしょう。

小規模企業共済を6カ月以上積み立てると、廃業した際に積み立てた金額に応じた共済金を受け取ることができます。さらに、12カ月以上積み立てれば、解約手当金を受け取ることも可能です。

特に助かるのは、積み立てた掛金に応じた貸付制度が用意されている点です。

国民年金基金やiDeCoは、原則60歳になるまでお金を受け取ることができませんが、小規模企業共済の場合は貸付制度を利用することで、緊急時に銀行よりも低金利でお金を借りることができます。病気やケガなどで働けなくなった場合や、設備を増やしたい場合の資金調達にも使えるので、フリーランスには有難い制度でしょう。

加入期間が20年未満の場合は元本割れするほか、受け取る共済金は課税対象になるなど注意点もいくつかありますが、小規模企業共済はメリットが大きい制度といえます。フリーランスに移行する際には、小規模企業共済をベースに国民年金基金やiDeCoを併用することで、将来に備えると良いでしょう。

(D)付加年金

毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せすることで、将来受給する年金額を増やせる制度が付加年金です。毎月400円と少額なだけに、上乗せされる年金額も200円程度とわずかなものですが、なるべく少ない負担で年金額を増やしたいという人には向いているかもしれません。

ただし、付加年金は国民年金基金と併用できない点には注意が必要です。しっかり将来に備えたい場合には、国民年金基金を優先したほうが良いでしょう。

「社会保険」を徹底解説!③【加入できない保険編】

画像: 画像:iStock.com/chachamal

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フリーランスが加入できる社会保険の概要や選択肢について理解したところで、ここではあらためて、会社員からフリーランスに移行することで加入できなくなる主な社会保険について、簡単にまとめておきましょう。

〈図〉フリーランスになると受けられなくなる保障

画像: 「社会保険」を徹底解説!③【加入できない保険編】

(A)被用者保険

会社員や公務員など特定の企業もしくは団体に所属している場合に加入できる、雇用主が保険者(保険を提供する側)となる公的医療保険です。保険料は、雇用主と被保険者(保険に加入する人)の双方で分担する形が基本となります。

被用者保険にあって国民健康保険にはない、主な保障は以下の通りです。

(1)傷病手当金
業務外の病気やケガのために4日以上(連続する3日間を含む)会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に受給できる手当金です。

(2)出産手当金
妊娠4カ月目以降の出産で会社を休んだ場合に受給できる手当金です。このほか雇用主が独自に提供する検診などのサービスも、国民健康保険に移行することで受けられなくなります。

(B)雇用保険

雇用保険法に基づく、失業・雇用継続等に関する保険制度です。保険者(保険を提供する側)は日本政府で、保険料は雇用者と雇用主が分担するほか、国費も投入されます。雇用保険に加入していないと受けられない主な保障は以下になります。

(1)失業給付金
基本的には、雇用保険に加入していた期間が、退職前の2年間で12カ月以上あり、働く意志や能力があるにもかかわらず、就職できない状態(失業)にあたる場合に、給付金を一定期間受け取ることができます。

(2)教育訓練給付金
厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を、自費で受講し修了した場合に、支払った費用の一部を受け取ることができます。

(3)育児休業給付
育休前の2年間で、1カ月に11日以上働いた月が12カ月以上あるなど、所定の条件を満たした場合に、育児による休業期間中の賃金の一部を受け取ることができる給付金です。

(4)介護休業給付
介護休業開始日前2年間に11日以上就業した月が12カ月以上あるなど所定の条件を満たし、職場復帰を前提として家族を介護するために介護休業を取得した場合に支給される給付金です。

(C)労災保険

仕事中・通勤中の事故などが原因で、労働者が病気やケガをした場合に補償してくれる保険です。保険料は全額会社の負担となります。労災保険に加入していないと受けられない主な補償は以下になります(会社が労災保険に加入していない場合でも、必要な手続きを取れば受けられる補償もあります)。

(1)療養補償給付
労働者が業務災害によってケガや病気を負い、療養する場合に受け取ることができる給付金です。認定された場合、診察・薬剤・治療材料費・処置・手術・その他の治療・移送などの費用が給付されます。

(2)休業補償給付金
「業務もしくは通勤によるケガや疾病による療養であること」、「労働ができない」、「賃金を受けていない」という3つの条件を満たしている場合の休業中に受け取ることができる給付金です。

以上が、フリーランスに移行すると受けられなくなる、主な補償(保障)です。不足する保障がわかれば、それを補う民間保険の選びかたもわかるのではないでしょうか。

フリーランスが検討すべき「民間保険」を徹底解説!

画像: 画像:iStock.com/Tero Vesalainen

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ここまでに解説したように、フリーランスになると受けられなくなる、または目減りする補償(保障)は意外とたくさんあります。そのうち、フリーランス向けの公的制度で補える部分もある程度はありますが、それでも不安を感じる人もいることでしょう。

そこで検討すべきが、社会保険の不足分を補う民間保険です。暮らしや将来に対する不安を軽減させるため、フリーランスが検討すべき民間保険は、主に次の3つになります。

(A)働けなくなったピンチの時のために…「就業不能保険」

画像: 画像:iStock.com/LightFieldStudios

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フリーランスにとって、いちばん大きな心配事となるのは、病気やケガなどで働けなくなり、収入が途絶えることでしょう。

会社員の場合、病気やケガなどで働けなくなった時には被用者保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付金を受けることができますが、フリーランスには、同様の社会保険がありません。

そこで検討すべきが、病気やケガで働けなくなった場合の治療費や、働けなくなった期間の収入を補ってくれる「就業不能保険」です。

就業不能保険に加入し毎月一定額の保険料を支払えば、指定の傷病や障害を得た際に一定期間保険金を受け取ることができます。

20~30代の場合、就業不能保険の保険料と補償の相場は次のようになります。

■就業不能保険の一例

保険料(月額)5,000円程度
タイプ掛け捨て型
保険期間65歳まで
補償内容給付金:10万円(月額)
支払対象期間180日
免責期間60日

毎月の保険料が比較的安い点は魅力的といえますが、商品によって保険金を受け取れる期間が異なったり、受給の条件が異なったりする場合があります。就業不能保険を選ぶ際には、条件をよく確認し自分に適した商品を選ぶようにしましょう。

(B)大病で家計がピンチの時のために…「がん保険」

画像: 画像:iStock.com/Patarapol Prasit

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フリーランスが加入できる国民健康保険も、被用者保険と同様に医療費が3割負担になるほか、高額療養費制度も用意されているので、通常の病気やケガに対する備えは、国民健康保険だけで十分という考えかたもあります。

しかし、がんのような大病に対する備えは、国民健康保険だけでは心配な面もあるでしょう。特にフリーランスの場合は、がんの治療で働けなくなった場合のことを考えておく必要があります。そこで検討すべきが、民間保険の「がん保険」です。20~30代の場合、保険料と補償の相場は次のようになります。

■がん保険の一例

保険料(月額)4,000円程度
タイプ掛け捨て型
支払い方式終身払い
保障内容・がん入院給付:10,000円(日額)
・診断一時金:100万円
※保険会社によっては、セカンドオピニオンサービスや24時間電話健康相談サービスあり

医療保険と同様に、入院給付金や通院給付金が受け取れるのはもちろん、がん保険の大きなメリットは、がんと診断された場合に診断一時金を受け取れることです。診断一時金は用途が限定されていない場合が多いため、生活費の補償に充てることもできます。ですから、がん保険を選ぶ際には、診断一時金が用意されている商品を選ぶと良いでしょう。

(C)仕事でトラブルになったピンチの時のために…「損害賠償保険」

画像: 画像:iStock.com/liza5450

画像:iStock.com/liza5450

仕事上のトラブルが発生した場合、会社員の場合は雇用主が責任を取ってくれるのが基本ですが、フリーランスの場合は、責任もすべて自分が負わなければなりません。

たとえば、偶発的な事故により納期が遅延したり、情報漏えいが起こってしまったりした場合の損害賠償は多額になることもありますが、それだけの貯蓄があるフリーランスは少ないことでしょう。

そこで検討したいのが、フリーランス向けの損害賠償保険です。現在のところ、フリーランスが加入できる損害賠償保険は、「フリーランス協会」に加入することで付帯する損害賠償保険のみとなっています。費用や補償は次のようになります。

■フリーランス協会の賠償責任保険

保険料(年会費)10,000円
タイプ掛け捨て型
保障内容(一連の損害賠償請求あたりの支払限度額)・業務遂行中の補償:最大1億円
・業務結果(PL責任)の補償:最大1億円
・受託財物の補償:最大1,000万円
・業務過誤の補償:最大1,000万円

フリーランス協会に加入すると、損害賠償保険のほか傷病手当金や労災保険に相当する「収入・ケガ・介護の保険」(任意加入)や、弁護士費用保険(任意加入)などを利用することもできるようになります。スタートして間もない制度ですが、フリーランスなら検討する価値は大いにあるでしょう。

フリーランスの保険料は経費になるって、ウソ?本当?

画像: 画像:iStock.com/Pekic

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会社員とフリーランスを比較した場合、大きく異なるのが確定申告に対する考え方です。

会社員の場合は、基本的に会社側で税金の計算を行ってくれますが、フリーランスの場合は確定申告をすることで、自分が支払う税金や国民健康保険の金額が決定されます。そこで重要視されるのが「経費」の計上です。

業務に関連するものであれば経費として認められ、売り上げから差し引くことができるのですが、一見業務に関係があるように思えても経費として認められないものがある点には注意が必要になります。

その代表例が、社会保険や民間保険の保険料や掛金です。これらは、経費としては認められません

ただしここまでに紹介したように、たとえば国民年金基金やiDeCo、小規模企業共済の保険料や掛金は、経費ではなく所得控除の対象として認められているほか、民間保険の保険料も、その一部が生命保険料控除の対象として認められています。

また、例外的なのは今回紹介した「フリーランス保険」です。これは保険商品ではなく、保険以外の様々な特典を含む年会費となるため、経費にすることが可能です。

このように、それぞれで扱いが異なる点に注意して、正しい確定申告を行うように心がけてください。

まとめ

自分のライフスタイルにあわせて働ける、能力に応じた収入が得られるなど、メリットも多いフリーランスの働きかたですが、その一方で、社会保険を含め様々な面で“自己責任”の範囲が増えることも、おわかりいただけたかと思います。つまり、もしもに対する備えも、会社員時代以上に手厚く行う必要があるわけです。

これからフリーランスへの移行を検討されているなら、今回ご紹介した備えについては、フリーランスに移行してすぐに行うべき、と思っていただいたほうが良いでしょう。任意継続保険制度のように、退職後すぐに手続きしなければならないものがあるほか、本格的にフリーランスの仕事を始めると、備えに対する時間を割くことが難しくなってしまうからです。

また、ご紹介したような制度や保険商品のほか、フリーランスを続けるためには、特に貯金が重要になるということも忘れてはなりません。一般的にいわれているように、生活費の6カ月から1年分の貯えを用意してからフリーランスへ移行したほうが、安心といえるでしょう。

メリット、デメリットを理解したうえで、やりがいのあるフリーランスの人生を選択してください。

この記事の監修者

画像3: フリーランスが知るべき保険の話。社会保険・民間保険、入るべきなのは?

頼藤太希

Money&You代表取締役/マネーコンサルタント

慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『投資信託勝ちたいならこの7本!』(河出書房新社)、『入門 仮想通貨のしくみ』(日本実業出版社)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。
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