就職や結婚などのタイミングで「保険に入っておこうかな」と考える人は多いでしょう。しかし、一口に保険といっても様々な種類があり、初心者には分かりづらいもの。自分に合った保険を見分けるのは、かなり骨が折れますよね。

とはいえ、内容をきちんと理解しないまま保険に加入してしまうと、いざという時に必要な保障が受けられない…ということにもなりかねません。特に最近は、結婚や出産の有無、会社員とフリーランスなど、ライフスタイルが多様化しています。自分に合った保険を選択するためには、事前に保険の種類を知っておくことが大切です。

また、すでに加入している保険の見直しを検討している人や、年末調整などで保険の種類を確認したい人もいるでしょう。この記事では、ファイナンシャルプランナーの冨士野喜子(ふじのよしこ)さん監修のもと、保険の種類について、その特徴や役割などを解説します。

この記事の監修者

冨士野 喜子(ふじの よしこ)

ふじのFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー。 教育出版会社、外資系生命保険会社を経て、2012年にFPとして独立。自身の結婚、妊娠、出産、子育ての経験を活かし、20~30代のライフプランニングを中心に活動。最近はラジオ出演や子ども向けのマネー講座の講師をするなど幅広い年代に向けてお金に関する情報発信を行っている。
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保険の種類一覧

画像: 画像:iStock.com/marchmeena29

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複雑に思える保険の種類ですが、大きな分類から小さな分類へと細分化させていくとわかりやすく整理できます。まずは大きな分類から見ていきましょう。

保険の種類は、運営している組織やその対象の違いで大きく分類することができます。具体的には、国や自治体の運営する「公的保険」、民間企業が個人向けに運営する「個人保険」、民間企業が法人向けに運営する「企業・団体向け保険」の3種類です(一部例外もありますが、ここではザックリとした枠組みをご紹介します)。それぞれどのような役割を持っているのか、以下で確認していきましょう。

画像: 保険の種類一覧

(1)公的保険

公的保険とは、国や自治体が運営する保険です。国民が最低限の生活を送るための制度として定められており、全国民が加入することが法律によって義務づけられています。加入する保険は、自営業、会社員、会社員の配偶者(専業主婦・主夫)と主に3つの区分に分かれており、加入する保険によって、納める保険料や保障の内容は異なります。

【代表的な保険の種類】
-国民健康保険
-介護保険
-各種年金

(2)個人保険

個人保険とは、民間の保険会社が運営する個人向けの保険です。代表例は、被保険者が亡くなった時に保険金を受け取れる生命保険と、災害・事故などで発生した損害額を補償する損害保険の2つでしょう。保険料や保障内容は商品によって異なるため、自分のニーズに合ったものに加入できます。

【代表的な保険の種類】
-生命保険
-損害保険
-医療保険や個人年金保険 など

(3)企業・団体向け保険

企業保険とは、所属する会社や団体と保険会社が提携し、社員に提供する保険です。「共済」などと呼ばれることもあり、保険料は給与から天引きされますが、個人保険と比べて割安であることが多いです。また、本人と同時に配偶者や子どもも加入できるファミリータイプのプランが充実しています。

【代表的な保険の種類】
-生命保険
-損害保険
-医療保険

ここまでご紹介してきた3つの保険のなかでも、自由度が高く自分で加入するかどうかを決められる「個人保険」は、特に保険の種類が細分化されています。それぞれの役割や特徴を理解するのが難しいと感じやすい部分ではないでしょうか。

次の章からは、そんな「個人保険」について詳しく解説していきましょう。

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個人保険-1.生命保険

個人保険の中でも、まずおさえておきたいのが「生命保険」です。一口に生命保険といっても、その種類はこれまた豊富です。ここでは生命保険の種類について、それぞれの役割や特徴を見ていきましょう。

生命保険とは

画像: 画像:iStock.com/byryo

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生命保険とは、被保険者が亡くなった時、または高度障害状態になった時に、配偶者や子どもなどの受取人が、保険金を受け取れる保険です。加入年齢や内容にもよりますが、保険会社に支払う保険料よりも大きな保険金を受け取ることができるため、万が一の時でも家族を支えられるだけの生活費を確保できます。

生命保険と混同されがちなのが、入院や手術の際に保険金を受け取れる医療保険です。というのも、生命保険のオプションとして医療保障を付加できることが多く、それが誤解の原因となっています。

しかし、そもそも保険の保障内容は、契約の柱となる「主契約」と、主契約の保障内容を充実させるためにプラスアルファで付加できる「特約」の組み合わせによって構成されています。生命保険の場合、あくまでも死亡保障が主契約で、医療保障(入院保障や介護保障など)は特約の位置付けとなります。ややこしいですが、生命保険と医療保険は別物であることを頭に入れておきましょう。

〈図〉生命保険と医療保険の違い

画像: 生命保険とは

生命保険は、保険金の支払われ方や保険期間によって、「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3つに分類されます。以下では、それぞれの特徴について解説します。

生命保険の種類-1.定期保険

定期保険とは、保険期間が限られているタイプの生命保険です。一定の保険期間内に、死亡または所定の高度障害になったときに、保険金を受け取ることができます。

〈図〉定期保険の保険料払込期間と保障期間

画像: 生命保険の種類-1.定期保険

あくまでも契約時に決めた期間の保障を目的としているため、支払った保険料は掛け捨てのものが中心です。保険期間を無事に過ごしたり、途中で解約したりした場合も、満期保険金や解約返戻金を受け取ることはできないか、できたとしてもごく少額です。

このようなしくみの保険は「掛け捨て型」とも呼ばれています。掛け捨てと聞くとネガティブな印象を受けるかもしれませんが、貯蓄型保険よりも保険料は安価になることが多く、一定期間の保障だけを求める人は重宝するでしょう。

定期保険の特徴のひとつは、保険期間の幅広さです。保険期間を10年間、20年間といった年数で設定する「年満了」タイプのほか、60歳まで、80歳までといった年齢で設定する「歳満了」タイプもあり、自分のライフプランに合った保険期間を選べます。

契約更新時に保障内容の見直しもできるため、家族構成や経済状況の変化に合わせやすいのもメリットと言えるでしょう。

生命保険の種類-2.終身保険

終身保険とは名前の通り、保険期間が一生涯になる生命保険です。簡単に言うと、終身保険に加入していれば、何歳で亡くなっても(高度障害になっても)保険金を受け取ることができます。

〈図〉終身保険の保険料払込期間と保障期間

画像: 生命保険の種類-2.終身保険

定期保険とは異なり、保険料が掛け捨てにならないのも大きなポイントです。確実に保険金を受け取れるのはもちろんのこと、途中で解約した場合でも、支払った保険料に見合った解約返戻金を受け取れる仕組みになっています。

解約の時期によっては、支払った保険料の総額よりも高い解約返戻金になることもあります。つまり、死亡保障を受けながら、それが不要になった時には、解約して老後資金などに回すこともできるのです。このように、保険の機能だけでなく実質的な貯蓄になる保険であるため「貯蓄型」とも呼ばれています。

保険料の支払い方法は主に2種類あり、一生涯にわたって支払い続ける「終身払い」と、一定期間で支払ってしまう「短期払い」に分けられます。保険料は一般的に定期保険よりも高く設定されていますが、契約更新がないため、契約時からずっと変わりません。

生命保険の種類-3.養老保険

養老保険とは、定期保険と同じように保険期間が限られている生命保険です。しかし、定期保険とは異なり、保険期間中に保険金を受け取らなかった場合、死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることができます。

〈図〉養老保険の保険料払込期間と保障期間

画像: 生命保険の種類-3.養老保険

つまり、保険期間内に保険事故(死亡・高度障害)が起きた場合は保険金を、保険期間内に保険事故が起きなかった場合は満期保険金を受け取れるということです。死亡保障と生存保障の二面性を持っていることから、生死混合保険とも呼ばれています。

貯蓄型の保険の場合、途中で解約した場合に解約返戻金を受け取ることもできますが、その金額は払込保険料の総額に満たないのが一般的です。保険料も定期保険と比べて高いので、養老保険に加入するなら、満期保険金の使い道を明確にイメージしておくことが大切になるでしょう。

その他の保険

保険の世界では、生命保険を第一分野、損害保険を第二分野、これらに属さないその他の保険を第三分野と呼びます。第三分野の保険には、生命保険で特約として付加される医療保険や介護保険が代表的です。また、第一分野に属すものの、死亡保障がほとんどなく、貯蓄性の高い個人年金保険もあります。生命保険と似た役割を果たすものになりますので、ここでこれらの保険についても簡単に触れておきましょう。

(1)医療保険

医療保険では、病気や怪我などで入院したり、手術を受けたりした際に給付金が支払われます。保障の範囲や内容は商品ごとに違いますが、入院日数に応じて保険金が決定するのが一般的です。医療保険の保険期間には、生命保険と同じように定期と終身があり、自分のライフプランに合わせて選択できます。

特約も豊富で、がん保障はもちろんのこと、近年では三大疾病などの所定の状態になった時、それ以降の保険料を免除しながら保障を継続してくれる「払込免除特約」も登場しています。

(2)個人年金保険

個人年金保険とは、簡単に言うと自分で積み立てる年金です。60歳や65歳といった所定の年齢まで保険料を積み立てておくと、その後は10年間〜15年間など一定期間にわたり、保険会社から年金が支給されます。払込期間中に解約した場合は解約返戻金を受け取れますが、支払った保険料の総額を下回るケースが多いため、毎月の保険料は継続ができる範囲で設定しておくことがポイントです。

老後資金を準備するための個人年金保険ですが、貯蓄との違いは生命保険料控除(個人年金保険料控除)がある点です。生命保険料控除とは、支払った保険料の一部を課税所得から控除するもので、所得税や住民税が安くなるお得な制度です。

生命保険の選び方のポイント-途中で契約変更ができるかどうかが重要

画像: 画像:iStock.com/JGalione

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このようにそれぞれ特徴がある生命保険ですが、どれが自分に合っているのかを判断するのは難しいですよね。選び方のポイントと注意点も紹介します。

貯金が苦手な人は、貯蓄型である終身保険や養老保険が向いていると言えるでしょう。毎月の保険料が自動的に引き落とされ、預金のように簡単に引き出すこともできない貯蓄型の保険は、貯金を継続するための有効な手段になります。

一方で、自分である程度貯金ができていて、投資などの資産運用を視野に入れている人は、掛け捨て型の定期保険を選択するのがおすすめです。保険期間を10年間に設定するなど短期間での契約ができるため、資産運用の状況を見て、資産形成が順調に進んだら保障を削って保険料の支出を抑えるなど、柔軟にマネープランに合わせて保険を切り替えられます。

生命保険を選択する際には、途中で契約のどういった部分が変更できるのかをしっかりと確認しておきましょう。たとえば、保障金額や特約は途中で変更できますが、一般的に「払込期間を60歳から50歳に変えたい」といった変更はできません。自分のライフステージに合わせて必要な保障の内容は変わっていく、という意識を持って保険期間や保険料の払込期間を選ぶことが必要でしょう。

個人保険-2.損害保険

画像: 画像:iStock.om/takasuu

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生命保険と並んで分類されるのが損害保険です。こちらも生命保険に負けず劣らず、多種多様な商品が存在します。ここでは損害保険の種類を紹介しながら、それぞれの特徴や役割について説明します。

損害保険とは

日常生活のなかには交通事故や火災、盗難、疾病や怪我のように、いつ起こるかわからない様々なリスクが潜んでいます。損害保険とは、このような偶然によって発生した損害をカバーするための保険です。あらゆるニーズに対応できるように、自動車保険や火災保険、地震保険、医療保険や傷害保険など、幅広い商品が存在します。

損害保険と生命保険の大きな違いは、保険金の支払われ方です。生命保険は「定額払い」方式で、万が一の時には決まった保険金が支払われますが、損害保険の多くは「実損払い」方式で、契約した上限をもとに実際の損害額が支払われます。

なお、支払った保険料は掛け捨てになるのが一般的です。満期保険金を受け取れる「積立型損害保険」も存在しますが、主流ではありません。その分、短期間で契約更新ができるケースも多く、保険を組み換えやすいのはメリットのひとつです。

損害保険の種類-1.自動車に関する保険

画像: 画像:iStock.com/miya227

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自動車事故を起こすと、自分だけでなく、相手の搭乗者や第三者に怪我をさせてしまったり、車などの財産を傷つけてしまったりと、様々なトラブルが発生します。自動車保険とは、これらの損害に備えるための保険です。

自動車保険は「自賠責保険」と「任意保険」の2種類に分類されます。自賠責保険は、すべての自転車・原動機付自転車の保有者が、法律によって加入を義務づけられている保険です。被害者の「身体的な損害」を補償するために保険金が支払われますが、車などの財産や、加害者自身に対する補償は行われません。

一方の任意保険は、契約者が任意で加入する自動車保険です。こちらは被害者の身体的な損害だけでなく、車などの財産、加害者自身の被害に対しても保険金が支払われます。なかにはロードサービスや訴訟になった際の弁護士費用を補償する特約もあり、車によく乗る人にとっては加入しておきたい保険と言えるでしょう。

損害保険の種類-2.住まいに関する保険

画像1: 画像:iStock.com/kohei_hara

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火災などの災害によって、大切な住まいが損害を受けることもあるかもしれません。こうしたリスクに備えて、損害保険のなかには一戸建てやマンションといった「建物」と、その建物の中にある家具や什器といった「家財」を対象とした保険も存在します。

代表的なのが火災保険です。“火災”という言葉がついていますが、火災だけでなく落雷や爆発、物体の落下や飛来、風災、水災、雪災、盗難など、住まいの損害全般に対応していることが多いです。たとえば、落雷によって電化製品が壊れたり、台風によって瓦が飛ばされたりした場合にも、損害額に応じた保険金を受け取ることができます。

ただし、地震や噴火、またはそれによる津波で住まいが損害を受けた場合、火災保険では補償を受けられません。これらを補償するのが、保険会社と国が共同で運営する地震保険です。地震保険は単体では契約できず、必ず火災保険とセットで契約することが必要になります。すでに加入している火災保険に、途中から地震保険をつけてもOKです。

なお、火災保険の保険料は保険会社によって異なりますが、地震保険の保険料は都道府県ごとに決められています。損害保険料率算出機構が地震保険料の基礎となる料率を定めており、保険の対象となる建物の構造や地域の地震リスクによって、保険料が決まります。地震リスクの高い地域ほど、保険料も高くなっています。

損害保険の種類-3.身体に関する保険

画像: 画像:iStock.com/Jurgute

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突然の怪我など、身体のトラブルに備えるための保険もあります。なかでも代表的なのが傷害保険です。医療保険などと混同しやすいので、その違いを押さえておきましょう。

傷害保険では、骨折や火傷といった怪我をした際に保険金が支払われます。ただし、怪我の原因が偶然かつ急激で、身体の外部から作用していることが条件です。たとえば、緩やかに進行する疲労骨折や、持病の発作で転倒した場合の怪我などは補償の対象になりません。日常的に運動や登山などをする人におすすめです。

スポーツをする人の場合、スポーツ団体の提供するスポーツ保険への加入を勧められることもあるでしょう。こちらは競技中の事故などに対する傷害保険の補償に加え、人に怪我をさせてしまった時の賠償責任、競技中の突然死に際して葬儀費用を補償する葬祭費用も備えられる保険です。また、ゴルフ中の怪我や損害賠償を補償するゴルファー保険などもあります。

損害保険の種類-4.その他の保険

画像: 画像:iStock.com/whyframestudio

画像:iStock.com/whyframestudio

上記以外にも、損害保険には様々な種類が存在します。

たとえば、日常生活の事故などによって他人に怪我をさせてしまったり、財産を傷つけてしまったりした場合、慰謝料や修理費といった損害賠償が発生することもあります。このようなリスクに備えたいなら、個人賠償責任保険に加入しましょう。

ペットを飼っている人には、ペットの病気や怪我によって発生した医療費を補償してくれるペット保険もおすすめです。さらにはペットが物を壊したり、他人のペットに怪我をさせたりした時に備えるペット損害賠償責任特約なども用意されています。

そのほか、旅行中の怪我や持ち物の盗難・破損などに対応する旅行傷害保険、ボランティア活動中の怪我や損害賠償問題が発生した時に補償を受けられるボランティア活動保険、自転車をはじめ各種交通事故のリスクに備える自転車保険など、損害保険の種類は細分化されています。

損害保険の選び方のポイント-“ダブり”に注意

画像: 画像:iStock.com/kiddy0265

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損害保険の選び方はシンプルで、自分のニーズに合った商品をしっかりと選択することです。しかし、複数の損害保険に加入する際には、気をつけたい注意点もあります。

それは補償内容の“ダブり=重複”です。損害保険のなかには、同じようなリスクに備えた保険が存在します。たとえば、自動車保険と自転車保険に加入した場合、自動車保険の特約として付保されている個人賠償責任保険と、自転車保険の賠償責任補償部分で重複が出ることがあります。自分にとって本当に必要な補償を見極めなければ、無駄な保険料を支払うことにもつながりかねません。

また、損害保険の補償内容のなかには、個人ではなく同居の親族等を対象としたものもあります。特に損害賠償責任保険や弁護士保険などは、一家で一人だけが契約していれば全員補償の対象となるケースも多いのです。このように、補償の範囲が個人なのか家族なのかはあらかじめ確認しておきましょう。

年末調整の保険料控除申告書の「保険の種類」

画像: 画像:iStock.com/tdub303

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保険に加入したなら、忘れずに活用したいのが保険料控除です。すべての保険が対象ではありませんが、支払った保険料の金額に応じて、その年の所得から一定の金額を控除できます。つまり、課税対象となる所得が少なくなるため、所得税や住民税を少なくすることが可能です。

保険料控除を受けるには、年末調整の保険料控除申告書で申請が必要です。ただ保険に入っているだけでは控除は受けられないので、必ず申請を行いましょう。

保険料控除申告書に書く保険の種類は「保険料控除証明書」から確認

保険料控除申告書の記入欄は、保険料控除の名称によって4つに分かれています。

保険料控除申告書に記入する際は、まずは保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を手元に用意しましょう。保険料控除証明書には、保険の種類や支払った保険料、一般生命保険料控除や介護医療保険料控除といった保険料控除の分類など、必要事項が書かれています。

そちらの内容を元に、以下の保険料控除の欄に記入していきます。

画像: 保険料控除申告書に書く保険の種類は「保険料控除証明書」から確認

保険料控除の種類

(1)生命保険料控除

保険料控除のなかで、おそらく最も該当者が多いのが生命保険料控除でしょう。民間の保険会社の生命保険に加入し、保険料を支払っている場合に活用できる制度です。さらには生命保険だけでなく医療保険、介護保険、個人年金保険などもこちらに該当します。

生命保険料控除の記入欄は、上から「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つに分かれています。加入している保険の種類によって記入欄も異なるので、以下の分類を確認しましょう。

※契約日が平成23年12月31日以前の場合は、「旧一般生命保険料控除」と「旧個人年金保険料控除」の2つに分かれ、「介護医療保険料控除」分は、「旧一般生命保険料控除」として計算されます。
(No.1140 生命保険料控除|国税庁 (nta.go.jp)

保険料控除の分類該当する保険保険の種類
一般生命保険料控除被保険者の生存または死亡によって、保険金や給付金が支払われる保険定期保険、終身保険、養老保険、変額保険、変額個人年金保険、学資保険、収入保障保険など
介護医療保険料控除被保険者の入院や通院、手術などの発生によって、保険金や給付金が支払われる保険医療保険、がん保険、介護保険など
個人年金保険料控除「個人年金保険料税制適格特約」の付加された個人年金保険個人年金保険

生命保険料控除による控除額は、その年に支払った保険料に基づいて3つの分類それぞれに対して計算されます。1つの分類につき最大40,000円、合計すると最大120,000円の控除を受けることが可能です。(ただし、契約日が平成23年12月31日以前の場合は控除額が異なります)なお、契約者が自分自身でなくても、家族の保険料を負担している場合、その保険料も控除の対象になることもあります。

(2)地震保険料控除

地震保険料控除とは、地震保険に加入して保険料を支払っている場合に活用できる制度です。地震保険は基本的に単独では加入できず、火災保険とセットで契約することが多いですが、地震保険料控除の対象となるのは地震保険に限られます。地震保険料控除では、上限を所得税50.000円、住民税25,000円として年間の払込保険料の一部もしくは全額が控除されます。

(3)社会保険料控除

社会保険料控除とは、健康保険や厚生年金、国民年金といった社会保険の保険料を控除できる制度です。年間の払込保険料が全額控除されます。

しかし、一般的なサラリーマンの場合、健康保険や厚生年金の保険料は給与から天引きされており、年末調整の手続きも企業が行います。そのため、実際に年末調整で社会保険料控除を申請するようなことはほとんどありません。

申請が必要なのは、企業で天引きされている社会保険料以外に、自分で支払った社会保険料がある場合です。代表的な例としては、生計を一緒に立てている家族の社会保険料を、自分が負担したケースでしょう。ただし、社会保険料が口座引き落としになっている場合は、銀行口座の名義人の控除となるなどの条件があるので、適用できるか事前に確認しておきましょう。

(4)小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、控除の対象となる掛金を支払っている場合に活用できる制度です。具体的には、小規模企業の経営者や役員などが加入できる小規模企業共済、個人型確定拠出年金(iDeCo)、企業型確定拠出年金のマッチング拠出の年間の払込掛金が全額控除されます。

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保険の種類を理解することは、自分に合った保険を探す第一歩

画像2: 画像:iStock.com/kohei_hara

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近年、この記事で取り上げた以外にも多彩な商品が販売されています。判断を誤らないためには、加入を検討する際に保険会社の担当者やファイナンシャルプランナーなど、専門家の意見も聞いてみると良いでしょう。

逆に、種類が多すぎて自分では判断がつかず、人に決めてもらいたくなってしまうかもしれません。ですが、完全に他人に頼ってしまうのではなく、最終的な判断は自分で行うようにしましょう。保険の種類と役割をしっかりと理解することは、自分にぴったりフィットする保険を見つけるための第一歩になるはずです。

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