「子どもがそろそろ独立して夫婦二人になるので、保険を見直したい。保険料も相場以内に抑えたい」
夫婦二人で保険に加入する時、また、見直しを行う時、気になるのが月々の保険料でしょう。万が一の時に受け取れる保険金は多いほど安心ですが、月々支払う保険料で家計が圧迫されてしまっては本末転倒と言えます。
そこで今回は、夫婦二人の保険料を決める時に参考にしたい平均額を、年代や年収のほか、共働き・片働きといった収入形態別に詳しくご紹介します。
また、保険を選ぶ時に平均額以外で着目すべきポイントも解説しますので、失敗しないようにチェックしましょう。
最後まで読んでいただければ、無理のない保険料で家計を圧迫せずに、納得のいく保障を受けられる保険の選び方がわかるはずです。
今すぐチェック! 夫婦二人の保険料の平均はいくら?
<家族構成別>
- 夫婦二人(世帯主40歳未満の場合):年間21.0万円
- 夫婦二人(世帯主40〜59歳の場合):年間37.4万円
- 夫婦二人・扶養子ども有(末子が乳児の場合):年間33.2万円
- 夫婦二人・扶養子ども有(末子が保育園・幼稚園児の場合):年間40.2万円
- 夫婦二人・扶養子ども有(末子が小中学生の場合):年間36.9万円
- 夫婦二人・扶養子ども有(末子が高校、短大、大学生の場合):36.3万円
- 夫婦二人・扶養子ども有(末子が就学終了している場合):42.1万
- 60歳以上の高齢夫婦(有職の場合):年間37.9万円
- 60歳以上の高齢夫婦(無職の場合):年間31.9万円
この記事の監修者
高山 一恵(たかやま かずえ)
株式会社Money&You 取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。DCプランナー1級。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。
※本記事における「生命保険」には「死亡保険(普通死亡保険)」だけでなく、「医療保険」や「医療特約」、「がん保険」や「がん特約」、「就業不能保障保険」や「就業不能保障特約」、「個人年金保険」などが含まれている点にご注意ください。
※記事内にて特に記載がないデータは全て、生命保険文化センターが生命保険・個人年金保険の加入者を対象に行った「令和3年度 生命保険に関する全国実態調査(全体版)」を参考に記載しております。
※同資料の情報は、かんぽ生命、JA(農協)の生命共済、県民共済・生協等の生命共済を含んでいます。また、保険料は個人年金保険の保険料を含んでいます。
※各項目の平均額については、100円単位を四捨五入して記載しています。
【家族構成別】夫婦二人の生命保険の平均保険料
夫婦二人のみの平均保険料は、全年代でみると年間34.7万円、月額に計算すると約2.9万円です。
また、家族構成別の平均額は以下のようになっています。
〈表〉世帯ごとの平均払込保険料(家族構成別)
家族構成 | 年額 | 月額 |
---|---|---|
夫婦二人(世帯主40歳未満) | 21.0万円 | 約1.8万円 |
夫婦二人(世帯主40〜59歳) | 37.4万円 | 約3.1万円 |
夫婦二人・扶養子ども有(末子が乳児) | 33.2万円 | 約2.8万円 |
夫婦二人・扶養子ども有(末子が保育園・幼稚園児) | 40.2万円 | 約3.4万円 |
夫婦二人・扶養子ども有(末子が小中学生) | 36.9万円 | 約3.1万円 |
夫婦二人・扶養子ども有(末子が高校、短大、大学生) | 36.3万円 | 約3.0万円 |
夫婦二人・扶養子ども有(末子が就学終了) | 42.1万円 | 約3.5万円 |
60歳以上の高齢夫婦(有職) | 37.9万円 | 約3.2万円 |
60歳以上の高齢夫婦(無職) | 31.9万円 | 約2.7万円 |
一口に「夫婦二人」と言っても、生涯夫婦二人きりなのか、今後子どもを育てる予定があるのか、子どもが独立した後の状態なのかにより保険料は変わります。
特に今後出産予定の夫婦は、子どもの成長により保険料がいくら増えるのか把握しておくとよいでしょう。
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【年代別】夫婦二人の生命保険の平均保険料
20代や30代など細かな年代別の公表データはありませんが、参考までに30代以下、40代〜50代、60代以上の夫婦の平均保険料は以下のようになっています。
〈表〉夫婦二人世帯の世帯ごとの平均払込保険料(世帯主年齢別)
世帯主年齢 | 年額 | 月額 |
---|---|---|
30代以下(10代、20代含む) | 21.0万円 | 約1.8万円 |
40代〜50代 | 37.4万円 | 約3.1万円 |
60代以上 | 35.1万円 | 約2.9万円 |
世帯主が30代以下の場合、月額約1.8万円。世帯主が40代〜50代の場合、月額約3.1万円。世帯主が60代以上の場合、月額約2.9万円です。
40代や50代は生活習慣病や三大疾病、女性であれば乳がんや子宮がんといった大きな病気のリスクが高まる年代です2)。多少保険料が高くても、保障内容を手厚くしたいと考える人もいるでしょう。
また、保険料の平均額は年収に合わせて高くなるのが一般的です。特に会社員の場合は、30代から40代、50代へと年齢が上昇して役職に就くことで年収が増加し、保険料も高くなる傾向があります。
ただし60代以上になると、夫婦の保険料は50代の時より月々約2,000円低くなります。これは、60代以上の夫婦が「子どもが自立したタイミングで保険の見直しを行い、預貯金とのバランスを考えて保険料を抑えたい」と考える傾向があることが要因に挙げられます。
【共働きと片働きの違い】夫婦の平均保険料
夫婦が共働きか片働きかといった収入形態によっても、保険料の平均額は異なります。
なお、この段落では世帯主ではない夫または妻を「配偶者」と表現しています。
〈図〉世帯ごとの平均年間払込保険料(収入形態別)
〈表〉世帯ごとの平均払込保険料(収入形態別)
収入形態 | 年額 | 月額 |
---|---|---|
片働き | 34.9万円 | 約2.9万円 |
共働き(配偶者はパート・派遣) | 36.6万円 | 約3.1万円 |
共働き(配偶者はフルタイム) | 50.1万円 | 約4.2万円 |
配偶者がフルタイムで働く共働き夫婦の平均保険料は、片働き夫婦より月々1.3万円ほど高くなっています。
また下図を参照すると、年齢が上がるにつれて片働き夫婦と共働き夫婦の平均保険料の差は大きくなることがわかるでしょう。
〈図〉世帯ごとの平均年間払込保険料(世帯主年齢・収入形態別)
60代に着目すると、配偶者がフルタイムで働く共働き夫婦の平均保険料は、片働き夫婦より年間で22万円ほど高いのがわかります。
収入形態別の調査では、保険料以外にも「保障内容の充足感」や「今後加入したい保険の特徴」に関するデータもあります。
〈図〉保障内容の充足感(収入形態別)
保険料がほかの収入形態よりも高い、「配偶者がフルタイムで働く共働き夫婦」ですが、充足感の調査では「十分」「ほぼ十分」と回答した割合の合計が、片働き夫婦とあまり変わりません。
一方で、配偶者がパート・派遣の共働き夫婦は、ほかと比べるとやや充足感が低くなっています。
また、今後加入したい保険に関する調査では、世帯主・配偶者別の意向が読み取れます。
〈図〉今後加入したい保険の特徴(収入形態別・世帯主回答)
〈図〉今後加入したい保険の特徴(収入形態別・配偶者回答)
加入したいと思う保険については、共働き・片働きいずれの夫婦も「万一の時の保障に重点をおいたもの」や「病気等の治療や入院に備えるもの」という回答が多いことがわかります。
特徴的なのは、世帯主と配偶者で回答に差がある点です。たとえば、世帯主回答では「万一の時の保障に重点をおいたもの」が一番多いのに対し、配偶者回答では「病気等の治療や入院に備えるもの」が一番多くなっています。
夫婦二人の平均保険金額(保障額)
保険に加入する時・見直す時は保険金額(保障額)の平均も押さえておきましょう。ここでは、普通死亡保険金額について見ていきます。
59歳以下の夫婦二人のみの家庭は、世帯主の普通死亡保険金額の平均が約1,500万~1,600万円となっています。これと比較して、 大学生以下の子どもがいる家庭の平均は約2,000万〜2,200万円となっており、保険料と同様、夫婦二人のみの家庭のほうが低いことがわかります。一番差の大きい末子が乳児である世帯との差は約600万~700万円にも上ります。
〈図〉普通死亡保険金額の平均(家族構成別)
一方、末子が就学を終了した家庭の保険金額は1,170万円となっており、59歳以下の夫婦のみの家庭より約400万~500万円低いことがわかります。
子どもが独立したあとの家庭は、保険の見直しで保険金額ならびに保険料を抑える傾向があると言えるでしょう。
夫婦二人のライフプランと生命保険の選び方
夫婦二人で適切な保険料を設定し、過不足のない保障を受けるには、平均額以外にもいくつかのポイントを意識する必要があります。
無理のない保険料で、ライフプランにマッチする保険を選ぶためのポイントを解説します。
ポイント①無理なく支払える保険料の目安を算出する
自分たちにマッチする保険を選ぶために、まずは無理なく支払える保険料の目安を算出しましょう。
年間の保険料の目安は、手取り年収の5~7%と言われています。
〈表〉年収と保険料の目安(5〜7%)一覧表
年収 | 手取り金額 | 保険料の目安 |
---|---|---|
200万円 | 160万円 | 8.0〜11.2万円 |
300万円 | 235万円 | 11.8〜16.5万円 |
400万円 | 312万円 | 15.6〜21.8万円 |
500万円 | 387万円 | 19.4〜27.1万円 |
600万円 | 458万円 | 22.9〜32.1万円 |
700万円 | 524万円 | 26.2〜36.1万円 |
800万円 | 590万円 | 29.5〜41.3万円 |
900万円 | 657万円 | 32.9〜46.0万円 |
1,000万円 | 723万円 | 36.2〜50.6万円 |
表を参考に、自分たちならいくら支払えるか、家計を圧迫しない保険料の目安を把握しましょう。
ただし、保険料を設定する時は、自動車ローンや住宅ローンなど、保険以外の継続的にかかる支出についても考慮することが大切です。
ポイント②必要な保障を考える
適切な保険料を設定し、納得のいく保障を受けるには、夫婦二人で話し合い加入目的を明確にすることが大切です。
「共働きなので病気やケガで働けなくなった時に収入が保障される保険がいい」
「片働きなので、万が一の時パートナーの生活費をカバーできる保険がいい」
など、まずはざっくりとでも目的を話し合ってみましょう。
共働き夫婦の保険としておすすめなのは、病気やケガで働けなくなった場合の保障がある「就業不能保険」です。
子どもがおらず、夫婦いずれにも自活できるだけの収入がある場合、どちらか一方が死亡した際の経済的リスクはさほど大きくありません。
しかし、配偶者が病気やケガで働けなくなった、あるいは長期休職せざるを得なくなった場合は、世帯収入が減少するだけでなく医療費や介護費といった出費がかさむことが考えられるためです。
片働き夫婦におすすめなのは、「死亡保険」や「収入保障保険」です。収入の柱が一本のため、もしもの時のリスクが大きい片働き夫婦は、世帯主の死亡時にも対応できる保険が必要になります。
なお、死亡保険とは「被保険者が死亡した時に保険金が支払われる」保険であり、収入保障保険とは「被保険者が死亡した時などに保険期間満了まで年金形式で毎月保険金が支払われる」保険です。
ポイント③ライフイベントに合わせて保障内容・保険金額を見直す
今後出産の予定がある夫婦や、子どもの独立が近い夫婦は、保険金額・保険期間を見直しましょう。
子どもが誕生したら夫婦二人の時とは異なり、子どもの生活費・教育費も準備する必要があります。また、子どもが経済的に自立して夫婦二人になったら、過度の保障内容になっていないか、保険金額を見直す必要があるでしょう。
ライフプランにマッチする保険を選ぶために、夫婦二人で今後のライフイベントについてよく話し合うことが大切です。
ポイント④保険のタイプを考える
夫婦二人で満足のいく保障を受けるには、ライフプランに合った保険のタイプを選ぶことも重要です。
保険には大きく分けて「貯蓄型」と「掛け捨て型」の2タイプがあります。
掛け捨て型保険は貯蓄型保険と比べて、保険料が安いのが特徴です。ただし貯蓄型保険と異なり、満期保険金や解約返戻金はありません。
支払った保険料は返ってきませんが、保険料を抑えて手厚い保障を受けたい夫婦には掛け捨て型保険が向いています。
また、一般的に掛け捨て型保険は、保障が一定期間で終了するため、子どもが生まれるタイミングで保険の見直しを行いたいと考える夫婦にもおすすめです。
一方、貯蓄型保険は、満期保険金や解約返戻金を受け取れる保険で、資産形成の手段として活用することも可能です。
プランによっては保険料の総額を上回る金額の満期保険金や解約返戻金を受け取ることができるので、老後生活に備えたい夫婦に向いています。
夫婦二人、安心して快適に暮らすため保険料を見直そう!
保険に加入する時や見直す時、保険料が平均額に近いからといって、自分たちにとって最適であるとは限りません。
保険料の平均額はあくまでも目安として参考にしつつ、夫婦二人で話し合いライフプランにマッチする保険を選びましょう。
ただし、年代や収入形態が同じ夫婦の平均額と大きく乖離している場合は、自分たちに合った保険に加入していない可能性があります。
現在支払っている保険料が平均額より高すぎる夫婦は、改めて必要な保障内容、保険金額を確認してみましょう。併せて、無理なく支払える保険料がいくらなのか計算してみることをおすすめします。