「生活習慣病の保険に加入するメリットは? 」
このように考えている人も多いのではないでしょうか。結論からいうと、生活習慣病に備えて保険に加入することは、将来の自分のためになる可能性が大いにあります。
「健康に気をつけているから問題ないだろう」と思っている人も、生活習慣病になる可能性はあります。病気の種類によっては一度罹患してしまうと長期的な治療が必要なため、大きな医療費がかかるでしょう。
しかし、生活習慣病に対応した保険に加入していれば、万が一の際の金銭的な不安を和らげることができます。
この記事では、産業医の井上智介さん監修のもと、生活習慣病保険で備えるべき理由について解説します。保険加入のメリット・デメリットをしっかりと把握し、将来への不安を少しでも減らしましょう。
生活習慣病とは
生活習慣病とは、食事・運動・睡眠・喫煙・飲酒などの生活習慣によって発症・進行する病気の総称です。代表的なものには、以下の7つがあります。
- 糖尿病
- がん
- 高血圧症
- 心筋梗塞、狭心症などの心疾患
- 脳梗塞、脳出血などの脳血管疾患(脳卒中)
- 肝疾患
- 腎疾患
上記の7つは七大生活習慣病(※)と呼ばれ、中でもがんと心疾患、脳血管疾患は日本人の死因の約3分の2を占めています1)。そのため、この3つをまとめて三大疾病と分けて呼ぶ場合もあります。
生活習慣病は無症状で発症・進行しているケースがあり、気がついたら様々な疾病を併発していることも多くあります。
代表的なものが、脳梗塞や脳出血の原因となる動脈硬化です。糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病が動脈硬化を進行させ、命に関わる疾患を引き起こしてしまう危険性があります。後遺症として麻痺が残り、その後の生活に支障が出てしまう可能性もあるでしょう。
以前、生活習慣病は「成人病」と呼ばれていました。しかし、昨今は中学生や高校生といった若者が発症する事例も増えています。糖尿病を例に挙げると、20歳〜29歳の若い世代では約4.5万人が罹患しているのです2)。そのため、若いからといって油断できるものではありません。
なお「七大生活習慣病」「三大疾病」といった分け方は、保険商品でもよく使用される分類方法です。覚えておくと、保険を検討する際に役立つでしょう。
生活習慣病それぞれの症状については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
※「七大生活習慣病」は医学的な用語ではありません。この記事では「がん」「心疾患」「脳血管疾患」「糖尿病」「高血圧症」「肝疾患」「腎疾患」をまとめて「七大生活習慣病」とします。
生活習慣病に備える保険が必要な理由
生活習慣病に備えた保険が必要な理由として、以下の3点が挙げられます。
- 生活習慣病の罹患率が高いため
- 療養・治療が長期間にわたる可能性が高いため
- 死因の上位が生活習慣病であるため
多くの人は「生活に気をつけていれば問題ないだろう」と考えているでしょう。しかし、入院患者の3人に1人が七大生活習慣病を発症しているのが現状です2)。
特に脳血管疾患は入院日数が77. 4日と長期化する傾向にあります3)。ほかにも、がんで18日前後、糖尿病では30日前後と、生活習慣病の入院期間は比較的長く、入院の長期化は治療費の増加につながります。
生命保険文化センターの「2021年度生命保険に関する全国実態調査」4)では、入院費の平均が公表されています。世帯主がケガや病気で2~3カ月入院する場合の入院費は、平均して月額24万2,000円です。
さらに、生活習慣病は入院加療が終了しても継続的な内服や通院が必要になる場合が多いです。がんや心疾患は投薬治療によって、医療費が増加する傾向にあります。このような理由から、入院費や治療費の備えとして保険加入が必要なのです。
また、前述したように日本人の死因の約3分の2以上は、がんと心疾患、脳血管疾患が占めています。どんなに気をつけていても、誰にでも起こり得る病気です。だからこそ、予防をするだけでなく、万が一の事態に備えて保険に加入する必要があるでしょう。
生活習慣病保険の内容
生活習慣病に対応した保険商品は、以下の形態を取っている場合が多いです。
- 生活習慣病に特化した保険商品
- 医療保険の特約として生活習慣病が保障されている保険商品
生活習慣病向けの保険の特徴は、一般的な医療保険ではカバーしきれない領域を保障対象としている点です。特に三大疾病への保障は手厚くなっています。保障範囲は七大生活習慣病を対象としているものがほとんどですが、疾病を限定しているものもあります。
掛金は1,000円〜1万円ほどが多く、年齢や保障内容、終身か定期かなど内容は幅広いです。また、生活習慣病保険は不慮の事故による入院など、生活習慣病以外の疾病にも対応している場合があります。
生活習慣病保険に加入するメリット・デメリット
生活習慣病保険に限らず、保険商品は加入前に特徴を把握しておくことが大切です。以下では、生活習慣病保険に加入する際のメリット・デメリットを解説します。自分で情報を取得し、適切な内容の保険に加入しましょう。
生活習慣病保険に加入するメリット
生活習慣病保険に加入するメリットは、以下の2つです。
- 生活習慣病に罹患した際のリスクに備えられる
- 長期間の治療にも安心して取り組める
生活習慣病保険に加入していれば、万が一生活習慣病に罹患してしまった際のセーフティーネットとして活用できます。生活習慣病に罹患した際のリスクは病気の種類によって未知数です。軽症で済めばよいものの、発見した際には入院・手術を余儀なくされるケースも少なくありません。
生活習慣のみならず、遺伝的な要素でも発症する恐れがあるため、いざという時に備えて保険に加入するのがおすすめです。
生活習慣病保険は通常の医療保険ではカバーできない部分も保障してくれます。特に長期入院に対応していることはうれしいポイントです。
保険商品を検討している人の中には「高額療養費制度があるから問題ない」と考える人もいるでしょう。しかし、個室に入院する際は差額ベッド代がかかり、これは全額自己負担です。差額ベッド代の費用は一日当たり約6,000円のため、入院が長期化するほど無視できません5)。
入院中の治療費や家族の生活費など、金銭面での不安を減らし、治療に専念できる環境を整えるためにも保険は役立ちます。
参考資料
生活習慣病保険に加入するデメリット
生活習慣病保険は、保険金の受け取り条件が細かく設定されている場合が多いです。そのため、保険金が下りる基準をしっかり把握しておかなければ、生活習慣病に罹患した際に保険金を受け取れない可能性があります。
生活習慣病保険の保険金を受け取る条件としてよくある内容は、以下のとおりです。
- 所定の生活習慣病に罹患し、かつ特定の手術を受けた場合
- 診断から◯日以上の労働制限が必要だと医師によって診断された場合
- 診察から◯日以上後遺症が続いたと医師によって判断された場合
ほかにも「通院は対象外・軽症は保障の対象とならない」といった条件が設けられている保険もあります。保険を最大限に利用するためには、サービスの内容をしっかりと調べることが大切です。
確認を怠れば「もらえると思っていた保険金が受け取れない」といった事態になりかねません。
たとえば、東京海上日動あんしん生命では、生活習慣病や働けない時の保障に重点を置いた「メディカルKit NEO」や、条件を満たせば病歴がある人でも加入できる「メディカルKitエール」など、もしもの時に備えられる医療保険が豊富です。
三大疾病の支払日数無制限保障など、保障内容も充実しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
生活習慣病の予防方法
もしもの時に備えて保険に加入することも必要ですが、まずは生活習慣病を予防することが重要です。そのためには、日々の習慣を見直し、健康を意識してみましょう。具体的な予防方法は以下のとおりです。
- バランスのよい食事を意識する
- 適度な運動を心がける
- 規則正しい睡眠リズムを整え、睡眠時間を確保する
- 喫煙を控える、または禁煙する
- 飲酒は適度な量にする
上記は複合的に健康へ影響してきます。どれか1つだけでも予防につながりますが、全ての項目に意識を向けた生活が理想です。
なお、生活習慣病の予防方法については以下の記事で詳しく解説しています。気になる人はぜひ併せてご確認ください。
もしもの時のために保険でも生活習慣病に備えよう
生活習慣病は、誰しもが罹患する可能性のある身近な疾病です。特に三大疾病は日本人の死因の約3分の2以上を占めており、七大生活習慣病は入院患者の3人に1人は罹患しています。
生活習慣病は症状なく進行する場合が多く、気がついたら重症化していた事態も起こり得る疾病です。ほかの疾病に比べると比較的入院期間が長く、退院後の治療が長引く傾向があります。
発症後の生活や仕事に支障が出ないとも言い切れない点が生活習慣病の怖い部分です。もしもの時に備えて、保険を検討する価値はあります。金銭面の不安をなくせるように、生活習慣病保険の加入を考えてみてはいかがでしょうか。