大学生の2人に1人が利用しているといわれる奨学金。社会人になって返済を続けていくにあたり、「毎月いくら返済していくことになるのだろう」と不安な人も多いのではないでしょうか。

また、返済期間中には景気の悪化や手取り収入の減少を受け、「奨学金の返済がきつい…」と思うこともあるかもしれません。そんな時には救済制度を活用しましょう。

そこでこの記事では、それらのような疑問や悩みを解決するために、改めて知っておきたい奨学金の基本と、返済に困った時に使える制度を、奨学金アドバイザーの久米忠史さん監修のもとご紹介します。

無理のない返済プランを立てるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

※この記事は、2022年10月14日に更新しています。

この記事の監修者

久米 忠史(くめ ただし)

株式会社まなびシード 代表取締役。奨学金アドバイザーとして活動。
2005年頃から沖縄県の高校で始めた保護者・高校生向けの奨学金ガイダンスが「わかりやすい」との評判を呼び、現在では高校だけでなく全国各地で開催される進学相談会や大学のオープンキャンパスなどで毎年150回以上の講演を行うほか、奨学金関連本をこれまで4冊出版。2009年には進学費用対策ホームページ「奨学金なるほど!相談所」を開設。

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まずはおさらい、奨学金の基本

画像: 画像:iStock.com/Waradom Changyencham

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奨学金は大きく分けて、卒業後に返済が必要な「貸与型」と、返済不要の「給付型」の2種類があります。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)のほか、大学や地方自治体、民間団体など様々な団体が運営しており、給付額や給付の方法もそれぞれで異なります。

一般的に奨学金の受給には、家庭の収入状況や本人の成績などによる条件があります。申し込みは高校や大学、専門学校などを通じて行うケースがほとんどです。

貸与型の奨学金と教育ローンとの大きな違いは、「誰が借りているのか」という部分です。教育ローンの場合、親が親の名義で借りて、親が返済していくことになりますが、貸与型の奨学金は子ども自身が自分の名義で借り、卒業後は基本的に自分で返済していくことになります。

奨学金のことを、社会人になってから改めて「自分で借りた」ものだと意識する人もいるのではないでしょうか。

ここからは、最も利用者の多い日本学生支援機構の奨学金について、詳しく見ていきましょう。

注:日本学生支援機構の奨学金は「返還」としていますが、本記事では「返済」と記載します。日本学生支援機構の奨学金に関する情報は、記事の公開日時点のものとなります。最新情報は、公式ウェブサイトをご確認ください。

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奨学金の種類

日本学生支援機構の奨学金にはつぎの種類があります。

【A-1】貸与型/第一種奨学金(無利子)1)

第一種奨学金は、学校種別や国公立・私立の違い、通学形態によって借りられる上限額が決まる奨学金で、利子はありません。ただし、高校の成績が5段階評価で3.5以上(予約採用※1)というように明確に成績基準が設けられています。貸与月額の基準については以下の表のとおりです。

〈表〉大学の場合の貸与月額6)

区分国公立国公立私立私立
通学方法自宅通学自宅外通学自宅通学自宅外通学
最高月額45,000円51,000円54,000円64,000円
最高月額以外の月額30,000円
20,000円
40,000円
30,000円
20,000円
40,000円
30,000円
20,000円
50,000円
40,000円
30,000円
20,000円
※平成30年度以降入学者の場合

〈表〉短期大学・高等専門学校(4・5年生)・専修学校(専門課程)の場合の貸与月額6)

区分国公立国公立私立私立
通学方法自宅通学自宅外通学自宅通学自宅外通学
最高月額45,000円51,000円53,000円60,000円
最高月額以外の月額30,000円
20,000円
40,000円
30,000円
20,000円
40,000円
30,000円
20,000円
50,000円
40,000円
30,000円
20,000円
※平成30年度以降入学者の場合

※1:「予約採用」とは、高校3年次に在籍高校を通じて進学後の奨学金を予約する日本学生支援機構の制度のこと。進学した大学や専門学校を通して、在学中に申し込む「在学採用」もあります。

【A-2】貸与型/第二種奨学金(利子あり)2)

第二種奨学金は、年3%を上限とする利子つきの奨学金です。ただし、在学期間中に利子はつきません。また、進学先や通学形態にかかわらず、希望金額を選択できます。たとえば大学の場合は、月額2万円〜12万円の中から、1万円単位で選択可能です(※2)。採用基準は成績・家計基準ともに、第一種奨学金と比べると、ゆるやかに設定されています。

※2:私立大学の医学・歯学の課程の場合は12万円に4万円の増額が、 私立大学の薬学・獣医学の課程の場合は12万円に2万円の増額が可能です。

【解説】第二種奨学金の貸与利率について

貸与利率は2種類の算定方法があり、第二種奨学金を申し込む際に、どちらか一方を選択します。選んだ利率の算定方法は、貸与期間が終了する年度の一定時期まで変更できます。

〈2種類の算定方式〉

(1)利率固定方式3)

貸与終了時に決定した利率が返済完了まで適用される方式です。市場金利が上昇や下降した場合も、利率は変動しません。

(2)利率見直し方式3)

返還期間中、おおむね5年ごとに見直された利率が適用される方式です。市場金利が上昇した場合は貸与終了時の利率より高い利率が適用され、市場金利が下降した場合は貸与終了時の利率より低い利率が適用されます。

【B】給付型4)

大学・短期大学・高等専門学校(4年、5年)・専門学校に進学する人を対象とした返済不要の奨学金です。

対象は、高校を卒業して2年以内に大学などに進学した人です。そのため、浪人生でも条件を満たせば対象となります。収入要件は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯で、世帯収入に応じた3段階の基準で支給額が決まります。支給額は大学生で住民税非課税世帯の場合、年額約35万~約91万円です5)。住民税非課税世帯に準じる世帯では、この金額の3分の1または3分の2が支給されます。

それぞれの奨学金は併用が可能なため、「貸与型と給付型」「第一種と第二種」など、組み合わせて利用する人もいます。

奨学金の返済はいつまで続き、いくら返すの?

画像: 画像:画像:iStock.com/takasuu

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奨学金の月々の返済額と返済期間の目安

奨学金の返済は振替口座(リレー口座※3)に加入し、卒業後に返済が始まると、以降は完済するまで、毎月返済が続くことになります。

基本的に、返済期間は借りた奨学金の総額と、奨学金を利用する際に指定した返済方法(返還方式)によって決まり、15年や20年ほど続くことになります。日本学生支援機構の場合、「定額返還方式」と「所得連動返還方式」という以下の2つの返済方法があります。返済方法は奨学金の申込時に選択します。

※3:リレー口座とは、奨学金返還を行う振替口座の愛称です。『あなたの返還金が後輩奨学生の奨学金としてリレーされる』という意味で用いられています6)

(1)定額返還方式の場合7)

定額返還方式とは、月々の返済額が一定の返済方法です。借りた奨学金の総額に応じて、自動的に返済額と返済期間が決まります。返済期間は最長20年間となっています。

〈図〉定額返還方式のイメージ

定額返還方式は、第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(利子あり)の両方で利用できます。多くの人が、定額返還方式を選んでいます。以下は、定額返還方式における大学や専門学校での返済例です。

●定額返還方式における第一種奨学金の返済例

〈表〉国公立4年制大学 自宅外通学(貸与月額51,000円)の場合

貸与貸与月額借りた期間貸与総額
51,000円4年(48カ月)2,448,000円
返済返済月額返済期間返済総額
13,600円15年(180カ月)2,448,000円

〈表〉私立4年制大学 自宅通学(貸与月額54,000円)の場合

貸与貸与月額借りた期間貸与総額
54,000円4年(48カ月)2,592,000円
返済返済月額返済期間返済総額
14,400円15年(180カ月)2,592,000円

〈表〉私立2年制専門学校 自宅外通学(貸与月額60,000円)の場合

貸与貸与月額借りた期間貸与総額
60,000円2年(24カ月)1,440,000円
返済返済月額返済期間返済総額
9,230円13年(156カ月)1,440,000円
※端数分は最終月の返済額で調整されます。

無利子の第一種奨学金の場合は、第二種奨学金よりも借りられる上限額が低く設定されているため、貸与総額が少なくなる傾向があります。そのため、毎月の返済額はおおよそ1万〜2万円程度になることが多いでしょう。

●定額返還方式における第二種奨学金の返済例

〈表〉4年制大学 (貸与月額50,000円)の場合

貸与貸与月額借りた期間貸与総額
50,000円4年(48カ月)2,400,000円
返済年利返済月額返済期間返済総額
0.5%13,874円15年(180カ月)2,497,419円
1%14,428円15年(180カ月)2,597,188円
2%15,574円15年(180カ月)2,803,404円
3%16,769円15年(180カ月)3,018,568円
※端数分は最終月の返済額で調整されます。

〈表〉4年制大学 (貸与月額100,000円)の場合

貸与貸与月額借りた期間貸与総額
100,000円4年(48カ月)4,800,000円
返済年利返済月額返済期間返済総額
0.5%21,069円20年(240カ月)5,056,654円
1%22,172円20年(240カ月)5,321,420円
2%24,478円20年(240カ月)5,874,754円
3%26,914円20年(240カ月)6,459,510円
※端数分は最終月の返済額で調整されます。

〈表〉2年制専門学校 (貸与月額100,000円)の場合

貸与貸与月額借りた期間貸与総額
100,000円2年(24カ月)2,400,000円
返済年利返済月額返済期間返済総額
0.5%13,874円15年(180カ月)2,497,419円
1%14,428円2,597,188円
2%15,574円2,803,404円
3%16,769円3,018,568円
※端数分は最終月の返済額で調整されます。

第二種奨学金の場合は、借りられる上限額が月12万円までのため、第一種奨学金に比べ貸与月額を多く借りている人も多いでしょう。また、返済総額には利子分も加算されるため、毎月の返済額が1万〜3万円程度と高くなっています。

2019年3月に労働者福祉中央協議会が発表した「奨学金や教育負担に関するアンケート調査」8)によると、日本学生支援機構の奨学金を借りた人の貸与総額の平均は324万3,000円、毎月の平均返済額は1万6,880円でした。返済期間は貸与総額により異なりますが、多くの人が、大学卒業後13年〜20年という長期間にわたって返済を続けているということになります。

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(2)所得連動返還方式の場合9)

所得連動返還方式とは2017年4月から始まった、前年の所得に応じて月々の返済額が決まる返済方法です。2017年度以降、第一種奨学金(無利子)を利用しており「機関保証制度」を選択している人が、この返済方式を利用できます。機関保証制度とは、日本学生支援機構が指定する保証機関の連帯保証を受ける制度のことで、保証機関に保証料を支払う必要があります。

〈図〉所得連動返還方式のイメージ

所得が一定程度となるまでの間は、定額返還方式よりも返済月額が少なくなります。一方で所得が一定程度を超えると定額返還方式よりも返済月額が多くなります。その分、返済期間が短くなるわけです。逆にいえば、返済月額が少ないと返済期間がその分長くなり、20年以上になる場合もあります。

所得連動返還方式における、返済月額の計算式は以下のようになります。計算の結果、もし2,000円以下となる場合には、返済月額は2,000円となります10)

返済月額=前年の年間所得×9%÷12
※1円未満切り捨て

なお、この制度を利用するための機関保証制度の利用には保証料がかかります(※4)。また、所得が一定以下であれば月々の返済の負担は軽減されますが、返済すべき総額は変わらないため、返済期間が大幅に長くなる可能性があることに注意が必要です。

※4:貸与月額、貸与月数、貸与利率、返済期間などにより異なります。

自分の奨学金の返済状況を確認するには

返済している人の中には、毎月なんとなく引き落としされていて、自分の返済状況がどのようになっているか、しっかりと把握できていない人もいるのではないでしょうか。

奨学金の返済の口座振替日や貸与利率、返済中の住所変更や振替口座の変更などの届出は、日本学生支援機構のサイトから行うことができます。また、「スカラネット・パーソナル」に登録すると、各種変更手続きを行えるほか、自分の返済残高なども確認できます。登録は、スカラネット・パーソナルのアドレスにアクセスし、奨学生番号や奨学金振込口座番号、氏名、生年月日を入力して行います。

〈表〉スカラネット・パーソナルでできること11)

手続き関連
・転居・改姓・勤務先変更等の届け出
・繰り上げ返済の申し込み
・在学猶予願・在学猶予期間短縮願の提出
・自分の奨学金情報の閲覧・確認
・奨学金減額返還願・奨学金返還期限猶予願の作成・印刷
・各種証明書の発行申請
・最低返還月額申請(所得連動返還方式選択者)
奨学金を返済中の人が確認できる内容
・返済情報:奨学生番号、返済総額(元金)、返済残回数、返済残額(元金)、現在請求額
・金融機関情報:金融機関名、名義人氏名
・保証情報:保証制度(「機関保証」または「人的保証」のいずれかが表示されます)
・申請用紙ダウンロード(減額返還願・返還期限猶予願)

奨学金の返済残高確認方法については、以下の記事で詳しく説明しています。併せてご覧ください。

【関連記事】奨学金の返済残高を確認できる3つの方法について詳しくはコチラ

奨学金の返済がきつい…と思った時に利用できる制度は?

画像: 画像:iStock.com/chachamal

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様々な理由から、奨学金の返済が難しくなってしまうことがあるかもしれません。そんな時は、滞納してしまったり、焦って金融機関などからお金を借りたりせず、救済制度を活用しましょう。

日本学生支援機構の奨学金には、災害や傷病、家計の急変、失業などによって奨学金の返済が困難な時のために、3つの救済制度があります。

(1)毎月の返済額を減らせば返済できそうな時【減額返還制度】12)

一定期間、月の返済額を2分の1または3分の1に変更することができます。返済期間は返済額を2分の1にした場合は2倍、3分の1にした場合は3倍になります。適用期間は最長15年で、1年ごとに願出(制度の利用を願い出る願書を提出すること)が必要です。

なお、減額返還を利用できるのは「定額返還」の返済方式を選択した人のみであり、「所得連動返還」を選択した人は利用できません。

〈図〉減額返還制度のイメージ

適用収入条件は、給与所得の人は年間収入金額が325万円以下、給与所得以外の所得がある人は年間所得金額が225万円以下です。ただし、奨学金の返済を延滞している場合は原則願出できないので、必ず延滞する前に利用しましょう。

(2)一定期間、返済を待ってもらいたい時【返還期限猶予制度】13)

返済を一定期間猶予してもらって延期し、家計状況が整ったら返済を再開することができます。適用期間は最長10年間で、1年ごとに願出が必要です。適用収入条件は、給与所得の人は年間収入金額が300万円以下、給与所得以外の所得がある人は年間所得金額が200万円以下です。

〈図〉返還期限猶予制度のイメージ

(3)病気や死亡などで返済が困難になった時【返還免除制度】14)

死亡や病気により返済が困難になってしまった場合に、返還未済額を免除してくれる制度です。通常、本人の返済が困難になった際は連帯保証人や保証人が代わりに返済をすることになりますが、死亡や病気により返済が困難になってしまった場合には、返済免除の願出を提出することで、連帯保証人や保証人の返済義務も免除されます。

死亡の場合には申請をすればおおむね適用されますが、病気の場合には特定の基準が設けられていません。そのため、申請をしても返還期限猶予制度を案内される可能性もあることに注意しましょう。

もし病気で返済が困難な状況になってしまった場合には、日本学生支援機構に直接問い合わせて、自分が返還免除制度に当てはまるかどうか確認するようにしましょう。

救済制度に申し込む前に確認するべきこと

減額返還制度や返還期限猶予制度は、猶予期間中の利子や延滞金が追加でかかることはなく、免除されます。しかし、本来返済すべき元金や利子は免除されないので、利子を含む返済予定総額は変わりません。また、適用収入条件を超える場合でも以下の支出は収入から控除されるので、自分のケースに当てはまるかどうか確認しましょう。

〈表〉控除される要件と、控除の対象となる支出15)

控除される要件
・被扶養者がいる場合
・親や親族へ生活費援助をしている場合 等
控除の対象となる支出
・本人の医療費
・被扶養者の医療費
・災害等に罹災した時の住居費 等

救済制度は、スカラネット・パーソナルや日本学生支援機構のウェブサイトから所定の願出用紙を入手し、マイナンバー関係書類(初回のみ)と返済が難しい理由を添付して、郵送で申請します。

滞納する前に申告しよう

前述したように、奨学金の返済には救済制度が設けられています。ただし、救済制度は自己申告制であることに注意しましょう。たとえ経済的に厳しい状況にあったとしても、申請をせずに滞納してしまうと、延滞金(※5)が発生し、延滞が3カ月以上続いた場合には個人信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されます。

個人信用情報機関に延滞者として登録されると、金融機関などに「経済的信用が低い」と判断され、クレジットカードの発行ができなくなったり、利用を止められたりすることがあります。また、自動車ローンや住宅ローンなどの各種ローンが組めなくなる場合もあります。

一度登録された情報は延滞中だけでなく、延滞を解消しても登録され続け、返済完了の5年後まで残ります。そのため、将来自分の子どもの教育費などの資金計画にまで悪影響を及ぼしてしまうかもしれないのです。

9カ月以上の滞納は法的措置によって給与や財産の差し押さえにもなるので、奨学金も一般の金融商品と同じリスクがあることを意識しましょう。

※5:年(365日あたり)3%の割合で返済期日の翌日から延滞している日数に応じて延滞金が賦課されます。

返済がきつくても、金融機関から借りて返済しない

奨学金は利子のある第二種奨学金でも、その上限は年3%です。実際の貸与利率は、利率固定方式、利率見直し方式ともに、賃金業法上の上限よりも圧倒的に低い水準で推移しています。

〈表〉令和3年度の基本月額の貸与利率(年利%)16)

利率固定方式利率見直し方式
4月0.2680.003
5月0.2680.003
6月0.2680.003
7月0.1610.002
8月0.1640.002
9月0.2680.003
10月0.2680.004
11月0.2680.004
12月0.2680.002
1月0.2680.006
2月0.3690.040
3月0.3690.040

大手銀行のカードローンの金利は、三井住友銀行が年1.5〜14.5%17)、みずほ銀行が年1.5〜14%18)、三菱UFJ銀行が1.8〜14.6%19)です(※6)。これらと比較すると、奨学金の貸与利率が圧倒的に低く設定されていることがわかります。

そのため、ほかの金融機関からお金を借りて奨学金を返済しようとすると、かえって余計な利子分の金額まで支払うことになってしまいます。困ったらまず救済制度を利用する、ということを覚えておきましょう。

※6:各銀行の金利は2022年9月30日現在。

奨学金の繰り上げ返済はしたほうがいいの?

画像: 画像:iStock.com/bankrx

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一般のローンと同じように、日本学生支援機構の奨学金も、全額もしくは一部の繰り上げ返済が可能です。繰り上げ返済の手数料は無料なので、家計に余裕がある状況であれば、検討するのもおすすめです。繰り上げする金額次第では一括返済することも可能になります。

なお、日本学生支援機構の奨学金の繰り上げ返済は「期間短縮型」と呼ばれるものとなっており、繰り上げ返済をしたとしてもそれ以降の毎月の返済額は変わらず、返済期間のみが短くなります。

また、繰り上げできる金額については、「当月分+〇回分を返済希望」「上限〇万円を返済希望」のように選べます。

特に第二種奨学金の場合は、ぜひ繰り上げ返済を検討したいところです。繰り上げ返済した回数分にかかっている利子を支払わずに済むので、返済総額が少なくなります。

たとえば、第二種奨学金を年利率1.93%で120万円借りていた場合(月賦返還・返還回数144回)の返済額の例を見てみましょう。

〈表〉通常返済と繰り上げ返済をした場合の例

34回目~43回目の10回分を通常返済した場合
94,230円
34回目~43回目の10回分を繰り上げ返済した場合
81,043円

繰り上げ期間の利子分である1万3,187円を支払わなくてもよいということになります。月々の返済金額を見ていると利子はそれほど大きいものには感じませんが、こうして比べてみると、繰り上げ返済がお得であることがわかります。

繰り上げ返済の手続きはスカラネット・パーソナル、郵送・FAX、電話の3つの方法で行えます。

【関連記事】奨学金の繰り上げ返済について、シミュレーションなど詳しくはコチラ

奨学金の返済は、無理せず計画的に

画像: 画像:iStock.com/marchmeena29

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住宅や自動車などのローンと違い、奨学金は目に見えるモノがないため、返済に徒労感が募り、早く返したいと不安を覚える人は少なくないでしょう。

大切なのは、ライフプランと貯金とのバランスです。返済が厳しい時は救済制度を活用し、余裕があれば繰り上げ返済をするなど、その時々の自分の状況にあった手段を知っておくだけでも、返済に対する不安は小さくなるのではないでしょうか。自分にとって無理のない形で奨学金と付き合うことを考えていきましょう。

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