今回は、会社員から独立して個人事業主となった3児のパパ、Sさんのお話。どんな保険に加入するべきか悩んでいたSさんですが、会社員と自営業では受けられる保障が異なるため、より手厚い備えが必要なようです。実際にSさんにアドバイスしたライフパートナーの萩谷信之(はぎや のぶゆき)が解説します。
今回、相談に答えたライフパートナー
萩谷 信之(はぎや のぶゆき)
東京海上日動あんしん生命保険
横浜支社第三営業所
2021年MDRT成績資格会員
生命保険はわかりづらい印象を抱かれることも多いので、まずは丁寧に、お客さまにきちんと内容が伝わる説明を心がけています。その上で、家計を圧迫しない程度に、必要な保障を過不足なくご提案するのが理想。前職では医療機器の販売に携わっており、病気に苦しむ方々を現場で見ることもありました。その経験も生かし、将来のためのアドバイスをしたいと考えています。
Sさんの悩み
Q.半年前、会社を辞めて個人事業主になったのですが、子どもが3人いるので、万が一の時の生活が心配です。どのような保険に加入すればいいでしょうか?
●プロフィール
基本情報 | 30歳・男性・自営業 |
---|---|
家族構成 | 妻・子ども3人(小学生・幼稚園生・1歳) |
世帯年収(手取り) | 960万円 |
住居 | 一戸建て(ローン10万円/月) |
預貯金 | 約250万円 |
近況 | 20代前半で結婚し、3人の子どもがいる。妻は専業主婦。仕事は住宅設備業で、半年前に独立し、個人事業主へ。現在は会社員時代に比べて収入がグッと上がっているが、不安定になる可能性があるため、保障を見直すべきか考えている。 |
●家計の内訳
項目 | 収入 | 支出 |
---|---|---|
Sさんの収入(手取り) | 800,000円 | - |
住居費(ローン支払い) | - | 100,000円 |
生活費(食費等) | - | 350,000円 |
車関連費 | - | 50,000円 |
教育費 | - | 50,000円 |
貯金 | - | 50,000円 |
その他 | - | 50,000円 |
保険料 | - | 16,000円 |
小計 | 800,000円 | 666,000円 |
月々の収支 | +134,000円 | -円 |
●備考
- 車は仕事用の軽トラックとプライベート用の乗用車を所持。
- 保険は独身時代に就業不能保険(月20万円給付)に加入済み。
- 住宅購入に伴う頭金の支払いで、貯金残高が減っているため、できるだけ貯蓄に回すことを希望。
Sさんへのアドバイス&解決策は?
独立して個人事業主となったSさん。3人の子どもを持つ彼は、独立に際してどのように保険を見直した方がいいのか悩んでいました。実際に私がSさんにおこなったアドバイスや提案のポイントは4点です。それぞれを解説していきましょう。
【ポイント1】会社員と自営業の公的保障の違いを解説
会社員と自営業では、いざという時に受けられる社会保障に大きな差があり、その分、会社員時代とは違った“備え”が必要になります。Sさんのように、お子さまがいる方はなおさらです。
そこで、まずは自営業者になる人が知っておくべき保障の基本について改めてSさんにお伝えしました。
独立するなら知っておきたい「社会保険制度の基本」
会社員と自営業では、加入する社会保険制度が異なります。会社員は主に「健康保険組合」に、自営業者は「国民健康保険」に加入します。会社員でいるうちは、意識することはあまりないでしょうが、「健康保険組合」の方が保障が手厚いのです。
たとえば、働けない時の保障です。ケガや病気で一定期間、仕事ができない場合のことを考えてみましょう。
会社員は、有給休暇を利用すれば給料が保障されます(継続勤続期間6カ月で10日間、6年半以上で20日間の年次有給休暇が付与。最大保有日数は年間40日分)。さらに、有給休暇が利用できない場合でも、健康保険組合から給料のおおむね3分の2が「傷病手当金」として、最大1年6カ月の間、支払われます(詳細はコチラを参照)。
一方、自営業の場合、もちろん有給休暇はありませんし、国民健康保険には傷病手当金もありません。当たり前ですが、休んだ分だけ、収入が減ってしまうのです。Sさんは独立し自営業になったため、働けなくなっても、有給休暇はありませんし、傷病手当金を受け取ることもできません。しかも、Sさんの仕事は現場で体を動かすものです。病気やケガで体が動かせなくなることが収入減に直結しやすいのです。
▼「フリーランスと会社員の社会保障の違い」に関してもっと知りたい方はコチラ
【ポイント2】「必要な保障」と「現在の保障」の差を確認
Sさんが現在加入されている就業不能保険では、高度障害になるなど、働けなくなった時に保障される金額は月20万円です。
しかし、Sさんと話し合う中で、家族が生活を営むためには最低でも月40万円は必要であることがわかりました。単純計算で、現在加入している保険では月々20万円のお金が足りない状態です。
また、病気になった時の治療代を賄う入院保障や、万が一亡くなられた時の死亡保障はないため、現在加入している保険では不十分であることは明らかでした。
独立するなら知っておきたい「保障の基本」
自営業の方は、会社員に比べると働けない時の収入減少リスクが高いため、より保障を手厚くすることが推奨されます。
この際、働けなくなる期間を“短期” “中期” “長期”と三段階に分け、それぞれに対応する保障を用意するとよいでしょう。
具体的には、1週間〜1カ月程度の入院など、“短期”で働けなくなった場合の「医療保険」、さらに仕事ができない状態が長引く場合の“中期”に対応する「就業不能保険」、そして、万が一亡くなってしまった場合の“長期”に備えた「死亡保障」が当てはまります。
〈図〉働けなくなる期間と、それに対応する保険
Sさんの場合、“中期”に当たる「就業不能保険」には加入していましたが、月々の保障額がこのままでは足りません。また、“短期”と“長期”に当たる「医療保険」「死亡保険」にはそもそも加入していませんでした。今回は足りない保障の準備をおすすめしました。
【ポイント3】短・中・長期、働けなくなった時に必要な保険を提案
まず、Sさんが中長期的に働けなくなった時の備えとして、死亡時も就業不能時も毎月20万円の保障が受け取れる定期保険を提案しました。
この保険に加入することで就業不能となった時、既に加入している保険と合わせて月40万円の保障となり、必要保障額をまかなえますし、死亡時もこの保険だけで月20万円の保障が受けられます。
死亡時の保障は「月々40万円」に届きませんが、奥さまが保育士免許を持っておられることから、いざという時は奥さまが働くことも可能です。そのため、定期保険と奥さまの収入、そしてご主人の遺族年金で生活を営むことができるでしょう。
▼Sさんに提案した実際の「生命保険」はコチラ
次に、病気や入院など、短期で仕事を休む場合を想定して、入院日額10,000円、がん診断給付金が100万円、通院日額が6,000円の医療保険への加入をおすすめしました。
▼Sさんに提案した実際の「医療保険」はコチラ
なお、定期保険の保険期間は、第3子のお子さまが独り立ちできる時期を考慮し、Sさんが55歳までの期間にしました。また、医療保険の保険期間は一生涯としています。
〈表〉提案した保険商品
商品 | 金額 | 保障内容 |
---|---|---|
定期保険 | 約9,640円/月 | ・死亡時および就業不能時に月額20万円(55歳まで) |
医療保険 | 約9,347円/月 | ・入院日額10,000円 ・がん診断給付金100万円 ・特定治療支援100万円 ・通院6,000円/日 |
【ポイント4】自営業者におすすめの「教育資金」の貯め方を提案
会社員と自営業者では、収入の安定度が異なります。たとえ病気やケガなどの身体的な不調を来さなくても、仕事の状況次第で収入が変動する可能性はあるでしょう。そこで、将来家族が必要とする資金を準備する方法を考えておくことも重要です。
特にSさんは、小さなお子さまが3人いますので、早いうちから教育資金の計画を立てるのが良いでしょう。
Sさんは住宅購入に貯金を使ってしまったため、これから改めてコツコツ貯めていきたいと考えていました。しかし、貯金や一般的な資産運用では、資金が貯まる前に万が一何かが起きてしまうと、十分な資金を残せません。
一方、保険を使った貯蓄や運用は、加入した直後から一定の保障額を受け取ることが可能になります。若くして万が一の事態になっても、子どもの教育資金を十分確保できるのです。
そこで、Sさんには資産運用と保障の機能がついた「変額保険」をおすすめしました。
この商品は、お支払いいただいた保険料の一部を保険会社が運用し、その運用成績に応じて、満期の返戻金が増減する保険です。また、死亡保障もついているため、もしもの事態になっても資金を確保することができます。
Sさんへは、死亡保障額500万円の変額保険を3本に分け、万が一の時はご遺族が合計1,500万円受け取れる内容としました。これは、すべて公立に進学すると仮定した場合、お子さま1人あたり最低でも500万円の教育資金が必要と考えたためです。
▼Sさんに提案した実際の「変額保険」はコチラ
〈表〉提案した保険商品
商品 | 金額 | 保障内容 |
---|---|---|
変額保険 | 合計約32,955円/月 | ・死亡保障額1,500万円 |
▼「子どもの教育費の平均」を知りたい方はコチラ
独立・起業したい子持ちの方は、働けなくなった場合の備えも万全に
自営業で独立するからには、体が資本だということは肝に銘じておきましょう。仮に病気で動けなくなれば、収入減少に直結してしまいます。そのため、健康には一層気を配っていただきたいと思います。
また、もしも身体に何かのトラブルが起こった際、自営業者は会社員に比べて公的な保障は小さくなります。だからこそ、民間の保障を手厚くしておいた方が良いでしょう。
もちろん、一人で全て決める必要はありません。ご家族と話し合っていただくのはもちろん、私たちライフパートナーが、状況を伺いながら適切なアドバスをさせていただくことも可能です。
募集文書番号:21-KC01ーK003