これから「お金」がどれだけ必要か、どのように準備するべきなのか、それは年齢や家族構成、そしてライフプランの考え方によって、ひとりひとり違いがあるものです。

『お金のホント相談室』では、“生涯にわたる良きパートナー”として、現在の家計の状況やライフプランに応じて最適な提案を行っている東京海上日動あんしん生命保険のライフパートナーから、実際にあった提案事例をご紹介していきます。

今回の事例は、2人目のお子さんが生まれて現在育休中だという2児のママ、Nさんからのご相談です。復職の予定もあるほか、共働きなので収入は比較的安定しています。

ただ、将来への備えに漠然とした不安を抱いており、資産を増やすための投資に興味を持っているようです。実際にNさんにアドバイスしたライフパートナーの寺田 幸司(てらだ こうじ)が解説します。

今回、相談に答えたライフパートナー

寺田 幸司(てらだ こうじ)

東京海上日動あんしん生命保険

東北支社 仙台第4営業所、資格:CFP®・公的保険アドバイザー・2021年度MDRT成績資格会員

ライフパートナーとして特に大切にしているのは、お客さまのニーズを、わかりやすい形で顕在化させることです。そのうえで、お客さまと一緒にライフプランを検討し、それを実現させるために家計の見直しや、最適な制度・商品をご提案するように心がけています。

Nさんの悩み

Q.つい先日、2人目を出産したばかりです。将来の備えに不安を抱えており、投資に興味を持っています。初心者でも簡単に始められる投資はあるのでしょうか?

画像: 画像:iStock.com/yamasan

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●プロフィール

基本情報31歳・女性・会社員(管理栄養士)
家族構成夫・子ども2人(幼稚園生・0歳)
世帯年収(手取り)800万円 ※Nさんが育休に入る前
住居一戸建て(ローン93,000円/月)
預貯金約800万円
近況東北地方に在住。結婚後は共働きだったが、現在は2人目の子どもを出産して育休中。育児休業給付金を受給しており、近日中に復職を予定している。夫の職業は運輸運送業。子どもの教育資金に備えるため、保険の見直しとともに資産運用も検討している。

●家計の内訳

画像: Q.つい先日、2人目を出産したばかりです。将来の備えに不安を抱えており、投資に興味を持っています。初心者でも簡単に始められる投資はあるのでしょうか?
項目収入支出
給与(夫:手取り)260,000円-
給与(妻:手取り)135,000円(※)-
住居費-103,000円
生活費(食費等)-90,000円
通信費-30,000円
教育費-47,000円
自動車費-100,000円
生命保険料-20,000円
そのほか-46,000円
小計395,000円436,000円
月々の収支-41,000円
※育児休業給付金11万円+児童手当2万5,000円
現在の貯金残高:800万円

●備考

  • 毎月4万円程度の家計赤字となるが、この分をボーナスで穴埋めしているため、年間収支はプラス・マイナスゼロの状態。
  • 妻の復職後の収入は月額22万円(手取り)の予定。
  • 夫は仕事が忙しく、今回の相談には参加していない。今後、あらためて保険見直しを検討する予定。

Nさんへのアドバイス&解決策は?

お友達のすすめもあり、投資に興味を持ち始めたというNさん。しかし投資に対する知識がないため、どのように始めればいいのかわからない、というのが今回のご相談でした。

実際に私がNさんに行ったアドバイスや提案のポイントは4点です。それぞれを解説していきましょう。

【ポイント1】投資の目的を「見える化」する

画像: 画像:iStock.com/SB

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投資を始める場合、最初に考えるべきなのは「何のために投資をするのか」という目的を明確にすることです。なぜなら、目的によっては投資以外の選択肢も考えられるからです。

そこで、まずはヒアリングを通じて、Nさんが投資を始めたいと考えた理由を“見える化”することから始めました。

お友達が始めているから自分も始めてみたい、というのがNさんの投資に興味を持った直接の動機でした。ただ、具体的にお話を伺ってみると、投資によって資産を増やしたいと思うようになった理由は、2人のお子さん、特に5歳のご長男を大学に進学させた場合の金銭的な不安が大きいことがわかりました。

短大卒のNさんは、4年制大学に通うために必要な資金がどれくらいになるのか、イメージが湧いていませんでした。そこで私は、東京の私立大学に4年間通わせた場合に必要な教育資金の目安をお伝えしました。

私大文系に4年間通った場合、約400万円の学費がかかります(こちらの記事を参照)。これに加えて、仕送りが月5〜15万円程度だと考えると、かなりの金額になることがイメージできると思います(男子の場合は月5〜10万円、女子の場合は月15万円が目安)。ただ、大学入学までに全てを貯める必要はなく、1〜2年分は事前に貯めておいて、残りはその時の固定費にする、ということもできます。

とはいえ、Nさんの場合は、現在5歳の長男が大学に通うために必要な教育資金への備えですから、ザックリと500万円程度を18歳になるまでの13年間に用意する必要があると言えるでしょう。

さらに、Nさんのご家庭のライフプランを確認すると、長男が18歳になる頃に、自動車の買い替え時期も重なるということが判明しました。つまり、2人目のお子さんの教育資金を除いても、「13年間で500万円+自動車の購入に必要な資金を準備する」という目的が明確になったわけです。

幸い、Nさんの家庭は現在800万円程度の貯金があるほか、共働きで家庭全体の収入も少なくないので、子育てに充てる資金の土台はすでに整っていると考えられます。

しかし、貯金の大半を教育資金に充ててしまうと、ご夫婦の老後に必要な資金に影響が出てしまいます。その点を考え、やはり今のうちに貯金以外で財産を増やす手段となる投資を始めてみては、という提案をさせていただきました。

【ポイント2】長期積立投資のメリットをお伝えする

画像: 画像:iStock.com/erdikocak

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元々、投資に興味を持っていることから相談に来られたNさんでしたから、投資を始めるという提案に対して、とても前向きでした。しかしNさんの場合、これまで投資について勉強をしたことがなかったため、どのような金融商品を選べばいいのかがわからない、という悩みをお持ちでした。

Nさんのように、投資に興味があるが知識はないという方に対し私がおすすめしているのは、長期間にわたり一定金額を積み立てる形式で投資を行う「長期積立投資」です。

Nさんを含め、投資の初心者が特に不安に思うのは、「損をするのではないか?」ということでしょう。確かに投資にリスクはつきものですが、そのリスクをなるべく少なくできるのが、長期積立投資なのです。

株式のような金融商品は短期的にリスクが大きく変動することもありますが、長期間にわたり保有することで、リスクの振れ幅は小さくなり、安定した収益を得ることが期待できます。また、長期保有することで得られる複利効果も見逃せません。

その際に有効なのが、一定金額を積み立てる「積立投資」です。積立投資なら少額からでも始められるほか、「ドル・コスト平均法」と呼ばれる投資手法が活かせるからです。

「ドル・コスト平均法」という専門用語が出たことでNさんは戸惑いを感じられたようですが、簡単に言えば、定額を定期的に投資するだけのことです。そこで私は、Nさんも参加できる簡単なゲームを通して「ドル・コスト平均法」のメリットについて解説させていただきました。

その結果、少額から始められるだけでなく、専門知識を持たずとも、メンテナンスをほぼせずに実践することができるという、長期積立投資のメリットをご理解いただくことができました。

【合わせて読みたい記事】「ドル・コスト平均法」について詳しくはコチラ

【ポイント3】おすすめの投資の選択肢をご提案する

画像: 画像:iStock.com/ipopba

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先ほどもご紹介したように、Nさんが投資をしたいと考える目的は、主に教育資金の準備でした。また、そもそも投資に興味をお持ちだったことから、初心者でも気軽に始められる金融商品を見つけたいというニーズもありました。

そこで私がご提案した商品は「つみたてNISA」「変額保険」です。

つみたてNISAの特徴

「つみたてNISA」とは、積立投資で利用できる少額投資非課税制度(NISA)のことです。年間40万円を上限として投資信託やETF(上場投資信託)を購入でき、その運用益が非課税になるという特徴があります。

Nさんのような投資の初心者にとって、少額で始められるほか、投資の知識がなくても始められる、運用益が非課税になるなど、つみたてNISAには様々なメリットがあります。似たような商品に「iDeCo」がありますが、こちらは60歳まで下ろせない年金です。そのため、老後資金の備えとしての意味合いが強いこと、またNさんは会社の企業型DCに加入していることから、今回の選択肢からは外すことにしました。

【合わせて読みたい記事】「つみたてNISA」について、詳しくはコチラ

変額保険の特徴

一方の「変額保険」とは、資産運用と保障の機能がついた保険商品のことです。お支払いいただいた保険料の一部を保険会社が運用し、その運用成績に応じて、満期の保険金額が増減するしくみになっています(なお、保険金額は運用成績によっては、払い込んだ保険料を下回る可能性もあります)。また、死亡保障もついているため、もしもの事態になっても死亡保険金を生活費全般や教育資金に充てることができるというメリットがあります。

教育資金の準備となる保険商品として「学資保険」という選択肢もありましたが、今回のNさんの場合、私はおすすめしませんでした。

なぜなら学資保険は、通常18歳までの期間の契約が前提となり、途中で解約してしまうと損をしてしまうことがあるからです。

Nさんの場合は大学進学の資金ということでしたが、実際のところ、教育費は大学進学前にかさむ場合もあります。たとえば、中学・高校でスポーツに打ち込みたいとなれば、それなりの資金が必要になるわけです。

その点を考慮すると、学資保険よりも期間や用途にある程度融通が利く変額保険のほうが、Nさんのニーズに適しているのでは、と私は考えました。

ちなみに私の経験上、変額保険は子育て世代にお選びいただくケースが多いです。特に、子どもの教育資金を検討する場合に、保障と運用を兼ね備えた商品となるからです。

【ポイント4】Nさんに適した投資プランをご提案する

画像: 画像:iStock.com/takasuu

画像:iStock.com/takasuu

「つみたてNISA」と「変額保険」という2つの選択肢のうち、Nさんのご家庭の家計収支を確認した結果、私が第一におすすめしたのは変額保険でした。

お子さんがいるNさんのご家庭は、児童手当を受給しているのですが、お話を伺ったところ、受給した児童手当(現在5歳になる長男の場合は月額1万円)を、そのまますべて貯金に回していることが判明しました。

そこで私は、これまで貯金に回していた1万円を、「変額保険」に割り当てるようにご提案しました。この変額保険では、ある程度のリターンを期待しながら、Nさんに万が一の事態が起こっても、子どもの教育資金を賄えるようにしたわけです。

〈表〉Nさんにおすすめした保険商品

商品保険料保障内容
変額保険約11,000円/月・死亡保障:400万円
・満期保険金額:運用実績により変動

一方で、Nさんの最初のご相談は、初心者でも始められる投資商品を教えてほしいということでした。そこで、積極的に貯蓄を増やす投資の第一歩として、「つみたてNISA」を始めてみることもおすすめしました。

現在育休中で家計の収支はマイナスという状態のNさんでしたが、「つみたてNISA」の購入額は、いったん1万円と設定させていただきました。Nさんは近日中に復職する予定があり、家庭全体の収入が増えることが予想されるからです。

ちなみに復職すれば収入も増えるから、もっと金額を増やすことができるのでは? という考え方もありますが、今回はあえて1万円としました。

その理由は、子育てをしながらの共働きだと、復職すると支出が増えるケースも多いからです。また、今回のNさんの目的は、まず投資を始めてみたいということでしたから、無理せず実践できる金額から始めるのがいいと考えたわけです。

Nさんとご相談した結果、「つみたてNISA」は投資額を変更することができるので、今後については復職後の家計をチェックし、増額するかどうかの相談を継続的に行うということになりました。

なお、今回は仕事の都合で旦那様は相談に参加できなかったのですが、次の機会までに、あらためて家庭での投資について考えてみたいとのことでした。次回以降は、ご夫婦で面談し、夫婦全体の収入を考え、投資額を見直す予定となっています。

初心者こそ、まずは第一歩を踏み出すのが投資を知る近道です

画像: 画像:iStock.com/kohei_hara

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ライフパートナーとして、私がいちばん大切にしているのは、最初にお客さまの目的や不安を「見える化」するお手伝いをすることです。不安を「見える化」することによって、最適なご提案ができるだけでなく、ご自身も気づいていなかった課題が見つかることもあるからです。

Nさんの場合には、最初は投資をしてみたい、というご相談でした。しかし、その目的を「見える化」してみると、教育資金に不安を感じていることが判明しました。またNさんのように、投資に興味を持っているけれど知識がないので、どこから始めればいいかわからない、という方には、「まず一歩踏み出してみましょう」というアドバイスをしています。

特に長期積立投資なら、個別株やFXなどよりも難しい知識が不要で少額から始められます。最初の体験に適しているばかりでなく、続けていくうちに自然と投資の感覚も身につきます。もちろん、定期的に面談する機会を設けて、投資額の増減や商品の変更などもアドバイスさせていただいております。

なお、今回はNさんのライフプランにフィットしていることから変額保険をおすすめしましたが、毎回必ず保険商品をすすめているわけではありません。結果的に、保険商品以上の選択肢があれば、それをすすめるのがベストだと私は考えています。

今回のNさんのケースのように、「投資を始めてみたい」といった漠然とした相談でも大歓迎です。ライフパートナーとして、丁寧にお客さまのご意向をくみ取り、ベストな結果を出せるように努めています。

募集資料番号:21-KC01ーK005

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