「将来の子どもの教育費は準備できるかな…」
「自分に万が一のことがあったらどうしよう…」
そんな不安を抱えている人も少なくないのではないでしょうか? ただ、子どもが将来困らないように…という思いから、必要以上に民間の保険に加入しすぎると、保険料が家計を圧迫する可能性があるのも事実です。
この記事では、そんなシングルマザーの人にとって、民間の保険は必要なのかどうか、保険を選ぶなら何をポイントに選べばいいかをご紹介します。3児のシングルマザーである、ファイナンシャルプランナー・矢野舞美が丁寧に解説します。
この記事の著者
矢野 舞美(やの まいみ)
ファイナンシャルプランナー、マイライフエフピー ®認定ライター、女性のお金の専門家。
大分県在住、子ども3人を育てるシングルマザー。自分らしく生きるために「心・時間・お金」の3つのバランスを整え、子育ても仕事も大切に、ストレスフリーの暮らしが整うよう、講座・執筆、相談業務を行っている。
シングルマザーに民間の保険は必要? その理由は?
まず、考えておきたいのは「民間の保険はシングルマザーの人にとって必要なのかどうか?」ということでしょう。
シングルマザーの人は子どもの生活を1人で支えることが多いため、病気やケガで働けなくなった時、生活を維持していくことが難しくなってしまいます。
また、私たちの生活は、災害や事故などいつ起こるかわからない様々なリスクと隣あわせにいます。シングルマザーの人に万が一のことがあった場合、子どもが遺されることになりますが、金銭的な蓄えがない場合、子どもに苦しい生活を強いる可能性があります。
このような時、遺された子どもの生活を守るために不足する一定部分を金銭面でカバーできるのが民間の保険です。
では、このような民間の保険は必ず加入したほうがいいのでしょうか?
答えとしては、「その人の環境・貯蓄状況によって必要性は異なり」ます。
子どもを代わりに養育してくれる人がいる場合や、十分に貯蓄がある場合には、加入する必要がないかもしれません。一方で貯蓄が十分でない人や、子どもの将来に十分なお金を準備してあげたいという人にとって、保険加入は必要でしょう。
ただし、加入するとしても、心配だからとやみくもに保険に加入してしまっては、金銭的な負担が大きくなってしまいます。安心できる日々を過ごすためにも、無理のない範囲でリスクに備えておくことが大切です。
まずは、今の収入を鑑みた上で、生活費や子育て費を把握することが大切なのです。シングルマザーの人の月々の生活費の平均や収入の平均などについては、以下の記事でご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】シングルマザーの生活費はいくら必要? 詳しくはコチラ
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シングルマザーが保険加入を検討する時に押さえたい3つのポイント
現在の生活費や子育て費などを把握して、自分にとって保険が必要だと感じたら、保険加入を検討していきましょう。
しかし、保険の種類はたくさんありますし、適正な保険料もなかなかわからない人も多いでしょう。
そこで、シングルマザーの人がどのような見方で保険を検討すればいいかについて解説します。検討するにあたって、下記の3つのポイントを押さえましょう。
(1)【主に死亡保険を検討する場合】遺族年金を踏まえて必要保障額を算出してみる
シングルマザーの人が最も心配するのは、自分が亡くなり、子どもが遺される、という状況でしょう。この状況に備える場合、死亡保険を検討することになりますが、まずは必要保障額を考えましょう。一般的な必要保障額とは、遺された家族が安心して生活していく上で必要なお金のことです。
子どもにできるだけお金を遺したいという意識から、死亡保険に高額な保険料をかけてしまうケースがありますが、あくまでも「必要なお金だけを準備する」という意識が大切です。
その際、考慮に入れておくべきなのが、遺族年金1)です。親が亡くなった時、遺された子どもがお金を受け取れる公的な保障です。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つがあり、シングルマザーの人が国民年金に加入している場合は遺族基礎年金のみが支給され、会社員として厚生年金に加入している場合には、遺族厚生年金も併せて支給されます。
ただし、亡くなった人の年金の納付状況や子どもの年齢、優先順位などの条件をすべて満たしている場合に支給されるため、この点は注意が必要です。
遺族年金を必要保障額に含めないで、死亡保険の保険金額を設定すると、月々の保険料が高額になりがちです。必ず遺族年金を考慮に入れて、必要保障額を算出し、それでも不足する場合に死亡保険でカバーする、という考え方で保険加入を検討しましょう。
なお、遺族年金の目安は、日本年金機構のウェブサイト1)から確認できるので、気になる人はチェックしてみましょう。
参考資料
(2)【主に医療保険を検討する場合】公的制度の利用を考慮に入れる
医療保険を検討する際は、自分がどのような公的制度を利用できるのかを理解することから始めましょう。日本の公的制度は充実しており、シングルマザーの人への優遇措置もあるのです。
たとえば、自分自身の病気やケガで高額な医療費がかかった場合、高額医療費制度2)を利用すれば、月々一定額以上の医療費負担は発生しません。また、勤務先の社会保険に加入している人は、病気やケガで働けなくなったとしても、所定の条件を満たせば傷病手当金3)を受け取れます。
シングルマザーで所得が一定以下の人は、ひとり親家庭等医療費助成制度4)を利用して、医療費の負担を軽減できます。さらに、各自治体では、子育て援助活動支援事業としてファミリー・サポート・センター事業5)を行っています。親の病気や急用時に子どもを預かってもらうなど、サポートも充実しているのです。
このように、シングルマザーの人が病気やケガで治療が必要になっても、公的制度や手当でカバーできることがあります。そのため、これらの制度や手当を利用して不足が発生すると考えられる場合に、民間の保険に加入するようにしましょう。
なお、シングルマザーの人が受給できる手当や、補助制度、減免制度に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています。病気などの時に限らず、経済的な助けになってくれるので、ぜひ読んでみてください。
【関連記事】シングルマザーが受けられる手当はいくら? 詳しくはコチラ
(3)保険料の払込期間を長くして月々の負担額を減らす
民間の保険に加入したくても収入が少なく「高い保険料は払えない」という人もいるでしょう。保険料の負担が大きくなると日々の生活に影響して、支払いが困難になることもあります。
そんな人に覚えておいてほしいのが、払込期間(契約者が保険料を支払う期間のこと)と月々の負担額の関係です。
生命保険では、払込期間を長くすることで、毎月の負担額を減らせる可能性があります。保険の種類によっては、この払込期間を選べるようになっているのです。
たとえば、保険期間が一生涯続く保険の場合、払込期間を65歳までよりも、終身払いに設定したほうが月々の保険料を抑えることができます。
シングルマザーにおすすめの5つの保険
保険加入を検討する前に押さえるポイントをご紹介しましたが、保険は死亡保険や医療保険といったイメージしやすいものばかりではありません。種類が多いために見分けがつきにくいと感じる人も多いでしょう。そこで、シングルマザーの人におすすめの保険を5つご紹介します。
保険の特徴や特におすすめしたい人、月々の保険料の目安も解説します。どのような時に備えられる保険があるかを知り、ご自身に合った保険を選びましょう。
【注】同じ種類の保険であっても、商品によって保障内容や特徴、保険料は異なります。あくまで参考としてご覧ください。
(1)収入保障保険
●特徴
収入保障保険は、被保険者が亡くなった、または重度の障がい状態になった場合、年金のように毎月一定額の保険金が保険期間の満了まで支給される保険です。万が一の場合に、子どもの生活を保障することに適した保険といえるでしょう。月々の保険料が比較的安価なのも特徴です。
●特におすすめしたい人
・保険料を抑えて、必要保障額を確保したい人
・子どもの成長に伴い保障額を減らしてもいい人
・子どもがまだ幼く、独り立ちするまでの期間が長い人
●保険タイプ
・掛け捨て型
●保険料の目安(参考)
条件 | 月々の保険料 |
---|---|
35歳女性、月額給付金10万円の場合 | 約2,700円 |
(2)変額保険
●特徴
変額保険は、万が一の時の保障の機能と、資産運用の機能が一体となった保険です。支払った保険料は保険会社により運用され、運用実績によって保険金や解約返戻金が増減する可能性があります。この保険には投資リスクがあるため、そのことを踏まえて加入しましょう。
●特におすすめしたい人
・資産形成に興味があるが、保障も備えておきたい人
●保険タイプ
・積立投資型
●保険料の目安(参考)
条件 | 月々の保険料 |
---|---|
35歳女性、基本保険金額200万円の場合 | 約1万円 |
(3)医療保険
●特徴
医療保険は、病気やケガによる入院や手術にかかる費用を保障してもらえる保険です。主に公的医療保険の対象にならない部分に備えることができます。通院に伴う交通費や差額ベッド代、先進医療などは公的医療保険の対象外です2)。
●特におすすめしたい人
・通院に伴う費用や入院などによる急な出費に備えたい人
●保険タイプ
・掛け捨て型
※積立型の保険もありますが、ここでは掛け捨て型を紹介しています。
●保険料の目安(参考)
条件 | 月々の保険料 |
---|---|
35歳女性、入院給付金日額5,000円の場合 | 約2,000円 |
(4)がん保険
●特徴
乳がんや子宮がんなどを手厚く保障でき、長期のがん治療に備える保険です。がんと診断された場合、診断一時金を受け取ることができる保険もあります。
●特におすすめしたい人
・医療保険にプラスして特にがん保障を手厚くしたい人
・がんにより働けなくなった場合の期間を一時金でカバーしたい人
●保険タイプ
・掛け捨て型
※積立型の保険もありますが、ここでは掛け捨て型を紹介しています。
●保険料の目安(参考)
条件 | 月々の保険料 |
---|---|
35歳女性、 入院給付金日額1万円 通院給付金日額5,000円 診断給付金1回50万円 先進医療給付金2000万円 特定治療給付金1億円 主契約の手術・放射線治療給付金、抗がん剤治療・緩和療養給付金月額10万円 | 約4,600円 |
(5)就業不能保険
●特徴
就業不能保険は、被保険者が病気やケガで働けなくなった場合、長期にわたり保険金を受け取れる保険です。
●特におすすめしたい人
・働けなくなった時の保障を確保したい人
・公的保障や貯蓄だけでは生活費が足りなくなってしまう人
●保険タイプ
・掛け捨て型
●保険料の目安(参考)
条件 | 月々の保険料 |
---|---|
35歳女性、月額給付金10万円 | 約2,800円 |
保険加入と併せて知っておきたい。社会保険料の減免制度
ここまで民間の保険についてご紹介してきましたが、併せて健康保険や国民年金といった社会保険制度に関しても押さえておきましょう。
保険制度自体はありがたい反面、社会保険料は家計の負担になりがちです。民間の保険への加入により負担が増えるタイミングで、これらの負担が減らせないか、確認しておきましょう。
シングルマザーだからといって社会保険料が無条件に免除されることはありません。ただし、失業や収入減少などの経済的な理由により、保険料の支払いが難しくなった場合は、申請することにより免除・減額される制度7)があります。健康保険や国民年金についてそれぞれ見ていきましょう。
(1)国民健康保険の減免制度
災害やそのほか特別の事情により国民健康保険料を納めることが厳しい人は、申請することにより減免や納付猶予を受けられる場合があります6)。このほかにも下記のような減免制度があります。
・低所得者世帯の国民健康保険の均等割額の軽減措置
一定の基準を満たすことにより、「国民健康保険」の均等割保険料が軽減されます。均等割額とは、国民健康保険の保険料の一部で、各人の所得による変動がない部分です。なお、この措置は申請が必要です。
・子どもに係る国民健康保険料等の均等割額の減額措置
健康保険法などの一部を改正する法律(令和3年法律第66号)の施行に伴い、令和4年4月から子育て世帯の経済的な負担を軽減するために、子どもの均等割保険料が軽減されます7)。子育て世帯への経済的負担の軽減の観点から、未就学児がいる世帯に対して、一律に未就学児の均等割額の2分の1を減額します8)。
〈図〉未就学児の均等割額の軽減イメージ
すでに、低所得者の保険料の軽減を受けている場合は、当該軽減後の均等割額の2分の1を減額します。こちらの申請は不要です。詳しい内容は、お住まいの市区町村の窓口で確認してみましょう。
・倒産、解雇、雇い止めなどにより退職された人に対する軽減措置
倒産や解雇などで退職された人も国民健康保険料が軽減されます8)。こちらは申請が必要です。条件など詳しい内容は、お住まいの市区町村の窓口で確認してみましょう。
(2)国民年金の減免制度
国民年金も、本人の経済状況などによって全額免除や納付猶予の制度が備わっています9)。前年の所得が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料の支払いが経済的に困難な場合は、申請することで保険料の支払いが免除になります。対象年齢は20歳〜50歳未満の人です。
手続きをせずに未納のままだと、老齢年金を受け取れませんが、保険料の免除手続きを行えば、免除期間分は2分の1の老齢年金として算定されます。
また、免除・納付猶予を受けた期間中に、病気やケガで障害や死亡といった不慮の事態が発生した場合でも障害年金や遺族年金を受給できます。
申請先は、お住まいの市区町村の窓口もしくは、お近くの年金事務所です。
収入と将来の必要資金に合う、保険への加入を検討しましょう
シングルマザー自身にもしものことがあった時に備えて、子どもの養育に支障のないよう備えておきたいものです。そのためには、まずはシングルマザーの人が利用できる公的制度や手当などを活用しましょう。その上で、必要保障額を算出し、足りない分を民間の保険による保障でまかなうことが大切です。今の収入と将来必要となる資金を考えて、ご自身のライフプランに合った保険を選ぶようにしましょう。
【おすすめ情報】最適な保険選びに迷ったら、「お金のプロ」に相談してみましょう
自分に最適な保険を選ぶためには、万が一の時の必要保障額がいくらになるかを算出する必要があります。しかし、自分だけで行うのは至難の業です。
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