「出産・育児」「休業・失業」「老後のお金」「医療」のカテゴリ別に、使える制度に関してやさしく解説しています。

「出産・育児」に関する制度

Q. 産休・育休中に給料はもらえるの?

A. 公務員の場合は、産休中も月額給料の全額が支払われますが、一般企業に勤めている方は、基本的に産休・育休中の給料はありません。ただし、その間に受け取れる手当金や給付制度が整備されています

産休・育休中には、休業中の生活をサポートしてくれる3つの手当金・給付制度を利用することができます。

〈図〉産休・育休中に受けられる手当金や給付制度

画像: Q. 産休・育休中に給料はもらえるの?

これらは受給条件や受給期間、支給額がそれぞれで異なります。

出産育児一時金は、働いているか否かにかかわらず、健康保険に加入していれば受給できます(被扶養配偶者も含む)。出産時に、子ども1人につき42万円が一時金として支給されます。

一方、出産手当金育児休業給付は、主に働いている方に対して、出産や育児で就業が困難になり、収入が減少することを補填するためのお金です。元々の給与水準に応じて支給されます。

子どもができて、お金の不安を感じた場合は、まずは自分がどれだけのお金を受給できるのかを計算してみましょう。

▼産休・育休中の給与について、詳しくはコチラ

Q. 産休・育休はどのくらいの期間、取得できるの?

A. 「産休」には、「産前休業」と「産後休業」があります。「産前休業」は出産予定日の6週間前から取得でき、「産後休業」は出産の翌日から8週間を取得することができます(双子以上の場合、産前休業は14週間前から取得できる)。

一方、育児・介護休業法で定められた「育児休業」では、子どもが1歳になるまでの間で、希望する期間を取得することができ、とくに期間は定められていません。また、場合によっては子どもが1歳6カ月もしくは2歳になるまでの延長も可能です。

〈図〉産休・育休に関する概要

画像: 参考:厚生労働省「産休&育休」

参考:厚生労働省「産休&育休」

また、「産休は必ず取らなければいけないの?」と疑問をもつ方がいるようですが、産前休業と産後休業により、事情が異なります。

産前休業はご本人の申請により取得する「任意」である一方、産後休業は、労働基準法第65条で「使用者は産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない」と定められています。つまり、産後休業は必ず取得しなければいけないのです。

▼産休・育休について、詳しくはコチラ

「休業・失業」に関する制度

Q. 休職した時にもらえるお金ってあるの?

A. 法律上、会社が休職中の従業員に給与を支払う義務はありません。そのため、一般的に無給となりますが、会社によって取り決めが異なるため、勤務先の就業規則を確認するのが良いでしょう。

ただし、病気やケガが原因でやむを得ず休職する場合、健康保険組合等や国(労災保険)から給付されるお金は、いくつか存在します。

公務員の場合、病気やケガで休職すると、基本的に90日まで「病気休暇」として給与が全額保証されることになっています。

一方で会社員の場合、業務に関わる病気やケガではない場合でも、健康保険組合等からは傷病手当金が給付されます。また、業務に関わる病気やケガでは、労災保険から休業(補償)給付なども受け取ることができます。

〈表〉会社員が病気やケガによる休職で受け取れる支給額

そのほか、出産や育児、介護による休職においても、給付金が用意されています。休職する際は、各機関の情報を確認することをおすすめします。

▼休職した時のお金について、詳しくはコチラ

Q. 失業した時にもらえるお金ってあるの?

A. 失業した場合、雇用保険に加入している人なら特定の条件を満たすと失業手当を受け取ることができます。

特定の条件とは、働く能力や求職する意思があること。さらに、雇用保険への加入期間や退職理由(自己都合退職か、会社都合退職か)が関係します。

一定の条件を満たした場合、離職時の年齢に応じた給付率と、離職した日の直前6カ月間の賃金(賞与はのぞく)の合計を180で割った金額(基本手当日額)により、受給額が決定します。

〈図〉失業手当の受給額の計算式

画像: Q. 失業した時にもらえるお金ってあるの?

なお、図中の「所定受給日数」にあたる失業手当を受給できる期間についても、雇用保険への加入期間と退職理由などにより変化します。

▼失業した時にもらえるお金について、詳しくはコチラ

「老後のお金」に関する制度

Q. 公的年金って、どんな制度なの?

A. 日本の公的年金制度は、すべての国民が加入する「国民年金」と会社員や公務員などが加入できる「厚生年金(または共済年金)」を組み合わせた2階建ての構造になっています。

〈図〉公的年金の構造

画像: Q. 公的年金って、どんな制度なの?

会社員や公務員などは、すべての人が定額を支払う「国民年金」に加えて、「厚生年金」にも加入します。これは本人と雇用主が保険料を折半して支払っており、受給される年金額も大きくなります。

対して、自営業者や会社員等の配偶者などは基本的に「国民年金」のみとなります。そのため、毎月支払う保険料の合計は低くなりますが、その分だけ受給される年金の額も減ってしまいます

なお、公的年金の基礎となるのが「国民年金」ですが、保険料は収入や年齢にかかわらず一定で、毎年見直しが行われます。ちなみに、今年度の保険料は日本年金機構のホームページで確認できます。

▼公的年金について、詳しくはコチラ

Q. 将来、年金はいくらもらえるの?

A. 残念ながら「将来もらえる年金額」は、50歳以上になるまで知ることができません。50歳未満の方は、今後の働き方や年金制度の変更次第で、受け取れる年金額が変わる可能性があるためです。

年金に関する情報は、はがきや封書で送られてくる「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で知ることができます。

50歳未満のねんきん定期便には「これまでの加入実績に応じた年金額」という項目がありますが、実際に将来にもらえる金額ではありません。この金額は、これまでに納付した保険料をもとに算出したもので、今後の加入実績によって金額は変化します。

また、年金を受け取るためには、原則として120カ月以上の加入が必要ですが、これも無視した金額になっています。

なお、国民年金基金の発表によれば、国民年金だけに加入していた場合の受給額は、現在のところ毎月約65,000円程度です。

▼ねんきん定期便ついて、詳しくはコチラ

「医療」に関する制度

Q. 日本の医療制度はどんなしくみになっているの?

A. 日本の公的医療保険制度は、「国民皆保険制度」と呼ばれています。原則としてすべての国民が、なんらかの公的医療保険に加入する(被保険者となる)ことが義務付けられているからです。

公的医療保険に加入していることを証明する「保険証」を提示すれば、全国のどの保険医療機関でも、同じ割合の負担で、保険診療を受けることができます

その場合、診療を受けた人(被保険者)は、自己負担分のみを窓口で支払えばよいことになっています。自己負担分を超える医療費は、診療を行った保険医療機関が審査支払機関に請求するしくみです。

〈図〉医療費の支払いのしくみ

画像: Q. 日本の医療制度はどんなしくみになっているの?

なお、被保険者の自己負担分は、所得や年齢に応じて決まります。原則として、現役世代または70歳以上でも現役世代並みの所得のある方は「3割負担」、6歳未満及び70〜75歳未満の方は「2割負担」、75歳以上の方は「1割負担」となっています。

所得の多い人や現役世代がより多く負担するしくみにすることで、所得の低い人や高齢者でも医療を受けやすくなっているわけです。

▼日本の医療費のしくみについて、詳しくはコチラ

Q. 医療の自己負担額に上限があるってホント?

A. はい、本当です。保険診療の範囲内の治療であれば、所得に応じて、医療費の自己負担額の上限は決められています。

日本では、公的医療保険制度のおかげで、医療費の自己負担分は3割で済むようになっています(現役世代の場合)。

しかし、手術などの高度な医療を受けた場合、3割負担でも医療費が高額になることがあります。そのような時に頼りになるのが「高額療養費制度」というしくみです。これは1カ月間の医療費が自己負担限度額を超えた時、その分の金額が支給される制度のことです。

たとえば、年収400万円の会社員Aさんが20日間入院した時、医療費が100万円かかったとします。Aさんは30万円(3割負担)を支払う必要がありますが、高額療養費制度のおかげで、実際に支払うのは87,430円になるのです。

この上限額は、所得に応じて決められており、69歳以下の場合は5つに区分されています。

〈表〉所得によって異なる自己負担上限額(69歳以下の場合)

適用区分1カ月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770~約1,160万円167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370~約770万円80,100円+(医療費-267,000)×1%
~年収約370万円57,600円
住民税非課税者35,400円
厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に作成

なお、月をまたいで医療費が発生した場合(たとえば、1回の入院でも1月に50万円、2月に50万円かかった場合)、それぞれの月で上限額までは支払う必要があるため、注意が必要です。

▼医療費の自己負担額について、詳しくはコチラ

This article is a sponsored article by
''.