この記事では、シングルマザーの人が生命保険に加入するべきかどうかや、その場合におすすめの生命保険の選び方などを解説。シングルマザーの人が抱く生命保険にまつわる疑問について、東京海上日動あんしん生命のライフパートナー・金刺丈晴がお答えします。
この記事で回答した「保険のプロ」
金刺 丈晴(かねざし たけはる)
東京海上日動あんしん生命保険 エグゼクティブライフパートナー・ロイヤルメンバー。2023年度MDRT(COT)終身会員・生命保険協会認定ファイナンシャルプランナー・相続相談士。「保険を活用した老後資金形成」や「保険のセカンド・オピニオン」を得意とする保険業界歴14年のベテラン。ご相談に乗る時の信条は「本当のお客様本位」。
【Q1】シングルマザーに生命保険は必要?
【A1】ライフパートナーとして、シングルマザーだからという理由で生命保険の必要性を判断することはありません。なぜなら、生命保険が必要かどうかの判断は、ご家庭の経済状況やライフプランによって異なるからです。
また、公的医療保険や傷病手当金などで負担を軽減することができるという理由で「保険は必要ないのでは?」というシングルマザーの人もいるでしょう。
しかし、シングルマザーの人は子どもの生活を1人で支えることが多いため、病気やケガで働けなくなった時、生活を維持していくことが難しくなってしまいます。シングルマザーの人に万が一のことがあった場合、子どもが遺されることになりますが、金銭的な蓄えがないと、子どもに苦しい生活を強いる可能性があります。このような時、遺された子どもの生活を守るために、不足する一定部分を金銭面でカバーできるのが、医療保険や死亡保険を含む生命保険です。
【詳細解説】病気やケガで動けなくなった場合に金銭面の不足を補ってくれるのが、生命保険です。しかしシングルマザーの中には、生命保険は不要と考える人もいます。その理由としてよく聞くものを、不要とされる生命保険の種類別に整理してご紹介しましょう。
【医療保険がいらない理由】公的医療保険・傷病手当金などで十分だから
「国民皆保険制度」を採用している日本では、国民全員が公的医療保険に加入しています。病院で保険証を提示すれば、医療費の自己負担が3割以下で済みますし、1カ月の医療費が一定額を超えた時には「高額療養費制度」を利用し、負担を軽減することもできます1)。
さらに会社員の場合、病気やケガで働けなくなった時には「傷病手当金」によって、給与の2/3程度が保障されます2)。このように、公的医療保険が充実しているため、民間の医療保険への加入は不要と考える人もいるようです。
【死亡保険がいらない理由】遺族年金や死亡退職金があるから
「遺族年金」とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者、または被保険者であった人が亡くなられた時に、その人によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金のことです3)。
また、勤めている会社によっては本人の代わりに遺族が退職金を受け取る「死亡退職金」を設けている場合もあります。そのため、死亡保険に入らなくても、遺された子どもの保障ができると考える人もいるようです。
家庭の経済状況やライフプランから必要性を考える
ここまで見てきたように、公的医療保険や社会保障制度を活用すれば、生命保険に加入しなくても万が一の場合の経済的な負担に備えられるという考え方があるわけです。
もちろん、この考え方も間違いではありません。ただし、公的医療保険や社会保障制度だけではカバーできない、経済的な負担が生じる病気やケガをしてしまう可能性も忘れてはいけません。
いずれの場合でも、万が一に備える十分な貯えがあればいいのですが、現在の収入が少ないシングルマザーの場合、安心できるほどの貯金があるという人は少なくないでしょう。
参考資料
【Q2】生命保険の必要性が高いシングルマザーはどんな人?
【A2】そもそも生命保険とは、病気やケガまたは死亡などにより発生する経済的な負担を軽減するためのものです。ですから、生命保険の必要性が高いのは、現在の暮らし、または子どもの将来に対して「経済的な不安」を抱いている人といえます。
また、パートタイマーやフリーランスなどのシングルマザーの場合は、会社員と比べて社会保険の保障の範囲が狭く保障額も少なくなっています。さらに、子どもが独立している・独立間近であればいいですが、これから大学進学を予定している場合は、教育費や生活費がかかります。
これらを踏まえた上で、生命保険の加入を検討してみましょう。
【詳細解説】ここでは、生命保険に加入したほうがいいシングルマザーの人の特徴を理由とともにご紹介します。
①収入に不安がある人
残念ながら、現在の日本は男性に比べ女性の賃金が低い傾向があります4)。その理由のひとつに、シングルマザーの場合は家事や育児もひとりでしなければならないので、フルタイムで働けない人が多いことが挙げられます。
現在の生活を維持するだけの収入しかなく、万が一の場合や、子どもの将来のための貯金ができないと悩んでいるシングルマザーの人は、生命保険の加入を検討するべきでしょう。
②会社の健康保険や厚生年金に加入していない人
会社員が加入できる社会保険や厚生年金に対し、国民健康保険や国民年金は、保障の範囲が狭く保障額も少なくなっています。そのため、パートタイマーやフリーランスなど、会社の健康保険や厚生年金に加入していないシングルマザーの人は、会社員以上に万が一の際の経済的なリスクに備えておく必要があります。働けなくなった際に備える十分な貯えがない場合は、生命保険の加入を検討するべきです。
③子どもを大学まで進学させる予定がある
シングルマザーの人にとって、大きな悩みとなるのが教育費です。子どもが幼稚園から高校を経て、大学まで通うとなると、仮に国公立に通った場合でも約800万円近くかかるともいわれています5)6)。万が一の事態で収入が減ったり途絶えたりすることで、子どもを大学まで進学させる資金が不足することが心配なら、生命保険の加入を検討してもいいでしょう。
ただし、生命保険が必要かどうかを判断するのは、あくまでもご自身です。シングルマザーの人でも、万が一の場合に経済面で頼れる人がいる、子どもの将来を支えるのに十分な貯えがあるといった場合には、生命保険に加入する必要はないでしょう。
【Q3】シングルマザーが考えるべき収入と保険料のバランスは?
【A3】生命保険の保険料は、万が一の際に想定される経済的な負担の大きさによって決めるのが基本です。とはいえ、すべての負担を生命保険でカバーするとなれば、保険料も高額になってしまいます。
そこで必要なのが、今後のライフプランを明確にすることです。現在の暮らしに必要な金額、または自分や子どもの人生に必要なお金の総額がわかれば、生命保険が必要かどうかや、必要な場合の適切な保険料も見えてきます。
【詳細解説】「自分に生命保険が必要かどうか、どうやって判断すればいいの?」と思う人も多いのではないでしょうか。また、保険料の決め方となれば、なおさら悩むでしょう。じつは、判断の方法はとてもシンプルです。以下に、判断する方法を2ステップでまとめたので、ぜひ試してみてください。
STEP①生活に必要な年収を計算する
総務省統計局が公表している「2019年全国家計構造調査」7)によると、母子家庭の生活費の平均額は月に19万5,000円となっています。つまり、生活を維持するためには毎月約20万円、年間で約240万円必要ということになります。
さらに、子どもを大学まで進学させるための教育費など、ライフプランに応じて必要な金額をプラスして計算してみましょう。
STEP②収入が減る、または途絶えた場合の対策を考える
生活費にスポットを当てた場合、毎月約20万円の収入を維持できれば問題ありませんが、病気やケガで働けなくなれば、収入が減ったり途絶えたりしてしまいます。
仮に、大きな病気やケガで1年間働けなくなったとしましょう。会社勤めなら傷病手当金が支給されますが、金額の目安は給与の2/3程度なので、年間に160万円受け取ることができます。差し引きすると80万円の不足が生じることになります。
もし80万円の貯金があれば、不足分を補うことができますが、そうでなければ貯金に代わる保障の手段を考えなければなりません。
また、パートタイマーやフリーランスの人の場合は、この傷病手当金が適応されず、さらに大きな不足が生じる可能性があります。
これらの不足分を補う方法のひとつが生命保険というわけです。
たとえば、働けなくなった場合に備える生命保険には「就業不能保険」があります。「あんしん就業不能保障保険」なら、働けなくなった場合に40歳まで毎月10万円の給付金を受け取ることができ、30歳のシングルマザーの人の場合の掛け金は、月額2,000円程度です。毎月2,000円を貯金しても、80万円貯めるためには30年以上かかりますから、貯金に代わる保障の手段として検討する価値があるのではないでしょうか。
遺された子どもの養育費や教育費が心配な場合に加入を検討する死亡保険など、ほかの生命保険の掛け金について考える場合も同様です。まず想定される万が一の事態で発生する経済的な負担を算出し、それに見合う保障が得られる保険料を、収入とのバランスを考えて検討すればいいでしょう。
なお、シングルマザーの人の生活費や収入の目安について詳しく知りたい人は、以下の記事を併せてご確認ください。
【関連記事】シングルマザーが安心できる収入の平均について、詳しくはコチラ
【Q4】シングルマザーに加入をすすめたい生命保険は?
【A4】ライフプランによって、加入を検討すべき生命保険の種類は異なります。もちろん、生命保険は不要という選択肢もあるでしょう。
しかし繰り返しになりますが、収入が低く貯金が難しい状況のシングルマザーの人の場合、生命保険は頼りになる保障といえます。
シングルマザーで、潤沢な貯蓄がない人は、リスクに合わせて生命保険の必要性は考えましょう。特に、「医療保険」「がん保険」「就業不能保険」の加入検討は行ったほうがいいでしょう。
【詳細解説】シングルマザーの人におすすめする機会が多い商品を、理由と併せてご紹介します。
①医療保険
病気やケガで働けなくなった場合、医療費への備えとして、公的制度などでは不足するかもしれない部分を補う場合に検討されるのが、医療保険です。
医療保険とは、病気やケガによる入院や手術にかかる費用を保障する保険で、主に公的医療保険の対象にならない部分に備えることができます。たとえば、通院に伴う交通費や差額ベッド代、先進医療などは公的医療保険の対象外です。普段の生活費にプラスされる入院費や医療費をカバーすることができます。特にシングルマザーの人には、女性特有の病気に備える保障を追加できるタイプの医療保険がおすすめです。
なお、入院費について、詳しく知りたい人は、以下の記事を併せて確認してみてください。
【関連記事】入院費はいくらかかる? 入院日数や傷病別の金額相場から内訳について、詳しくはコチラ
②がん保険
病気の中でも特にがんは、公的医療保険の対象外となる「先進医療」を受ける場合が多いなどお金がかかる可能性があります。十分な貯蓄がないシングルマザーの人の場合、治療費と生活費をどのように工面すればいいかと途方に暮れてしまうでしょう。
がん保険に入れば、長期のがん治療に備えることができます。がんと診断された場合、診断一時金を受け取ることができる保険もあります。
②就業不能保険
シングルマザーの人が心配すべきなのは、病気療養中の生活費です。病気で働けない場合、基本的に給料はもらえません。会社勤めなら健康保険制度の中に傷病手当金もありますが、それでも元気で働いている時の2/3程度の収入になってしまいます。
そこで生活の助けとなってくれるのが、就業不能保険です。就業不能保険は、被保険者が病気やケガで働けなくなった場合、長期にわたり保険金を受け取れる保険です。働けなくなった時の保障を確保したい人や、公的保障や貯蓄だけでは生活費が足りない心配がある人におすすめしています。
④収入保障保険
就業不能保険と同様に働けなくなった時の生活を保障してくれる保険として収入保障保険があります。
収入保障保険は、被保険者が亡くなった、または重度の障がい状態になった場合、年金のように毎月一定額の保険金が保険期間の満了まで支給される保険です。万が一の場合に、子どもの生活を保障することに適した保険といえるでしょう。月々の保険料が比較的安価なのも特徴です。
⑤変額保険
変額保険は、万が一の時の保障の機能と、資産運用の機能が一体となった保険です。子どもの将来のために備えだけでなく貯えも準備したいと考える人に、投資リスクがあることを十分説明した上で、おすすめしています。支払った保険料は保険会社により運用され、運用実績によって保険金や解約返戻金が増減する可能性があるからです。
【Q5】シングルマザーの保険料の負担を抑えるポイントは?
【A5】保険料の負担を少しでも抑えるポイントは、健康保険や年金といった社会保障制度で受けられる保障を最大限に活用することです。
また、シングルマザーの人の場合は公的手当を受け取ることで、生活費や養育費の負担を軽減することもできます。保険料の負担額を軽減するには、払込期間を長くする、若いうちに加入する、といった方法もあります。
【詳細解説】ここでは、保険料の負担をできるだけ減らすための3つのポイントをご紹介します。
ポイント①社会保険料や医療費の負担を軽減する制度を利用する
日本は健康保険や年金など社会保障制度が充実していますが、そのぶん社会保険料も安くはありません。しかし、シングルマザーの人の場合は、以下の制度を利用することで、社会保険料や医療費を減らすことができます。以下が代表的な減免制度や補助制度です。
- 国民年金保険料免除・納付猶予制度
- 国民健康保険料の軽減
- ひとり親家庭等医療費助成制度
- ひとり親控除
このほかにも様々なサポート制度があります。自分に条件が当てはまるものは積極的に活用してみましょう。
なお、シングルマザーの人が受けられる手当や制度に関して、以下の記事でより詳しくご紹介しています。併せて確認してみてください。
【関連記事】シングルマザーが受けられる手当はいくら? 条件や金額の目安について、詳しくはコチラ
ポイント②保険料の払込期間を長くして月々の保険料を減らす
生命保険の種類によっては、払込期間を長くすることにより、毎月の負担額を減らせる場合があります。
たとえば、保険期間が一生涯続く保険の場合、払込期間を65歳までよりも、終身払いに設定したほうが月々の保険料を抑えることができます。
ポイント③年齢が若いうちに加入し、月々の保険料を減らす
生命保険の保険料は、基本的に病気になるリスク、死亡するリスクを年齢別に算出した結果に応じて決められています。そのため、病気になるリスク、死亡するリスクが低いとされる、若いうちに加入したほうが月々の保険料が安くなります。
【Q6】生命保険を検討するシングルマザーに向けてアドバイスを!
【A6】シングルマザーの人で、経済的な余裕がある人は少ないのではと思います。だからこそ大切なのが、ご自身や子どもの未来について考えるライフプランニングです。描く未来に必要なお金がわかれば、どのような備えをすればいいかが明確になります。
我々ライフパートナーの仕事は、お客さまがライフプランを描くお手伝いをすることです。そのために、生涯資金のシミュレーションや制度などの最新知見のご提供、最適な保険の提案を行っています。あなたのライフプランを明確にするためにも、まずは気軽に無料相談をご利用ください。
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