「夫のお小遣い額はどうやって設定すればいいの?」「手取りの何割を目安にすればいいの?」と悩む方は多いことでしょう。

そこで、ファイナンシャルプランナー・氏家祥美さん監修のもと、夫のお小遣いの平均額を押さえた上で、お小遣い額の目安、効果的な家計管理方法や実践時のコツについて解説します。

この記事の著者

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。

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夫のお小遣い、世間の平均額は「約3〜4万円」

お小遣い額の設定のコツをご紹介する前に、まずは世の中の夫のお小遣いの平均額はどれくらいなのかを見ていきましょう。

新生銀行の調査1)によると、未婚男性も含んだ男性会社員のお小遣いの平均額は3万8,710円です。そんな中、既婚男性は、共働き・片働き・子どもの有無により、大きく金額が異なっています。

〈図〉男性会社員のお小遣いの平均額

画像: 夫のお小遣い、世間の平均額は「約3〜4万円」

共働きで子どものいない家庭の場合、男性会社員のお小遣いの平均額は4万4,707円と比較的高めです。既婚で共働きの場合、やはり家計に余裕があるのでしょう。片働きで子どものいない家庭(3万4,911円)よりも1万円程度も多くなっています。

一方で、子どものいる家庭では、共働き(3万1,837円)でも片働き(3万1,732円)でもほとんどお小遣い額は変わりません。

なお、年代別の夫のお小遣い額、妻のお小遣いの平均額、ここ10年間でのお小遣い額の傾向については、以下の記事でご紹介しています。より詳しく知りたい方は、併せて読んでみてください。

【関連記事】夫のお小遣いの平均額はいくら? 家族構成、年代別、経年変化までを解説

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まずは家計管理の仕方を整えよう。FPおすすめのお小遣い制とは?

画像: 画像:iStock/Ivan-balvan

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お小遣いの平均額を見てきましたが、ご自身の家庭のお小遣いよりも多かったでしょうか、少なかったでしょうか。

もしかしたら、「平均より多いから、夫の小遣いを減らしてもいいかも…」と思った方もいるかもしれません。

ですが、ちょっと待ってください! お小遣い額を見直すにあたっては、まずは夫婦の家計管理の仕方を整理することが大切です。

ここでは、代表的な家計管理システムをご紹介します。あなたの家庭の家計管理方法と比較してみましょう。

よくある3つの家計管理システム

夫婦の家計管理の方法は、家庭により様々です。それによってお小遣いをどのように位置付けて、どのような金額に設定するかも変わります(方法によっては、金額を設定しない場合もあります)。

結論からいうと、夫婦の家計管理システムは大きく分けて3つありますが、おすすめできるのは、1つの口座を夫婦で管理する方法です。まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。

(1)別口座でそれぞれが管理する方法

画像: 画像:iStock/bong hyunjung

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1つめは、特に共働き夫婦に多い家計管理システムです。夫婦で別々の銀行口座を持ち、家計の支払いを分担する方法で、現代の夫婦では主流になりつつあるでしょう。

たとえば、家賃と水道光熱費は夫が、食費と雑費は妻が支払いを担当するなど、役割分担を行います。自分の担当分の支払いさえ行えば、残ったお金は自由に使えるのがメリットです。

逆にいうと、家計の全体像を把握している人が不在となりやすく、「将来のための貯蓄が、家計としていくらあるかわからない」状態に不安を抱える方が少なくありません。

(2)1つの口座を1人が管理する方法

画像1: 画像:iStock/takasuu

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夫婦のどちらかが1つの口座で家計を管理し、もう1人にお小遣いを渡す方法もポピュラーなシステムです。銀行口座は共通のものを使用しますが、基本的に管理は1人が担当するのが特徴です。なお、家計を管理する人にお小遣いはなく、家計全体を見ながら、自分が使っていい額をその都度使います。

大きなメリットは、家計管理の担当者をしっかりと定められるため、貯金などの目標に向けて家計をコントロールしやすいことです。一方で、「お小遣いをもらっている」「お小遣いをあげている」という気持ちになりやすく、夫婦の“対等感”を損ないやすいのはデメリットのひとつといえるでしょう。

(3)1つの口座を2人で管理する方法【FPおすすめ!】

画像2: 画像:iStock/takasuu

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そして、もっともおすすめしたいのが、夫婦で1つの口座を使って家計を管理し、2人のお小遣い額もあらかじめ決定しておく方法です

お互いの収入を1つの銀行口座にまとめて2人で管理する…というと(2)の「1つの口座を1人が管理する方法」とあまり変わらないように思うかもしれませんが、家計全体を把握しながら話し合い、お互いのお小遣い額を決めることで、納得感を得られやすくなります。

なお、家計全体を2人で把握する必要があるため、家計管理アプリなどを導入することで、家計を見える化することがポイントになります。

お互いの収入が明らかになってしまう点がデメリットといえるかもしれませんが、そこをクリアできれば、上記2つのシステムと比べてメリットがとても大きいのです。その理由や実践方法について、詳しく見ていきましょう。

おすすめの家計管理システムの実践方法とメリット

画像: 画像:iStock/AzmanJaka

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実践方法:生活費以外はお小遣いから支払う

おすすめする家計管理システムでは家計を2人で管理しますが、その際のポイントは、絶対に必要な生活費以外はお小遣いから支払うようにすることです。

たとえば、子どもに着せたい洋服や遊ばせたいおもちゃを買う時、子どものための費用として生活費から支払っている方が多いのではないでしょうか。しかし、嗜好性が高く、親の楽しみのために購入している場合には、個人的な支出と捉えてお小遣いからお金を出すようにします。

さらには、生活費に含めがちな散髪や化粧品などの美容代、ママ友とのランチ代、スポーツクラブや習い事の会費、家族でのレジャー費や交際費にも、お小遣いを使用します。夫婦で映画館に行くなら、デート感覚でお互いのお小遣いからお金を出しましょう。逆に家賃や食費、水道光熱費、スマホ代といった生活に欠かせない費用は、家庭の支出として計上します。

こうして生活費と自由に使えるお金の線引きを明確にしながらお小遣いでまかなう範囲を広げることで、「生活費」をスリム化することができます。家計簿の費目もシンプルになり、家計管理はグッと楽になるでしょう。

一方でお小遣いには一定の予算が必要になりますが、「飲み会でお金を使ったから、洋服を買うのは来月にする」というように、支出を自分でコントロールしやすくなります。

実践のコツ:家計管理アプリを利用しよう

この方法を実践するために便利なツールが、家計管理アプリです。夫婦で共通の家計管理アプリをダウンロードして、共通アカウントを持つことがポイントです。

共通の銀行口座とお互いのクレジットカードを家計管理アプリに紐付けしておくと、口座の入出金や、クレジットカードの使用履歴が自動連携されるため、家計管理の担当者を設けなくても、夫も妻も資産状況をスムーズに把握できます。

個人的な買い物の内訳を知られたくない方は、お小遣い用のクレジットカードを別に作って家計管理アプリと連携をしないでおけば、お金の使い道まではわかりません。

【関連記事】無料の家計簿アプリおすすめ8選! 簡単にお金が貯まる賢い使い方

メリット:夫婦間のトラブルが防げる

このシステムのメリットは、夫婦間でのトラブルを防げることです。お小遣いを多めに確保することでそれぞれの裁量で使い道を決められるため、「1つの口座を1人が管理する方法」よりも不満が出にくい傾向にあります。

また、家計管理を2人で行う意識を持ち、定期的に話し合いの機会を作れば、管理したりされたりといった窮屈さを感じる心配もありません。

【目安は夫婦2人で手取り15〜25%】お小遣い額を決めるための3ステップ

ここからは、前述したおすすめの家計管理方法を導入することを前提として、適切なお小遣い額を決めるための3つのステップをご紹介します。

【ステップ1】生活費とお小遣いの範囲を明確にする

画像3: 画像:iStock/takasuu

画像:iStock/takasuu

お小遣い制を導入するなら、何がお小遣いに含まれるかを決めるのは重要なポイントです。ここが曖昧だと、お小遣いに含めるべきところを生活費として処理してしまい、家計を圧迫したり、逆に生活費にしていいものをお小遣いで購入することになり、不満が溜まって夫婦のトラブルの原因になったりします。

中には「これってどっちに含めたらいいの?」と混乱してしまうこともあるでしょう。そんなケースについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

【関連記事】夫のお小遣いの内訳は? 昼食代やスマホ代は含む? 決めておきたい使い道ルール

【ステップ2】夫婦全体のお小遣い額を算出する

画像: 画像:iStock/Xesai

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お小遣いに何が含まれるかを明確にしたら、次に世帯の月収から、2人分のお小遣い額を算出します。家庭の状況にもよりますが、目安としては夫婦の手取り月収の25%ほど、貯蓄を頑張りたいなどの理由から少なめに設定するなら15%ほどをお小遣いとするのがいいでしょう。

仮に、夫婦の手取り月収が30万円なら、25%で7.5万円、15%で4.5万円となります。

【ステップ3】夫と妻のお小遣いの割合を決める

画像: 画像:iStock/JohnnyGreig

画像:iStock/JohnnyGreig

最後に、【ステップ2】で算出した夫婦全体のお小遣い額をもとに、夫のお小遣い額、妻のお小遣い額を決めましょう。

この部分については、お互いの仕事の状況などを整理しながら話し合いをするといいでしょう。昼食代をお小遣いに含む、含まないなどによっても金額が変わります。

ボーナスはお小遣いにまわしても大丈夫?

画像: 画像:iStock/SB

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ちなみに、上記では月収を軸にした考え方をご紹介しましたが、「ボーナスはどう考えたほうがいいの?」と思った方もいるのではないでしょうか。

その場合は、ボーナスから貯金する金額をあらかじめ決めておき、残りを自由に使うようにするのが安全です。

中にはボーナスを見越して、出費がついかさんでしまう方もいます。ですが、家計管理は基本的に月の収入だけでまかなうのが理想的です。ボーナスはイレギュラーな収入と考えて、そこに依存した家計管理はできる限り避けましょう。

とはいえ、日々のやりくりが苦しく、なかなか貯金できない世帯もあるでしょう。そのような場合、毎月の貯金はわずかにとどめ、ボーナスからまとめて貯金する方法も考えられます。毎月の貯金を優先するあまり、結果的にボーナスを取り崩しては元も子もないからです。

いずれにせよ、まずは年間を通じて貯金したい金額や、どうしたら効率的に貯金できるかを考え、そこからボーナスの使い方を決めることが大切です。

【関連記事】みんなのボーナスの使い道や貯金の割合、平均額などについてはコチラ

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年収別! お小遣いの設定シミュレーション

ここまでお小遣いの決め方について見てきましたが、最後に、お小遣い額の目安を年収別にご紹介します。

【ケース1】世帯年収500万円のA夫婦の場合

画像: 画像:iStock.com/Milatas

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●プロフィール

世帯年収手取り約400万円
世帯月収手取り約28.5万円
※賞与年2回(各1カ月分)
状況子どもなし、車なし

●家計の内訳例

項目手取り額に
占める割合
金額
貯蓄(貯蓄型保険なども含む)15%42,750円
生活費(住居費、光熱費、通信費、保険料、基本の食費)52%148,200円
臨時支出代(予備費)8%22,800円
夫婦のお小遣い25%71,250円

〈お小遣いを決める際のポイント〉
手取り28万5,000円の世帯の場合、夫婦のお小遣いは手取り額の25%として考えると約7万円です。収入がそこまで多くない世帯では、家電の買い替えや修理代、結婚式のご祝儀などのイレギュラーな出費によって生活費がカツカツになり、ボーナスに依存したやりくりをしてしまうことも多いです。臨時支出の枠をあらかじめ用意して対応しましょう。

【ケース2】世帯年収700万円のB夫婦の場合

画像: 画像:iStock.com/Yuki KONDO

画像:iStock.com/Yuki KONDO

●プロフィール

世帯年収手取り約560万円
世帯月収手取り約40万円
※賞与年2回(各1カ月分)
状況子どもなし、車あり(夫婦で使用)

●家計の内訳例

項目手取り額に
占める割合
金額
貯蓄(貯蓄型保険なども含む)15%60,000円
生活費(住居費、車維持費、光熱費、通信費、保険料、基本の食費)57%228,000円
臨時支出代(予備費)8%32,000円
夫婦のお小遣い20%80,000円

〈お小遣いを決める際のポイント〉
車の維持費がかかるB夫婦の場合、生活費から駐車場代やガソリン代といった車の維持費を出すと考えて、お小遣いは手取り額の20%(8万円)に設定するのがいいでしょう。お小遣い額を増やすなら、住居費や車の維持費をなるべく低く抑えて、固定費の余りをお小遣いにまわすようにしましょう。

【ケース3】世帯年収900万円のC夫婦の場合

画像: 画像:iStock.com/TAGSTOCK1

画像:iStock.com/TAGSTOCK1

●プロフィール

世帯年収手取り約720万円
世帯月収手取り約51.4万円
※賞与年2回(各1カ月分)
状況子どもあり、車あり

●家計の内訳例

項目手取り額に
占める割合
金額
貯蓄(貯蓄型保険なども含む)15%77,100円
生活費(住居費、車維持費、光熱費、通信費、保険料、基本の食費)52%267,280円
子ども費7%35,980円
臨時支出代(予備費)8%41,120円
夫婦のお小遣い18%92,520円

〈お小遣いを決める際のポイント〉
C夫婦の場合は収入が多いため、手取り月収の25%をお小遣いにまわすと12万8,500円となります。ただし、貯蓄や生活費以外に子どもにかかる費用も捻出しなければなりません。車の維持費や子どものための「子ども費」を捻出することを考えると、お小遣いは10万円以下が適正な金額といえるでしょう。

夫婦間トラブルを生まないためにも、話し合うことが大切

「お小遣い問題」は、多くの方が悩まれることですが、現代では家計管理アプリやクレジットカードなど、家計管理をサポートしてくれる便利なツールも存在します。

これらを使いこなして夫婦の収支をスムーズに共有すれば、きっと楽に問題を解決できることでしょう。また、年に1回は夫婦の決算日を設けて、お金について話し合うことが大切です。

お互いに協力しながら、ストレスをためない方法を探してみてください。

【関連記事】幸せな結婚生活のために「夫婦で話し合いたい3つのお金のこと」とは? 詳しくはコチラ

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