転職や退職をすると、今までの健康保険の資格を喪失し、新たな健康保険へ加入をすることになります。健康保険の切り替え手続きをしなかった場合は空白期間となり、その間の医療費は全額自己負担する必要があります。

健康保険証からマイナンバーカードの保険証に変わったことで、この空白期間や手続き方法に変更はあるのでしょうか。

この記事では、ファイナンシャルプランナーの辻田陽子さん監修のもと、転職や退職のタイミングなど、健康保険の切り替え時にマイナンバーカードの保険証で必要な手続きや注意点について解説します。

※本記事は2023年10月20日時点の情報を基に執筆しています。

この記事の監修者

辻田 陽子(つじた ようこ)

FPサテライト株式会社所属、ファイナンシャルプランナー。税理士事務所、金融機関での経験を経て、「好きな時に好きなことをする」ため房総半島へ移住。現在は地方で移住相談や空き家活用に取り組みながら、ファイナンシャルプランナーとして活動中。

ウェブサイト

転職・退職にともなうマイナンバーカードの保険証の変更手続きは不要?

画像: 画像:iStock.com/kazumaseki

画像:iStock.com/kazumaseki

マイナンバーカードと健康保険証の紐付けが完了している場合は、転職・退職に伴う再度の登録や変更手続きは不要です1)。ただし、新しく加入する医療保険者(健康保険組合や国民健康保険など)への加入の届出は従来どおり手続きが必要であるため注意しましょう。

以下で詳しく説明していきます。

マイナンバーカードの保険証の手続きがいらない理由

会社員が転職や退職をした場合、在籍時に加入していた健康保険を脱退する必要があります。健康保険は原則全員が加入しなければならないため、転職した場合は転職先の会社で加入します。また、会社に就職しない場合は前職の健康保険を任意継続するか、国民健康保険に加入することになります。

通常、転職などにより公的医療保険の資格変更があった場合には、転職先の医療保険者(健康保険組合など)が資格取得届の提出を受けて、新たな資格情報をオンライン資格確認等システムへ登録することで、手続きが行われます2)

この情報は自動的に反映されるため、マイナンバーカードの保険証の登録や変更手続きは必要ありません

ただし、マイナンバーカードの有効期限やマイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れている場合は健康保険証として使えませんので、有効期限が切れる前に更新手続きをしなければいけません。

健康保険の切り替え手続きは必須

ここで注意したいのは、マイナンバーカード の保険証の手続きは不要でも、健康保険の切り替え手続きは自身で行う必要があるということです。

転職先が決まっている場合、新しい健康保険の加入手続きは転職先の会社が行うため、切り替え期間などを確認しておきましょう。なお、すぐに就職しない人は退職した会社で任意継続の手続きをするか、お住まいの市区町村の窓口で国民健康保険へ加入の手続きをする必要があります。

健康保険の切り替えをしていない場合は医療費が全額負担になる

退職後、つぎの就職までの期間が長い場合は、健康保険に加入していない空白期間が発生します。健康保険に加入していない状態で医療機関を受診すると、原則3割負担の医療費を全額自己負担しなければなりません。

さらに、国民健康保険に未加入の場合は、前職を退職した日の翌日まで保険料をさかのぼり、最長2年分の保険料を徴収されます。退職後にすぐ就職をしない場合は、退職前の会社で任意継続の手続きをするか国民健康保険へ加入するなど、無保険期間ができないように気をつけましょう。国民健康保険の支払いが難しい場合は、お住まいの市区町村の窓口に連絡をしましょう。保険料の軽減などができる可能性があります。

転職時の空白期間、マイナンバーカードの保険証でも発生する?

画像: 画像:iStock.com/Kwangmoozaa

画像:iStock.com/Kwangmoozaa

前述したように、健康保険の切り替え時には、脱退から再加入までの間に空白期間と呼ばれる無保険期間が発生します。マイナンバーカードの保険証の場合も、空白期間は発生するのでしょうか。

以下で詳しく解説していきます。

健康保険に加入していない場合は空白期間は発生する

繰り返しになりますが、マイナンバーカードの保険証の変更や登録手続きは不要です。しかし、健康保険の切り替えは自身もしくは転職先の会社が行う必要があります。そのため、健康保険の切り替えをせずに加入していない状態であれば、従来の健康保険証と同様にマイナンバーカードの保険証でも空白期間が発生します

空白期間を発生させたくない人は、退職前の会社で任意継続の手続きをするか国民健康保険へ加入するなどを検討しましょう。

そもそもマイナンバーカードの保険証(マイナ保険証)とは?

画像1: 画像:iStock.com/Prostock-Studio

画像:iStock.com/Prostock-Studio

マイナンバーカードの保険証は、マイナンバーカードの機能の1つで、2021年10月から本格運用がスタートしました。「マイナ保険証」とも呼ばれています。政府はマイナンバーカードを普及させる取り組みとして、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を推進しています。これにより、国民の利便性向上と医療サービスの品質向上を目指すとのことです。

マイナンバーカードの保険証を利用するには、マイナンバーカードと健康保険証を紐付ける必要があります。2023年10月15日現在、マイナンバーカードと保険証の紐付け数は7,145万1,552件で、交付枚数に占める割合は7割を超えています3)。マイナンバーカードと保険証は、スマートフォンやコンビニエンスストアなどで簡単に紐付けることができます。なお、現時点でマイナンバーカードと保険証を紐付けたとしても、現行の健康保険証も利用可能です。

マイナンバーカードの取得と同様、マイナンバーカードと保険証を紐付けるかどうかはあくまでも任意です。ただし、2024年秋には現行の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードの保険証に一本化される方針が政府により示されています4)

マイナ保険証の詳しい情報や紐づけ方は、以下の記事で解説しています。気になる人は併せてご覧ください。

【関連記事】マイナンバーカードと保険証の紐付け方は? メリット・デメリットも解説

転職・退職前にマイナンバーカードと保険証を紐付けることのメリット

画像: 画像:iStock.com/hiro-photo

画像:iStock.com/hiro-photo

転職・退職前にマイナンバーカードと保険証を紐付けるメリットについて説明します。

健康保険を切り替えれば健康保険証としてすぐに使える

従来の健康保険証では、転職や退職などで医療保険者を変更した際、新しい健康保険証が届くまでに数週間かかります。そのため、健康保険証が手元にない状態で医療機関を受診した場合は、一時的に全額を自己負担し、健康保険証が届いたあとに払い戻しの手続きをする必要がありました。

しかし、マイナンバーカード の保険証の場合は、新しい健康保険への加入手続きが済んでいれば新しい健康保険証の到着を待たずに医療機関で利用することができるため、一時的な全額負担をする必要がなくなります。

マイナンバーカード の保険証の紐づけ方法については以下の記事を参考にしてみてください。

【関連記事】マイナンバーカードと保険証の紐付け方は? メリット・デメリットも解説

【コラム】転職後、マイナンバーカードの保険証の情報が反映されない

画像2: 画像:iStock.com/Prostock-Studio

画像:iStock.com/Prostock-Studio

健康保険の変更手続きをしたにもかかわらず、新しい健康保険の情報が反映されていない、などのトラブルも起こっているようです2)

情報が反映されていない理由として以下の2点が考えられます。

1. 現在加入中の医療保険者(健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合など)において、マイナンバーに紐付く資格情報の登録が完了していない
2. 旧医療保険者において、マイナンバーに紐付く資格情報について喪失処理が完了していない

この場合の対処法としては、旧医療保険者もしくは現在加入中の医療保険者へ問い合わせ、変更手続きの処理が完了しているか確認する必要があります。

旧医療保険者へ確認する際は退職前の会社へ、現在加入する医療保険者へ問い合わせる際は現在の勤務先へ、国民健康保険に加入する人はお住まいの市区町村の窓口へ確認してみましょう。

転職・退職時は、健康保険の変更手続きを忘れずにしましょう

マイナンバーカードの保険証のサービスが開始して、利用できる医療機関も増えてきました。従来の健康保険証と異なる点は、健康保険の変更手続きさえ完了していれば健康保険証の到着を待つことなく、医療機関を受診できることです

ただし、健康保険の切り替えについては、従来と同じく自身で手続きをする必要があります。退職後、健康保険の手続きを忘れてしまうと保険に加入していない空白期間ができてしまいます。忘れずに早めに手続きをしましょう。

もしもの医療費や将来のお金が心配…と思ったら、「お金のプロ」に相談してみませんか?

もしもの不安と将来の資金づくりのために、家計を見直し貯蓄を増やしたいと考えている人は、自分にぴったりの「お金のプロ」に相談してみませんか

「お金のプロ」とのマッチングサイトでは、あなたの性別や年齢、住んでいるエリア、相談したい事項を選択することで、あなたにぴったりの「お金のプロ」を選ぶことができます。

対面だけでなく、オンラインでの相談も行っているので、ぜひ以下をクリックして詳しい情報を見てみてください。

▼東京海上日動あんしん生命の「お金のプロとのマッチングサイト」はコチラ

This article is a sponsored article by
''.