今回語ってくれたのは、投資歴2年半の会社員ブロガー・ねるこさん。じつは彼女、投資をはじめてから今までに、投資のスタイルがコロコロと変わっているんです。
いまのスタイルに行き着くまで何があったのか、彼女が現在も楽しんで投資を行えている理由について、深掘りしてみました。
【今回のママ投資家】
ねるこさん
都内の会社に勤務している節約と買い物が大好きな30歳。夫と2歳の娘、家族3人でマンモス団地に暮らす。内弁慶でなにかと気にしがちな性格。行き当たりばったりではなく、何事もきちんと計画を立ててからはじめることが得意。
育休中の不安から投資を開始。300万円の定期預金をすべて資産運用へ
――ねるこさんが投資をはじめたきっかけを教えてください。
子どもを妊娠したことですね。急に将来のお金のことが不安になって……。それで、お金の勉強をはじめて、投資というものを知りました。
当時、独身時代の定期預金300万円くらいがあったのですが、金利はたかが知れているし、それならこれを元手に増やせないかな、と。ちょうど育休中で時間がありましたから、本格的に投資に挑戦してみたんです。
―― 実際に投資をやってみて、何か変わりましたか?
お金の価値観がガラッと変わりました。それまでは「お金を増やすには、働いて稼ぐ、使わないで貯める」しか選択肢がないと思っていましたし、投資は何となくリスキーな印象でした。でも、ちゃんと勉強すれば、決して危ないものではないんだなと。
投資を勉強したことで将来のマネープランもしっかり考えるようになり、お金にまつわる漠然とした不安がなくなりました。
個別株やデイトレードでの失敗を経て、積立投資へ
――現在はどのような投資をされているのでしょうか?
いまは主に、毎月指定した額を自動で積み立てる「積立投資」ですね。何の手間もなく本当に楽なんです。フルタイムで働きながら家事・育児もやっていると、投資にかけられる時間も手間も限りがあって…。個別株も運用していますが、メインはあくまで積立投資の投資信託です。
〈表〉ねるこさんの投資内容
投資金額 | 4.2万円/月 |
投資しているメイン商品 | ① 投資信託 、② ETF、 ③ 個別株 |
―― 投資をはじめた頃から、そのスタイルですか?
いいえ、最初は定期預金を元手に好きな企業の個別株を買いまくっていました。購入タイミングを伺うこともなく、手あたり次第に(笑)。当時(2017年末)はたまたま相場がよく、最初に買った株はほとんどプラスで売却できたんですよ。
ただのビギナーズラックなんですけど、「私には投資の才能がある!」と調子に乗ってしまったんですよね。案の定、すぐに痛い目に遭いました。第2陣で買った株は、どんどん含み損が膨らんでいってしまい……。
私はどうしても損切り(※)できないタイプで、ずるずると資産が減っていくストレスを抱えていました。損した分を取り戻そうとデイトレードにも挑戦しましたが、うまくいきませんでしたね。
※資産の時価が購入時の価格よりも下回っている場合、投資商品を損失覚悟で売却して、損失額を確定すること。
――それで今のスタイルに切り替えられたのですね。
そうですね。1年ほどはいろいろ試したのですが、ちょうど育休が明けて仕事に復帰するタイミングでもあったので、いずれにせよ相場を逐一チェックするような投資方法は難しいだろうなと。
それで、投資信託と、良いと思った個別株だけを長期保有するやり方に変えたんです。そうしたら、かける時間が減ったのに成績は上がって…これはいいな、と(笑)。
――ちなみに“良いと思う個別株”とはどんなものでしょうか?
「身近に感じる企業の株」ですね。自分が愛用している化粧品のメーカーだったり、好きな飲食店を経営している企業だったり。ふだんサービスを受けている会社であれば、その良さも分かっていますし、たとえ値下がりしたとしても「応援したい気持ち」が勝つのでストレスが少ないんですよ。株主優待で好きな企業のサービスを受けられる楽しみもありますしね。
電車通勤時間で株価をチェック! 投資の“お財布管理”は夫婦別々に
――なるほど。「積立投資は手間がない」とのことですが、現在はどのくらい投資に触れているんですか?
積立投資に限って言うと、毎月一定額を自動で購入するように設定していて、売却することはほとんどないので、ほったらかしです。でも、個別株のチャートと日々の市場のチェックはしています。主に早朝と電車通勤の時間が私にとって大事な投資の時間です。朝は特に大切で、米国の株式市場の動向をチェックしたり、保有している個別株に関するニュースを見たりしています。投資ブログを書くのもこの時間ですね。
<図>ねるこさんの平日のタイムスケジュール
――ちなみに、夫婦で投資について話すことはありますか?
投資を始めたての頃は、夫の意見を聞いて買った株もありましたが、あまり楽しくなくて(笑)。やっぱり、自分で選んだ株を自分で責任を持って運用する方がおもしろいですよね。ですから、今は自分の証券口座で運用しているものについては、「自分のお小遣い」と割り切って運用しています。
夫も投資をしていますが、彼がどれくらいの成績なのかも知らないです。お互いのお小遣いの範囲内での投資については干渉をせず、得をしても損をしても自己責任ということで(笑)。夫婦共有の財産を原資に運用すると、損したときにストレスが掛かりますし、最悪の場合は夫婦の関係に亀裂が入る可能性もあります。
――では、お互いの投資分とは別に夫婦共有の資産が?
そうですね。共有の貯蓄と、教育資金は別で確保しています。ジュニアNISAで運用している分は、子どもの大学資金に充てるために夫婦で資金を折半している形ですね。こちらは夫婦で話し合い、失敗しにくそうな投資信託と高配当の優待株で運用しています。投資を楽しみつつ、当面の生活に必要な資金は別枠で確保して家計を守りたいので、このスタイルになっています。
時間のないワーママなら、積立の長期投資がおすすめ
――最後に、これから投資をはじめたいと考えているママに向けて、アドバイスをお願いします。
先ほどもお話しましたが、長期運用を前提とした投資がいいと思います。短期で一攫千金を狙うのは、それなりのリスクやストレスを伴いますから。それと、余剰資金で始めることと、現物取引だけにしておくことですかね。
私もデイトレードで売り買いしていた頃は、いつもチャートを気にしながら生活していて、株価が下がるととてもストレスになっていました。
でも、生活を豊かにするために始めた投資なのに、投資に振り回されてストレスが溜まるようでは本末転倒ですよね。基本的に買ったらずっと保有すると決めてからは、イライラが少なくなりました。しかも、今のスタイルになってからの方が、投資成績もアップしましたし。
特に仕事や育児で時間がないワーママは長期投資、そして、ほったらかしにできる積立投資がいいんじゃないでしょうか。積立投資は、定期的な収入はあるけど株にかける時間はないというワーママと相性がいいと思います。たとえば、毎月1万円と決めて積立投資にすれば、ほとんど株のことを考えずに生活できると思います。
撮影:小野奈那子
この記事の著者
末吉 陽子
1985年生まれ。広告制作会社で営業・制作ディレクターを経験後、編集者・ライターとして独立。インタビューをメインにビジネスからカルチャーまで幅広いジャンルの記事を担当。現在、iDeCoとつみたてNISAをコツコツ運用中。