「夫のお小遣い」といえば、家計管理の中で多くの妻が悩む問題のひとつです。ちょうどいい金額はいくらなのか、ランチ代はお小遣いに含めるのかなど、決め方に悩む人は多いでしょう。

そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナー・氏家祥美(うじいえ よしみ)さん監修のもと、世間のお小遣いの平均額をチェックしながら、金額をどのように決めるべきかを年収別に解説。さらに、氏家さんがおすすめする、お金が貯まりやすいお小遣い制のしくみについても紹介します。

夫のお小遣いの平均は約36,000円。まずは相場を確認しよう

画像: 画像:iStock/TommasoT

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まずは、世の中の夫のお小遣いの平均額はどれくらいなのかを見ていきましょう。

〈図〉男性会社員のお小遣いの平均額

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新生銀行グループの調査1)によると、未婚男性も含んだ男性会社員のお小遣いの平均額は39,419円です。そんな中、既婚男性は、共働き・片働き・子どもの有無により、大きく金額が異なっています。

共働きで子どものいない家庭の場合、男性会社員のお小遣いの平均額は36,908円と比較的高めです。既婚でダブルインカムの場合、やはり家計に余裕があるのでしょう。片働きで子どものいない家庭よりも1万円以上も多くなっています。

一方で、子どものいる家庭では、共働き32,977円)よりも片働き35,965円)の方がお小遣いが多いという結果が出ています。

〈図〉配偶者(妻)のお小遣いの平均額

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なお、男性会社員の配偶者、つまり「妻」のお小遣いの平均額は23,027円という結果でした。数字を見る限りでは、男性は女性よりも多くお小遣いがあるようです。

〈図〉お小遣いの平均額の推移

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ちなみに、ここ10年間の男性会社員・女性会社員のお小遣いの平均額の推移は上記の通りです。男性のお小遣いは2009年から約6,000円減であり、女性も5年前に比べると約3,000円減です。

2008年のリーマンショック以降、財布の紐を締めている家庭も多かったのでしょう。自由に使えるお小遣いは減少傾向にあると言えそうです。

夫と妻、どっちが管理する? FPおすすめのお小遣い制を解説!

画像: 画像:iStock/Ivan-balvan

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お小遣いの平均額を見てきましたが、ご自身の家庭のお小遣いよりも多かったでしょうか、少なかったでしょうか。もしかしたら、「多いから、夫の小遣いを減らしてもいいかも…」と思った女性もいるかもしれません。

けれど、ちょっと待ってください! お小遣いの金額を見直すにあたっては、まずは夫婦の家計管理の仕方を整理することが大切です。ここでは、代表的な家計管理システムを紹介します。あなたの家庭の家計管理方法と比較してみましょう。

よくある3つの家計管理システム

夫婦の家計管理の方法は、家庭により様々です。それによって「お小遣い」をどのように位置付けて、どのような金額に設定するかも変わります(方法によっては、金額を設定しない場合もあります)。

結論からいうと、夫婦の家計管理システムは大きく分けて3つありますが、おすすめできるのは、1つの口座を夫婦で管理する現代型のお小遣い制」です。まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。

(1)別口座でそれぞれが管理:役割分担制

画像: 画像:iStock/bong hyunjung

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1つめは、特に共働き夫婦に多い「役割分担制」の家計システムです。夫婦で別々の銀行口座を持ち、家計の支払いを分担するタイプで、現代の夫婦では主流になりつつあるでしょう。

たとえば、家賃と水道光熱費は夫が、食費と雑費は妻が支払いを担当するなど、役割分担を行います。自分の担当分の支払いさえ行えば、残ったお金は自由に使えるのがメリットです。

逆に言うと、家計の全体像を把握している人が不在となりやすく、「将来のための貯蓄が、家計としていくらあるかわからない」状態に、不安を抱える人が少なくありません。

(2)1つの口座を1人が管理:従来型のお小遣い制

画像1: 画像:iStock/takasuu

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夫婦のどちらかが1つの口座で家計を管理し、もう1人にお小遣いを渡す従来型のお小遣い制」もポピュラーなシステムです。銀行口座は共通のものを使用しますが、基本的に管理は1人が担当するのが特徴です。なお、家計を管理する人にお小遣いはなく、家計全体を見ながら、自分が使っていい額をその都度使います。

大きなメリットは、家計管理の担当者をしっかりと定められるため、貯金などの目標に向けて家計をコントロールしやすいことです。一方で、「お小遣いをもらっている」「お小遣いをあげている」という気持ちになりやすく、夫婦の“対等感”を損ないやすいのはデメリットのひとつと言えるでしょう。

(3)1つの口座を2人で管理:現代型のお小遣い制

画像2: 画像:iStock/takasuu

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そして、もっともおすすめしたいのが、夫婦で1つの口座を使って家計を管理し、2人のお小遣いの金額も予め決定しておく「現代型のお小遣い制」です

お互いの収入を1つの銀行口座にまとめて2人で管理する…というと「従来型のお小遣い制」とあまり変わらないように思うかもしれませんが、家計全体を把握しながら話し合い、お互いのお小遣い額を決めることで、納得感を得られやすくなります。

なお、家計全体を2人で把握する必要があるため、家計管理アプリなどを導入することで、家計を見える化することがポイントになります。

お互いの収入が明らかになってしまう点がデメリットと言えるかもしれませんが、そこをクリアできれば、上記2つのシステムと比べてメリットがとても大きいのです。その理由や実践方法について、詳しく見ていきましょう。

「現代型のお小遣い制」の実践方法とおすすめの理由

画像: 画像:iStock/AzmanJaka

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【実践方法】

「現代型のお小遣い制」では家計を2人で管理しますが、その際のポイントは、絶対に必要な生活費以外はお小遣いから支払うようにすることです。

たとえば、子どもに着せたい洋服やおもちゃを買う時、子どものための費用として生活費から支払っている人が多いのではないでしょうか。しかし、嗜好性が高く、親の楽しみのために購入している場合には、個人的な支出と捉えてお小遣いからお金を出すようにします。

さらには、生活費に含めがちな散髪や化粧品などの美容代、ママ友とのランチ代、スポーツクラブや習い事の会費、家族でのレジャー費や交際費にも、お小遣いを使用します。夫婦で映画館に行くなら、デート感覚でお互いのお小遣いからお金を出しましょう。逆に家賃や食費、水道光熱費、スマホ代といった生活に欠かせない費用は、家庭の支出として計上します。

こうして生活費と自由に使えるお金の線引きを明確にしながらお小遣いで賄う範囲を広げることで、「生活費」をスリム化することができます。家計簿の費目もシンプルになり、家計管理はグッと楽になるでしょう。一方のお小遣いには一定の予算が必要になりますが、「飲み会でお金を使ったから、洋服を買うのは来月にする」というように、支出を自分でコントロールしやすくなります。

【実践のコツ】

この方法を実践するために便利なツールが、家計簿アプリです。夫婦で共通の家計簿アプリをダウンロードして、夫婦共通のアカウントを持つことがポイントです。

共通の銀行口座とお互いのクレジットカードをその家計簿アプリに紐づけしておくと、口座の入出金や、クレジットカードの使用履歴が自動連携されるため、家計管理の担当者を設けなくても、夫も妻も資産状況をスムーズに把握できます。

個人的な買い物の内訳を知られたくない人は、お小遣い用のクレジットカードを別に作って家計簿アプリと連携をしないでおけば、お金の使い道まではわかりません。

【副次的なメリット】

このシステムの副次的なメリットは、夫婦間でのトラブルを防げることです。お小遣いを多めに確保することでそれぞれの裁量で使い道を決められるため、「従来型のお小遣い制」よりも不満が出にくい傾向にあります。

また、家計管理を2人で行う意識を持ち、定期的に話し合いの機会を作れば、管理したりされたりといった窮屈さを感じる心配もありません。

適切な夫のお小遣い金額を決めるための3つのステップ

ここからは、おすすめの家計管理方法「現代型のお小遣い制」を導入することを前提として、適切なお小遣い額を決めるための3つのステップを紹介します。

【ステップ1】生活費とお小遣いの範囲を明確にする

お小遣い制を導入するなら、何がお小遣いに含まれるかを決めるのは重要なポイントです。ここがアバウトだと、お小遣いに含めるべきところを生活費として処理してしまい、家計を圧迫したり、逆に生活費にしていいものをお小遣いで購入することになり、不満が溜まって夫婦のトラブルの原因になったりします。

なかには「これってどっちに含めたらいいの?」と混乱してしまうこともあるでしょう。そんなケースについては、「これはお小遣いに含まれる?決めておきたい使い道ルール」で詳しく解説しますので、参考にしてみてください。

【ステップ2】夫婦全体のお小遣いの金額を算出する

画像: 画像:iStock/Xesai

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お小遣いに何が含まれるかを明確にしたら、次に世帯の月収から、2人分のお小遣いの金額を算出します。家庭の状況にもよりますが、目安としては夫婦の手取り月収の25%ほど、貯蓄を頑張りたいなどの理由から少なめに設定するなら15%ほどをお小遣いとするのが良いでしょう。

仮に、夫婦の手取り月収が30万円なら、25%で7.5万円、15%で4.5万円となります。

【ステップ3】夫と妻のお小遣いの割合を決める

画像: 画像:iStock/JohnnyGreig

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最後に、【ステップ2】で算出した夫婦全体のお小遣い金額を元に、夫のお小遣い金額、妻のお小遣い金額を決めましょう。

この部分については、お互いの仕事の状況などを整理しながら話し合いをすると良いでしょう。ランチ代をお小遣いに含む、含まないなどによっても金額が変わります。

これはお小遣いに含まれる?決めておきたい使い道ルール

適切な夫のお小遣い金額を決めるための3つのステップ」の【ステップ1】で紹介しましたが、お小遣い制を導入するにあたって「何がお小遣いに含まれるか」を決めておくことは重要です。

ここでは、後々モメる原因になってしまいがちな使い道について、ひとつずつ確認していきましょう。

(1)子どもにかかる費用

画像: 画像:iStock/kohei_hara

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学費や習い事といった子どもにかかる費用は、当然ながらお小遣いから捻出する必要はありません。子ども費という項目を設けて、そこに計上するとよいでしょう。

しかし、前述のように、なかには子どもに着させたい服、一緒に遊ぶためのオモチャなど、親自身が買い与えたくて購入するものもあります。本当に必要なもの以外は、個人的な支出と考えて、お小遣いに含めましょう。

(2)車のガソリン代

画像: 画像:iStock/Satoshi-K

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車のガソリン代は、基本的には車費を設けてそこに計上した方がベターです。ほかにも車のメンテナンス代、車検代、駐車場代なども同様です。

ただし、会社の通勤や家族旅行でほとんど車を使用せず、趣味として1人乗りをするのが大半の場合、一部をお小遣いから賄うことを検討してもいいかもしれません。生活に必要なのか、それとも好きでやっているのかを見極めることが大切です。

(3)スマホ代

画像: 画像:iStock/ponsulak

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現代はスマホや携帯電話なしでの生活は考えにくい時代です。家族割などを使ってまとめて引き落としている場合には「通信費」として家計の支出になるでしょう。一方、夫婦それぞれが個人の口座やカードから出している場合には、お小遣いと考えてもいいでしょう。

(4)外食代、散髪代

画像: 画像:iStock/kokouu

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その他、外食代は友人とのランチ、仕事中にとる食事、同僚との飲み会を問わず、基本的にはお小遣いから賄います。ただし、仕事中にとる食事の場合は、金額の上限を決めて食費として計上するのも手です。散髪は美容代の一部として捉え、お小遣いから出しましょう。

(番外)ボーナスはお小遣いに回しても大丈夫?

画像: 画像:iStock/SB

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また、ボーナスをお小遣いに回していいのか悩む人も多いのではないでしょうか。その場合は、ボーナスから貯金する金額をあらかじめ決めておき、残りを自由に使うようにするのが安全です。

なかにはボーナスを見越して、出費がつい嵩んでしまう人もいます。ですが、家計管理は基本的に月の収入だけで賄うのが理想的です。ボーナスはイレギュラーな収入と考えて、そこに依存した家計管理はできる限り避けましょう。

とはいえ、日々のやりくりが苦しく、なかなか貯金できない世帯もあるでしょう。そのような場合、毎月の貯金はわずかにとどめ、ボーナスからまとめて貯金する方法も考えられます。毎月の貯金を優先するあまり、結果的にボーナスを取り崩しては元も子もないからです。

いずれにせよ、まずは年間を通じて貯金したい金額や、どうしたら効率的に貯金できるかを考え、そこからボーナスの使い方を決めることが大切です。

目安は月収の15〜20%。年収別!お小遣いの設定シミュレーション

ここまでお小遣いの決め方について見てきましたが、最後に、お小遣いの金額の目安を年収別に紹介します。

【ケース1】世帯年収500万円のA夫婦の場合

画像: 画像:iStock.com/Milatas

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●プロフィール

世帯年収手取り約400万円
世帯月収手取り約28.5万円
※賞与年2回(各1カ月分)
状況子どもなし、車なし

●家計の内訳例

項目手取り額に
占める割合
金額
貯蓄(貯蓄型保険なども含む)15%42,750円
生活費(住居費、光熱費、通信費、保険料、基本の食費)52%148,200円
臨時支出代(予備費)8%22,800円
夫婦のお小遣い25%71,250円

〈お小遣いを決める際のポイント〉

手取り285,000円の世帯の場合、夫婦のお小遣いは手取り額の25%として考えると約7万円です。収入がそこまで多くない世帯では、家電の買い替えや修理代、結婚式のご祝儀などのイレギュラーな出費によって生活費がカツカツになり、ボーナスに依存したやりくりをしてしまうことも多いです。臨時支出の枠をあらかじめ用意して対応しましょう。

【ケース2】世帯年収700万円のB夫婦の場合

画像: 画像:iStock.com /Yuki KONDO

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●プロフィール

世帯年収手取り約560万円
手取り約40万円
※賞与年2回(各1カ月分)
状況子どもなし、車あり(夫婦で使用)

●家計の内訳例

項目手取り額に
占める割合
金額
貯蓄(貯蓄型保険なども含む)15%60,000円
生活費(住居費・車維持費、光熱費、通信費、保険料、基本の食費)57%228,000円
臨時支出代(予備費)8%32,000円
夫婦のお小遣い20%80,000円

〈お小遣いを決める際のポイント〉

車の維持費や駐車場代がかかるB夫婦の場合、生活費から駐車場代やガソリン代といった車の維持費を出すと考えて、お小遣いは手取り額の20%(8万円)に設定するのが良いでしょう。お小遣い額を増やすなら、住居費や車の維持費をなるべく低く抑えて、固定費の余りをお小遣いに回すようにしましょう。

【ケース3】世帯年収900万円のC夫婦の場合

画像: 画像:iStock.com/TAGSTOCK1

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●プロフィール

世帯年収手取り約720万円
手取り約51.4万円
※賞与年2回(各1カ月分)
状況子どもあり、車あり

●家計の内訳例

項目手取り額に
占める割合
金額
貯蓄(貯蓄型保険なども含む)15%77,100円
生活費(住居費・車維持費、光熱費、通信費、保険料、基本の食費)52%267,280円
子ども費7%35,980円
臨時支出代8%41,120円
夫婦のお小遣い18%92,520円

〈お小遣いを決める際のポイント〉

C夫婦の場合は収入が多いため、手取り月収の25%をお小遣いに回すと12.85万円となります。ただし、貯蓄や生活費以外に子どもにかかる費用も捻出しなければなりません。車の維持費や子どものための「子ども費」を捻出することを考えると、お小遣いは10万円以下が適正な金額と言えるでしょう。

まとめ

どうしても、お金は夫婦のパワーバランスに影響してしまいます。夫婦のどちらかが財布の紐を握ると、もう一方には家計の全体像が見えず、必要以上の我慢を強いることになりかねません。自由に使えるお金をどのように管理するとしても、年に1回は夫婦の決算日を設けて、お金について話し合うことが大切です。

一方で、家計管理の方法によっては、夫婦で思い思いにお金を使ってしまい、家計が破綻してしまうこともありえます。お互いの資産や収入をオープンにしない場合でも、共同の貯蓄はしっかりと作りましょう。そういった工夫をするだけで、子育てやライフイベントの資金への不安は大きく解消されます。

そして、現代では家計簿アプリやクレジットカードなど、家計管理をサポートしてくれる便利なツールも存在します。これらを使いこなして夫婦の収支をスムーズに共有すれば、家計管理を1人に任せることによるトラブルも避けられるでしょう。

将来に向けた資産形成のためにも重要な「夫婦のお小遣い」。お互いに協力しながら、ストレスを溜めない方法を探して見てくださいね。

この記事の著者

画像: ウチは多すぎ?夫のお小遣いの適正額と決め方【FPが収入別で徹底解説!】

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。
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