本連載では、そうした不安を払しょくするべく、投資にチャレンジしているママたちに注目。多忙な日々のなか、どんな方法で投資を行っているのか、インタビューを通して探っていきます。
今回語ってくれたのは、ワーママブロガー・ハレバレちゃんさんです。投資歴は15年。18歳から始めて、試行錯誤しながら、今の投資のスタイルを築いたそう。
家族資産3,000万円と個人資産1,000万円を目指す彼女。「ますます生きにくくなることが予想される子どもたち世代に、自分の経験や知識を伝えたい」を語ります。投資を通して得たことについて詳しく教えてもらいました。
【今回のママ投資家】
ハレバレちゃん
キャリアウーマンを目指し東京で働くも、縁あって地方に嫁ぐ。現在は朗らかな夫と共働きしながら、元気盛りの5歳・2歳の男児の子育てに励む33歳。「やらぬよりやって後悔」が座右の銘。夢は夫婦で全都道府県制覇の旅に出ること。
自立を目指して10代から節約と投資に励む
―― 投資に関心を持ったのはいつからですか?
18歳で一人暮らしをはじめた時ですね。大学の学費は親に出してもらいましたが、仕送りはなし。家賃は奨学金で支払い、その他の生活費はアルバイトでやりくりしていました。でも、大変さよりも限られたお金で生活することに楽しさを感じていたんです。最初はアルバイトと節約にはまり、節約の本で情報を集める中で株主優待の存在を知りました。「自立したい」「自分で財を成したい」という気持ちが湧いてきて、株式投資を始めてみることにしたんです。
―― 18歳にしては、かなりしっかりとした考え方ですよね。
しっかり……というよりも、したいことを我慢するのが苦手な性格なんですよね。特に「お金が足りないからできない」ということにストレスを感じやすくて。子どもの頃から通帳を眺める習慣がありました(笑)。大学も都会に出たい一心で、高1から県外に出ることを親に訴え続けていたんです。上京と進学を叶えるため、大学の学費を表にまとめ上げて比較検討していましたからね。
―― 投資はどのようなスタイルではじめられたのでしょうか?
ハンバーガーショップや100円ショップ、カラオケチェーンなど、当時の自分にとって身近な店舗やサービスを提供している企業の株を買っていました。あくまでも生活費の軽減が目的だったので、資産形成というよりは株主優待が目当てでしたね。それでも、まずは本を買って、「配当利回り」「割安株」「自己資本比率」といった指標の見方は勉強しました。
―― 投資をはじめてよかったと思うことはありますか?
世の中の動きに敏感になったことです。たとえば、米中貿易摩擦、大統領選挙など、世界情勢や政治にも目が向きます。また、「株価が上がってほしい→日本が成長してほしい→子どもを育てやすい社会になってほしい→今の政策はどうだろうか?」と連想ゲームのように考える癖がつき、それにともなって知識が蓄積されていったと思います。
家族資産は長期で手堅く。個別の株式投資は趣味の範囲で
―― 現在は、どのような投資をされているのでしょうか?
まず、「家族資産」のベースはiDeCoとジュニアNISAで毎月コツコツ積み立てするインデックス投資※1です。長期の資産形成を目指しているので、日々の値動きよりもとにかく続けることを重視。比較的ローリスクな投資スタイルですね。またこれとは別に、長期的に安定した経済拡大が見込めると考えて、先進国をテーマにした投資信託を購入しています。
もうひとつの「個人資産」ですが、結婚前から実践している個別の株式投資を継続しています。こちらは、元の価格から10倍まで跳ね上がる銘柄(テンバガー)を見つけ出したいという夢があり、もはや趣味として「楽しむこと」が最優先です。10万円前後で購入できそうな銘柄の中で、将来性のある企業を見つけるようにしています。
※1 インデックス投資:日経平均株価のような株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資方法。
【ハレバレちゃんさんの投資内容】
<家族資産>
iDeCoとジュニアNISAでインデックス投資。毎月10万円×利回り4%を目指すポートフォリオ※2を構成。
<個人資産>
個別株の投資。10万円前後の金額で購入できる、将来性のある銘柄(企業)を見つけるのが目標。
※2 ポートフォリオ:分散投資している資産の種類や比率のこと。
―― そのような投資スタイルを確立するうえで参考にしたものはありますか?
第2子の産前休暇中に読んだ『はじめての人のための3000円投資生活』(横山光昭著)です。これを読んだことで、投資の複利※3×長期の力を学びました。
※3 複利:利息を元本に組み入れることで、利息も利息を生んでいくこと。運用期間が長くなるほど、より大きな複利効果が期待できる。
―― 現在、参考にしているTwitterやブログはありますか?
定期的にチェックしているのは「にほんブログ村」の女性投資家や主婦投資家ランキング上位の方のブログです。価値観や状況が似ている方のブログは、自分のライフスタイルに落とし込みやすいので参考になります。Twitterは、その時目についたコメントやブログのリンクを拾うのに利用しています。投資に真剣に向き合っている人の多さに、いつも驚かされています。
また、投資の基本を押さえるのに役立つので書籍はチェックしています。竹川美奈子さんの『個人型確定拠出年金iDeCo活用入門』『新・投資信託にだまされるな!』は参考になりました。ときどき『ダイヤモンドZAI』などの投資雑誌も読んでいます。
あとは、「リベラルアーツ大学」が配信しているYouTube動画は簡潔で分かりやすく、お金にまつわるポイントを理解できます。ラジオ感覚で聞けるので、料理や化粧などの時間を学びに充てることができますよ。
〈図〉ハレバレちゃんの平日のタイムスケジュール
1日1歩、30分でもいいから投資を勉強することからはじめよう
―― ハレバレちゃんは、日頃からしっかり情報を収集され行動にも移されていますが、まだまだ投資にとっつきにくさを感じている人も少なくないですよね。
投資を学ぶ機会がないので仕方ないですよね。私を含めて親から教わったことがない人がほとんどなのではないでしょうか。だから、「銀行口座に入れたままにしておく」とか、「定期預金に加入する」くらいしか、お金の扱い方が浮かばないのかもしれません。
―― あと、漠然と「投資は怖いもの」と思っている人もいますよね。
投資は「特別な人」がやるもので、ギャンブルだと勘違いしているからではないでしょうか。また、元本割れのリスクを極端に嫌う傾向にあると感じます。それもこれも、成功体験がないからだと思います。でも、能動的に情報を収集して実践している人はどんどんオトクに生きています。銀行口座に預けておくだけではその恩恵をまるで受けられません。何もしないことが、どれだけのリスクなのかを理解してもらいたいなと思います。
――では、投資をはじめたいと考えているママは何からはじめればいいでしょうか?
まずは、やはり情報収集です。投資に関して調べたいこと、気になることへの答えは、ほとんどネットや書籍で紹介されています。いまはとても簡単にわかりやすい情報を手にすることができる時代なので、活用しない手はないでしょう。特に育休中のママにはその期間に投資デビューの勉強をすることをおすすめします。
――育休中に投資を学ぶ意義は何でしょうか?
投資を学ぶと、子どもの教育や老後の生活をどうしていきたいのかを含め、自然とライフプランを見つめることになります。それによって、育休から復帰した時に仕事への向き合い方が変わり、モチベーションも上がるかもしれません。さらに知識が増えることで、自分の業界や業種の将来性に気づき、キャリアを考えるきっかけにもなるかもしれません。時間がある育休中だからこそ、自分や家族のことと向き合えると思います。
――なるほど。では、今まさに子育て真っ最中のワーママの場合はいかがでしょうか? 仕事に育児にと多忙で、なかなか投資を学んだり、始めたりする時間や心の余裕を持ちづらいと思うのですが。
おっしゃる通り、仕事や家事、育児に疲れていると、新たに何かを考えたり、行動に移したりすることが億劫になるものですよね。ですから、投資をあまりハードルが高いものと考えないことが、一歩踏み出すポイントなのかなと思います。たとえば生命保険や学資保険、車や家具家電の買い替えの延長のような意識で、関心を寄せてみてはどうでしょうか。
子どもの教育費が大きくかかる高校・大学まで、あるいは自分たちの老後まで、まだ時間が十分あります。「今日は証券口座を申請する」「今日は投資を学べるアプリをダウンロードする」「今日は投資を学べる動画を見る」など、1日1歩、30分でいいので、育休中なら子どものお昼寝時間に、復帰後なら通勤中やランチタイムなどの隙間時間を活用してみてください。
銀行に貯めているだけでは、タンス貯金と変わりません。じゃあどうすればいいか、考えてみることからはじめてみてほしいです。
この記事の著者
末吉 陽子
1985年生まれ。広告制作会社で営業・制作ディレクターを経験後、編集者・ライターとして独立。インタビューをメインにビジネスからカルチャーまで幅広いジャンルの記事を担当。現在、iDeCoとつみたてNISAをコツコツ運用中。