この記事では、YouTubeで収入を得るしくみやポイントを解説します。収入を得るしくみを理解して、自身や企業のYouTube運営に活用しましょう。
この記事の監修者
大井 あゆみ(おおい あゆみ)
エディット合同会社代表。「立川経済新聞」「シンガポール経済新聞」ほか、ウェブメディアの編集長を歴任後、現在はメディア立ち上げ支援やウェブメディアコンサルティングのほか、SNS・YouTubeチャンネル運営改善なども手がける。
この記事を書いた著者
山本 杏奈(やまもと あんな)
ライター。高知県生まれ、東京都在住。2016年、金融機関に入社。本店営業部勤務を経て、独立。現在は「働く女性」や「共働き世帯」をターゲットにしたマネー記事をはじめ、児童向け書籍やライフスタイル誌などで多数執筆している。
YouTubeで収入を得る基本のしくみは5つ
YouTube収入の柱となるのは、広告収入のほか、動画投稿者と視聴者をつなぐ投げ銭や有料メンバーシップなどが挙げられます。それぞれのしくみについて、詳しく見ていきましょう。
(1)広告収入を得る
YouTubeで得る収入の柱は、視聴者が動画を再生する際に表示される広告による広告収入です。
視聴者が動画に表示された広告を見ると、広告主からYouTubeに広告料が支払われ、その一部が動画投稿者に還元されます。これが、YouTubeの広告収入の基本的なしくみです。広告の種類や特徴について、詳しく見ていきましょう。
〈図〉YouTubeの広告収入のしくみ
YouTubeで自社製品やサービスをPRしたい広告主は、YouTubeに掲載料を払って広告を出します。広告には、動画の途中でテレビCMのように流れたり、バナー広告のように表示されたりと様々な広告フォーマットがあります。動画投稿者は動画ごとに広告フォーマットを設定することができます。
ただし、表示する広告は動画との関連性などからYouTubeが自動的に決定します。そのため、動画投稿者側でどのような内容の広告を表示するかは決められません。
これらの一連の流れによって企業から視聴者へ商品やサービスのPRが行われ、動画投稿者には広告料が支払われます。
なお、動画投稿者は、主に4つの広告フォーマット1)から動画に貼る広告フォーマットを自由に決められます。
この主な4種類1)とは、①広告が5秒間再生されたあとでスキップできる「スキップ可能な動画広告」、②最後まで広告を見なければならない「スキップ不可の動画広告」、③最長6秒間のスキップ不可の短い動画が流れる「バンパー広告」、④再生画面の下部が広告枠になる「オーバーレイ広告」です。
〈図〉YouTubeで設定できる主な広告フォーマット
また広告フォーマットごとに表示できるデバイスが異なります。パソコンでは表示される一方、スマホやタブレットでは表示されないなど、違いがあるので注意しましょう。
〈表〉広告フォーマットの種類と表示されるデバイス
広告 | 表示されるデバイス |
---|---|
①スキップ可能な動画広告 | パソコン、スマホ、タブレット、テレビ、ゲーム機 |
②スキップ不可の動画広告 | パソコン、スマホ、タブレット、テレビ、ゲーム機 |
③バンパー広告 | パソコン、スマホ、タブレット、テレビ、ゲーム機 |
④オーバーレイ広告 | パソコンのみ |
なお、これらの広告を表示するためには、チャンネル自体が以下の条件を満たしていることが必要になります。
- 公開動画の総再生時間が、直近12カ月間で4,000時間以上ある
- チャンネル登録者数が1,000人以上いる
- 広告掲載にふさわしいチャンネルである
詳しい条件や広告の付け方については、以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】YouTubeを収益化するための条件と申請方法は? 詳しくはコチラ
それでは、ここからはそれぞれの動画広告のフォーマットについて詳しく説明していきましょう。
フォーマット①スキップ可能な動画広告
「スキップ可能な動画広告」は動画の再生中、または再生前後に表示されます。
何も操作を行わなければ広告は30秒間以上再生されますが、5秒間再生されたあと、視聴者が広告をスキップするか残りを見るかを選択できます。スキップする場合は、動画の右下に表示される「広告をスキップ」というボタンを押すと本編の動画が再生されます。
フォーマット②スキップ不可の動画広告
もっともテレビCMに近い形式の広告が、「スキップ不可の動画広告」です。動画の再生中、または再生前後に表示される点においては「スキップ可能な動画広告」と同じですが、こちらは視聴者の意思で広告をスキップすることができません。
視聴者がいる地域によって異なりますが、広告の再生時間は最大15~20秒間となっています。
フォーマット③バンパー広告
「バンパー広告」は、動画の前後や再生途中に流れる6秒間の短い広告で、スキップはできません。
「スキップ不可の動画広告」と同じく、動画の前後や途中で再生され、広告を最後まで再生しないと動画を視聴することができません。
フォーマット④オーバーレイ広告
「オーバーレイ広告」は、再生画面の下部に表示される広告です。本編の再生中に、バナー画像もしくは文章表現による広告が表示されます。視聴者は広告枠の右上に表示されている「×」を押すと広告を非表示にできるため、視聴の妨げになりにくいという特徴があります。
(2)投げ銭で稼ぐ
YouTubeの主な収入源は広告収入であることが多いですが、ここ数年注目されているのが、動画の視聴者から直接お金をもらうような、投げ銭と呼ばれる収益化のしくみです。
YouTubeでは主に2種類の投げ銭があります。それぞれを見ていきましょう。
①スーパーチャット
リアルタイムで視聴者と交流する「ライブ配信」と、動画の投稿時刻を指定することによって視聴者と動画投稿者が動画を一緒に楽しむことのできる「プレミア公開」には、動画投稿者と視聴者がメッセージを書き込めるチャットが用意されています。
チャット機能を使って動画投稿者を応援するスーパーチャット(通称スパチャ)2)では、1回当たり100円~5万円(上限5万円/日)のお金を送ることが可能です。動画投稿者側はコアなファンを見つけやすい、視聴者側は優先的にコメントを読まれやすい、というメリットがそれぞれにあります。
②スーパーサンクス
スーパーサンクス3)は、視聴者が動画投稿者に感謝や応援の気持ちを送れる支援制度のことです。
前述のスーパーチャットはライブ配信上(ライブストリームやプレミア公開)で行われるのに対して、スーパーサンクスは一般の投稿動画に対して行われます。
スーパーサンクスには4段階の金額があり、購入すると該当動画のコメント欄にアニメーションGIFやカラフルに色付けされたメッセージが表示されます。
動画投稿者側は自身の熱心なファンを見つけやすい、視聴者側は応援の気持ちを動画投稿者へダイレクトに伝えられる、というメリットがあります。
(3)有料登録メンバーを得る(チャンネルメンバーシップ)
YouTubeには、チャンネルの有料会員を募るシステムが存在します。有料登録メンバーを多数得ることができれば、毎月固定の収入を得られます。
YouTubeの有料会員システムであるチャンネルメンバーシップ4)は、視聴者がチャンネルメンバーとなるための料金を毎月支払うことで、動画投稿者が用意したメンバー限定のバッジ・絵文字・その他アイテムなどの特典を利用できるようになる制度です。
チャンネルメンバーシップを適用されるには、「チャンネル登録者3万人以上」「子ども向け動画ではない」「18歳以上」など、いくつかの要件があります。
(4)企業からPR案件を獲得する
YouTubeに組み込まれている収益化システムではありませんが、チャンネル登録者数が増えてくると、その影響力を考慮して、企業からPR動画の制作依頼をされたり、コラボグッズの開発を依頼されたりすることもあります。
(5)そのほか
ここでは、2022年8月現在、YouTubeがキャンペーン的に実施している収益化プログラム「YouTube ショート ファンド」をご紹介します。
2021年8月より開始された、YouTube ショート ファンド5)は、毎月数千人の動画投稿者に報酬を分配する1億ドルの基金のことです。対象の動画投稿者は、ボーナスとして100ドル~1万ドルの範囲で分配を受け取れます。
この新制度の登場で、YouTubeでもショート動画(YouTube ショート)6)が活発化しています。YouTubeの通常動画は横画面がメインですが、YouTube ショートは縦画面になっており、最大で60秒間という短い動画を投稿することになります。
注目されている理由は、YouTube ショート ファンドには明確な収益化達成の条件は設けられていないという点です。以下の記事でも詳しく紹介していますが、YouTubeで収益を受け取るためにはいくつかの条件を達成した上でYouTubeパートナープログラムへ加入することが必要でした。
【関連記事】YouTubeを収益化するための条件とは? 詳しくはコチラ
しかし、YouTube ショートでの収益は、自身のチャンネルに投稿されたショート動画の再生回数やエンゲージメント、全体的な成長率などの様々な要因によって審査されるのが特徴です。つまり、登録者が少なく、今まで動画投稿で収益化ができなかった人でも、収入を得られる可能性があります。
(コラム)YouTube Premiumで動画投稿者の広告収入はどうなる?
2018年11月より開始された、YouTube Premium7)は、視聴者が毎月1,180円(iOS版のYouTubeアプリから登録した場合は、毎月1,550円)を支払うと広告の非表示などの機能が備わる有料サービスです。
視聴者の最大のメリットは、動画に広告が表示されなくなることですが、広告から収入を得ている動画投稿者の収入にはどのように影響するのでしょうか。
結論からいうと、広告が表示されないからといって動画投稿者の収益がなくなることはありません。その代わり、視聴者の月額料金の一部が再生回数に応じて動画投稿者に分配されています。
YouTubeで収入を得る上での注意事項
YouTubeの動画配信や企業のPR案件などで発生した収入には税金がかかり、稼いだ金額によっては確定申告が必要となります。少額だから、副業だからと申告せずにいると、無申告加算税や重加算税、延滞税などを課される可能性があるので注意しましょう。
確定申告を行う場合、所得区分や申告方法によって所得税額が大きく変わってきます。YouTubeで収益化を目指すのであれば、下記の記事で税金についても確認しておきましょう。
【関連記事】YouTubeの収入にかかる税金とは? 詳しくはコチラ
YouTubeで収入を得るしくみを知って、多面的に収益化を目指そう!
YouTubeでは4種類の広告フォーマットから得る広告収入のほか、投げ銭や企業からのPR案件といった様々な収入を得る方法があります。YouTubeで安定した収入を得るには、広告だけに限らず多面的な収入源を確保することが大切です。それぞれの特徴を理解した上で、うまく活用しながらチャンネル登録者やファンの獲得、再生回数を増やすことに役立てていきましょう。