※この記事は2022年2月16日に更新しています。
この記事の著者
佐々木裕平(ささき ゆうへい)
金融教育研究所代表。 ファイナンシャルプランナー。「すべての人に金融リテラシーを」をモットーに、中立・公正な立場からの金融教育を行う。著書に『学校では教えない! お金を増やす授業」(ぱる出版)など多数。国家資格:1級FP技能士、所属学会/協会(執筆時):行動経済学会・日本FP協会・金融財政事象研究会
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投資を始める前に知っておきたいこと…「リターンとリスク」の関係
「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」と世の中の動きは変化しています。これから投資を始めようと考えている人も多いのではないでしょうか。
まずは、「投資」とはどういったものなのか、おさらいしていきましょう。
投資とは
投資とは、簡単に言うと「成長する資産(株式など)にお金を回して、増えることを期待する」行為です。
一昔前と異なり、現代ではスマホやパソコンを使って、いつでも手軽に投資を始めることができるようになっています。また、少額の資金であっても投資は可能です。100円程度あれば世界全体への分散投資すらできてしまいます。
投資を始めるにあたって、意識しておきたいこと
投資を始める際には、以下のことを頭に入れておくことが重要です。
現代における投資では「目先のお金を増やす」ことだけを目標にしないこと |
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少子高齢化に伴い、今後は老後の公的年金の減少が予想されます。投資は、老後の生活費を確保するための資産形成の方法としても考えていくべきです。 |
効率よく行うこと |
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人生においては、時間も資産のひとつといえます。限られた資金・時間を有効に使うためには、理論的な「効率のよい増やし方」を学ぶことが大切です。 |
投資における「リターンとリスク」とは
ここで、投資の大きな特徴を2つ挙げてみましょう。
〈表〉投資の特徴
特徴(1) | リスク(値動きの振れ幅)があること |
特徴(2) | 生産※に参加している資産にお金をゆだねること(一例:株式・債券など) |
投資には、リスクがつきものです。そしてリスクがあるからこそ、リターンがついてくると考えられています。
それでは、「リスク」と「リターン」とは一体何なのか、詳しく解説していきましょう。
投資におけるリスクとは
前述のように、投資には「リスク」と呼ばれるものがつきものです。一方で経済学では、私たち人間はリスクが(基本的に)嫌いということになっています。
一般的には、リスクのことを「危険性」などと表現するかもしれません。もちろんその意味合いもありますが、投資の世界においては、リスクはもう少し具体的な存在です。
投資でのリスクとは、一般的に「1年後に想定される、値動き(リターン)の散らばり・振れ幅」のことを差します。
〈図〉リスクとは?
このリスクは、統計的に導き出されています。別の言い方をすると、リスクとは「統計的に考えた値動き(リターン)の振れ幅」のこと。プラスはもちろん、マイナスも含めた値動きのことを指します。
リターンは、統計上は(後述する期待リターンを中心に)上下に同じように振れると考えられています。
そして、ここが重要なところですが、理論上はリスクとリターンは概ね比例すると考えられていることを覚えておきましょう。つまり、大きなリスクがあるものは大きなリターンが期待でき、小さなリスクがあるものは小さなリターンが期待できるということです。
〈図〉リスクとリターンの関係
【まとめ】投資におけるリスクとは |
---|
・リスクとは、将来想定されるリターンの振れ幅のこと ・リスクとリターンは概ね比例すると考えられる |
投資におけるリターンとは
では今度はリターンについてです。先ほどから出てきている、リターンとは何なのでしょうか。
投資でのリターンとは、見返り(わかりやすく言うと、損得)のことです。
そしてこれまで見てきたように、リスクとリターンは概ね比例します。別の言い方をすると、リスクがあるからこそ、それに応じたリターンを期待することができる、ということになります。
投資において、将来のリターンをはっきりと予測することは不可能ですが、それでも基準となるリターンが示されています。それが「期待リターン」と呼ばれるものです。
〈図〉期待リターンとは?
株式などの期待リターンは、想定されるリスクの範囲内(標準偏差内と言います)に収まり、かつ「統計的に多く発生するかもしれない」という程度の数値と考えておきましょう。期待リターンは、参考にしつつもあまりあてにできないものだということを念頭に置いておくのがよいでしょう。
ただ、効率のよい資産運用を考える場合のひとつの指標にはなり得ます。その場合は、同じリスクの中で高い期待リターンとなる「金融商品の組み合わせ」を考えることが重要です。
以上のことから、「ローリスク・ハイリターン」というものは理論上、存在が難しい(まずあり得ない)ということもわかります。これは簡単に言うと、「うまい話はない」ということです。
〈図〉リスクとリターンの関係
【まとめ】投資におけるリターンとは |
---|
・期待リターンとは、統計上多く発生することが期待されるリターン ・安全に大きく儲かる投資をしたいが、それは理論上難しい ・投資では、同程度のリスクなら、より高い期待リターンになる組み合わせを選ぶ方が効率がよい、と考える |
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タイプ別!自分に合った投資を見つけよう
投資には様々な種類があります。ここでは代表的なものや、有名なものを一覧として挙げてみましょう。
〈図〉主な投資の種類一覧
あなたに向いている投資の種類はどれ?
どのような人に、どのような投資が向いているか、フローチャートで大まかに見てみましょう。
なお、これだけで向いている投資の種類がわかるものではありません。あくまでも一例として示すものです。現実はより多様性があることを念頭に置いて、確認してみてください。
〈図〉 Yes or Noで診断してみよう!相性のよい投資手法がわかるフローチャート
▶︎(1)株式投資の説明へ
▶︎(2)債券投資の説明へ
▶︎(3)FXの説明へ
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▶︎(5)先物取引の説明へ
▶︎(6)金の説明へ
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投資と投機の違い
ところで、投資を始めるにあたって知っておきたいのが、投資と投機の違いです。2つの違いを大まかに説明すると、以下のようになります。
投資 | 将来が有望な投資先に長期的に資金を投じること |
---|---|
投機 | 相場の変動を利用して利益を得ようとする短期的な取引のこと |
投資はリスクのある金融商品(株式など)を保有することでリターンを期待するものです。これは別の見方をすると、「長期的に見ると、世界全体のお金の総和(サム)が増える(プラスになるゲーム)」ということです。これをプラスサムゲームとも言います。
一方、投機とはゼロサムゲームとも呼ばれます。これは全体の総数が増えていないマネーゲームのことを意味します。
たとえば、短い期間での株式・通貨・金などの売買を考えてみましょう。
この世界を代表して、世界に読者(あなた)と私(筆者)の2人しかいないとします。この2人で短い時間内に、株式などを売買し合う(上がるか下がるか予想して売買し合う)と、どちらかのお金が増えたり減ったりします。しかし全体のお金は増えていません(全体の総和(サム)がゼロなゲーム)。
なぜゼロサムゲームになってしまうのかというと、資産が生産活動に参加できていないからです。短期的すぎて(市場)全体のお金が成長していないということですね。
では投機における、リスクはどうでしょうか。
先に見たように、投資ではリスクを負うことによってリターンがついてくると考えられました。しかし投機では、リスクを背負ったのに勝つ人・負ける人がランダム(でたらめ・法則がない)に発生します。
先ほどの例では、あなたと私のどちらもが同じリスクを背負っていたのに、あなた(または私)が“偶然”、勝ったり・負けたりする、ということです。
もちろん投機は悪いことではありません。ただ、これから投資を始めるのなら、投資対象やスタイルが「投資なのか投機的なのか」を自問自答してみてください。自分の理想の投資スタイルを探っていくためのひとつの指標になるはずです。
【まとめ】投資と投機の違い |
---|
・投資には多くの種類やスタイルがある ・投資と投機は本質が異なるので、どちらをしたいのかよく考える |
投資の種類ごとにリターン・リスクを解説
先ほど示した、投資の種類ごとの特徴を大まかに見てみましょう。
【表の見方】
- 初心者レベル:☆が多いほど初心者向け
- 期待リターン/年率:☆が多いほど期待リターンが高い
- リスク/年率:☆が多いほどリスクが高い
【注意事項】
- 期待リターンやリスクの表記は、未来を保証するものではありません。
- 長期的に見てもゼロサムゲームであるものについては「一概に言えない」としています。一方で、長期的に見るとプラスサムゲームとなるものは☆で表しています。
(1)株式投資(個別の株式)
初心者向け レベル | 期待リターン /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆ | ☆☆☆ | ☆☆☆ |
注意点 | 失敗しやすい人の特徴 |
---|---|
分散が不十分で集中投資になりやすい | 自信過剰な人(短期的な売買をしがち。統計上、短期保有はリターンが低下する傾向がある) |
株式投資の特徴
- 国内外の個別企業の株式に投資をする手法
- 始めるためには、数万円~数十万円など、ある程度まとまった資金が必要
- 配当や優待などがある企業もあり、趣味としても楽しめる
- 分散投資ができていない場合、業績悪化・向上などにより、分散投資した状態よりも、大きく価値が下がる(上がる)ことがある
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(2)債券投資(個別の債券・個人向け国債)
初心者向け レベル | 期待リターン /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆ | 個別の債券:☆☆ 個人向け国債:☆ | 個別の債券:☆☆ 個人向け国債:☆ |
注意点 | 失敗しやすい人の特徴 |
---|---|
・分散が不十分な状態になりやすい ・期待リターンが低く、集中投資をすると、長期でも資産形成が不十分になりがち | ・債券は安全だと思い込みすぎている人 ・債券の知識の浅い人 |
債券投資の特徴
- 初心者には個別の債券自体の見極めが難しく、ハードルが高い
- 個人にもっとも身近で安全性が高いのは、銀行などで買える「個人向け国債『変動10年』」
- 個人向け国債変動10年は、基本的に発行後1年経過すれば元本保証でいつでも解約できる(預貯金より気持ち有利な金利)
(3)FX
初心者向け レベル | 期待リターン /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆ | 一概に言えない | 一概に言えない |
注意点 | 失敗しやすい人の特徴 |
---|---|
短期で行うほどゼロサムゲームになりやすい | チャート分析が有効だと信じ込んでいる人 |
FXの特徴
- 二国間の通貨の差でその差損益を得る手法
- 通貨の値動きはランダム・ウォーカー(でたらめ)なので、投資ではなく投機の性質に近くなる
- 現在ではチャート分析(過去の値動きから未来を予想しようとする手法)は勘違いだと考えられている(もちろん機関投資家はチャート分析を利用しない)
(4)仮想通貨
初心者向け レベル | 期待リターン /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆ | 一概に言えない | 一概に言えない |
注意点 | 失敗しやすい人の特徴 |
---|---|
ゼロサムゲームになりやすい | 仮想通貨が株式のような成長資産だと考えている人 |
仮想通貨の特徴
- 法律上は「暗号資産」と呼ばれる。現物の紙幣などの裏付けを持たない、電子データのみの存在である
- 仮想通貨自体は株式や債券と異なり、「生産に積極的に参加していない資産」なので、長期間保有しても価値が上がるかどうかは不透明(欲しい人が多ければ値上がりし、そうでなければ値下がりするだけ)。いわばアンティークの壺と同様の性質を持つ
- 値動きはランダム・ウォーカー(でたらめ)であり、チャート分析などを駆使しても、法則性がないと考えられる
(5)先物取引
初心者向け レベル | 期待リターン /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆ | 一概に言えない | 一概に言えない |
注意点 | 失敗しやすい人の特徴 |
---|---|
初心者や余裕資金のない人には向かない | 自分のリスク許容度(損に耐えられる金額)を把握していない人 |
先物取引の特徴
- 特定の金融商品(原資産)を決められた期日に、取引時に決めた価格で取引をする手法
- 金融機関などでリスクを回避するために使われる手法
- レバレッジと呼ばれる手法を用いることで手持ちのお金より大きな金額での投資ができるが、見込みが外れた場合はより大きな損失となることもある
(6)金
初心者向け レベル | 期待リター /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆ | 一概に言えない | 一概に言えない |
注意点 | 失敗しやすい人の特徴 |
---|---|
安全資産(元本保証)ではない | 株式や債券のように成長する資産だと思い込み、集中投資する人 |
金の特徴
- 現物の金(ゴールド)を購入・保有する手法
- 金自体は分散投資のひとつの投資対象として考えられる
- 株式や債券と異なり、成長・生産に積極的に参加していない資産(貴金属)である
- そのため将来において金の需要が高い(低い)なら値上がり益(値下がり損)が発生するという、将来の見通しに賭けるという性質のもの(戦争など世界情勢により変動がある。近年ではコロナショックにより価格が高騰している)1)
- 金属なので長期間保有しても、配当や優待などを生み出せない
(7)不動産投資(現物不動産)
初心者向け レベル | 期待リターン /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆ | 物件の立地等、条件によって異なる | 物件の立地等、条件によって異なる |
注意点 | 失敗しやすい人の特徴 |
---|---|
・初心者や余裕資金のない人には向かない ・国内資産に偏りがちになる | 余裕資金が多くない人(物件が高額なため投資金額の割に分散投資が行いにくく、リスクが過大になりがち) |
不動産投資の特徴
- マンションやアパートなどの現物不動産に投資をする手法
- 高額な資金が必要になったり、多額の借入金で行ったりする場合もある(少額で行える形式のものもある)
- 不動産の選定にはある程度の専門性が必要であり、初心者にはハードルが高い
(8)投資信託
初心者向け レベル | 期待リターン /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆☆☆ | 株式主体:☆☆☆ 債券主体:☆☆ | 株式主体:☆☆ 債券主体:☆ |
失敗しやすい人の特徴 |
---|
自分のリスク許容度(損失に耐えられる金額)を把握していない人(値下がりした時点でパニック売りを行いがち) |
投資信託の特徴
- あらかじめ投資対象が数十~数千に分散されている(分散投資を行っていることになる)
- 国内外の株式主体や債券主体はもちろん、不動産や金などにも容易に投資できる
- 100円程度から購入可能な金融機関が多く、資金が乏しくても、無理のない範囲で積み立て投資が容易に行える
- 国内に6,000本近くの投資信託があるといわれる。効率のよくないものも多いが、基礎知識だけあれば、専門家と同じリターンを得られるのが魅力
- 分散によりリスクは抑えられているが、それでも金融危機時には大きく値下がりするのは避けられない(ただし分散投資していない状態よりはリスクが小さくなる)
- つみたてNISAで買える金融商品(リスク資産)は投資信託(後述するETF含む)のみ。iDeCoでは元本確保型のタイプ以外は投資信託である
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(9)REIT(不動産投資信託)
初心者向け レベル | 期待リターン /年率 | リスク /年率 |
---|---|---|
☆☆ | ☆☆☆ | ☆☆ |
失敗しやすい人の特徴 |
---|
・REITのみに集中投資をしてしまう人 ・毎月分配型など、分配金に過大な期待を寄せている人 |
REITの特徴
- 不動産主体の投資信託(Real Estate Investment Trustの略)。一般的に不動産市場の値動きと連動する
- 基本的には株式の投資信託と同じ考え方をする
- 比較的少額から不動産投資が行える
- 売買の流動性が現物の不動産よりもずっと高い
(10)ETF(上場投資信託)
初心者向け レベル | 期待リターン/年率 | リスク/年率 |
---|---|---|
☆☆☆ | 株式主体:☆☆☆ 債券主体:☆☆ | 株式主体:☆☆ 債券主体:☆ |
失敗しやすい人の特徴 |
---|
自分のリスク許容度(損失に耐えられる金額)を把握していない人(値下がりした時点でパニック売りを行いがち) |
ETFの特徴
- 株式市場で買うことのできる投資信託(Exchange Traded Fundの略)。基本的に投資信託と同じ考え方をする。市場平均と連動するものが多い
- 一部、ブル型・ベア型と呼ばれるレバレッジの手法を取り入れたタイプがあるので、初心者は注意が必要
〈表〉投資の種類の選び方
- 初心者に向いているのは、投資信託(もちろんベテランにもおすすめ)
- 投資では「わかりにくい・難しいほうが儲かる」ということはないので、わかりやすいものを選ぶことが大切
- 短期的に儲けたいと思ってしまうものだが、残念ながら「短期間に確実に儲かる投資の種類や法則」は存在しない
iDeCoとつみたてNISAとは?
近年では税制上優遇されている投資制度として、iDeCo(イデコ)とつみたてNISA(ニーサ)にも注目が集まっています。どのような制度なのでしょうか。
注:iDeCoとつみたてNISAに関する内容は、執筆時点の制度内容です。今後変更になる可能性があります。
iDeCoの概要と特徴
iDeCoとは、「もうひとつの年金」と呼ばれる資産形成のための制度です。つぎのような特徴・メリットがあります。
〈表〉iDeCoの特徴
- 原則として20歳から60歳までの人が加入できる
- 基本的に、毎月コツコツと一定の金額を積み立てる
- 資商品は、元本保証タイプの商品または価格変動のある投資信託の中から選ぶ
- 原則として60歳になるまで引き出せない
〈表〉iDeCoのメリット
- iDeCoで積み立てたお金は全額所得控除される(所得のある人は税金が返ってくる)
- iDeCoの中での運用益は非課税になる(通常の投資は基本的に、利益に対しておよそ20%の税金がかかる)
- 受け取る時に所得控除を受けられる
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つみたてNISAの概要と特徴
つみたてNISAとは、積み立て投資の売却益(譲渡益)や分配金が非課税になる制度です。以下が特徴とメリットです。
〈表〉つみたてNISAの特徴
- 原則20歳以上の人なら加入できる
- 基本的に積み立て投資をする
- 年間40万円まで積み立てできる(毎月およそ33,000円)
〈表〉つみたてNISAのメリット
- 売却益(譲渡益)や分配金が最長20年間非課税になる
- 基本的にいつでも売却・現金化できる
- 選べる商品が金融庁の厳選した投資信託・ETFである
iDeCoとつみたてNISAの違い
iDeCoとつみたてNISAの違いを一覧で比較してみましょう。
iDeCo | つみたてNISA | |
---|---|---|
利用できる人 | 基本的に20歳以上60歳未満 | 日本に住む20歳以上の人 |
税制上のメリット | ・掛け金が全額所得控除 ・運用益が非課税(再投資される) ・受け取り時に所得控除がある | ・投資信託から得られる運用利益が非課税 |
口座開設可能数 | 一人一口座 | 一人一口座 |
非課税対象枠 | 年間14.4万円~81.6万円(会社員・公務員・自営業者などの働き方により異なる) | 年間40万円(年間一枠) |
非課税期間 | 運用期間中 | 最長20年間(一枠につき) |
投資対象商品 | ・元本確保の預貯金タイプ ・投資信託 | 投資信託・ETF(金融庁の告示要件を満たしたもの) |
解約(現金化) | 原則として60歳になるまでお金を引き出せない | いつでも可能 |
積み立て投資を始めるなら、普通の証券口座(税金がかかる)よりも、iDeCoとつみたてNISAから利用するほうが、非課税な分お得です。
つみたてNISAには金融庁が厳選した商品しかなく、iDeCoではラインナップが絞り込まれているので、商品選びが比較的楽に行えるのも初心者におすすめのポイントと言えます。
2つの制度を使えば老後に向けての資産形成が行いやすいので、投資初心者ならぜひ活用してみましょう。
ポイントを押さえれば、投資は誰にでもできる
それでは、ここまで解説してきたことを、振り返ってみましょう。
【この記事のまとめ】 |
---|
・リスクは値動きの振れ幅。期待リターンは、振れ幅の中でも多く発生する可能性のあるもの ・投資には様々な種類があるが、初心者に向いているのは投資信託と呼ばれる金融商品 ・iDeCoとつみたてNISAを併用(あるいはどちらか一方)すると、資産形成が比較的容易に行える |
今回は投資の基本と概要について、ふんわりと説明してきました。初心者の人には難しくわかりにくいところもあったかもしれませんが、大枠をつかめれば、あとは少しずつ必要な知識をつけていくことでより理解が深まるはずです。
筆者は昔、「投資? 資産形成? そんな難しそうなの、絶対ムリ!」と思っていました。それどころか「損をする可能性がある? そんなの絶対にしない!」と決めていました。ですがポイントを1つずつ押さえていけば、合理的な投資は誰にでもできるものだ、と今は考えています。
未来は不透明です。ですが、だからこそ、投資を行うことで、少し明るい未来にすることができるのではないでしょうか。本記事が読者の皆様の資産形成の一助になれば幸いです。
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