この記事では、YouTubeを収益化するための条件や広告の付け方について詳しく解説します。チャンネルを開設してから収益化するまでの流れをご紹介しているので、これからYouTubeにチャレンジしてみたいと思っている人はぜひ参考にしてみてください。
※各YouTubeアカウントの登録者数は2022年8月16日現在の数字です。
この記事の監修者
大井 あゆみ(おおい あゆみ)
エディット合同会社代表。「立川経済新聞」「シンガポール経済新聞」ほか、ウェブメディアの編集長を歴任後、現在はメディア立ち上げ支援やウェブメディアコンサルティングのほか、SNS・YouTubeチャンネル運営改善なども手がける。
この記事を書いた著者
山本 杏奈(やまもと あんな)
ライター。高知県生まれ、東京都在住。2016年、金融機関に入社。本店営業部勤務を経て、独立。現在は「働く女性」や「共働き世帯」をターゲットにしたマネー記事をはじめ、児童向け書籍やライフスタイル誌などで多数執筆している。
2022年最新版、YouTubeを収益化するための条件は?
はじめに、YouTubeで収益化する基本のしくみについて見ていきましょう。YouTubeで動画を見る際、視聴前や視聴中に広告が表示されたり、動画上にバナーが表示されたりする場合があります。この広告によって得られる広告収入がYouTubeの基本的な収益源です。
YouTubeの広告は様々な基準で選ばれ、表示されています1)。たとえば、視聴中の動画の内容や、年齢・性別などのGoogleアカウント情報などから、視聴者に適した広告を表示します。その広告を視聴者がクリックしたり、一定秒数以上視聴したりすると、広告主からYouTubeに広告料が支払われます。その一部が、動画投稿者にも支払われるため、YouTubeを介して収益が得られるのです。
〈図〉動画投稿者がYouTubeで広告収入を得るしくみ
しかし、チャンネルをつくって動画を投稿したからといってすぐに広告収入を得られるわけではなく、動画に広告を付けるには、主に下記の3つの条件2)をクリアしなければなりません。
①公開動画の総再生時間が、直近12カ月間で4,000時間以上ある
②チャンネル登録者数が1,000人以上いる
③広告掲載にふさわしいチャンネルである
なお、「YouTubeヘルプ」2)にはそれ以外の条件も記載してありますが、基本的に手続きに関することとなっています。それぞれの条件について見ていきましょう。
①公開動画の総再生時間が、直近12カ月間で4,000時間以上ある
ひとつめは「直近12カ月間で4,000時間以上の動画の再生時間がある」という条件です。
4,000時間=24万分間ですから、仮に5分間の動画を10本投稿している場合、単純計算すると1動画あたり4,800回動画を再生してもらえば条件をクリアできると考えるかもしれません。しかし、実際はそこまで単純ではありません。
たとえば、1本5分間の動画投稿をして、視聴者が動画全体の40%までを見てくれたとします。この場合、1動画あたりの視聴時間は2分間になります。つまり、1動画あたり1万2,000回再生されて、ようやく10本の動画で4,000時間に到達できる計算になります。
5分間の動画×視聴割合(40%)=視聴時間2分間
2分×1万2,000回再生=2万4,000分間
2万4,000分間×10動画=24万分間(=4,000時間)
もちろん動画のジャンルや1本あたりの動画時間などで、再生時間は変動しますが、いずれにせよ根気強く動画投稿を続けるしかありません。動画投稿を習慣化して、再生時間を積み重ねていくのが賢明でしょう。
②チャンネル登録者数が1,000人以上いる
続いて、3つの条件のうち、最も難しいといわれているのが「チャンネル登録者数1,000人」を達成することです。
視聴者に動画を見てもらうだけでなく、チャンネル自体に興味を持ってもらい、チャンネル登録をしてもらう必要があります。これを達成するためには、ユーザー行動を研究し、ニーズに合った動画づくりをするなど、戦略的にチャンネルを運営することが必要となります。登録者数や再生数を増やすコツを、下記の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
【関連記事】2022年最新版 YouTubeで稼ぐために知っておきたい5つのポイントは? 詳しくはコチラ
③広告掲載にふさわしいチャンネルである
企業が支払う広告費の一部を収益として受け取っている以上、企業イメージを損なわない良質な動画を投稿しなければなりません。
そこでYouTubeは「広告掲載に適したコンテンツのガイドライン」3)を定め、審査を行っています。ガイドラインに違反するのは、下記のジャンルです。
〈表〉YouTubeにおいて「広告掲載に適したコンテンツのガイドライン」の違反に当たるもの
・不適切な表現 ・暴力 ・アダルトコンテンツ ・衝撃的なコンテンツ ・有害または危険な行為 ・差別的または中傷的なコンテンツ ・危険ドラッグや薬物に関連するコンテンツ ・銃器に関連するコンテンツ ・物議を醸す問題 ・デリケートな事象 ・不正行為を助長する商品やサービス ・子どもや家族向けとして不適切なコンテンツ ・扇動的、侮辱的なコンテンツ ・タバコに関連するコンテンツ |
せっかく総再生時間と登録者数の条件を満たしても、ガイドラインに違反している動画には広告を付けることができません。利用規約やコミュニティガイドラインと併せて、事前にしっかり確認しておきましょう。
また、審査は動画そのものだけでなくチャンネル自体も対象で、コミュニティガイドラインに違反している場合は警告を受けます。4)ちなみに、条件を満たしたあとも動画は都度チェックされます。
3つの条件を満たしたらパートナープログラムへ参加申請しよう
前述した3つの条件を満たしたら、動画に広告を付けるための申請手続きをします。
条件を満たせば自然と広告が付けられるようになるのではなく、「YouTube パートナー プログラム(YPP)」2)というものに参加申請をしたあとに審査を受け、YouTubeから承認を得て、初めて広告を付けられるようになります。
YPPへの参加申請にはいくつかの手順が必要になります。具体的な参加申請方法をご紹介します。
YPPへの申請はYouTube Studioから行います。YouTube Studioとは、動画の投稿や分析などが行えるYouTube上の管理ツールのことです。
前述した条件を満たすと、YouTubeの管理画面「YouTube Studio」の「収益受け取り」メニューから申請の手続きが可能になります。
基本的には、画面に沿って申請するだけなので手順どおりに行えば難しくありませんが、「収益受け取り」の申請の前にひとつ必要なことがあります。
それが、Google Adsenseのアカウントをつくることです。Google AdsenseとはGoogleが提供している広告配信サービスで、登録にはGoogleアカウント(もしくはGoogle Workspaceに紐付いたビジネス用メールアドレス)が必要です。YPPの審査を受けられるのは、Google Adsenseの登録完了後となります。
なお、YPPの審査にかかる時間は公表されていません。1週間以上経過しても表示が変わらない場合は一度問い合わせをしてみましょう。
審査結果は、申請画面と同じ「収益受け取り」画面でわかるようになっており、メールでも通知が届きます。審査中に登録者数が減ってしまうことがないように、結果を待っている間もコンスタントに動画投稿を続けましょう。
1再生回数あたり、いくら稼げる?
ここまでで、一定の条件を満たせば、広告収入が得られることがわかりました。それでは、YouTubeでは一体いくら稼げるものなのでしょうか?
「1動画再生でどれだけの広告収入を得られるのか」は、多くの人が気になることだと思いますが、はっきりとした金額はわかっていません。
ただし、目安額として、2022年5月現在では平均0.01〜0.3円と推測されています(目安額は監修者調べ)。
なお、YouTubeでは広告の種類を複数組み合わせることができたり、広告の種類によって金額が異なったりします。上記で示した1動画再生あたりの目安額から大きく離れる場合もあることは覚えておきましょう。
収益化できるYouTube広告の種類とは?
前述のように、一定の条件を満たすと、動画投稿者は動画に広告を付けることができるようになります。
ただし、注意したいのは、動画に表示する広告は投稿した動画との関連性などからYouTubeが自動的に決定するということです。そのため、どのような内容の広告を表示するかは動画投稿者側では決められません。
一方で、広告フォーマットに関しては、動画投稿者が自由に設定できます。動画投稿者は、主に4種類の広告フォーマットをどのように動画へ表示するか決められます。
この主な4種類5)とは、①広告が5秒間再生されたあとでスキップできる「スキップ可能な動画広告」、②最後まで広告を見なければならない「スキップ不可の動画広告」、③最長6秒間のスキップ不可の短い動画が流れる「バンパー広告」、④再生画面の下部が広告枠になる「オーバーレイ広告」です。
〈図〉YouTubeで設定できる主な広告フォーマット
また広告フォーマットごとに表示できるデバイスが異なります。パソコンでは表示される一方、スマホやタブレットなどでは表示されないなど、違いがあるので注意しましょう。
〈表〉広告フォーマットの種類と表示されるデバイス
広告 | 表示されるデバイス |
---|---|
スキップ可能な動画広告 | パソコン、スマホ、タブレット、テレビ、ゲーム機 |
スキップ不可の動画広告 | パソコン、スマホ、タブレット、テレビ、ゲーム機 |
バンパー広告 | パソコン、スマホ、タブレット、テレビ、ゲーム機 |
オーバーレイ広告 | パソコンのみ |
それぞれの広告フォーマットについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。収益を最大化するためには、これらを組み合わせるのもポイントのひとつなので、ぜひチェックしてみてください。
【関連記事】広告フォーマットには何がある? YouTubeで収益を得るしくみとは? 詳しくはコチラ
広告以外の方法で、収益化する方法はある?
YouTubeでの主な収益源は広告収入ですが、ほかにも収益化するための様々な方法があります。もし、YouTubeで安定した収入を得ることを狙っているのであれば、広告収入だけに頼らず、多面的な収益源を確保することが大切です。
YouTubeを収益化する広告収入以外の方法は、以下のとおりです。
- 投げ銭を得る
- 有料登録メンバーを得る
- 企業からのPR案件を得る
- そのほか(YouTube ショート ファンドなど)
なお、これらの方法で収益化するしくみについても、以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ、併せて確認してみましょう。
【関連記事】広告収入以外に方法はある? YouTubeで収入を得るしくみとは? 詳しくはコチラ
YouTube投稿で最低限確認しておきたい注意点
世界中の視聴者に動画を届けるYouTubeでは、権利侵害や誰かの不安をあおるような動画を投稿しないように十分配慮する必要があります。また、YouTubeで収益を得た場合は、確定申告が必要になることもあります。YouTubeで動画投稿を行う上での注意点をまとめたので確認してみましょう。
①著作権侵害に気をつける
著作権は、音楽や動画などの作品の制作者に与えられる権利です。制作者の承諾を得ずに無断で作品を使用した場合に、著作権の侵害となってしまう可能性があります。
好きな曲を流したり、友人が撮影した映像を無断で流したりと、知らないうちに著作権侵害を犯してしまうケースもよくあります。下記の記事で詳しく解説しているので、一度確認しておきましょう。
【関連記事】音楽・画像を使う時は注意! YouTubeで著作権侵害を起こさないために知っておきたいルール。詳しくはコチラ
②個人情報を特定されないようにする
YouTubeに限らず、インターネット上で個人情報を公表するのは非常に危険です。たとえば、氏名や住所が特定されないように配慮していたとしても、動画内で何らかの商品を購入したレシートを映したり、部屋から見える外の景色を映したりすることで、意図せず情報が流出してしまう可能性もあります。個人情報に関する部分はカットする、もしくはモザイク加工をして対策を行いましょう。
③YouTubeで得た収益は確定申告が必要な場合もある
YouTubeで得られた収益には税金がかかり、稼いだ金額によっては「確定申告」が必要となります。申告せずにいると、無申告加算税や重加算税、延滞税などを課される可能性があるので注意しましょう。
YouTubeで収益化を目指すのであれば、税金についても詳しく知っておきましょう。詳しくは下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】YouTubeの収益にかかる税金とは? 詳しくはコチラ
④そのほかの注意点
性的なコンテンツや暴力的で生々しいもの、大ケガにつながるような危険な行為、民族・性別などに関するヘイトスピーチ、脅迫・いやがらせ・なりすまし・詐欺行為などは、YouTubeのポリシーとして動画投稿が許可されていません。6)注目を集めるために過激な内容になりすぎないように注意し、ルールに従いましょう。
YouTubeに関して何らかのトラブルが生じた場合には「不適切なコンテンツの報告」や「プライバシー侵害の申し立て」を行えますが、原則は当人同士の解決となります。動画投稿する際は、トラブルにつながるような要素はないか事前に精査しましょう。
収益化の条件は厳しいけれど、工夫次第で可能性が広がっている!
著名人でもない限り、多くの人にとってYouTubeの収益化は難しいイメージがあるかもしれません。チャンネル開設後は収益化の条件を満たすまで、ひたすら動画をつくり続けるという気力と体力が勝負となります。一方で、YouTubeは工夫次第で、初心者でも広告収入を得られるチャンスがあります。自分のスキルや知識を活かして、楽しみながら収益を生み出していきましょう。