少子高齢化により将来の公的年金制度に不安を感じている人が増える中、物価上昇や「貯蓄から投資へ」という流れを背景に、自分自身で資産を育てる必要性が高まっています。そこで注目されているのが、加入者自らが年金の資産運用を行う確定拠出年金です。

中でも、会社員の資産形成に役立つ制度が「企業型確定拠出年金(DC)」です。しかし一部ではデメリットしかないという声もあり、気になっている人もいることでしょう。この記事では、ファイナンシャルプランナーの黒川一美さん監修のもと、企業型確定拠出年金がデメリットしかないといわれる理由を解説。また、ほかの年金制度との違いや、デメリットを回避する方法についてもご紹介します。

※この記事は、2024年1月22日に公開した内容を最新情報に更新しています。

この記事の監修者

黒川一美(くろかわ かずみ)

FPサテライト株式会社所属、ファイナンシャルプランナー。大学院修了後、IT企業や通信事業者でセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、お金を稼ぐ側から家計を守る側に立場が変わり、お金の守り方を知らなかったことを痛感。自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得する。資格取得後は、FPの勉強を通じて得られた知識をもとに、よりよい家計管理を求め試行錯誤の日々を過ごす。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。

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企業型確定拠出年金(DC)とは?

企業型確定拠出年金は、勤務先が拠出した掛金を運用して加入者自らが年金の資産運用を行う制度のことです1)。公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)に加えて、企業が制度を導入している場合に利用できる企業年金の一種です。

〈図〉年金制度のしくみ

画像: 企業型確定拠出年金(DC)とは?

年金制度はその構成から、3階建てと呼ばれています。1階部分に基礎年金(国民年金)、2階部分に厚生年金があり、企業型確定拠出年金はその上の3階部分にあたります。

企業型確定拠出年金の加入対象は、企業型確定拠出年金を導入している企業の従業員です。勤務先が拠出した掛金を従業員自らが運用します。運用先は定期預金や保険、投資商品から選択します。

掛金は企業の規定で決まりますが、受け取る年金は自身の運用成績に左右されます。受け取る時は、まとめて受け取る方法(一時金)と、一定期間で取り崩す方法(年金形式)があります。

【掛金】基本的に勤務先が掛金を拠出、希望すれば従業員も上乗せ可能

企業型確定拠出年金では、基本的に勤務先が掛金を拠出します。拠出額の上限は月額5万5,000円です2)。なお、確定給付企業年金(DB)など、ほかの企業年金を併用する場合は、両制度の掛金を合算して月額5万5,000円が上限となります(※)

各従業員に拠出される掛金の計算方法は、勤務先の年金規約によって異なります。たとえば、全従業員が同額の「定額」方式や「給与比例(定率)」による方式のほか、職種や等級など「企業への貢献度」に連動して決まる場合もあります。

さらに、勤務先が「マッチング拠出制度」を採用している場合は、加入者である従業員も一部掛金を上乗せすることが可能です3)。マッチング拠出とは、企業が拠出する掛金に加えて、加入者が追加で掛金を拠出できるしくみのことです。マッチング拠出を利用して拠出できる金額は、企業の掛金と合算して月額5万5,000円まで、かつ企業の掛金額が上限となっています。

〈図〉マッチング拠出のしくみ

画像: 【掛金】基本的に勤務先が掛金を拠出、希望すれば従業員も上乗せ可能

なお、マッチング拠出を勤務先が採用していても、従業員の制度利用は任意です。勤務先の掛金に上乗せして従業員が掛金を負担する場合、個人型確定拠出年金に加入するかマッチング拠出を利用するか、選択することができます。

老後の年金や貯金、生活費などについて詳しく知りたい人は以下の記事を確認してみてください。

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※:2024年12月1日の拠出限度額の見直しにより、確定給付企業年金(DB)等のほかの制度を併用している場合は、「月額5万5,000円-DB等の他制度掛金相当額」となりました。

【運用】掛金の運用は従業員が行う

加入者である従業員は、企業が拠出した掛金をもとに運用を行います。従業員は、どの運用商品を選び、掛金をどのように配分するかを自分自身で決めなければなりません。

運用の結果に応じて、将来受け取れる年金額が変わります。うまく運用できれば、掛金以上の年金を受け取れる可能性がありますが、反対に元本割れとなり、掛金よりも少なくなるリスクもあります。そのため、投資商品や運用方法といった投資に関する知識が必要になります。

【給付】運用した資産は60歳以降に受け取れる

画像: 画像:iStock.com/your_photo

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企業型確定拠出年金は、原則60歳以降でないと受け取ることができません。勤務先を退職した場合でも、60歳未満であれば資産を保持し続ける必要があり、通常は個人型確定拠出年金(iDeCo)などの別の年金制度へ移換します。

年金方式で受け取る場合、60〜75歳までの間で開始時期を選択できます。また、一時金(退職一時金のような形)として一括で受け取ることも可能です。

ただし、60歳未満で勤務先を退職した場合には、例外的に企業型確定拠出年金を脱退し、脱退一時金としてそれまでの資産を受け取れるケースがあります。受け取りには一定の条件があり、企業型確定拠出年金の運用資産額によってつぎのように変わります4)。なお、運用資産とは利益や損失を含めた運用している資産の合計額のことです。

●企業型確定拠出年金の運用資産が1万5,000円以下の場合

  • 企業型確定拠出年金制度のある企業を退職して6カ月以内であること
  • 退職後、加入していた企業型確定拠出年金の移換手続きなどをしていないこと
    ※:条件のすべてに該当した場合が対象。

●企業型確定拠出年金の運用資産が1万5,000円を超える場合

  • 企業型確定拠出年金制度のある勤務先を退職して6カ月以内であること
  • 退職後、加入していた企業型確定拠出年金の移換手続きなどをしていないこと
  • 企業型確定拠出年金に加入して5年以内、もしくは運用資産が25万円以内であること
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できない人であること
  • 障害年金を受給していないこと
  • 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
    ※:条件のすべてに該当した場合が対象。

企業型確定拠出年金(DC)はデメリットしかないって本当? その理由を解説

画像: 画像:iStock.com/MeePoohyaphoto

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企業型確定拠出年金が「デメリットしかない」といわれるのは、以下の6つの理由があるからです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.原則60歳まで引き出すことができないから

企業型確定拠出年金は、原則60歳まで資産を引き出すことができません。たとえ途中で退職したとしても、60歳になるまではほかの資産に換えることができず、現金化はできません。

そのため、たとえば子どもの学費や冠婚葬祭などで急にお金が必要になった場合も、支払いにあてることができません。

しかし、60歳まで引き出せないということは退職後の資金を強制的に準備できるというメリットとしても捉えることができます。

2.将来受け取れる金額がいくらか決まっていないから

企業型確定拠出年金は毎月の拠出額は決まっていますが、将来受け取れる金額は決まっていません

これは将来の資金計画が不透明ということであり、一見デメリットに見えるかもしれません。しかし、見方を変えれば、運用の成果によって将来受け取れる金額が増える可能性もあるため、メリットともいえるでしょう

3.元本割れリスクがあるから

預けたお金より受け取るお金が減ることを「元本割れ」といいます。企業型確定拠出年金は、運用成績によって将来受け取れる金額が変わるため、運用商品の選択次第では元本割れのリスクがあります。企業型確定拠出年金の主な運用商品は以下です。

・定期預金
・生命保険
・投資信託

定期預金、生命保険は預けた分のお金が保障される「元本保証」の商品です。一方、投資信託は元本保証がなく、さらに、運用する商品によって元本割れのリスクが異なります。

4.加入者に投資の知識が必要であるから

企業型確定拠出年金は加入者本人が運用商品を決めて運用します。定期預金や保険など、リスクのない商品も選択できますが、資産を効率よく増やしていくには、ある程度の投資の知識が必要です。

投資に苦手意識を持たれる人もいるでしょうが、将来の資産を運用で増やしたい人にとっては、お金の知識を身に付けるいい機会でもあります。

5.受け取り方で課税額が高くなることがあるから

企業型確定拠出年金の受け取り方は、年金方式(分割)か一時金(一括)かを選べますが、受け取り方によって税金のかかり方が異なります

年金方式で受け取る場合は、公的年金との合算で納税額が決まります。年金控除の対象になりますが、受け取る年金が増えると納税額が大きくなります。

一方、一時金で受け取る場合は退職金扱いになり、勤務年数で控除額が決まります。勤務年数が長ければ長いほど、控除額は大きくなります。

どちらの方法を選ぶかは本人のライフプラン次第となります。税金だけを考えて選択するのも1つの手ですが、いつお金が必要かという視点で考えることも重要です。なお、勤務先によってはこの2つを併用できる場合もあります。

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6.退職・転職時には移換手続きが必要になるから

企業型確定拠出年金に加入している人が、その企業を退職した場合は、資産をほかの年金制度に移換する手続きを行わなくてはなりません。移換先は退職後の働き方や転職先の年金制度によって異なります5)

〈図〉企業型確定拠出年金の退職後・転職後の手続き

画像: 6.退職・転職時には移換手続きが必要になるから

転職先で企業型確定拠出年金に加入する場合は、積み立てた資産を転職先の制度へ移換します。ただし、企業によって採用している運用商品が異なることがあるため、移換後にあらためて運用商品を選択する場合もあります。

一方、転職先に企業型確定拠出年金の制度がない場合や、制度があっても加入しない場合には、個人型確定拠出年金(iDeCo)への移換が必要です

また、転職先で確定給付企業年金(DB)などに加入する場合にも、企業型確定拠出年金の運用資産を移換できるケースがあります。詳しい可否や手続き方法などは、転職先に確認するようにしましょう。

いずれの場合も、移換の手続きには6カ月の期限があります。この期限を過ぎると、資産は「国民年金基金連合会が管理する自動移換口座」に移され、運用が停止されるほか、自動移換に関する手数料が発生してしまいます。

なお、一定の条件を満たす場合には、資産を早期に受け取れる「脱退一時金」の制度もあります。詳しくはこちらをご確認ください。

企業型確定拠出年金(DC)で何が得になるの? メリットを解説

画像: 画像:iStock.com/maitetxu

画像:iStock.com/maitetxu

続いて企業型確定拠出年金のメリットを見ていきましょう。以下の3つが挙げられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.3つの税制優遇が受けられる

〈図〉企業型確定拠出年金の3つの税制優遇

画像: 1.3つの税制優遇が受けられる

企業型確定拠出年金のメリットは、税制面での優遇措置が充実している点です。具体的には、「掛金」「資産運用」「年金の受け取りの3つの面で、税制優遇が受けられます3)

まず、企業が拠出する毎月の掛金は、全額経費の対象となります。 また、従業員が拠出する場合は、全額非課税(所得税・住民税)となります。さらに、社会保険料の計算の対象から除外されます。

つぎに、企業型確定拠出年金の運用で得た利益は全額非課税になります。 一般的な金融商品で運用するとその運用益に対しては約20%の税金がかかりますが、企業型確定拠出年金の場合はかかりません。

さらに、積み立ててきた資産は60歳以降、年金方式で受け取るか、一時金で受け取るかのいずれかを選択できます(前述)。年金方式であれば「公的年金等控除」、一時金であれば「退職所得控除」を受けることができ、税負担を軽減することができます

2.口座管理手数料の個人負担がない

企業型確定拠出年金では、運用時にかかる手数料は勤務先が負担します。加入者が口座管理手数料を負担することはありません

ただし、同じ確定拠出年金でも個人型確定拠出年金は、加入時や運用にかかる手数料は全額加入者負担となりますので、注意が必要です。

3.離職時・転職時に積立金を持ち運ぶことができる

企業型確定拠出年金の加入者が中途退職や転職する場合、積立金を持ち運ぶことができます6)

転職先で採用している年金制度によりますが、持ち運んだ資産を転職先の年金制度に移換し、個人型確定拠出年金に移換して運用を継続できます。

ただし、こうした手続きはすべて自分で行う必要があります。また、退職後6カ月以内に移換手続きをしないと、自動移換という扱いになり、資産の運用が停止されたり、管理手数料が差し引かれたりなどの不利益が生じる場合があります。

退職・転職にあたっては、移換の必要性とその方法を事前に確認し、忘れずに自分で手続きを行うようにしましょう。

企業型確定拠出年金のデメリットを回避する方法

メリットも多い企業型確定拠出年金ですが、デメリットが気になる人もいるでしょう。ここでは、デメリットを回避する方法例を5つ紹介します。

1.現金化しやすい貯蓄も確保しよう

企業型確定拠出年金は60歳まで引き出すことができないため、急な出費に備えて、現金化しやすい貯蓄を別途確保しておくと安心です。万が一に備える資金としては、毎月の出費の3~6カ月分を目安に準備しておくといい、といわれています7)。まとまった資産は企業型確定拠出年金だけ、という状況を避けるようにしましょう。

2.投資初心者は「元本確保型商品」から始めよう

投資初心者や元本割れが不安な人は、定期預金や保険商品などの元本保証型商品から始めるのも1つの方法です。投資商品と比べると利益は少ない傾向にありますが、銀行などの一般的な定期預金と比べると、利息に税金がかからない分、資産が増えやすくなっています。

資産の様子を見ながら、投資への関心が高まってきたら、比較的リスクが低めの投資信託などに挑戦するのもいいでしょう。

3.定期的な見直しをしよう

企業型確定拠出年金は、運用先の見直しができることも特徴の1つです。商品の入れ替えや、資産の配分変更などができます。入社時に決めた運用方法から変更しない人もいますが、運用できる期間や、ライフステージによって向いている商品は変わっていきます。

最低でも年に1回位は「残高・利回り・リスク」などをチェックするのがおすすめです。定期的に運用状況を確認することで、受給見込み額をある程度想定できるかもしれません。

4.給付金を受け取るタイミングを検討しよう

企業型確定拠出年金は、60~75歳までの間に受給手続きを行います。そのため、もし60歳時点で元本割れしているようであれば、受取開始時期を遅らせることも可能です。退職後は、掛金を拠出できなくなりますが、現金化せずに保管し、そのまま運用することができるのです

ただし、保管期間も手数料がかかります。また、セカンドライフに向けた資金計画として、いつからどのように受け取るか無理のないように検討することも大切です。

5.企業のサポート体制も確認しよう

勤め先に運用サポートやアドバイス制度があるかを確認し、教育制度・相談窓口などを積極的に利用しましょう。企業型確定拠出年金制度を導入している企業は、従業員が自分に合った資産運用ができるよう、教育を行う義務があります8)。教育方法やサポートのしかたは企業によって変わるので、どのようなサポートを受けられるか把握することも大切です。

ほかの年金制度との違いは?

企業型確定拠出年金をより理解するために、ほかの年金制度についても確認しておきましょう。年金制度で知られているものには主に、個人型確定拠出年金(iDeCo)や確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)との違い

確定拠出年金には企業型確定拠出年金のほかに個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。両者の違いを以下の表にまとめました。

〈表〉個人型確定拠出年金(iDeCo)との違い

企業型確定拠出年金個人型確定拠出年金
加入対象者従業員国民年金保険の被保険者、自営業者、専業主婦(夫)など
運用加入者本人(従業員)加入者本人
掛金・手数料企業が積み立て加入者が積み立て
給付額変動あり変動あり
受け取り時期原則60歳以上原則60歳以上

掛金や手数料などの費用の負担者は勤務先なのか、加入者なのかという点が異なります。また、個人型確定拠出年金は国民年金の被保険者であれば加入できますが、企業型確定拠出年金は、制度がある企業に勤めている人だけが加入できます。

【関連記事】個人年金保険とiDeCoの違いについて、詳しくはコチラ

確定給付企業年金(DB)との違い

現在の企業年金の代表的な制度には、企業型確定拠出年金と確定給付企業年金の2つがあります。
両者の違いを以下の表にまとめました。

〈表〉確定給付企業年金(DB)との違い

企業型確定拠出年金確定給付企業年金
加入対象者従業員従業員
運用加入者本人(従業員)企業
掛金・手数料企業が積み立て企業が積み立て
給付額変動ありあらかじめ確定
受け取り時期原則60歳以上退職時、または年金として給付

両者の大きな違いは、将来受け取る給付額が、運用成績によって変化するか、あらかじめ決まっているかです

また、企業型確定拠出年金は、加入者が60歳まで運用を行えるよう、離職時・転職時に移換などの制度が整えられています。なお、確定給付型年金は離職時・転職時に脱退一時金を受け取るか、脱退一時金相当額をほかの年金制度に移換するかを選択します。ただし、転職の場合は転職先の規定で年金の扱いが決められている場合があります。

厚生年金基金との違い

厚生年金基金は、厚生年金基金や企業年金連合会が、老齢厚生年金の一部を国に代わって給付する制度です9)。また年金給付の際、代行する部分に基金独自の年金が加算されます。

しかし現在、厚生年金基金は加入企業の業績悪化や倒産などにより運営が厳しい状況に陥る団体が増え、2014年4月に実質的に廃止となりました。

現在の企業の年金制度は、企業型確定拠出年金と確定給付企業年金が主流です。なお、確定給付企業年金は退職金を企業が準備する必要があるため、負担に感じる企業もあります。近年は、企業の負担を回避するために企業型確定拠出年金が選ばれる傾向にあります。

なお、厚生年金について詳しくは以下の記事でご紹介しています。気になる人は確認してみてください。

【関連記事】厚生年金と国民年金の違いについて、詳しくはコチラ
【関連記事】厚生年金額について、詳しくはコチラ

企業型確定拠出年金(DC)に関するよくある疑問

Q1.企業型確定拠出年金は解約できるの?

原則解約はできません。ただし、退職した場合は例外的に認められることはあります。詳しくは「例外的に60歳未満で受け取れるケースがある」の項目をご覧ください。

Q2.企業型確定拠出年金に入らないとどうなるの?

企業型確定拠出年金は企業によって加入者の条件や、未加入の場合の対処法が決められています。加入するかどうかを従業員が自由に選択できる場合で、未加入を選択した人は、退職金を定期的に前払いする方法が一般的です。

Q3.企業型確定拠出年金に入らないほうがいい人は?

拠出した掛金は原則60歳まで引き出すことができません。そのため、生活に余裕がない人は加入しないほうがいいかもしれません。ただし、勤務先の規定で全従業員の加入が定められている場合があり、加入しないことを選択できないケースもあります。

また、確定拠出年金は長く続けることで、リスクが低くなる傾向があります。長期の運用年数が見込めない場合、運用の成果が出ない可能性があります。確定拠出年金で運用できる年数が少ない人は、ほかの制度も併せて検討するといいでしょう。

Q4.企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)を併用できる?

企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)は、マッチング拠出を利用していなければ併用可能です(前述)。ただし、拠出額の合計の上限が決まっているので、併用する場合は企業型確定拠出年金の拠出額を確認しておきましょう。

Q5.企業が倒産した場合、企業型確定拠出年金はもらうことができる?

企業型確定拠出年金は勤務先とは異なる運用機関で保管されているため、年金は受け取ることができます。ただし、倒産した場合は企業型確定拠出年金の加入資格を失ってしまいますので、転職先でほかの年金制度に移換が必要です。

なお、自営業(フリーランス)、無職になる場合は、企業型確定拠出年金の運用資産の移換先は、個人型確定拠出年金か企業年金連合会になります。

Q6.本人が亡くなった場合、企業型確定拠出年金は遺族に支給される?

加入者本人が亡くなった場合は、遺族の手続きにより確定拠出年金口座の運用商品はすべて売却、現金化されます。そこから手数料を差し引いた金額が遺族に死亡一時金として支払われます。

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企業型確定拠出年金(DC)はデメリットもあるものの、会社員におすすめ

画像: 画像:iStock.com/Tuahlensa

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企業型確定拠出年金は、従業員自らの運用成績で受け取る年金額が変わるため、退職後の資金計画が難しい面があります。また、運用による資産形成のため、苦手意識を持つ人もいるかもしれません。

しかし、掛金が全額所得控除になることや、運用益が非課税になることなど、企業型確定拠出年金は会社員にとって税制面でのメリットが期待できる制度となっています。勤務先が企業型確定拠出年金制度を導入している際は、加入を検討するといいでしょう。

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