とはいえ、「万が一のために保険に興味が湧いてきたけれど、選び方がわからない」という方は多いのではないでしょうか。あるいは、「まだ20代の自分に保険って必要なの?」と疑問に感じる方も少なくないと思います。
そこで本記事では、保険の必要性や選び方、保険料の相場や加入のメリットを20代向けに総まとめ。金融ライター・ファイナンシャルプランナーの品木彰が徹底解説します。これを読めば、「20代の保険との付き合い方」がわかるでしょう。
20代の自分に民間の医療保険は必要? 簡単チェック!
それぞれ、チェック項目のどれかに当てはまる場合は保険加入が必要or不要です。
【必要な人の特徴】
□貯蓄がなく病気やケガで入院したり働けなくなったりすると生活が著しく苦しくなる
□自分が万一の時に経済的に困る家族がいる
□葬式代やお墓代などは自分で用意しておきたい
【不要な人の特徴】
□病気で入院したり働けなくなったりしても困らないほど貯蓄がある
□自分に万一のことがあっても経済的に困る家族はいない
20代で保険が必要ないと言われる理由はなぜ?
若くて健康な20代のうちは、保険に加入する必要はないと感じている方も多いでしょう。また、ニュースサイトやSNSで20代は保険に加入する必要はない、という意見を目にしたこともあるかもしれません。
では、本当に20代は保険加入しなくてもよいのでしょうか? ここでは、20代にとって保険が必要ないと言われる理由を解説します。
理由①:生活を圧迫する可能性があるから
20代に保険が必要ないと言われる理由の1つ目は、保険料の支払いが生活を圧迫する可能性があるからというものです。
2021年度の公益財団法人生命保険文化センターの調査1)によると、29歳以下が支払う保険料は年間で平均21.4万円。ひと月あたりの保険料は、平均で約1万7,900円です。
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20代は、30代や40代の人よりも病気や死亡のリスクが低い分、保険料は安くなります。しかし複数の保険に加入したり、終身保険や個人年金保険など貯蓄型の保険に加入したりすると、20代でも毎月の保険料が1万円を超えることがあります。
たしかに貯蓄型の保険は、商品にもよりますが払い込んだ保険料以上のお金が戻ってくることがあるため損をしたと思いにくいでしょう。その反面、貯蓄型の保険は、掛け捨て型の保険よりも保険料が割高であり、家計を圧迫しやすいのです。
また後述しますが、保険の保障内容をシンプルにすることで、保険料負担を抑えることができます。家計に支障が出ない範囲で保険に加入し、病気やケガなどに備える方法もあります。
理由②:公的医療保険制度が充実しているから
理由の2つ目が「病気やケガをしても公的医療保険の保障が受けられるから」というものです。
日本では、国民皆保険制度によって全国民が公的医療保険に加入しています。そのため、病院やクリニックなどで医療行為を受けた時、支払窓口に健康保険証を提示すると医療費の自己負担が3割以下で済みます。また、ひと月の医療費が上限額を超えた時には「高額療養費制度」を利用できます。年齢や年収によって上限額は変動しますが、たとえば69歳以下で年収が約770万円までであれば、ひと月の医療費が100万円ほどかかったとしても、最終的な自己負担額は6万〜9万円ほどになります。
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さらに会社員であれば、病気やケガで働けなくなった時は「傷病手当金」を申請でき、受給できれば給与の3分の2程度を保障してもらえます。
このように病気やケガになったとしても、公的医療保険の給付である程度の金銭的な負担をカバーできます。万が一の備えとして、100万~200万円程度の貯蓄があれば保険はほぼ不要と言えるのかもしれません。
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とはいえ、傷病手当を受給できたとしても、給与の3分の2では生活費や医療費をカバーできない可能性もあるでしょう。また入院や通院はいつまで続くかわからず、その間働けない分だけ、収入は減少します。
加えて、入院の際に希望して個室に入った時の差額ベッド代や入院中の食事代、先進医療の技術料などは全額自己負担です。公的医療保険ではカバーされない、思わぬ出費があるかもしれません。
理由③:子どもがいないから
結婚している場合や子どもがいる場合は、自分自身が亡くなったあとに遺された家族が生活していけるように、死亡保険に加入するなどして保障を準備する必要があります。特に、これから教育費がかかる子どもがいる場合は、高校や大学などへの進学資金を準備するために学資保険に加入する人も少なくありません。
しかし、養っている子どもがいない場合は、死亡保障や進学資金を準備するための保険は不要でしょう。厚生労働省の国民生活基礎調査2)によると、20代~30代で1人以上の児童(※)がいる世帯の数は以下のとおりです。
※同調査では、「18歳未満の未婚の者」を児童と定義しています。
〈表〉20~30代で1人以上の児童がいる世帯数
世帯主の年齢 | 児童がいる世帯数 |
---|---|
20〜24歳 | 4万7,000世帯 |
25〜29歳 | 33万1,000世帯 |
30〜34歳 | 113万3,000世帯 |
35〜39歳 | 191万9,000世帯 |
このように20代は、30代と比較して子どもがいる世帯数が少ないため、保険に加入する必要性は低いといわれています。
しかし、子どもがいないから死亡保険を不要と決めるのは早計かもしれません。たとえば、自分自身が亡くなったあとの葬儀費用や遺品の整理費用を、親やきょうだいに負担させたくないと考えて死亡保険に加入することがあります。
また高齢の両親や祖父母の生活を支えながら働いている20代の方もいます。ご自身が亡くなったり病気で働けなくなったりした時に、経済的に困る家族がいるのであれば保険の加入を検討することが大切です。
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20代で保険に加入するメリット・デメリット
20代であっても、保険が不要であるとは限りません。加入を検討する際は、メリットとデメリットの両方を理解した上で、ご自身にとって保険が必要なのか判断することが大切です。
メリット
年齢が若いほど、基本的に保険料は安くなります。保険には、契約を更新するたびに保険料が上がる定期タイプと、加入時から保険料が変わらない終身タイプがあります。このうち終身タイプの保険に20代で加入すると、高齢になったあとも加入時の安い保険料で病気やケガに備えられるのです。
たとえば一生涯にわたって病気やケガに備えられる終身型の医療保険の場合、商品や内容にもよりますが、45歳で加入すると毎月2,500円前後の保険料負担となります。それが25歳で加入すると、月々の保険料が1,300円前後で済む可能性があるのです。
20代は保険料を毎月いくら支払っているのか、平均額が気になる方は、下記の記事で年代別、既婚・独身といった家族構成別に詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
【関連記事】20代の保険料の平均額は? 年代・家族構成別にまとめた記事はコチラ
また20代は、30代以降の方と比較して健康な方が多いため、保険に加入しやすいのです。健康状態や喫煙状況が保険会社の基準を満たしていると、保険料が割引されるケースもあります。これも20代のうちに保険に加入しておくメリットの1つと言えるでしょう。
保険に加入する時は、基本的に健康状態の告知が必要です。過去に大病をわずらった経験や持病などがあると、保険の加入を断られたり「保険料の割増」や「保険金額の減額」などの条件が付いたりすることがあります。「病気が心配になる50代や60代になったら保険に加入しよう」というのも選択肢の1つですが、その頃には、すでに何かしらの病気を抱えており、保険に加入できない可能性もあります。
デメリット
20代は、30代以降の方よりも健康な方が多く、安い保険料で加入できます。しかしその反面、病気で入院したり働けなくなったりする確率が低いため、保険に加入しても保険金や給付金を請求する機会は少なく、損をしたと感じるかもしれません。
また保険料を支払うと、自己投資に回せるお金が減ってしまう点にも注意が必要です。自己投資とは、お金や時間を自分自身に対して投じることです。「書籍を購入する」「セミナー・勉強会へ参加する」「専門資格を取る」など様々なケースがありますが、基本的に自己投資にはお金がかかるのが一般的です。
終身雇用が崩壊したと言われる現代の日本で、安定した収入を得たりキャリアアップしたりするためには、知識やスキルを積極的に磨いていかなければなりません。20代で保険に加入するのであれば、自己投資に支障がない範囲で保険料を支払うことが大切です。
ズバリ! 20代でも加入を検討すべき保険の特徴
ここまで読んでいただき、20代で保険に加入するメリット・デメリットをご理解いただけたのではないでしょうか。
では、20代は具体的にどの保険を選べばよいのでしょうか? ここでは、20代が優先して加入を検討すべき保険を解説します。
働けない状態に備えられる保険
20代が優先して検討するとよい保険の1つ目は「就業不能保険」です。就業不能保険に加入すると、病気やケガなどで長期間にわたって療養が必要になってから一定の期間が過ぎると、決まった額の給付金が毎月支払われます。
会社員が受給できる傷病手当金の支給額は、支給が始まる前の12カ月間で受け取った平均給与の最大3分の2であり、支給期間は最長1年半です。
就業不能保険は、入院だけでなく医師の指示による在宅療養も保障の対象となるのが一般的です。加入することで、傷病手当金だけではまかなえない収入の減少をカバーできます。また社会保険に加入していない自営業やフリーランスでは傷病手当金の申請ができないため、その代わりに就業不能保険に加入するのがおすすめです。
病気・ケガを保障する保険
加入を検討するとよい保険の2つ目は、「医療保険」です。
医療保険のほとんどは、病気またはケガを治療するために入院すると「入院給付金」が支払われます。入院給付金の給付額は「入院給付金日額×入院日数」で決まるのが一般的です。また病気やケガを治療する目的で手術を受けると、手術給付金が支払われます。
さらには、特約を付けることでがんや女性特有の病気などの保障を手厚くしたり、働けなくなった時に備えたりすることも可能です。医療保険に加入することで、医療費の自己負担分や入院で減ってしまった収入などをカバーできます。
どれだけ健康に気をつけていても、病気になるリスクをゼロにするのは困難です。貯蓄で医療費の自己負担に備えようと考えている方も、資金が準備できるまで医療保険に加入しておくのもおすすめの方法です。
20代が保険を選ぶ時のポイント
20代にとって保険が必要かそうでないかは人によって様々です。そのため、自分自身にとって必要なのかを考えることが重要です。加入を検討する時は、目的を明確にした上で公的医療保険制度の内容を確認し、必要な保障のみを選ぶことで失敗を防げるでしょう。ここでは、20代が保険を選ぶ時の4つのポイントを紹介します。
ポイント①:目的を明確にする
保険に加入する際は、備える目的を明確にすることが大切です。たとえば、病気やケガをした時の医療費の支払いや収入の減少に備えたいのであれば、「医療保険」や「就業不能保険」を検討するとよいでしょう。
自分自身が亡くなったあとの葬儀費用やお墓代を準備したいのであれば、一生涯にわたって死亡に備えられる「終身型の死亡保険」が主な選択肢となります。
加入目的を考える時に役立つのが「ライフプラン」です。ライフプランとは、これからの人生の設計図のことであり、結婚や住宅の購入、子どもの進学など今後起こりうるライフイベントと必要になる資金が明確になります。
ライフプランを作成することで、入院や休職、死亡など対処が必要なリスクがわかりやすくなります。ライフプランの作成は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するとよいでしょう。
東京海上日動あんしん生命では、FP資格を持つ「ライフパートナー」にライフプランの相談が可能です。
「どんな相談ができるの?」「いきなり保険を売りつけられたりしない?」といった疑問がある方は、実際にライフパートナーが受けた相談内容とアドバイスをご紹介する「みんなのお悩み相談」も、下記から併せてご覧ください。
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ポイント②:公的医療保険制度の内容を確認してから選ぶ
民間の保険会社の保険は、公的医療保険制度をカバーするために取り扱われています。適切な商品や保障プランを選ぶには、公的医療保険制度の理解が欠かせません。
たとえば医療保険を検討する際は、公的医療保険の給付や全額自己負担となる費用などを理解することが大切です。理解が不十分のまま保険を選んでしまうと、必要以上の保障を選んで保険料を余分に支払ったり、本当に必要な保障が不足したりするかもしれません。
保険を検討する前に、万が一のことがあった時に利用できる公的医療保険制度を確認しておきましょう。
ポイント③:保障内容をシンプルにして保険料を抑える
20代は、一般的に勤続年数が浅い方が多く、30代以降の現役世代と比較して収入が低い傾向にあります。限られた収入の中から生活費や自己投資の費用を捻出しつつ、将来に向けた貯蓄・資産形成もしていかなければなりません。
そのため20代が保険に加入する時は、保障内容をシンプルにして保険料負担を抑えるのも1つの方法でしょう。
たとえば入院給付金日額が5,000円の終身医療保険の場合、複数の特約を付けると月々の保険料が3,000円を超えることがあります。しかし特約を付けず入院や手術、先進医療のみを保障するシンプルなプランにすると、保険料を1,500円前後にすることも可能です。
ポイント④:ライフステージが変わるタイミングで見直す
保険は、結婚や出産、転職、住宅購入などライフイベントが発生するたびに見直す必要があります。
たとえば、結婚したり、子どもが生まれたりといった理由で世帯を経済的に支える立場になったのであれば、亡くなったあとも遺された家族が生活できるように、死亡保障を手厚くする必要があるでしょう。
また、マイホームを購入すると、マイホームの返済のために備えていた死亡保障を減額できる可能性があります。住宅ローンを組む時は、団体信用生命保険に加入するのが一般的であり、債務者が亡くなるとローンが免除されるためです。
保険に加入したあとも、ご自身のライフスタイルに合わせて保険を定期的に見直しましょう。
保険の種類や役割については、下記記事で詳細に解説しています。併せてお読みください。
【関連記事】保険の役割と特徴について、種類別に徹底解説。選び方のポイントも紹介した記事はコチラ
【まとめ】20代に保険が不要とは限らない
20代は、30代よりも子どもがいる世帯の数が少なく、病気やケガになっても公的医療保険の保障が受けられます。とはいえ、20代であっても保険に加入したほうがよいケースはあります。自分自身にとって、保険が本当に不要なのかを考えることが重要です。